酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

実績重視の結末

ご存じの通り、女子柔道48kg級で谷亮子は銅メダルに沈みました。

五輪三連覇を逃した谷亮子

過去の実績重視で代表を選ぶ選考基準は見直されるべきかも知れません。今年の4月、オリンピックの代表選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権で谷は山岸絵美に敗れ、準優勝に終わっています。昨年は世界選手権7連覇を飾った谷ですが、やはり全日本選抜体重別選手権では福見友子に敗れ、今回と同様に実績重視で代表に選ばれていました。

確かに、谷以外の選手は海外での実績が今ひとつといった状況です。殊にポイント重視の試合運びが常識となっているヨーロッパの選手を相手に競り勝つスキルという点で、谷はいまでも日本最高の実力を持っているといえるでしょう。ただ、あれだけの実力者である彼女も、海外デビュー当初から順調に勝てたわけではありません。

谷はまだ中学生だったとき、福岡国際で当時の世界チャンピオンだったイギリスのカレン・ブリッグスを破るという、センセーショナルな国際戦デビューを果たしました。あの鮮烈な「内股すかし」は、その晩のNHK『サンデースポーツ』にゲスト出演していた当時の九重親方(元横綱・北の富士)も大絶賛していたのを私はよく覚えています。

当時から立ち技の体さばきは絶品だった彼女ですが、あの頃は寝技が大の苦手で、外国人の変則的な組み手にもかなり苦戦していた印象です。

1991年に初めて世界選手権に出場したときは銅メダル、翌年のバルセロナでオリンピックデビューとなったときはフランスのセシル・ノバックに敗れて銀メダルに終わりました。このときはまだ高校生でしたから、年齢の割にはよく頑張ったといったところかも知れません。

1996年のアトランタオリンピックのとき、彼女は世界選手権2連覇という実績を重ねていました。が、全くのノーマークだった北朝鮮のケー・スンヒに敗れ、やはり銀メダルに止まりました。道着の襟を右前に合わせるという、相手の奇策に足をすくわれるような格好だったのかも知れません。

この頃、「実力は世界一でもオリンピックには勝てない」と囁かれた彼女でしたが、いまの彼女は全日本選抜体重別選手権で2年続けて優勝を逃している以上、実力日本一とするのも微妙なところです。

一方、他の選手が谷を破っても日本代表に選んでもらえないとなれば、彼女たちの競技に対するモチベーションを低下させてしまう恐れがあります。また、彼女たちに海外での経験を積ませるチャンスを奪ってしまうのも、将来を見据えた場合に決して望ましいことではありません。

谷は次のロンドンオリンピックでは36歳になっています(彼女の誕生日は9月ですから37歳直前といったほうが良いかも知れません)から、年齢的にはかなり厳しいと考えるべきでしょう。ただ、世界選手権は今年から毎年開催となりますから、連覇を続けるチャンスもあるでしょう。

もし、今年の全日本選抜体重別選手権で谷を破った山岸絵美をこの北京オリンピックの日本代表に選んでいたら金メダルを獲得していたでしょうか? 個人的にはかなり微妙なところだったと思います。しかし、下駄を履かせた谷が金メダルを逃した以上、やはり不透明な選考基準を続けるべきではないと思います。

この銅メダルに無念を感じているのは、谷本人より山岸のほうかも知れません。

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嫌中知事、北京をゆく

例の「三国人発言」など、中国を始めとしてアジア諸国に対する誹謗中傷発言で話題に事欠かない彼ですが、2016年のオリンピック誘致だけのために北京へ出かけましたね。当初、北京オリンピックについて

ヒトラーの非常に政治的なベルリンオリンピックに、ある意味似ているような気がする。


と吐いていた彼がどの面を下げて行くのかと思いましたが、ま、いつもの厚顔でしたね。

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羽田からANAの臨時チャーター機を飛ばすとなれば、
もの凄くカネがかかると思うのですが、やはり公費でしょう。
どれだけの費用がかかったのか、きちんと公表してほしいものです。


彼には選民思想の気があるのか、差別的な発言を繰り返しているせいで親日派の中国人にもかなり嫌われているそうですし、他のアジア諸国の人達にも良く思われていないようです。また、彼は2004年に

フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格しているのも、むべなるかなという気がする。


と発言したことで訴訟を起こされ、現在も係争中ですね。この発言はもちろん海外でも報じられており、フランスのル・モンド紙に「侮蔑と中傷をもってフランス語を遇す」と評されています。そんなこんなでフランス語圏の人たちからも彼は大変な反感を抱かれているようです。

ちなみに、近代オリンピックを創設したのがフランス人のピエール・ド・クーベルタン男爵だったことから、オリンピックの公用語はフランス語になっています。今年の2月6〜9日にパリで開催された国際言語見本市「エキスポラング」ではその点をアピールするキャンペーンが展開されました。現在のIOC会長ジャック・ロゲ氏はベルギー人ですが、フランス語の話者ですから、やはりオリンピックの公用語としてフランス語を用いています。

彼は日本の政治家として最も外国人の評判が悪い一人ですし、オリンピックの公用語であるフランス語を侮辱した人物でもあります。本気でオリンピックを誘致したいと考えているのなら、彼を先頭に立たせるのは間違いだということに早く気づいたほうが良いと思うんですけどねぇ。

ま、個人的には誘致に関してあまり興味がないので、どうでも良いことですけど。

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あっちもこっちも

ヨーロッパのサイクルロードレースをご覧になっている方でUCI(国際自転車競技連合)とグランツールの主催者たち(特にツール・ド・フランスの主催者ASO)との軋轢がずっと続いていることをご存じない方はいらっしゃらないでしょう。日を追うごとに悪化する両者の関係でしたが、今月になって堰を切ったようにUCIプロチームの間でもアンチUCIの流れが加速しました。

これもご存じの方は少なくないと思いますが、今年のツール・ド・フランスの休息日だった7月15日、UCIプロ17チームが来年のプロツアーライセンスの更新を行わないと表明、UCIプロツアー崩壊の危機に直面しています。

伏線となったのは今年3月に開催されたパリ〜ニースでした。このクラシックレースもツール・ド・フランスと同じASOの主催になりますが、ASOはUCIの介入を認めず、FFC(フランス自転車競技連盟)の管理下で執り行われることになりました。これに激怒したUCIは同レースにエントリーしていたチームにボイコットを要請する書簡を送ったり、FFCに制裁金1万スイスフランを科すなど、醜い争いとなりました。

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UCI会長パット・マッケイド

これに端を発するかたちでフランス籍のUCIプロチーム、コフィディスが来年のプロツアーライセンスを更新しないと表明、年間約2500万円にもなるライセンスフィーに不満を募らせていた他チームもこれに続き、上述の通りツール休息日の表明に至ったという状況のようです。

ま、UCIとASOの小競り合いはどっちもどっちという感じではありますが、UCIプロチームもアンチUCIに回っている状況ですから、彼らの中ではUCIの傲慢さについて行けなくなったということかも知れません。

で、自動車レースの最高峰、F1も同じような状況に陥っているんですね。

F1を主催するFIA(国際自動車連盟)はエンジンについて「2012年まで5年間の開発凍結」としていた規定を2011年から大幅に変更、「現行より20%燃費を向上させ、2012年以降も毎年燃費を向上させる」とした方針へ転換したところ、各チームから総スカンを食ったとのことです。来シーズンのエントリー締め切りは今月末、しかし27日現在参加表明を行ったチームはなく、こちらも事態が紛糾しています。

FIA会長のマックス・モズレーがこの方針を強力に推し進めているそうですが、年々膨れあがるチーム運営予算削減を目的として「エンジン開発凍結」という規定が導入されたばかりです。各エンジンサプライヤーは開発要員を整理し、体制を変更した途端にこの方針転換ですから、これにはついて行けないという主張も無理はありません。

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FIA会長マックス・モズレー

ま、燃費向上というのはもっともな方針にも思えますが、たったの20台、テストカーを含めてもその数はたかが知れているF1マシンの燃費を20%向上させたところで、環境負荷や資源の利用効率向上という観点では精神論に近いハナシになります。

むしろ、輸送のために膨大なエネルギーが投入されながら世界中を転戦する現在の開催スケジュールを見直したほうが遙かに効果的でしょう。私がF1を見始めた1980年代初頭は欧米中心でアジアでの開催はなく、年16戦しかありませんでした。しかし、2005年には19戦まで膨れあがり、興業重視路線をばく進中です。まずはこれを是正すべきでしょう。


振り返ってみれば、F1にしてもサイクルロードレースにしても、常に醜い争いがつきまとってきました。が、私はいずれも20年以上見てきましたので、もはや慣れっこになりました。以前にも書いたような気がしますが、自分たちに都合の良いよう線を引くため、知略・謀略を巡らせるのはヨーロッパ人たちの文化なのでしょう。おそらく、何十年経っても同じようなことが繰り返されているのだと思います。

ダブルスタンダード

昨今の原油高は「投機マネーによる影響が大きい」とされてきましたが、ここ数ヶ月の間に「原油供給不足」の声も徐々に強まってきたようです。この辺は都合の良いストーリーをそれらしき立場の専門家や専門機関の所見として伝えたりして、世論を巻き込んでいくいつものパターンになるのかも知れません。ま、実際のところはよく解りませんが。

そんな布石を打っておいて、原油増産の方針を示すという展開など、小説だったら単純すぎて見向きもされないでしょう。

クウェート首相、原油増産方針を説明 額賀財務相と会談

(前略)

高騰が続く原油価格について、クウェート側は中期的な原油増産の方針を改めて説明する一方、投機マネーの監視など先進国側の努力も要求。原油価格の安定には消費国と生産国が共同で対処する必要があるとの認識で一致した。

(中略)

会談では、現状は日量260万バレルの生産量を2020年までに段階的に同400万バレルまで増やすというクウェート側の増産方針について、額賀財務相が歓迎を表明。それに対し、ナセル首相は「産油国としての責任を果たすのは義務だ」と述べ、方針通りに増産していく考えを強調した。

(C)日経NET 2008年7月17日


サウジアラビアも現在は970万バレル/日ですが、来年半ばまでに新施設を稼働させ、1250万バレル/日に引き上げると伝えられています。これまで増産に消極的だった流れから、増産に梶を切り始めたのは「増産しなくても価格高騰で充分な増収が期待できる」という思惑から「多少の増産でも原油価格の大幅な下落はないだろうから、高く売れるうちにたくさん売っておこう」という思惑へ移行しはじめたからかも知れません。ま、これも実際のところはよく解りませんが。

一方、旧丸善石油(現コスモ石油)で原油調達を担当した経験もある、いわば石油の需給動向に関するプロだった福田首相もかねてから原油増産を望むコメントを繰り返してきました。今般、額賀財務相もクウェートの原油増産方針を歓迎するということで、日本政府としてのスタンスはハッキリしましたね。

それにしても、こうしたニュースが流れてメディアからも世論からも批判が起きないのは不思議で仕方ありません。日本のメディアも世論もほぼ例外なくCO2温暖化説を盲信しており、大衆メディアはことあるごとにCO2の排出削減は「待ったなし」とか「急務」などと煽っています。しかし、原油増産はCO2排出増加に直結します。CO2の排出を削減しなければいけないと本気で考えているなら、何としても増産を阻止し、消費削減を断行していくのが筋というものです。

もし、「原油増産=CO2排出増加」という図式を理解していないのであれば、これはもう救いようのないアホということになります。が、解っていながらこれを容認しつつ、「CO2排出削減は急務」と騒ぎ立てるのはダブルスタンダード以外の何ものでもありません。どちらに転んでも情けないハナシです。

「電車、バスが人気」「芝刈り機も手動に」 ガソリン高騰で米国に異変


(前略)

思わぬ活況にわいているのが、芝刈り機業界だ。きれいに刈りそろえられた庭の芝生がステータス・シンボルになる米国だが、エンジン式芝刈り機では燃料費がかさむ。そこで、手間がかかるとして見向きもされなかった手動式芝刈り機に人気が集まった。売り上げは前年比で70%増と爆発的な伸びを示している。

(C)MSN産経ニュース 2008年7月17日


これはほんの一例に過ぎませんが、アメリカでさえこうした動きをもたらしているわけですから、昨今の原油価格高騰がエネルギー消費削減の強烈な後押しになっているのは疑いの余地がありません。しかし、原油増産はこうした動きに水を差すことになるでしょう。ま、政治的には「原油増産の流れを示すことで投機筋の動きに水を差す」というのが狙いなのでしょうけど。

いずれにしても、CO2排出削減が叫ばれる一方、原油増産は容認されるこの矛盾が看過されているのは、要するに地球温暖化問題など初めから茶番だからなのでしょう。もしこれが茶番ではないというのなら、これまでCO2排出削減に消極的なアメリカを「自国の経済優先」と散々批判してきた立場で原油増産を歓迎するなど言語道断で、容認することも決して許されることではありません。これを好機と捉え、徹底的にもがいてみせるべきです。

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レンタカー会社に肩代わりさせるべきか?

例の秋葉原の無差別殺傷事件から1ヶ月が経過したということで、各メディアで取り上げられていましたね。凶器に関しては専らダガーナイフの規制について論じられていましたが、それに代わるような刃物はいくらでもあります。あのとき犯人が用いた刃渡り13cmのダガーナイフに対して、例えば刃渡り30cmを超える刺身包丁のほうが殺傷能力で劣るとも考えにくいところです。なので、ダガーナイフだけに注目して規制をかけても、同様の犯罪抑止力としての実効性はあまり期待できないような気がします。

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ところで、ナイフで刺されて亡くなった方4名、負傷された方8名に対して、レンタカー会社から借りた小型トラックではねられて亡くなった方は3名、負傷された方は2名でした。トラックは一撃で3名の命を奪ったわけですから、ナイフよりずっと強力な凶器となるのは明らかです。もし、あのとき犯人が凶器をナイフに持ち替えず、歩行者天国の中でトラックの暴走を続けていたら、もっと多くの人が死傷していたかも知れません。

メディアはこうした点について殆ど触れていませんが、レンタカー会社にしてみれば、これは非常に重大な問題です。というのも、同様にレンタカーのトラックを暴走させた死傷事件で遺族に損害賠償を求められたレンタカー会社が敗訴しているからです。

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これは2005年に仙台のアーケード街で起こった事件ですが、3名が亡くなり、4名が負傷しました。このうち、死亡した女性の遺族がアーケード内の道路を管理する仙台市とレンタカー会社に約7700万円の損害賠償を求め、仙台地裁は今年の5月に市への請求を退ける一方、レンタカー会社には約6400万円の賠償を命じました。原告被告双方とも一時は控訴しましたが、6月に双方とも控訴を取り下げたため、この賠償額が確定しました。

この件に関して、原告も被告も「資力のない加害者に代わる被害弁償の意味合いが強い」との認識では一致していると伝えられていますし、レンタカー会社に対して一般市民から「レンタカー会社が賠償義務を負うのは納得できない」などの意見が寄せられているそうです。

レンタカー会社は営業許可の基準として、対人保険は最低8000万円/人をかけていなければなりません。が、このような自動車を凶器とした犯罪で保険金が支払われることはまずないでしょうから、レンタカー会社に賠償が命じられれば全て彼らが被ることになるでしょう。

仙台のケースでは「賃貸契約により、レンタカー会社が車両の運行に関する支配と利益を有する」と認められることから、自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条の「運行供用者責任」を有すると見なされ、これを法的根拠として被告のレンタカー会社へ賠償金の支払いが命じられました。そして、これが「前例」となってしまったわけです。

仙台の事件と秋葉原の事件で使われたトラックを貸したのは偶然にも同じレンタカー会社でした。今般の秋葉原の件で同様の民事訴訟が起こされるかどうかは解りません。が、レンタカー会社としてみれば、犯罪に用いられるか否かの予見などまず不可能な状況で貸し出した車両でこうした事件を起こされ、その弁償を実質的に肩代わりさせられるとなれば、納得のいくハナシではないでしょう。私も個人的にこうした処置が適切とは思えません。

もちろん、被害者の側から見れば、奪われるだけ奪われ、加害者に資力がないゆえ、ただ泣き寝入りしなければならないというのでは無念だと思います。犯罪被害者に対しては国からの給付金制度もありますが、平成17年度のデータでは申請被害者608人に対して認定された被害者は412名、支払総額は11億3300万円でしたから、認定された被害者1人あたりの平均は275万円というレベルでした。

まずは犯罪の抑止を考えるべきでしょうが、犯罪をなくすことは不可能ですから、防ぎきれなかった犯罪の被害者に対して、もう少し厚い補償が受けられるような制度を検討すべきかも知れません。

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