酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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ジャガー買収正式発表

正直なところ個人的には興味が失せてきたのですが、当blogで度々取り上げてきた経緯もありますので、とりあえずフォローします。(面倒なので細かいリンクは張りませんが。)

先週、インドの財閥系自動車メーカー、タタ・モーターズ絡みで大きなニュースが2つほど入ってきましたね。一つはかねてから交渉が進んでいたイギリスのプレミアムブランド「ジャガー」および「ランドローバー」の買収が23億ドルで合意に至り、その旨が正式発表されました。もう一つは資金提供に日本のみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行も加わり、最大8億ドルほどの融資を決定したというものです。

元々、フォードは1989年にジャガーを25億ドルで買収し、2000年にランドローバーを27.5億ドルで買収しましたから、これらを23億ドルで売却するということは、それだけで30億ドル近い損をしたことになります。

殊にジャガーブランドは2000~2004年の5年間、それまでフォードのセミワークス的存在のF1チームだったスチュワート・グランプリを買収し、ジャガー・レーシングとして活動するなど、そのブランド価値を高める投資も盛んに行われてきました。それだけに実質的な損失はもっと大きいと考えたほうが良いかも知れません。

余談になりますが、いまやイギリスのブランドはことごとく外資に渡ってしまいましたね。ロールスロイスとミニはBMW、ベントレーはフォルクスワーゲン、ローバーとMGは中国の南京汽車、ロータスはマレーシアのプロトン、ドラマ『西部警察』の人身事故で有名になったTVRはロシアの富豪ニコライ・スモレンスキー、といった具合です。

アストンマーティンはWRCでスバルワークスの車体開発とチーム運営を担っているイギリスのレーシングコンストラクター、プロドライブも参画している合資会社が株式の大半を保有しています(フォードも8.4%程残しているようですが)。もっとも、この合資会社も中心的な存在はクェートのファンドですから、中東のオイルダラーに支えられているのが実態といったところでしょう。

イギリスにはモーガンのようにバックヤードビルダーに毛の生えたような零細メーカーがまだいくつか残っていますが、この有様はちょっと寂しい感じです。

それにしても、毎日新聞の記事は酷いものでした。

印タタ・モーターズ:ジャガー買収 新興国、再編けん引 低価格、武器に

(前略)

 フォードは89年にジャガー、00年にローバーを買収、ビッグスリー主導の業界再編の典型だった。だが、ガソリン価格高騰などで販売不振に陥り、リストラの一環として有力ブランドを手放す事態に追い込まれた。ジャガーは英王室も購入している高級ブランドで、タタはローバーとともに買収することで、米欧市場への参入のテコにする狙いとみられる。

(後略)

(C)毎日新聞 2008年 3月27日


ローバーとランドローバーを一緒くたにするような知識の薄すぎる記者にこういう記事を書かせてはいけませんねぇ。

ローバーは一時BMWに買収されていました。が、BMWはミニを手許に残し、前述の通り2000年にランドローバーをフォードへ売却、MGを含むローバー本体はフェニックス・コンソーシアムへわずか10ポンドで売却しました。南京汽車はフェニックス・コンソーシアムからそれを買収したわけですね。

原油高の影響で燃費の悪いSUVやピックアップ、大型乗用車が敬遠される傾向にあるのは事実ですから、フォードの経営不振もこれが要因の一つとするのは間違とまではいえないでしょう。が、その一方でトヨタやホンダ、日産など日本のメーカーも新型のそれらを盛んに北米市場へ投入し、それなりの成果を上げています。

そもそも、原油価格が1バレル50ドルに満たなかった(現在の半額くらいだった)3年前も既にフォードの経営状態はかなり悪化していました。主力SUVのエクスプローラーで起こったタイヤバースト問題では多額の損失を計上することになりましたし、この問題でファイアストンと訴訟合戦に発展したことも彼らが体力を消耗することになった要因の一つと見て良いでしょう。

ジャガー・レーシングをレッドブルに売却してF1から撤退したのもその余波になると思いますが、これらの他にもフォードは様々な問題を抱えていたでしょう。彼らの経営不振を一概に「ガソリン価格高騰など」と括ってしまうのは少々短絡的かと思います。

いずれにしても、プロの、しかも日本の5大紙の新聞記者がこんなヘナチョコな記事を書いて、編集段階でもチェックできずに世に出てしまうというのは情けない限りです。自動車評論家の徳大寺有恒氏も常々「日本のプレスは自動車オンチ」というようなことをこぼしていましたが、本当にその通りですね。

話を戻しましょうか。細かいところでは、先週もう一つタタ絡みのニュースがありました。タタはインド国内でフィアットとの合弁になるフィアット・インディア・オートモービルズを運営していますが、ランジャンガオン工場の生産能力拡大へ動き始めました。3月24日付のロイター伝ではこれに向けて「西部マハラシュトラ州との暫定的な覚書に調印すると発表した」と報じています。

フィアットはこうした基盤からインド市場へ今後1年間で4車種を投入する計画ですが、今般タタがジャガーとランドローバーの買収を決定したことから、これらのブランド(特にジャガーのほう)に非常に強い興味を示しているようです。フィアットはあのフェラーリも傘下に納めてきた実績があるくらいですから、下手に素人が手を出より彼らに舵取りを任せたほうが上手くその価値を引き出せるかも知れません。

え? フェラーリはフィアット傘下に入った直後からフェラーリらしさを失っていったじゃないかって? ま、そうとも言えますが、既にジャガーはフォード傘下でかつてのジャガーらしさを失ってますからねぇ。

1980年代くらいから続いていた経営不振のフェラーリを立て直し、低迷を続けていたF1でも復興を遂げた立役者であるルカ・ディ・モンテゼーモロが現在のフィアットの会長ですから、悪いようにはしないと思うんですけどね。(あくまでも個人的な憶測に過ぎませんが。)
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テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

日本あんな調達こんな調達 (番外編)

タマちゃんブーム便乗事業


「あんなブームがあったことなど忘れていたよ」と仰る方も多いでしょう。いえ、かくいう私も忘れかけていましたし。何故いまさらこんなネタを持ち出したのかといいますと、詳しくは書けませんが、国土交通省の外郭団体の関係者からこれにかかる話を聞いたからです。

話のとっかかりは毎週日曜日、朝7:30からTBSでオンエアされている『がっちりマンデー!!』という番組でした。昨年の10月7日の放送内容は「PR戦略」と題され、PR会社という業種が取り上げられていたんですね。私もたまたまこの回の放送は見ていました。

例えば、テレビのCM枠とか、新聞の広告欄を埋める仕事をするのは広告代理店ですが、新製品の発売などでプレスリリースを流したり、記者発表会を仕切ったり、といった感じでニュースとしてメディアに取り上げてもらうようなPR活動を支援するのがPR会社なんだそうです。

番組ではPR会社の老舗的存在のプラップジャパンを大々的に取材していましたが、「PR成功例CASE4 タマちゃん騒動」で、2002年に多摩川に現れたアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」にも彼らが関わっていたことを紹介していました。

タマちゃんを媒介、あるいはきっかけとすることによって川に足を運んでいただく機会が増えたり、「国土交通省は川でこんな事をやっているんだ」という事を知っていただくきっかけ作りが出来たと思っています。全体的に国土交通省のイメージアップに繋がったのではないでしょうか。


とプラップジャパンの担当者が語り、クライアントは国土交通省の京浜河川事務所であったことが明かされていました。

ネットを眺めていると、この番組を見て「タマちゃんブームを仕掛けたのはPR会社と国土交通省だった」「びっくりした」みたいな感じでblogや掲示板などに書いている人がたくさんいました。確かに、讃岐うどんやキシリトールなどを認知させたのもPR会社の仕込みだった的な番組の流れでしたから、正直なところ私もそんなイメージで受け取っていました。

が、プラップジャパンの代表取締役が川崎市自治推進委員会の資料として製作したと思われる『あなたは「PR」を知っていますか? PRの手法とその発想法』(←リンク先はPDFです)というものを見つけ、よく読んでみると何となく真相が見えてきました。

タマちゃんのくだりは22頁以降の「ケース2 アゴヒゲアザラシ「タマちゃん」PRプロジェクト 国土交通省京浜河川事務所」にありますが、ブームのはじまりは以下のように書かれています。

「タマちゃん」ブームのはじまり

●8月7日多摩川を訪れた人が川でアザラシを発見
ビデオをフジテレビに投稿したところ同日夜にニュースで紹介。
翌日のワイドショーでも紹介された。

 ↓

●これを見た当社社員
「もしこのままアザラシがいるのならPRに使えるのでは?」
住民の方に川に親しんでいただく「親水事業」や事業内容のPRが主な業務。


プラップジャパンがタマちゃんの存在を知ったのは既にメディアが取り上げていたからで、彼らがメディアに仕掛けたわけではないことがプラップジャパンの製作した資料に明記されていました。ということは、彼らがタマちゃんをブームを作ったというより、単に便乗したというべきでしょう。

『がっちりマンデー!!』のサイトもよく読んでみますと、タマちゃんブームにPR会社が「絡んでいた」とは書かれていますが、「仕掛けた」とはどこにも書かれていませんでした。

プラップジャパンが京浜河川事務所のサイトにタマちゃんのコーナーを作って、最高時にはYahoo!の検索ランキングで2位になり、1日12万アクセスを記録したというのは大変なPR効果だったと思います。京浜河川事務所は多摩川に定点カメラを持っていますから、これを利用してweb上で「実況中継」されたというのもブームを盛り上げる効果はあったと思います。が、タマちゃんブームの仕掛け人が京浜河川事務所とプラップジャパンだったというのは事実誤認でしょう。

tama-chan.jpg
多摩川のタマちゃん

で、国土交通省の外郭団体の関係者である某氏は京浜河川事務所の事情にもかなり明るい人物です。その人が先日、ポロッとこんなことを漏らしていました。

「あれって、実はメチャメチャ金かかってるんですよね。一千数百万くらい? そんなところですよ。」

2002年のケースはたまたま利用できる素材としてタマちゃんブームがあったからで、京浜河川事務所は従前から同様の広報活動を行っていたんですね。毎年ではなさそうですが、「多摩川広報催事運営業務」という件名で、プラップジャパンとこれまでにも何度か随意契約しているようなんです。タマちゃんの一件以外は世間一般に全く知られていない活動ですから、どこまで「広報」なのかは謎ですが。

さすがに6年前となると京浜河川事務所のサイトにある「入札・契約情報」では確認できませんでした。が、色々探してみますと、「平成18年度多摩川広報催事運営業務」の随意契約結果書(←リンク先はPDFです)を発見しました。消費税等を含む契約金額は1449万円ということで、某氏の言っていた金額と比べてもかなり近いですね。6年前の契約もこんな感じだったと思います。

改めて言うまでもありませんが、このお金は私たちが納めている税金です。さすがに2002年の広報催事運営業務も、その全てがタマちゃんに注がれていたなどということはないでしょう。が、それでもかなりの額が割かれていたように思います。

前述の『あなたは「PR」を知っていますか? PRの手法とその発想法』を見ますと、

●フジテレビ「とくダネ!」
キャスターの小倉智昭さん「国交省にしては粋なはからいだね」


などと京浜河川事務所のサイトを評するメディアのリアクションも紹介されていますが、その「粋なはからい」はそもそもフラップジャパンというPR会社があつらえたもので、そこにはそれなりの額の税金が投入されていたわけです。そうと知っていたなら、小倉さんのコメントもかなり違ったものになっていたのではないでしょうか?

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

BD-1インチアップ計画 (その8)

20インチ化したBD-1を実走させてみて非常に好印象だったのは想像以上にバランスが良かったことでした。タイヤやホイールとフレームには各々相性もありますから、注ぎ込んだお金の分だけ確実に良くなるとは限りません。この辺は個人的な好き嫌いも絡んでくるので難しいところですが、今回の20インチ化はこうしたバランス面で「当たり」の部類にはいると思います。(あくまでも個人的な感想です。)

走行性能とは全く関係のない点でいえば、キックスタンドの脚が相対的に短くなってしまったので、かなり不安定になりました。ま、適当な長さのスタンドを探すか、現在のスタンドを改造して脚を伸ばすか、何とでもやりようはあるでしょう。ついでにいえば、サドルと地面との距離もわずかに遠くなりましたので、停車して脚を付くときも以前より遠くなった分だけ短足の私にはきつくなった感じです。

そんな話はどうでも良いのですが、一点だけ、走行性能に大きく関わる問題点がやはりありました。それは・・・

ブレーキが効かない

ということですが、シューの位置あわせで「てこ比」が変わってしまうという、初めから解っていたことですので、もちろん想定の範囲内です。フロントに関してはワイヤーとの絡みで普通ではないシューの取付方法をしていますが、普通の取付方法と両パターンで比較をしても私の評価に差がなかったのは以前にも述べたとおりです。

実際に、支点となるピボットと作用点となるシューの取付位置はデフォルトのほぼ2倍の距離になりましたから、その分だけ制動性能も落ちているでしょう。これまでと同じくらいの制動力を得たいと思ったら、これまでの2倍くらいの力でブレーキレバーを引かなければならないという、そのまんまの印象です。

30km/hに満たないようなスピードで流している分にはさほど怖いとも思いませんが、下り坂などでそれなりにスピードが上がったりすると、従前の感覚でブレーキングしていたのでは間に合わない場合もあり得るでしょう。ま、これに合わせた感覚に切り替えれば済むレベルとも言えますが。

私の場合、BD-1に乗るときはシャカリキになって走ることなどまずありませんから、これはこれで特に大きな問題だとは言い難いところです。が、ブレーキは効くに越したことはありません。このシリーズ初回に「これは物理的にどうしようもないので諦めるしかありません。せいぜい、より高性能なシューに替えるなど小手先の対処法しかないでしょう。」と書きましたが、その小手先の対処法を試すことにしました。

ということで、良く効くと評判のスイスストップのシューを調達することにしました。

swiss-stop_rx-green.jpg
SWISS STOP RX-Green

いえ、まだ発注したばかりなので手許に届いていませんが、とりあえずこれでしばらく様子を見ようかと思います。それでも満足がいかなかったら・・・

magura_hs.jpg
MAGURA HS33

こういうアイテムも持っていますので、どうにかしてインストールしてやろうと本気で考えてしまうかも知れません。

油圧リムブレーキはVブレーキと違って動く部分がシューとピストン周りだけで、スレーブシリンダーを適切な位置に固定してやれば良い構造です。また、左右をつなぐ油圧ホースもVブレーキのワイヤーのように直線に張る必要がありませんから、フロントのスプリングと干渉しないよう取り回すのはさほど難しくないような気がします。スレーブシリンダーを固定するアダプターさえ上手く製作できたら、フレームには手を加えなくても何とかなると思うのですが。

こうした油圧リムブレーキをインストールした例はデフォルトの18インチならいくつか見たことがあります。有名どころとしては京都にあるMoku2+4というショップのMAGURAリムブレーキ仕様でしょう。フロントのスプリングと干渉しないようにオリジナルのブレーキブースターを製作していますね。

ただ、これもデフォルトの18インチ用で、20インチ化したものと油圧リムブレーキの組み合わせは私の知る範囲では見たことも聞いたこともありません。なかなかチャレンジングなモディファイなので、時間とお金に余裕があればトライしてしまいそうな自分が怖い今日この頃だったりします。

(とりあえず、おしまい)


PS.どなたか20インチ化したBD-1にマグラHS33(HS11もスレーブシリンダーは一緒です)をインストールした実例の情報をお持ちでしたら、是非ご教示下さい。


(後日談へ)

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BD-1インチアップ計画 (その7)

before.jpg
20インチ化前
ハンドル周りのモディファイやサドルの交換などに始まり、
遊星歯車を利用した内装2段変速クランクのスピードドライブ、
エアーサスペンションユニットのスカイショック3などをインストールした
我がBD-1の18インチホイール最後の姿です。


after.jpg
20インチ化後
ホイールとタイヤの交換はもちろんですが、これらの20インチ化に伴って
ミスターコントロールのVブレーキ(ポールMOTO BMXの類似品)をインストール、
右にデュアルコントロールレバー、左は通常のブレーキレバー、
ローノーマルのリヤディレイラーと、いずれもM770系XTへ交換しました。


色々紆余曲折を経て20インチ化が完了した我がBD-1カプレオ(2006年モデル)には、もはやカプレオのコンポーネンツは一つも残っていません。フレーム関係の改造こそありませんが、パーツはシートピラーとクランプ、ハンドルポストとヘッドパーツ以外、全て変わりました。

で、いよいよ実走ですが、例えばロードバイクなどでもタイヤとホイールをごっそり入れ替えればサイズは全く同じでも乗り味はかなり変化します。ですから、「20インチ化したからこうなった」と評価するのは正直なところ難しいですね。

18インチから20インチへサイズアップしたことによる走行性能の変化を純粋に評価するなら、同じフォレックスの18インチホイール、タイヤも同じステルビオで18×1・1/8インチと並べて比較しなければフェアじゃないでしょう。

特に、デフォルトのタイヤはマキシスのバーディ18×1.5インチで6.5バールが上限ですが、ステルビオの20×1・1/8インチは8.5バールまで入ります。同じタイヤでも2バールも空気圧が変わればかなり印象も変わりますが、メーカーも太さも違えばこれは径が変わったことの違いだけを抽出して感じられる人はなかなかいないでしょう。

ということで、これまで述べてきたようなモディファイを施した前後の比較ということでご理解頂きたいと思います。

まず踏み出しが軽くなった感じです。が、それはタイヤとホイールが軽くなったからだと思います。恐らくホイールもタイヤも同じフォレックスとステルビオで18インチだったら、さらに軽い印象になっていたでしょう。また、転がり抵抗も減少した印象ですが、これもタイヤの空気圧やトレッドパターンの違いとか、ハブベアリングの違いなどによるところが大きいと想像されます。

余談になりますが、世間一般にはタイヤの太さと転がり抵抗に相関関係があるように思われがちですが、同じ空気圧なら太くても細くても接地面積に大差ありませんので、タイヤを細くしても転がり抵抗が減るとは限りません。現に、ミシュランはエコラン競技用タイヤとして「低転がり抵抗」を謳った専用タイヤを発売していましたが、サイズは20×1.75インチと、決して細くはありませんでした。ま、一般的に細いほうが高い空気圧に耐えるタイヤを作りやすいという傾向はあると思いますが。

20インチ化したBD-1のインプレッションとして、フライホイール効果がああだとか、ジャイロ効果がこうだとか、それっぽい言葉を並べているレポートを見かけたこともあります。が、デフォルトとタイヤ外周でたかだか8%くらいしか違いませんし、外周に近い部分の重量もデフォルトより軽くなっているはずですから、慣性にかかる挙動の違いは大したことないでしょう。

常識的に考えてホイールサイズが大きく、スポークは長いほうが剛性面で不利な傾向があるでしょう。が、小径ホイールは元より剛性が非常に高いですから、評価は難しいところです。スポークの本数が減ったこととタイヤが細くなった分だけ空力的には有利といえますが、これもやはり違いを云々できるほどのスピードを出すわけではないので、私には評価不能です。

スタビリティや乗り心地など、全般的に違うと感じたことは空気圧の高さやタイヤの細さ、トレッドパターン、ゴムのコンパウンドの違いなどに起因する部分が中心といった印象です。特にエアボリュームが小さくなって高圧になり、タイヤでの振動吸収が減った分だけサスペンションの動きが以前よりリニアに感じられるようになりました。

ですから、これはサスペンションのエア圧設定を絡めて最適なセッティングを見つけていかなければ最終的な評価は難しいところです。ただ、いまの段階で言えることは、想像以上にバランスが良く、ロードバイクも愛する者としてはむしろ好みの乗り味に近づき、ある一点を除いて概ね良好といった印象です。その一点とは・・・

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その6)

サイズ変更に伴って、タイヤの外周はデフォルトの1340mmから1455mmになりました(いずれも私が乗る条件での実測値です)。これはチェーンリングを48Tから52Tへ替えたことにほぼ匹敵します。実際には40Tを付けていますので、43Tと44Tの間ぐらいになった計算ですね。

余談になりますが、サイクルコンピュータをセットアップするときタイヤサイズを一覧表の参考値から拾って周長を入力してしまう人もいるようですが、より正確を期すなら実測値を用いるべきでしょう。同じタイヤサイズでも同じメーカーでも、ものによって多少バラツキがありますし、空気圧によっても乗る人の体重によっても微妙に変化します。

常用の空気圧にして実際にサドルに跨り、できるだけ通常の使用状態に近づけて周長を実測し、それをセットアップしたほうが良いと思います。私の場合、こうしてセットしたロードバイクもMTBもクロスバイクもこのBD-1も、同じルートを走って確認していますが、ホイールサイズもサイクルコンピュータのメーカーも異なっていながら、バラツキは殆ど生じていません。

本題に戻しましょうか。以前にも触れましたが、BD-1は折りたたむ際に後輪がBBをかすめますから、20インチ化に当たってはタイヤサイズを吟味しないと普通に折りたたむことができなくなる恐れがあります。

bb_r-tyre.jpg
折りたたみ過程のBB部

20×1・1/8インチ(28-406)は20インチタイヤとして最もエアボリュームが小さい部類になると思いますが、それでもご覧のようにBBと軽く接触してしまいます。この辺は多少の個体差もあると思いますが、これより大きなサイズではスムーズな折りたたみ/展開が非常に厳しくなるでしょう。

front_wheels1.jpg
デフォルトの18インチと20インチの比較

クリアランスの問題で外周長が8%程しか変わっていない両者の差は写真では解りにくい知れません。これが同じ1・1/8インチ同士の比較でしたら、18インチと20インチとの差はかなり顕著になっていたと思います。

front_wheels2.jpg
太さの比較

1・1/8インチとデフォルトの1.5インチとで、太さは実測値で10mm強違います。写真では解りにくい感じですが、実物は見るからにボリューム感が違います。

デフォルトの18インチのままホイールサイズを変えずに細いタイヤに変えると周長もその分だけ小さくなりますから、かなりこぢんまりした印象になってしまうでしょう。が、私がチョイスしたホイールとタイヤで20インチ化すると、周長はデフォルトより8%ほど長くなり、幅は27%ほど狭くなりますから、よりスマートで精悍な印象になりますね(あくまでも個人的な感想ですが)。

また余談になって恐縮ですが、私の所有しているBD-1カプレオの2006年モデルのデフォルトは前後ともカプレオのハブを採用しています。ま、リヤに関しては最大の売りであるトップ9Tが絡みますから当然ですが。それはともかく、このハブはフランジに角度が設けられているんですね。小径ホイールではプレース角(リムの中心面に対してスポークが成す角度)が大きくなってしまいがちなので、シマノの設計陣はこれを考慮し、「最適化」したのでしょう。

このプレース角を考慮したコーン(円錐)型フランジという発想も悪くはないと思いますが、それが正解かどうかは微妙な感じです。そもそも、小径ホイールは各々のパーツにかかる応力も小さく、剛性も充分に高いのですから、フランジ幅を狭くしても問題にならないでしょう。また、小径ホイールと折りたたみ自転車はジャンル的に切り離せないでしょうから、よりコンパクトさを狙うならフランジ幅を抑えてプレース角が大きくならない方向を目指したほうが何かと都合が良いような気がします。

現に、モノコックフレームのBD-1も2007年モデルからフロントはカプレオのハブをやめています。カプレオよりフランジ幅の狭いフロントハブを採用した2007年モデルのBD-1は折りたたみ時の寸法が30mmスリムになったというのが売り文句でした。

また、BD-1と並ぶ折りたたみ自転車のメジャーどころであるダホンブロンプトンなどは、フロントのエンド幅が74mmという一般的なものより26mmも狭い特殊な規格を用いています。こうしたことを考え合わせれば、フランジに角度を設けて大きなプレース角に対応するという発想より、フランジ幅を狭めてプレース角を小さくするほうが小径ホイールにとっては望ましい在り方のような気がします。

いずれにしても、BD-1がカプレオのフロントハブを捨てたというのは事実です。これをシマノがどう受け止めているかは解りませんが、彼らにはこうしたリアクションをフィードバックさせる能力も充分に備わっていると思います。カプレオをモデルチェンジする際にそれを反映させるのか否か、注目したいところですね。

さて、今回導入したAクラスの完組ホイールですが、このフロントハブもカプレオのそれと同じフランジ幅なので、この点でのメリットは全くありませんでした。が、こうしたモディファイでも折りたたみに支障なく普通に使えるのですから、これはこれで好しとすべきでしょう。

folded.jpg
20インチ化した状態で折りたたんだBD-1
外寸も大差なく、これまで使用してきた輪行袋にも
何ら問題なく納まりますし、自立もできます。


ということで、20インチ化へのモディファイを完了させ、折りたたみにも支障がないことを確認したところで、いよいよシェイクダウンです。

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その5)

一般的なVブレーキはイモネジや小さなナベネジなどでスプリングのプリロードを加減し、リムとシューのクリアランスのバランスを調整します。が、このブレーキは以前にも触れたとおり、小判型の部品を二面幅15mmのオープンエンドレンチで回して調整します。

adjuster.jpg
スプリングアジャスター
フォトレタッチで赤く着色した部品がそれです。
これを回すことでスプリングのプリロードを調節し、
クリアランスのバランスを見ながら適当な角度が決まったら
中心にあるボルトを締め込んで固定します。


これを時計回りに回すときはボルトも共回りして締まっていくので良いのですが、反時計回りの場合は緩んでしまい、アーレンキーレンチとの共同作業となります。正直なところシマノのように洗練されたものと比べますと、整備性は良くありません。何かしらのトラブルでこのクリアランスのバランス調整を出先でやるハメになったら少々厄介です。ペダルレンチやハブコーンレンチでも良いのでしょうけど、いずれにしてもアーレンキーレンチやドライバーなど一般的な携帯マルチツールにある工具で対応できないのは鬱ですね。

それはともかく、このブレーキのインストールですが、リヤは何の問題もありませんでした。ところが、フロントは少々面倒な問題が生じました。まずは下の写真をご覧下さい。

touch.jpg

フロントのブレーキワイヤーもフォークの中を通って来るのですが、ご覧の通り、シューの固定ナットと思いっきり干渉してしまうんですね。デフォルトではシュー自体がもっと低い位置にあるので問題ないのですが、20インチホイールに合わせてシューの高さを上げると、このようにワイヤーに絡んでしまう訳です。

色々ワイヤーの位置を変えられないか試してみましたが、いかんせんワイヤーの出口とナットの位置が近いですから、どうにもならないんですね。このせいでワイヤーのフリクションが非常に大きくなってしまい、またワイヤーとナットがしっかり接触していますから、ブレーキの動きそのものをワイヤーが阻害する格好で、フィールもクソもないといった状態でした。これはちょっと私の感覚では許せるレベルではありませんし、場合によっては危険でもあります。

ここは無理せずにワイヤーをフォーク内に通さず、外を這わせたほうが良いだろうと思いました。が、シューをアームにクランプする部品の上下を入れ替え、シューを反対側に持って行けばワイヤーとの干渉は避けられるということに気付きました。

clear.jpg

少々イレギュラーな取付かたになりましたが、これで動きは普通にスムーズになりました。台座の付け根からシューの取付位置が少し遠くなりますので、剛性面や応力のかかりかたを考えるとあまり良くないかも知れませんが、そもそもこのブレーキでシューの取付位置を25mmくらいかさ上げして20インチ化すること自体、かなりイレギュラーな状態ですから、あまりナーバスになることもないでしょう。

実際にワイヤーを外に這わせて通常の位置にシューを取付けた状態と試乗比較してみましたが、ブレーキレバーを引いたときの剛性感も特に変わった印象はなく、ブレーキの効き具合も体感では全く違いを感じ取れるレベルではありませんでした。ま、そんなにハードに乗るつもりもありませんから、たぶん問題ないでしょう。

逆に、ワイヤーを外に這わせるとタイラップで固定して見た目が悪くなりますし、折りたたみ/展開を繰り返すとサスペンションピボットに近い末端の固定部分でアウターワイヤーにストレスがかかりそうな感じです。ということで、自己責任でシューの取付位置を変更する方法を採用しました。が、もし真似される場合はやはり自己責任ということでお願いします。

で、ブレーキレバーのほうですが、右は前にも触れたとおりXTのデュアルコントロールレバーにしましたが、フロントディレイラーのないモノコックフレームのBD-1ですから、左もデュアルコントロールレバーにする必然性はありません。そこで左は普通のブレーキレバーにしました。

こうしたレバーは片側だけ買うということもやってできなくはないのでしょうけど、XTのブレーキレバーは左右セットでも安いショップなら4800円弱くらいです。私の場合、こういうパーツはいずれ使い回したり、売り払ったり、人にあげたりします。片側だけしかないと、そういう潰しも利きにくくなりますから、多少無駄でもセットで買っておいたほうが後々のことを考えると良い場合が多いんですね。ま、あくまでも私の場合ですが。

handlebar.jpg

ハンドル周りはこうなりました。街乗りでの取り回しにMTB用のハンドルバーは少々長すぎますので、左右20mmずつ切り詰めてあります。なので、左右ともデュアルコントロールレバーにすると各々から出ているブレーキワイヤー同士が干渉して非常に窮屈になっていたでしょう。片側を普通のブレーキレバーにしたのはそうした部分も考慮したからですが、ま、予想通りの仕上がりといったところでしょうか。

同じM770系XTですが、デュアルコントロールレバーと普通のブレーキレバーでは全般的な意匠もロゴのレイアウトもかなり違います。ま、最近はXTクラスのコンポになると油圧ディスクブレーキを用いないほうが珍しいでしょうから、シマノもこうしたところに気を使ってコストを裂くようなことはしないのでしょう。

現在、XTRのVブレーキはシューが片減りせず、均一な圧力分布を得やすいパラレルリンクを続けていますが、XTのVブレーキはこれをやめてしまいました。お陰でXTのVブレーキはXTRより前後で50g軽量になっているようです。いま、Vブレーキに求められているのは何より「軽さ」ですから、これを優先させたのでしょう。VブレーキはMTBのメインストリームから外れてニッチな要求に応える方向へ進んでいる印象は拭えない感じですね。

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その4)

BD-1の20インチ化に伴って、チープな感触のカプレオは一掃し、XTのデュアルコントロールレバーを導入することにしました。

st-m770.jpg
SHIMANO ST-M770

MTBのほうには2年ほど前に導入していましたが、実際に使ってみる以前はMTBのレバーをデュアルコントロールにする意義をあまり見出せませんでした。殊にワイヤーリリースでシフトダウンする「ローノーマルのリヤディレイラーってどうなのよ?」と思っていました。が、実際に使ってみると予想以上に便利だったんですね。

何より良いと感じたのはエンドバーを握っていてもレバーに手が届くということですね。そのままのポジションでシフトチェンジできるのは非常に便利です。ま、これは手が異常に大きい私の場合で、女性など手が小さい方の場合はこの限りではないかも知れませんけどね。

また、ブレーキをかけながら、そのまま軽く上下に動かすだけでシフトチェンジすることも可能です。このレバーワークに慣れてしまえば信号などで止まるときなど、ブレーキングとシフトダウンを一連の動作の中で殆ど無意識のうちに完了できますから、街乗りにも好都合です。

カプレオのリヤディレイラーはトップ9T対応ですが、11Tや12Tから始まるカセットでも使えないことはないでしょう。ロード用のクロースレシオですとスラント角の問題でやや変速性能が劣る可能性もあるでしょうけど、そもそもカプレオのクォリティ自体が大したレベルではありませんから、問題にするほどではないと思いますし、そんなにクロースしたカセットを使うつもりもありません。

とはいえ、これを残す意味もないでしょう。個人的にデュアルコントロールレバーはローノーマルのほうがしっくり来ますので、トップノーマルのカプレオのディレイラーを残すなど初めから考えていませんでした。

さらに、こうしたコンポーネンツの換装時にはアウターワイヤーもついでに交換するのがパターンになっている私ですから、これもまたブレーキ用とシフト用共に調達しました。XTのデュアルコントロールレバーにはシフト用もブレーキ用もアウターは付属しています。が、最近のMTBは(ロードバイクも)アウターを使用する部分が限られていますから、付属のそれではBD-1には長さが全然足りないんですね。

タイヤは以前にもご紹介したとおり、20×1・1/8インチ(28-406)くらいしか選択肢がありませんし、ホイールもそれを想定したものを調達しましたので、あとはどのブランドにするかといったところです。

一般的にはコンチネンタルのグランプリかシュワルベのステルビオあたりになるでしょう。どちらもドイツのメーカーですから、BD-1には丁度良いのではないかと思います。

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Continental Grand Prix (左) と SCHWALBE STELVIO (右)

私がシュワルベをチョイスしたのはオールブラックで、私の求めるイメージに近かったからです。コンチネンタルはサイドが茶系で、ややクラシカルなイメージになっていますから、モノトーンでモダンな雰囲気に纏めたいと思っていた私に迷いはありませんでした。(逆にパイプフレームだったらコンチネンタルのほうをチョイスしていたかも知れません。)

タイヤチューブも同じシュワルベのものをチョイスしましたが、ここでポカをやってしまいました。某オンラインショップでサイズを選択するプルダウンメニューから20×1・1/8インチ(28-406)に適合するサイズを選んだハズでした。

しかし、一通りパーツが揃って、とりあえずホイールにタイヤをはめようとしたとき、チューブが異様に大きいことに気付きました。

箱に書いてあるサイズを見ると、「20×1・1/8"(28-451)」とありました。「あれ? 406をオーダーしたはずでは?」と思い納品明細を見たところ、やはり「451」になっていました。在庫確認のメールも、オーダー時に自動返信される受注確認のメールを見ても、全部「451」になっていました。

ということは、私が「買い物かご」へ入れる段階でミスっていたのは間違いありません。そのミスに心当たりはありませんが、ミスに至った原因は想像できます。サイズを選択するのがプルダウンメニューでしたから、これを誤操作してしまったのでしょう。正しいサイズを選んだつもりでしたが、買い物かごへ入れる前に誤ってマウスのホイールを動かしてしまったのだと思います。それで選んだ項目が変わってしまったというありがちなパターンでしょう。

あとは同じ20×1・1/8インチというサイズしか目に入らず、ETRTOサイズが28-406か28-451かの違いには一切気付かず、以降の購入手続きの確認画面でも在庫確認のメールでも同様に見過ごし、実際に手にとって組もうとするまで気付かなかった、といった感じでしょう。

一般的なロードバイクやMTBはかなり規格が整理されていますから、ETRTOサイズなんて殆ど気にせずにホイールもタイヤもチューブも選べます。が、小径車はこうした部分を統一してしまうと却って商品開発の足かせになるのでしょう。

私の場合、本格的な小径車の所有はこのBD-1が初めてです。それ以前はたまに気になったモデルに試乗してきただけで、特に入れ込んできたわけでもありません。どちらかと言えば門外漢になるのかも知れませんが、そういう人間が気まぐれに首を突っ込むと、こういうつまらないミスをしてしまうのですね。勉強になりました。

未開封ならともかく、箱から出してビローンと広げて軽くエアを入れて、1本はホイールにセットし始めるところまでいったチューブの返品は常識的に考えて無理でしょう。よしんば、サイズ交換に応じてもらえるとしても、往復の送料が当方負担になるのは当然です。そうしてみますと、当方も相手方にも手間を掛ける割に合わないでしょう。スペアを含めて3本分、2000円少々の損失は授業料ということで納得することにしました。

このサイズ違いのチューブは使わなくなった自転車のパーツを放り込んでいる段ボール(私が「自転車パーツの墓場」と呼んでいる箱)へ逝ってもらうことにして、念入りに確認しながら正しいサイズのチューブを改めてオーダーしました。

こうして全てのパーツ類が揃ったのは今月初旬、私がBD-1を手に入れて丸2年になるまで2ヶ月半を残す時分でした。

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その3)

BD-1の20インチ化でキーとなるブレーキの問題をクリアしたら、あとは淡々とパーツを集めればよいのですが、中でも一番の大物はホイールですね。これも以前から色々考えていました。最初は適当な20インチのリムを入手してシマノのMTB用ハブで手組みしてやろうかとも思いました。が、この長さのスポークはなかなかないんですね。もっとも、最近はロードやMTB用も売っている店は昔に比べて限られてきた感じですが。

ま、完組ホイール全盛となって久しい昨今ですから当然ではありますが、それでもロードやMTB用なら店を選べば何とかなります。でも、これが小径ホイール用となるとさらに苦しい状況になってしまうんですよね。

「自分で切るか?」

悪魔のささやきにも似た言葉が頭をよぎった次の瞬間、私は我に返って首を左右にブンブンと振りました。私はホーザンのC-700というスポークのネジ山をもみ上げる器具も持っていますから、長いスポークを買ってきて自分でカットし、必要な長さのスポークを用意することもできます。

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HOZAN C-700

が、この恐ろしく単調な作業は私にとって死ぬほど退屈で、大嫌いなんです。最初の5本くらいならともかく、これを延々64本とか72本とかやり続けるのは、私にとっては殆ど体罰みたいなものです。

また、こうした手組みはスポークパターンが至極オーソドックスなんですね(少なくとも、私が心得ている一般的なタンジェント組みやラジアル組みなどでは)。個性的なフレームのBD-1には普通のスポークパターンは少々面白味に欠けるような気もしました。加えて、小径車のタイヤ/リムサイズは色々複雑で、リムの選択肢も非常に少なく、売っている店を探すのも面倒くさそうだと思いました。

ということで、完組ホイールを購入することにしたんですね。BD-1に使えるタイヤサイズに見合ったそれはAクラスのフォレックスというホイールが一般的でしょう。

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ACLASS FOLEX 20M

一時はエアロスポークのカーボン製バトンホイールも考えました。

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AEROSPOKE 20"

が、そこまで入れ込むならブレーキがポールの類似品などでは不釣り合いというものです。

ということで、Aクラス・フォレックスの20Mをネットで調べてみたところ、定価よりそこそこ安く、しかも送料無料というショップがあったので、とりあえずそこへオーダーすることにしました。昨年の11月下旬のことです。

ところが、12月も半ばになるとそのショップからメールがあり、仕入先の都合で入荷予定が1月にずれ込むと言ってきたんですね。私もサイクルモードのレポートに夢中になっていた時分でしたし、年賀状の準備も逼迫していた状態でしたから、「いま届いても手を付けられるようになるのは年明けだな」と思っていましたから、構わないとの旨、伝えました。

で、1月は一切連絡なく過ぎ去り、2月も中旬にさしかかった頃、再びメールがあり、月内には何とか入荷しそうだと言ってきたんですね。さすがにたっぷり待たされたので少々苛ついていましたから、2月29日を1日でも過ぎるようならキャンセルすると伝えました。

ま、結局2月20日くらいに届きましたが、ホイールの調達に3ヶ月もかかるとは思いませんでした。実際、ワイズロードの上野店には普通に売ってましたし。ワイズの方が割高でしたけど、3ヶ月も待たされると初めから解っていたらそちらで買っていたと思います。

でも、よくよく考えてみますと、これは巡り合わせかも知れません。当blog初回に書きましたが、そもそも私がblogを立ち上げたのは正月休みの暇つぶしでした。もし、部品の調達が年末までに済んでいたなら、正月休みは間違いなくBD-1の20インチ化に勤しんでいたはずです。そうなっていたなら、blogを始めるということも絶対になかったと断言できます。

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その2)

BD-1の20インチ化計画において最大のネックであるブレーキシューの位置合わせについて、色々ウダウダと煮え切らずにやっているうちに1年半ほどが経過していました。恐らくBD-1だけに入れ込んでおられる方には信じられないことかも知れませんが、私の場合は他にも可愛がっている自転車が複数ありますので、こんなものです。

ポールのブレーキは1セット90ドル以下で売られている海外のオンラインショップなどもあって、前後一式+空輸代でも2万数千円で済むような感じだったんですね。なので、一瞬だけ「個人輸入」という言葉も頭をよぎりました。が、過去にトラブルがあって、今後は取引実績のない海外ショップから個人輸入するのはやめておこうと誓っており、これは却下することにしました。

余談になりますが、過去に経験した個人輸入のトラブルの顛末はこうです。向こうの手違いで入荷前に代金をクレジットカードにチャージされ、入金処理されてしまい、一部の商品の入荷見込みが立たないことが判明したのはその後だったんですね。で、返金するか、代金分だけ別の買い物をするか、みたいな話になりました。向こうサイドとしては「別の買い物で済まして欲しい」というニュアンスを滲ませていた感じです。

「ピッタリの金額で買い物をするのは難しい」と伝えると、「お詫びもかねて20ドルくらいまでならオマケする」と返答があったり、途中グチャグチャとすり合わせあがありました。最終的に損こそしませんでしたけど、こうしたメールのやりとりが全て英語でしたから、英語が苦手な私はウンザリしたという次第です。

この程度でウンザリしたくらいですから、届いた商品が不良品だったりして、返品だとかワランティをどうするとか、そういう話になったらまたぞろ面倒くさいことになると思いました。こうした経緯から、バカ高いけど国内の業者からポールのブレーキを調達するか・・・と腹をくくることにしたんですね。

ところが、その矢先にワイズロードの最新情報に「安価でBD-1を20インチ化」というタイトルを見かけました。ポールのそれにそっくり(というか、もろにバッタモン?)のブレーキが入荷したとの情報があり、速攻で折りたたみ自転車&小径車を主体としている渋谷店へ現物を拝みに行くことにしました。

その類似品は台湾のミスターコントロールというブランドのもので、これまでにもチェーンデバイスブレーキまわりの小物などで見かけたことはありました。が、実際に使ったことはありませんでしたから、ブランドイメージは何とも言い難いところです。

件のブレーキは仕上げのレベルも決して悪くありませんでした。もっとも、1組5,000円(前後一式10,000円)という価格はシマノのXTよりさらに高価ですから、これで安っぽかったら売り物にならないでしょう。ま、BD-1の20インチ化アイテムとして売れると見込んで流通段階でガッツリとマージンを取られている可能性もありますが、見た目や手に取ったフィーリングも安物という感じは全くありません。加工もポールと同じCNC切削に違いありませんから、抜きどころといったら素材くらいでしょうが、そればっかりは見た目では解りません。

BD-1マニアの方にはクリスキングのヘッドセットをインストールされている方も沢山おられますし、そうした本物志向の方には「もどき」パーツなど言語道断かも知れません。が、類似品でも価格が価格ですし、売っている店もこの筋では超有名店です。品質は信頼できると思いましたし、私の場合はこれで充分と判断しました。

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ポールMOTO BMXとミスターコントロールの類似品

上の写真はポールのMOTO BMX(左)とミスターコントロール(右)の比較になります。ご覧のように構成パーツもそっくりですね。MOTO BMXはアーム上部に軽め穴が設けられています(上の写真では横を向いているので解りにくいですが、少しくぼんで見える部分に長円形の穴が開いています)から、その点は異なります。また、ブレーキシューの高さをアジャストするボルトがポールの1つに対してミスターコントロールは2つになっている点も異なりますが、あとは殆ど差がない感じです。

シマノなど一般的なVブレーキと異なり、リムと左右のシューとのクリアランスのバランスを調整するのは銀色をした小判型の部品を二面幅15mmのオープンエンドスパナで回し、スプリングのプリロードを調整する格好で行いますが、そうした構造も全く同じです。(ま、私の場合は15mmなどという中途半端なサイズのレンチなど持っていないのでモンキーで回しますが。)

私のプランでは最終的に残された選択肢と思われたポールのブレーキに比べれば1/3以下のコストゆえ、即買いしましたが、普通の人には殆ど訴求力のないパーツかも知れません。でも、この大きなネックをクリアしたので、あとは必要な部品を普通に買い集めれば、以前から計画していた20インチ化に向けて一気に前進する・・・と思ったんですけどねぇ。さらに少し足踏みすることになりました。

(つづく)

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BD-1インチアップ計画 (その1)

自動車の場合、インチアップというとタイヤの外周サイズを変えずに扁平率の低いタイヤを用いてホイールサイズだけ変える、実質的にはドレスアップの一種になる場合が殆どだと思います。

本来はレース指向のモディファイとしてブレーキローターのサイズを拡大するために行われるのが目的だったはずです。が、いまや自動車メーカーもタイヤメーカーも「走り重視の方にはインチアップがオススメ」みたいな触れ込みで、あまり中身のない文化が築き上げられてしまいました。

自動車でタイヤの外周長を変えてしまうと色々やっかいなことになります。計器類の修正も必要になりますし、ホイールハウスやフェンダーとのクリアランスなどからサスペンションのストロークも考慮しなければなりません。そこまでやる人はかなりマニアックな人たちか、あるいはタイヤが車体と擦れても速度や距離が狂っても気にしない無頓着な人たちになるのだと思います。

でも、自転車の場合はタイヤの外周長を変えてしまうサイズアップなど決してマニアックではありません。実際、MTBにロード用のリムで組んだホイールを履かせるなどよくあることです(私もそうしたホイールを1セット手組みしたことがあります)。

それ以前に、例えば700×23Cのタイヤを700×25Cに替えるだけで、周長は9mm程度変わります。状況に応じてサイズの違うタイヤを使い分ける人も少なくないでしょう。そのせいか、最近のサイクルコンピュータはタイヤの外周長を複数プリセットでき、簡単に切り替えられるものが当たり前になってきました。

小径車の場合もドレスアップや走行性能の向上を狙ってホイールサイズを変えてしまうカスタムは珍しい話ではありません。専門誌などでもそうした実例を紹介する記事は頻繁に見かけます。

BD-1もデフォルトの18インチから20インチへサイズアップしている人はかなりの数に上るでしょう。そのやり方もBD-1乗りの間ではよく知られているはずです。私も2006年にモノコックフレームのBD-1を買う前から、20インチ化してやろうと決めていたのは以前にもお話したとおりです。

BD-1の場合、フロントフォークやリヤスイングアームとのクリアランスはもちろん、折りたたみの過程では後輪がBBをかすめるように回り込みますので、それとのクリアランスも問題になります。ですから、20インチタイヤでも細くボリュームが小さい20×1・1/8インチ(28-406)を用いるのが一般的かと思います。

こうしたタイヤサイズの選択までは特に問題ないでしょう。何しろ、選択肢が非常に限られていますから、あまり悩みようがないと思います。ですから、このモディファイで一番のポイントになるのは以前にも軽く触れたとおり、ブレーキシューの位置をどう合わせるかということになってきますね。

BD-1はVブレーキですが、一般的なVブレーキはシューの高さをアジャストできる範囲が20mm程度といったところでしょう。デフォルトの18インチから20インチへ変更すると、リムの位置は車軸中心からおおよそ1インチ遠ざかりますから、20mm程度のアジャスト幅では対応不可能な訳ですね。

かつてはフレームを改造して、Vブレーキを取り付ける台座の位置を上げてしまうという大掛かりな手法も用いられていたようですが、今日のスタンダードはポールのMOTO BMXというブレーキを用いる方法でしょう。

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PAUL MOTO BMX

ご覧のように単純な円柱状のアームにブレーキシューの取り付け部分をクランプする構造ですから、アジャスト幅がもの凄く大きいんですね。ただ、これがCNC切削による高級品ゆえ(輸入代理店のマージンも少なくないようですが)、前後一式33,600円というXTRの2倍近くにもなるプライスですから、それなりの決断力が求められます。

また、このブレーキを使う方法には欠点があります。支点となるピボットと作用点となるシューの距離がかなり遠くなりますから、当然「てこ比」が小さくなります。同じ力でブレーキレバーを引いた場合、てこ比が小さくなった分だけ制動性能が落ちるという問題ですね。これは物理的にどうしようもないので諦めるしかないでしょう。より高性能なシューに替えるなど小手先の対処法に頼るのがせいぜいといったところでしょうか。

一方、18インチに戻したいと思えば、シューの位置を移動させるだけで簡単に対応できるというメリットもあります。シチュエーションに応じて20インチと18インチを使い分けたいという向きには非常に便利な方法といえるでしょう。ま、私の場合はそういう使い方はしないと思いますけど。

もう少しコストを抑えたいという場合は、リヤのみマヴィックのキャリパーアジャスターやグランジの700Cトランスファーなど、Vブレーキの取付け位置をかさ上げするアイテムを使うという手もあります。

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grunge 700C transfer

元々はMTBにロード用のリムで組んだ700Cホイールを履かせるための便利グッズですが、これによって普通のVブレーキでもシューの高さを合わせることが可能になるそうです。ブレーキブースターみたいな馬蹄形をしているため、BD-1の場合はフロントのスプリング周りと干渉してしまいますし、ブレーキワイヤーも干渉してしまうでしょう。なので、これが使えるのはリヤのみということになってしまうわけですね。

前後のブレーキが違うものになっても気にしないという向きには、とりあえず高価なポールのブレーキがフロントのみ1セットで済むわけですから、安く上げるために有効なアイテムといえるでしょう。

もう一つ、フロントセクションをごっそりルイガノのジェダイに交換してしまう方法もあります。ジェダイはフロントセクションの構造も見てくれもBD-1とほぼ同じで、大きく異なるのは寸法くらいです。それでデフォルトが20インチですから、これを丸ごと移植してしまえばフロントに関しては難なく20インチ化が可能なんですね。もっとも、コスト的にはポールのブレーキを用いる方法よりさらに高くつくでしょうけど。

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LOUIS GARNEAU JEDI

当初はジェダイのフロントセクションを移植、リヤはブレーキ位置のかさ上げアイテムを使うパターンを考えていました。そうすればVブレーキはシマノのXTRなど、リンク構造でシューが片減りしないものがチョイスできますし。

ですが、ジェダイのフロントセクションはBD-1のそれより大きい分だけ見た目のバランスが変わってしまいます。個人的にはオリジナルのほうがスマートで良いように思います。また、ブレーキ位置のかさ上げアイテムを使うとブレーキの剛性感がかなり低下するというインプレも複数見かけました。コスト面も大きいのですが、これらのネガティブな要素を考えあわせると、やはり迷いが生じました。

一番のネックであるブレーキをどうするか? まず最初の悩みどころで引っ掛かり、何だかんだ1年半くらい棚上げ状態が続きました。その間にも普段使い用のクロスバイクを組んだり、ロード用のホイールを買ったり、MTBのパーツも色々換えたり、他の自転車と戯れているうちに時間が過ぎてしまった感じです。

こうした膠着状態から事態が一気に動いたのは昨年の11月でした。


(つづく)

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任せて安心?

これまでにも環境問題について認識の甘さを色々書いてきましたが、また何とも情けない話を見つけてしまいました。読売新聞から抜粋します。(既に1週間近く経過していますので、すぐにリンク切れになると思いますが。)

廃木材バイオ燃料の普及難航、石油業界の協力なく

廃木材を原料にした世界初のバイオ燃料の普及を進めようという環境省のプロジェクトが難航している。

 大手石油会社が、品質が確保できないことなどを理由に、自ら推進するバイオ燃料しかガソリンスタンド(GS)での給油を認めないためだ

(中略)

 石油連盟(東京都千代田区)は、エタノールと石油系ガスを合成した「ETBE」をガソリンに混ぜたバイオ燃料の普及を進め、E3には協力しない姿勢を打ち出している。

 「精製所で作るETBEに比べ、ガソリンと直接混ぜるE3は水分が混入しやすい」というのが連盟側の主張だが、環境省は「そんな事例は海外でも聞いたことがない。石油業界も協力してほしい」と困り果てる。

(後略)

(C)読売新聞 2008年3月15日


「ガソリンと直接混ぜるE3は水分が混入しやすい」というのは品質管理のやり方次第ですから、必ずしも正しいとは言えません。が、そもそもこの記事は石油連盟の主張を正しく伝えていません。これを書いた記者は環境省サイドしか取材していないのでしょう。石油連盟は『エタノール直接混合(E3等)の問題点』の1頁で以下のように説明しています。

1.品質確保法上の問題

流通過程でのエタノール直接混合により不良ガソリンが出回るおそれ有り

エタノールガソリンは流通過程の水分混入を防ぐため、ローリー積込み直前で混合・出荷。

 ↓

しかし、品確法では、品質確認を製油所出荷時に義務付けているのみで、出荷以降(油槽所での混合)は品質確認義務がないため、不良ガソリンが出回るおそれ有り。

e3_delivery.gif


水分混入を防ぐためにタンクローリー積込み直前に混合する事例が海外にないかというと、そんなことはありません。経済産業省の『エタノール混合ガソリンの国内流通インフラへの影響』10頁には以下のように書かれています。

米国では、ガソリンへのエタノール混合は製油所のブレンダーではなく、油槽所において出荷ポイントの混合充填設備において実施されている。
(理由) 水分混入防止、汚れ混入防止のため


品質管理をどう徹底させるかは法整備によるところも大きいはずですから、日本の現行法では不良ガソリンが出回る恐れがあるとする石油連盟の懸念にも一理あるでしょう。

また、厄介なのは不充分な品質管理で実際に水分が混入してしまった場合です。通常のガソリンや、現在流通しているETBE(エタノールとイソブテンから合成される化学物質)というかたちで混合したガソリンは水分が混入しても相溶性が低いため、混和しにくく、性状変化も殆どありません。

しかし、エタノールそのものは水との相溶性が高く、E3などの直接混合ガソリンに水分が混入すると、相分離が起こりやすいとされています。ガソリンに直接混合されたエタノールがガソリン相から水相に移動すると、設定したガソリン品質(オクタン価、蒸留性状等)を保てず、著しい場合にはガソリンの規格を外れてしまうこともあるそうです。これでは売り手としても品質保証が難しくなり、敬遠したくなるのも当然でしょう。

そうした事情を説明するため、新日本石油はメディア向けに通常のガソリンとETBE混合ガソリン、エタノール直接混合のE3それぞれに水分を混入させる実験でデモンストレーションを行っています。

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新日本石油による実験デモ
ETBE混合ガソリンに水分を混入させても
水分だけ沈殿するため変化は見られない。(写真右)
一方、E3に水分を混入させると
エタノールがガソリン相から分離して
水相へ移動するため白濁する。(写真左)


他にもE3のような直接混合方式の問題点は石油連盟の『エタノール直接混合(E3等)の問題点』に纏められています。もちろん、彼らとしても余計なコストを裂きたくないとか、余計な流通経路を絡ませて既得権益を損ないたくないとか、裏には諸々の思惑もあると思います。が、それはそれとして、彼らの主張する理由に破綻は見られません。

こうしたエタノール直接混合ガソリンの問題点が石油連盟から具体的に示されているのですから、環境省はきちんと科学的な根拠をもって反論するなり、対策案を示すなり、正々堂々と対抗すべきでしょう。「そんな事例は海外でも聞いたことがない」などという不明瞭なコメントでは説得力のかけらもありません。

結局のところ、環境省は京都議定書のCO2排出削減義務を見通しの甘い目標達成計画のスケジュール通りにこなしたいという、その思惑だけでゴリ押ししているようにしか見えません。折角、「庁」から「省」に昇格してもらったというのに、こうした実情を精査することもなく「困り果てる」ような人たちに任せておいて良いんでしょうかね?

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デジカメ代替え (その4)

私が仕事用のカメラに望む条件は画角の広さを除いて約5年前に発売されたカシオEXILIM EX-Z3でもほぼ満たされていました。が、その画角の広さを代替機に求めると、他の条件がスポイルされてしまうものばかりで、決め手になる1台がなかなか現れませんでした。

しかし、ついに今年の2月22日、これなら手を打っても良かろうと思える1台が発売されました。パナソニックLUMIX DMC-FX35です。


Panasonic LUMIX DMC-FX35

広角側の焦点距離は25mm相当というややイレギュラーなもので、想定していた24mm相当という条件を若干下回ります。が、水平画角の差は2度程度だと思いますから、ことさら拘る必要もないでしょう。また、レンズがワイドになっても分厚くなって携行性が損なわれては困りますが、カタログ値は22.0 mm(突起部除く)となっており、これまで使用してきたEX-Z3を0.9mm下廻っています(実質的な差は皆無といって良いレベルですけどね)。

fx35_ex-z3.jpg
FX35(上)とEX-Z3(下)の厚さの比較

パナソニックからパブリシティされたのを受け、早速公式サイトにある実写サンプルを見ました。女性モデルのポートレートや静物など、歪曲収差がどれくらい出ているのか見定めるには極めて不親切な被写体ではありますが、周辺光量の不足もなく、印象としては悪くありませんでした。間もなく、ショップで現物に触れてみて、歪曲収差が解りやすい被写体を狙って確認しましたが、全く問題にならないレベルで、私が求めるレンズ性能としては申し分ありませんでした。

その他諸々についてはどうと言うこともありません。初心者向けの「おまかせ機能」の類が強化されたようですが、私にとっては殆ど無意味で、これまでのパナソニックのデジカメと大差ないというのが個人的な印象です。でも、私が強く望んでいた一点である「画角の広さ」を満たしていながら、特に失ったものがないというところで購入を決意しました。

ただ、このときの実売価格は40,000円前後といったところでしたから、もう少しこなれるまで数ヶ月くらい待ったほうが良かろうと思っていました。が、先週たまたま寄ったヤマダ電機のLABI品川大井町店で36,000円という表示に斜線が入って、さらに値引きしますみたいなPOPを見たときは一瞬買ってしまおうかという衝動に駆られました。

とりあえず、ここは冷静になって情報収集しようということで物欲の刃を鞘に収めました。帰宅してから価格.comをチェックしてみたところ、最安値は29,000円を切っていました。さすがにヤマダ電機といえど、表示価格からの値引きとポイントバック分で7,000円も安くならないだろうと思い、自重して良かったと胸をなで下ろしました。

それにしても、わずか1ヶ月足らずで約10,000円も値下がりしたわけですが、これ以降は鈍化して、じわじわと何ヶ月かで数千円といったペースで下げていくのだろうと見込みました。何しろ、昨年7月に発売された前モデルのFX33は後継機であるFX35が発売されたにもかかわらず、このときの最安値で24,000円程度でしたから。

ということで、購入当日である3月16日の時点で価格.comの最安だったイートレンドのリアルショップへ行って購入しました。帰りにヨドバシカメラにも寄りましたが、ポイントバック分を差し引いても数千円の差はあったかと思います。ま、逆にそうした差がなければカウンターしかない零細な安売りショップは成り立たないでしょうけどね。通販ならヨドバシだってやってますし。

で、FX35のインプレッションですが、動作は5年前の最速モデルだったEX-Z3と比べて速くもなく遅くもないといった感じでしょうか。ま、モニターも撮像素子も解像度が上がり、そのほかにも手ぶれ補正機能などを筆頭にカラクリも増えましたから、その分だけ動作が重くなったと感じさせないのはプロセッサの性能やソフト面のマネージメントも向上しているからなのでしょう。

ただ、最高画質の10メガピクセルになるとさすがにトロくなり、少し邪魔くさく感じるようになってきます。撮った画像を再生する際も、1度目はモタつきます。2度目以降はモニタのサイズに縮小された画像がメモリーされるらしく、キビキビ切り替わってくれますので、その辺は考慮されているようですが。もっとも、こんな高解像度は全く必要ありませんので、よほどのことがない限り使わないと思いますけどね。

全体を見渡すと、基本的な操作に癖はないので迷うこともありません。が、デフォルトではお節介な機能もそれなりにあって、一部は自分好みに設定を変える必要がありました。ま、良くも悪くもいまどきの売れ筋のデジカメといった印象ですが、設定変更で大抵は何とかなります。その辺はコダックのV570のように初心者指向が強すぎるものとは違いますね。

他にも色々気になって来るところはあるでしょうけど、とりあえずザッと弄っただけですので、細かいところはまだ何とも言えません。そもそも、これは趣味用のカメラではありませんから、望むポイントをしっかり網羅してくれて、特に不都合なく使えれば充分だと思いますけどね。

ところで、パナソニックから昨日(3月19日付で)パブリシティされましたが、広角25mm相当からの5倍ズームを搭載した上位モデルのDMC-FX500が4月12日に発売されるそうです。私の仕事用として望遠側はあまり重要ではありませんし、タッチパネルによる操作は画面に指紋が付くので個人的に望ましくありませんし、当然のことながら価格もFX35よりそれなりに高く設定されるでしょう。もし、FX35と同時に発売されていたとしても、私は間違いなくFX35を選んでいますね。

ちなみに、いま趣味のカメラとしてコンパクトデジカメを1台選ぶとしたら、カラーフィルターもローパスフィルターも必要としないダイレクトイメージセンサを搭載した、世界にも他に殆ど例がないシグマDP1に行ってしまうでしょうね。

(おしまい)

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デジカメ代替え (その3)

これまで仕事用に使ってきたカシオEXILIM EX-Z3の殆ど唯一の不満は画角が狭いことでした。もちろん、このモデルが出てきた当時はこれが普通で、よりワイドなズームレンズを搭載したモデルとなると、普段の携行には不向きなサイズでした。しかも、立派な体躯でせいぜい28mm相当だったと思いますから、これは致し方ないところでしょう。

私の記憶に誤りがなければ、広角側に振ったズームレンズをスリムなコンパクトデジカメに展開し始めたのはパナソニックが最初だったかと思います。広角側28mm相当からのそれを搭載してきたときはかなり物欲を煽られたものです。

が、冷静に考えると私にとっては28mmでもまだ足りないケースがあるんですね。これを買ってもケンコーの0.6倍ワイドコンバージョンレンズMS-06Wとは完全にお別れできないだろうと思っていました。また、しばらくすると他社もこれに追従するような動きが出始めたため、これはもうしばらく待っていればさらにワイドなズームレンズを搭載したものが出てくるだろうと読みました。そして、「24mm相当から始まるスリムボディのデジカメが出てきたら買いだな」と条件を絞ることにしました。

こうした条件を絞る以前、2004年の11月くらいには既にニコンCOOLPIX 8400という24~85mm相当のズームレンズを搭載したモデルもありました。が、75mmという厚さで日常的な携行性など考慮されていませんでしたから、私の仕事用カメラとしては初めから論外でした。

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Nikon COOLPIX 8400

2005年に発売されたコダックV570は23mm相当というさらにワイドなレンズ、厚さも当時の世界最薄で20.4mmしかなく、パッケージングに関してはかなり良い線を行っていたと思います。なので、正直なところかなり迷いました。

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Kodak V570

でも、23mm相当のワイドは単焦点レンズで、39~117mm相当のズームレンズと切り替えるデュアルレンズなんですね(撮像素子もそれぞれのレンズに1つずつ備わっています)。39mm相当というと殆ど標準レンズですが、それよりワイドな画角が欲しいと思ったら、いきなり23mm相当に飛ぶわけです。これはどうかと思いましたね。

また、全般的なインターフェイスが人間工学とかそういうことをあまり考えていない無造作で幾何学的な配置なんですね。特に気に入らなかったのがシャッターボタンの位置で、これは誰がどう考えてもボディの端に寄せ過ぎです。特に私の場合は手が大きいですから、安定させるためにボディを深く握ったら、右手人差し指が非常に窮屈な状態になってしまい、まるで話にならない感じです。

ズームボタンも然りで、背面の右上にある丸いボタンがそれですが、左右ではなくて上下に動くシーソーボタンなんですね。シャッターボタンとの位置関係も最悪で、このカメラをデザインした人とそれにゴーサインを出した人はカメラなんて殆ど触ったことのない、とんでもない素人だったんじゃないかと疑いたくなります。

さらに、起動させる度にストロボが自動発光モードに戻ってしまったり、マニュアル操作できる範囲が非常に狭い点も初心者のほうを向き過ぎだと感じました。

デュアルレンズという特殊な構成と、そこから醸し出されるキワモノっぽさは私の趣味ではありません。が、趣味のカメラではなくて仕事のカメラとして、当時の世界最薄なのに23mm相当という広角レンズを持つカメラはかなり突き刺さっていました。最終的には、私の手に一生馴染みそうもない劣悪なボタン配置や、初心者に振り過ぎたゆえの使いにくさが決め手となって、食指の動きを封じました。

2007年に発売されたリコーCaplio GX100は私が愛用していたフィルムカメラのリコーR1に通じる外観で非常に好印象だったのですが、位置づけとしてはGR1などから続く付加価値の高いカメラといったところでしょう。発売当初7万円くらいだった実売価格もそうですが、私にとって仕事のカメラというより趣味のカメラの範疇になってしまうところです。

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Ricoh Caplio GX100

また、GX100はカタログ値でEX-Z3より約3mm厚くなってしまうのですが、実質的にはさらに数mmプラスとなるのもネックでした。というのも、この種のコンパクトカメラとしてはいまどき珍しいレンズキャップを装着する方式だからなんですね。これを装着するとレンズキャップの分だけ収納時の厚みは増してしまうわけです。

このレンズキャップを装着するリングアダプタを差し替えると別売の花形フードや19mm相当になるワイドコンバージョンレンズ、あるいは汎用のフィルターを装着できるようになります。アクセサリーシューには外付けストロボはもちろん、液晶ビューファインダーを装着することもできます。こうした部分を見ても非常に趣味性の強いキャラクターで、私の望む主旨には合いませんでした。ま、要するに仕事用としてはちょっと勿体ないといった感じです。

こうして決定打となる1台がなかなか見つからず、この数年間が過ぎていったのでした。

(つづく)

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デジカメ代替え (その2)

私の仕事用カメラとしては購入当時もっとも理想に近かったカシオのEXILIM EX-Z3ですが、当然のことながら最新のモデルに比べるとあらゆる点で見劣りします。ま、ただでさえ新陳代謝の激しいデジカメマーケットですから、5年も前のモデルが見劣りしないなどということはあり得ませんけどね。

私の場合、一時は露出計すらないスクリューマウントのライカⅢcで写真を撮っていたこともありますので、趣味で撮るならマニュアル操作もあまり苦になりません。さすがに仕事で撮る場合は露出もフォーカスもオートでなければ辛いものがありますけど、意図しないところに勝手にフォーカスを合わせられてしまうくらいなら、画面中央のスポットでフォーカスロックしてフレーミングし直すほうがお節介な機能に頼るよりむしろ煩わしくなくて良いです。

また、前回も触れましたが、そもそも高画質である必要性もあまりない仕事用には解像度も300万画素で充分です。メールで送るには500万画素でも邪魔くさいですから、昨今の800万画素とか1000万画素などという性能はオーバースペック以外の何ものでもないと思っていました。

さらに、「男子たるもの根性でぶらすな!」というのは大げさ過ぎるにしても、私は昔からブレボケを抑える技術も磨いてきました。脇を締めて脚は肩幅、どっしり構えてレリーズボタンを押す右手人差し指以外は微動だにさせず、あるいは手近に手すりとか壁とか利用できるものがあれば何でも利用して、とにかく自力でぶらさないようにしてやろうと色々考え、訓練してきました。ですから、私にとって「手ぶれ補正機能」はそれまでの努力を無にするような気がして、あえて欲しいとは思っていませんでした。

もっとも、家族や知人などが手ぶれ補正機能を有するカメラを買ったりして、実際に使わせてもらうと、超スローシャッターの時などは補いきれないケースが少なくないことに気付きました。やっぱり基本は大事なんだと、手ぶれ補正があろうがなかろうが磨いてきた技術は充分に役立つんだと、そう理解しましたけどね。

ま、他にも色々ありますが、EX-Z3に見切りを付ける必要性はある一点を除いて殆どなかったといえます。

その一点とは、「画角」です。

EX-Z3発売当時もその後しばらくの間のマーケットを見ていても、このクラスは焦点距離35mm相当(いうまでもありませんが、35mm判換算で、実際の焦点距離ではありません)前後から始まる3倍ズームが一般的でした。

しかし、私の仕事では全長12mほどになる被写体をあまり後ろに下がれないところで撮らなければならないことも多いので、この「準広角」というべき画角では少々力不足という場面が少なからず巡ってきます。

そこで、私は必要に応じてケンコーのMS-06Wという0.6倍のワイドコンバージョンレンズを装着していました。EX-Z3のワイド側35mm相当の焦点距離を0.6倍にしますから21mm相当となり、これで困ることは滅多にありません。が、これには大きな欠点がいくつもあります。

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MS-06Wを装着したEX-Z3

装着はレンズの筒の前面にスチールリングを貼り付け、そこにマグネットで吸着させるという方式になります。

ex-z3_ms-06w2.jpg

当然のようにシッカリ固定されるわけではありませんから、無造作に振り回すことなど出来ません。また、猛烈な歪曲収差があり、樽型に大きく歪んでしまうところも難ありです。ま、「ディストーションがきついですね」みたいなことをクライアントに言われたことは一度もありませんでしたけど。

でも、決定的なのはカメラ本体とは別にかさばるレンズを持ち歩かなければならないという点です。MS-06Wはキャップをはめると厚さが30mmを超えてしまうんですね。EX-Z3は現在でも通用する薄さなのに、ワイドコンバージョンレンズはそれより7mm以上も厚いのでは、ビジネスバッグの中に並べてしまっておくとカメラ本体の薄さを生かせません。

たった7mmと思われるかも知れませんが、普通コピー紙80~90枚分の厚さですから、私のビジネスバッグの中ではかなりの占有率になってしまうのです。

結局のところ、常に携行するのはカメラだけ、ワイドコンバージョンレンズは必要のありそうなときだけ持って行く、といったパターンになってしまいました。でも、持っていないときに限って必要な状況になったりして、己の読みの甘さを呪ってみたり、何とも歯痒い感じだったんですね。

ここ数年、ごく普通のコンパクトデジカメにも28mm相当から始まる広角側に振ったズームレンズが普及してきたのは非常に良い傾向だと思っていました。それまではどちらかというと、お父さんお母さんが運動会や学芸会で遠くから我が子を撮影するといったシチュエーションを睨んでいたのか、望遠側が重視されてきたような印象でした。

しかし、狭い屋内で集合写真を撮ったり、景色の良いところでよりワイドな写真を撮りたいという向きに応えるためか、あるいは撮像素子の解像度が上がってきたことでデジタルズームもあまり画質を落とさずに済むようになったせいか、いずれにしても28mm相当から始まる広角ズームのトレンドが各社に行き渡った感じです。

ということで、私は「24mm相当から始まる汎用コンパクトモデルが出てきたら買いだな」と、次の仕事用カメラの条件を絞り、虎視眈々とそれをクリアするモデルの登場を待ち受けていたのでした。

(つづく)

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デジカメ代替え (その1)

私がこれまで仕事用に使ってきたデジタルカメラはカシオのEXILIM EX-Z3というモデルで、購入したのは4年半くらい前になります。有効画素数は当時一般的だった320万画素ですが、A4以上にプリントすることなどまずありませんから、この解像度には今でも不足を感じていません。

ex-z3.jpg

個人的な思い入れもあるのでやや偏った見解になるかも知れませんが、このEX-Z3は三つのトレンドを作ったのではないかと思います。

一つは薄さで、22.9 mm(突起部除く)というスペックは今でもあまり見劣りしないと思います。このとき比較検討していたキヤノンIXYで一番薄いもの(モデル名は失念しました)とは5mmくらい差がありましたが、当時は30mm弱くらいが普通でした。カタログ値を見たときは僅か5mmと思いましたが、実際に手に取ってみたときのボリューム感は完全に次元が違うといった印象でした。

ex-z3_lens.gif

ご覧のように、レンズを沈胴させる際に中央のレンズ群を光軸からオフセットさせるという手の込んだメカニズムをペンタックスに作ってもらったりして(ペンタックスも同じレンズでさらに小さい自社ブランドのデジカメを発売しましたが)、このレンズがこの薄さを実現していたんですね。今では非球面レンズとか特殊分散ガラスとか色々駆使して克服してしまうんでしょうけど。

もう一つは、当時世界最速だった起動時間とシャッターレリーズのタイムラグです。これまでのデジカメは起動するまでに10秒くらいかかるものもザラでしたから、2秒を切るEX-Z3は感動的でした。また、再生画面の切り替え速度も非常に速く、これも最新のものと全く遜色ない感じです。

さらにもう一つは、液晶画面の大きさですね。当時は1.5インチくらいが一般的で、切手ほどの小さな小さな画面だったんですね。でも、EX-Z3は当時のこのクラスでは破格ともいうべき2インチを搭載していました。

ex-z3_monitor.jpg

最新モデルは2.5インチ以上が一般的だと思いますので、この点についてはやはり見劣りします。また、解像度に関しては当時の他のモデルと差はありませんでした。解像度は処理速度とトレードオフになるでしょうから、あの素早さを実現するのに高解像度化は難しかったと思います。

それでもあのコンパクトなボディに2インチ画面というのは、当時にしてみればかなり画期的でした。しかも、光学ファインダーも残されていますから、そういう構造的な制約に照らしてもなかなか良い仕事をしていたのではないかと思います。

比較検討していたIXYとは撮像素子のサイズも解像度も1画素当たりの受光面積も劣っていましたから、画質面では数段劣っている印象でした。もっとも、基本的に仕事の記録用というのがメインの用途でしたから、画質に対してはさほど拘る必要もありませんでしたけどね。

常にビジネスバッグの中にしのばせておくということを考えると、薄ければ薄いほど良かったですし、起動速度や画面切り替えの素早さは快感だったといっても良いくらいです。大きく見やすい液晶画面はその場でクライアントに見せるといった使い方にも適していましたし、実際、「これは見やすくていいですねぇ」と言われたこともあります。あの時点において、EX-Z3は私が仕事用のカメラに求める理想に最も近い1台でした。

(つづく)

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世界で最も宇宙に近い場所

いえ、アメリカのジョンソン宇宙センターとか、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地とか、日本の種子島宇宙センターなどのロケット発射場の話ではなくて。

突然ですがここで問題です。地上で最も宇宙に近い、地球の中心から最も遠い場所は何処でしょうか?

「そんなもん、世界最高峰のエベレスト山頂に決まってるだろ。」と思ったそこのアナタ、残念ながら地球はそんなに単純ではないのです。

地球は自転していますから、その遠心力で色々な影響が生じています。極半径の約6,357kmに対して赤道半径は約6,378kmですから、半径で21km以上も膨らんだ楕円をなしているんですね。また、海水面も赤道に近いほうが高くなります。

山の高さというのは「海抜」で表されますから、基準になるのが平均海水面です。つまり、海水面が高い赤道に近づくほど「海抜」という基準で高さをとると不利になってしまうんですね。

ということで、あまり引っ張っても仕方ないので答え合わせです。地上で最も宇宙に近い、地球の中心から最も遠い場所は南米のエクアドルにある「チンボラソ山」の山頂になります。


Chimborazo

この山はアンデス山脈に属しますが、標高は約6267mで、アンデス山脈のトップ10にも入りません。山頂の海抜で比べれば、エベレストとは2500m以上差があります。が、地球の中心からは約6384kmで、エベレストより2,168mほど上回ります。つまり、エベレスト山頂より2km以上も宇宙に近い場所ということになるんですね。

上述のように山の高さは平均海水面が基準になりますが、平均海水面に国際的な基準はありません。日本の場合は便宜上、東京湾のそれが基準になっています。近年では世界測地系に基づいた楕円球体を基準にGPSを利用して求めるようになっていますが、それでも誤差範囲は±2mくらいあるとみられています。(ここで地球温暖化による海面上昇の話を始めるとややこしくなりますので割愛します。)

物事は何を基準にするかによって結論が変わってしまう場合もあります。山の高さは海水面を基準にするのが常識ですが、地球の中心を基準にすれば日本では全く無名の山が世界の最高峰ということになってしまうのです。

何を基準にしているのか解らないまま結論を出しても、その結論にどれだけの意味があるのか解りません。そこのところをしっかりと理解していきたいですね。

インナーワイヤープライヤー

私は既にワイヤーカッターもニッパーもロングノーズプライヤーもコンビネーションプライヤーもウォーターポンププライヤーもロッキングプライヤーも、いわゆるハサミものの類はたくさん持っており、この種のツールで新たに求めるべきものはないだろうと思っていました。

ところがある日、何気なく眺めていたホーザンのカタログのある一点に目が釘付けになりました。

C-356-0.jpg

最初はただ漫然と眺めていただけですから、写真だけに目が行っていたと思います。パッと見はアゴの形が変わっていて、2点のリベットがかなりずれた位置にある変な形のハサミものだなと思いました。ぶっちゃけ、この写真を見ただけの段階ではプライヤーなのかカッターの類なのかも理解していませんでした。

傍らに書かれていた「C-356 インナーワイヤープライヤー」という名称を見て、俄然興味が湧いてきました。そして、説明図を見て、すぐに全てを理解しました。要するに、これはワイヤーを掴み、それを引っぱるという動作をハンドルの握り一発で済ませてしまうという、なかなか便利そうなツールだったのです。(その後、パークツールのカタログにも同様の品を見つけましたが。)

C-356-1.jpg

写真ように左側のアゴの切りかかれた部分にワイヤーを通してブレーキやディレイラーのワイヤーロックナットないしボルトの部分に当てがい、もう一方のアゴにワイヤーを噛ませて握り込むだけでワイヤーを引くことができます。テンションはハンドルの握り具合で加減できますから、これはなかなか便利そうだと思いました。

早速、近所のショップに行ってみましたが、当然のように置いていませんでした。ということで、ネット通販を利用し、入手したこれを使ってみました。が、結論から言いますと、「アイデアは最高、実用性はイマイチ」といったところでした。

ワイヤーをクランプして引くという動作がハンドルを握るだけでできますし、クランプする部分の形状もそれなりに調整されているようで、ワイヤーが醜くほつれてしまうこともありません。しかし、ブレーキ周りのようにスペースに余裕があれば良いのですが、フロントディレイラーのように立てこんだ場所ではかなり辛いケースもあります。

C-356-2.jpg

上の写真はかなり極端な例ですが、アゴがフレームに干渉して引くことができません。 ま、この辺はバイクの個体差も大きいので一概にはいえません。実際、私が所有している他のバイクではだいたい使えます。

いまのブレーキは昔みたいにスプリングのテンションが強くありませんし、アジャスターも付いています。左手でブレーキのアーチやアームを軽く抑えて右手で軽くワイヤーを引いてある程度ザックリ位置を決めてボルトないしナットを締めて固定すれば、あとはアジャスターの微調整で困ることもありません。

慣れの問題もあるのでしょうけど、結局は今まで通りのやり方のほうが作業も速く、このツールを使う必然性があまり見い出せない感じなんですね。ま、あくまでも私の場合ですが。

しかし、私にとってあまり使えないツールという烙印を押しかけたある日、便利な使い道があることに気付きました。

私はタイラップをよく使います。サイクルコンピュータのセンサなど固定しているものなどは隙間に汚れが溜まってくるとぶった切ってクリーニングし、新しいものに替えてしまいます。自転車以外でもよく使うので、サイズや色違いを取り揃え、常に何百本とストックしています。

ま、そんな話はどうでも良いんですが、フレームやハンドルバーなどにタイラップでブラケットなどを固定する際、キッチリ締め上げたいときにこれほど便利なツールは他にありません。細いタイラップですと、伸ばしてしまったり引きちぎってしまうくらい強く引けますから手加減は必要です。が、それさえ心得てしまえば軽い力で一握りするだけで簡単にビシッと締めることができます。

C-356-3.jpg

本来の用途とは違いますが、工具箱の肥やしになることもなく、便利に使えて良かったと思います。

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のび太のちり紙 (その2)

いまの大阪府知事は偶然にも私とタメで、誕生日も2週間くらいしか違いません(ま、どうでもよい話ですが)。彼は鴨下環境相の要請を受けてバイオエタノールの販売拡大に前向きのようです。有り体に言わせて頂くなら、あまり深く考えもせず、政治パフォーマンス的に大衆やメディア受けを狙っているようにしか見えませんけどね。

一方、珍しいことに日本の政治家にもこうした状況に異議を唱える人が現れました。

小池元防衛相:バイオエタノール、日本主導で開発中止を

 小池百合子元防衛相は10日、名古屋市で開かれた「ミッドランド毎日フォーラム」(毎日新聞社主催)で講演し、トウモロコシなどを原料とする代替燃料バイオエタノールについて「中長期でみれば開発は大いに疑問で、どこかで破綻(はたん)する。北海道洞爺湖サミットで議長国として反対方針を国際標準にすべきだ」と述べ、日本政府が主導して開発中止で国際合意を目指すよう主張した。

 トウモロコシ価格はバイオエタノールの原料としての需要の高まりで国際的に急騰している。

 小池氏は「食卓は異変をきたしている。食の安全保障を考えると市場原理に任せておくべきではない」と指摘した。

(C)毎日新聞 2008年3月11日


この記事に彼女の講演内容は詳しく紹介されていませんが、これを読んだ限りではバイオエタノールを生産するためのエネルギー収支を見てCO2排出削減の実効性があるかないかといったことではなく、食糧供給への悪影響を懸念するものと考えて良いでしょう。

現実問題として、バイオエタノールの生産拡大は食糧供給に大きな影響を与え始めています。いま大豆や小麦の価格が高騰しているのは、アメリカでバイオエタノールの原料となるトウモロコシへの転作が進んでいるということも原因の一つとして無視できないのは皆さんもよくご存じのことと思います。

また、大食いタレントが毎日のようにメディアに露出し、大食いがブームになっている日本では忘れられがちですが、世界には飢えている人々が沢山いるんですね。いま、全世界で飢餓に苦しんでいる人々、即ち栄養不足人口は約8億4200万人と見られています。さらに、全世界で毎年1500~1700万人くらいが餓死しているといわれています。

こうした現実を考えず、実効性の有無が科学的に充分検討されないまま、盲目的にバイオエタノールの生産拡大を推進していくのは、大いに疑問です。

そもそも、全米で生産されているトウモロコシは全世界の生産量の約40%を締めますが、これを全てバイオエタノールにしても、全米で消費される自動車の燃料用ガソリンのわずか7%しか賄えません。しかも、前回お話ししたとおり、どこまで信頼できるか解らないアメリカ農務省の推計でもバイオエタノールのエネルギー収支は1.34倍の黒字でしかありません。

仮に、バイオエタノールを生産する際に投入されるエネルギーの100%が化石燃料由来だとしたら、全米で生産されているトウモロコシを全てバイオガソリンとして消費しても、全米の自動車から排出されるCO2の正味の削減効果は2.5%にも満たないということになるでしょう。これでは、どこまで有意義な事業といえるのか非常に大きな疑問が残ります。

一方、カナダのブリティッシュコロンビア大学とアメリカのウィスコンシン大学の共同研究によれば、アメリカのトウモロコシ増産がメキシコ湾の「死のゾーン」と呼ばれる低酸素地帯の状態を悪化させるとする研究報告もあります。トウモロコシの生産で使われる窒素肥料による影響とするシミュレーション結果に過ぎませんけどね。

この他にもトウモロコシの栽培には小麦や大豆より多くの水分を必要とすることから水資源への悪影響を懸念する研究報告などもありますし、ブラジルのサトウキビ増産にもやはり悪影響の指摘がなされています。こうしたダイナミックな変革が自然環境にも深刻な影響をもたらすとするアセスメントはいくつも報告されているんですね。

もちろん、今後も技術革新によってバイオエタノールの生産にかかるエネルギー収支が改善されていくのは間違いないと思います。日本では廃材や間伐材などからバイオエタノールを生産する技術も研究されています。現在の状況だけでバイオエタノールそのものを一概に否定すべきではないかも知れません。

問題なのは「バイオエタノールはカーボンニュートラルで地球に優しい」と多くの人が信じている一方、根本的な部分で充分な検討がなされてきたとは思えないことです。いくつかのアセスメントの結果はありますが、こうした試算は(先日少し触れた警察白書のように)数字のトリックが用いられやすいものです。それを見抜けるほど詳細な情報を私のような素人が簡単に確認できるような状況ではないんですね。

風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギー開発事業、あるいはリサイクル事業など、他の事例も似たようなところがあります。総じていえば、こうした新機軸を推進しようとしている人たち(特に政府関係機関や関連企業など)ほど楽観的な数字を示し、こうした新機軸に懐疑的な人たちほど悲観的な数字を示しています。私のような素人はどちらを信じれば良いのか、具体的な情報が不足していますからよく解らないんですね。

私の場合は以前から述べている通り、地球温暖化がCO2の温室効果によるものだとする仮説も鵜呑みにはできないと思っています。百歩譲ってこの仮説が正しかったとしても、その対策事業と称するものに疑念を抱かずにいられません。それはこれまで述べてきたように、その実効性が科学的に充分検討されないまま「これをやっておけば地球環境に良い」とプロパガンダし、盲目的に推進されているケースが目立つからです。

「環境にやさしい」という甘い言葉で進められている事業が、実は「のび太のちり紙」のごとき愚行だったということもあるかも知れません。本当にそうなのか否か、どのように確認すればよいのか、これだけエコエコと毎日呪文のように唱えられているにも関わらず、あまりにも情報が乏しすぎることに何故不満の声が上がらないのか、私には不思議でなりません。

(おしまい)

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のび太のちり紙 (その1)

『ドラえもん』第20巻の第14話に「出てくる出てくるお年玉」という話があります。うろ覚えで恐縮ですが、確かこんな感じの話だったと思います。

例によってのび太がドラえもんにねだり、お年玉袋を出してもらいますが、それには「松」「竹」「梅」の3種類あります。「松」は味わった苦痛の分だけ、「梅」は何か良い行いをすることで「ありがとう」と言ってもらえた分だけお金がもらえ、そして「竹」は何か節約すると、その分のお金がもらえるというものです。

のび太は一度使ってくずかごへ捨ててあったちり紙を拾い出して乾かし、それを再利用することで幾ばくかの小銭をもらいました。これに味を占めたのび太は、必要もないのに新しいちり紙で鼻をかみ、それを部屋中に広げて乾かすという、実にのび太らしい行動に出ました。もちろん、そうした無駄遣いをしたので、せっかく手に入れたお金は消えてしまうというオチが付くわけですね。

このように節約だと思ってやったことが実は浪費だったという本末転倒の愚行を私は「のび太のちり紙」と呼ぶことにしました。作者である故藤子・F・不二雄氏の意図はどうだったか解りませんが、いまにして思えば、このエピソードは盲目的な環境指向の落とし穴を暗示していたような気もします。

実際、資源のリサイクルやバイオマス燃料、再生可能エネルギーなどにおいて、投入エネルギーより回収エネルギーが下回り、むしろ資源を浪費している可能性が指摘されるケースがあります。

例えば、日本でも自動車の燃料用ガソリンにバイオエタノールを混合したものが売られるようになりました。これは従来のガソリン車にも無改造で対応出来るよう、ガソリンの性状にあまり影響しないETBE(Ethyl Tertiary-Butyl Ether:エタノールと石油由来のイソブテンから合成されるもの)というかたちで混合されています。このバイオエタノールの混合ガソリンが法的にも認められ、「バイオガソリン」とか「エコガソリン」などと称して首都圏で発売されるようになってから1年近くが経過しました。

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こうしたガソリンに加えられるバイオエタノールは「カーボンニュートラル」であると言われることが度々あります。植物由来の炭素を燃焼してCO2を排出しても、その炭素は元々大気中のCO2を光合成によって固定したものであるから収支はゼロになるという考え方ですね。

しかし、バイオエタノールの原料となるトウモロコシやサトウキビなどを生産するためにはトラクタやコンバインなどの農業機械を動かしますので、化石燃料の投入が不可欠です。化学肥料や農薬の類を製造したり、それらを散布するにも石油資源などが消費されます。

さらに、収穫した穀物などからエタノールを生産するには、発酵・蒸留・精製などのプロセスを経ますが、これらにも相応のエネルギー投入が必要となります。特に蒸留工程はかなりの熱エネルギーを要しますし、原料がトウモロコシの場合はデンプンを糖化させるプロセスも加わります。

このように現状の生産工程すべてを見渡した場合、少なからず化石燃料が投入されているバイオエタノールを「カーボンニュートラル」と称するのは欺瞞というものです。

それよりも何よりも、バイオエタノールとして回収されるエネルギーが投入される化石燃料由来のエネルギーを下回っていたとしたら、それこそ「のび太のちり紙」と同じ本末転倒の愚行となってしまいます。

これについては見解が大きく分かれています。コーネル大学のデイヴィッド・ピメンテル教授の試算によれば、トウモロコシ由来のバイオエタノールのエネルギー収支は赤字になるため、かえって資源の浪費になっているといいます。一方、アメリカ農務省の報告では投入エネルギーに対する回収エネルギーは1.34倍で黒字だとされています。

いずれにしても、この辺は基本となる条件を揃えなければ、どちらが正しいか判断することは難しいでしょう。

ただ、アメリカ農務省のデータが信ずるに足るものだとしても、134ジュールのバイオエタノールを得るために100ジュールのエネルギーが投入されるということになります。その投入エネルギーのうち何%が化石燃料由来のエネルギーになるかによってCO2の排出削減効果は違ってくるでしょう。が、いずれにしても現状においてバイオエタノールをカーボンニュートラルとする考え方が幻想であるのは間違いないでしょう。

(つづく)

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日本 あんな調達こんな調達 (第3回)

警察庁 指掌紋自動押なつ装置



入札公告

次のとおり一般競争入札に付します。
平成20年3月10日

支出負担行為担当官
警察庁長官官房会計課理事官藤本史

◎調達機関番号009 ◎所在地番号13
〇第313 号
1 調達内容
(1) 品目分類番号25
(2) 購入等件名及び数量
  指掌紋自動押なつ装置140台

(以下略)


旧来の指紋照合は被疑者の指紋を紙とインクで採取し、その原紙を警察庁の指紋センターへ郵送、そこで原紙をスキャニングして自動指紋識別システムで照合するといった段取りで、照合結果を得るまで3~4週間もかかっていたそうです。

これに替わるシステムとして、平成9年から全国の警察本部と警察署へ「指掌紋自動押なつ装置」の導入が始まっていたそうです。警察署は全国に1270ほどあるそうですから、全てを網羅するのはかなりのコストと手間がかかりそうです。

デジタル指紋照合システムともいうべきこれは、各警察署に配備された「指掌紋自動押なつ装置」で被疑者の指紋を光学的にスキャニングし、そのデジタルデータは警視庁および各道府県警本部を経由し、衛星回線で警察庁の指紋センターへ送られ、指紋照合にかかる時間を大幅に短縮するそうです。

過去の実績を見ますと、NEC製や日本ユニシス製などが納入されているようです。具体的な例としましては、2005年にNECが190台を約5億6000万円で落札していたり、2007年には一度不落(注)になって日本ユニシスのグループ会社であるユニアデックスが約4億円で148台を随意契約していますから、1台当たり270~300万円くらいといったところでしょうか。

(注):不落というのは入札金額が予定価格に達しなかったなどの理由で、入札不成立となったことをいいます。この場合、最低金額を入札した業者と交渉の上、随意契約となる場合が多いので、2007年の日本ユニシスもこのパターンではないかと思われます。ただ、近年は随意契約が癒着の温床になっていると見なされる風潮にあります。そのため、随意契約へは移行せず、調達数量や予定価格を見直した上で仕切り直しになるケースが増える傾向にあるようです。

unisys_livescanner.jpg
日本ユニシスの指掌紋自動押なつ装置「ライブスキャナ」

また、警察庁の公示資料を見ますと、この改修ソフトやシステム構成用品を随意契約している実績がありました。例えば、ユニアデックスが2006年に69台分の改修ソフトを納入していますが、その契約価格は22,588,461円となっています。つまり、1台当たり327,369円という金額になるわけですね。

こうしたシステムに付随するものは「排他的権利の保護」という名目で競争入札が行われないのが普通ですから、どこまで妥当な価格なのかよく解りません。もっとも、こうしたオーダーメイドのシステムを民生品の感覚で高いか安いか判断するというのも正しくないのでしょうけど。

このシステムを日本全国へ展開すると単純計算で350~400億円くらいかかるでしょうか。国民一人頭で割れば数百円の負担ですから、このシステムを展開することで犯罪検挙率が上がってくれれば悪くない買い物ということになるでしょう。逆に、警察の仕事を楽にする効果しかなかったというのでは納得いかないところですが、果たして実態はどうなっているのでしょうか?

もっとも、犯罪検挙率という統計数字は「認知件数に対する検挙件数の割合」ですから、どこまで意味があるのかという問題もありますね。交通事故死者も事故から24時間以内に亡くなった人しかカウントされないとか、警察庁が公表している数字にも色々トリックめいたものがあります。ま、この辺をつつき始めたらキリがありませから、今日のところはこれくらいにしておきます。

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BD-1とスカイショックと私

当初はこれを普段使いにも活用しようと思っていましたが、スピードドライブのインストールを筆頭に色々手を加え、既に30万円くらい注ぎ込んでいました。なので、近所のスーパーやドラッグストアやレンタルビデオショップなどのガチャガチャした駐輪場に停めておけなくなりました。(普段使い用に例のクロスバイクを組んだのはそうした理由からでした。)

で、スピードドライブを入れたら今度は20インチ化ということになるのですが、ここで少々足踏みをすることになってしまいました。18インチのBD-1を20インチ化するには車軸から約1インチ遠くなるリムの位置にブレーキシューを合わせなければなりません。これは考えるまでもないことで、私もBD-1を購入する前から充分理解していましたし、その具体的な対処方法がいくつかあることも知っていました。

詳しくは後日改めて書きますが、いくつかの対処方法を知っていた故に、どれを選択するかという部分で悩み、しばらく保留することになってしまったんですね。また、私の許には他にも自転車がありますから、それらとも戯れているうちに20インチ化計画は棚上げ状態が続いてしまったのでした。

とはいえ、その間もサイクルコンピュータやリヤフラッシャーを替えるなど、細かいモディファイは行っていました。そして、セカンドロットでも買いそびれてしまったワイズロードのオリジナルパーツで「スカイショック3」と称するBD-1用のエアサスキットも入手し、インストールしました。

skyshock3.jpg
Sky Shock 3
赤いロゴが少々無粋な感じですが、
普通に装着すると下を向いて見えなくなります。


このスカイショックというパーツもやや微妙なところはあります。リヤについてはサイクルハウスしぶやオリジナルのダンピングが考慮されていないコイルスプリングより良いと思いますが、摺動抵抗が思ったほど小さくありませんでした。

シリンダなどは切削に違いないと思いますけど、仕上げのレベルがあまり高いとはいえません。微細な切削痕が原因だと思われますが、ズリズリと擦れる感触があるんですね。MTBのちゃんとしたエアサスを知っている者にはお世辞でも褒められない出来です。ワイズは「標準仕様のコイルやエラストマーでは得ることが出来ないシルキーライドを可能にします」と謳っていますが、それはちょっと誇大広告でしょう。ま、価格が価格ですから、こんなものかも知れませんが。

ファーストロットのスカイショックやセカンドロットのスカイショック2はモノコックフレームと相性が悪かったようです。パイプフレームではあまり問題にならないようですが、モノコックフレームの場合は摺動時のズリズリと擦れる微振動がフレームの内部空間で共鳴して、かなり派手な軋み音が鳴っていたそうなんですね。

幸い、私が購入したスカイショック3はハードアナダイズ処理が施されたこともあるせいか、それ程でもありませんでした。が、潤滑を怠ると少し軋み音が生じます。ま、こういうショップオリジナルのパーツに過大な期待は禁物ということかも知れません。空気圧を変えることで乗り味をチューニングできる面白さもあり、価格も手頃ですから、個人的な総合評価としては悪くないと思いますが。

結果的には買いそびれて3まで待って良かったかも知れません。これがファーストロットでしたら、価格は約1万円高く、ボディはアルミのままのシルバーで、モノコックフレーム内部で共鳴してしまう相性の悪さ、シリンダの摩耗も早く、数千kmでエア漏れが始まるという情報もあるようです。2は価格が現在とほぼ同じになりましたが、仕様はファーストロットと全く同じだったと思います。

3はボディがハードアナダイズ処理されたことに加え、フロントはアイレットがピロボールになってこじるような力がかかりにくくなったため、シリンダの耐久性も向上していると想像されます。色も1・2のシルバーより3のブラック/ガンメタのほうが私のマーキュリーグレーのBD-1には似合っていると思います。20インチ化に必須のブレーキもそうですが(詳しくは改めてお話ししますが)、このBD-1のカスタムに関してはモタモタしていたお陰で私にとってはベターなアイテムが手に入ったような気がします。

で、20インチ化計画ですが、本格的に再始動したのは昨年の11月でした。が、その後も色々ありまして、結局着手出来たのは先週末でした。話はまだまだ続くのですが、20インチ化が完了し、試走を済ませてから改めてお話しすることにします。

MyBD-1_02.jpg
20インチ化とメインコンポの換装に着手した我がBD-1
BD-1カプレオという名で売られていたものですが、
カプレオは完全に姿を消すことになりました。
ちなみに、奥に見えるのはS-ワークス・エピックFSR(2005年モデル)です。


(ひとまず、おしまい)

(BD-1インチアップ計画へつづく)

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BD-1を購入し、カスタマイズする私

モノコックフレームのBD-1もさることながら、20インチ化されたスペシャルBD-1やスピードドライブにすっかり感化されてしまった私は、半ば衝動的にマーキュリーグレーのBD-1カプレオをオーダーしていました。

「いまモノコックフレームで20インチ化とスピードドライブのインストールを同時にしている個体はありませんから、たぶん日本初になりますよ。」

というようなことを言われました(2006年5月当時)。が、ノーマルでも約18万円です。これに加えてトータルで十何万もかかるカスタムを同時にできるほどカネを持っているわけではありませんし、オリジナルを全く知らないというのもどうかと思いましたし、とりあえずデフォルトで乗ることにしました。

が、サイクルハウスしぶやのオリジナルパーツのコイルスプリングをオマケに付けてくれると言われ、いきなり決意を曲げてしまいました。というのも、BD-1のリヤサススプリングの見た目があまり好みではなかったからです。

BD-1のリヤサスはエラストマー樹脂の弾性を利用したものですが、その硬さが色で識別できるようになっていて、デフォルトの中硬度は赤でした。私にはこれが妙に浮いた感じに見えてしまったので、買ったら自己融着の黒いブチルテープでも巻いてやろうかと思っていました。(ちなみに、現在はフレームカラーにもよりますが、私のと同じマーキュリーグレーのフレームには黒のエラストマーが付くようです。)

サイクルハウスしぶやオリジナルのコイルスプリングは見た目も良く、硬さも丁度良かったのですが、いかんせんただのコイルスプリングですから、ダンピングが効かずにボヨンボヨンとしばらくリバウンドし続ける感じは「どうなのよ?」思いました。ま、見た目重視でそのままにしておくことにしましたが。

カプレオのブレーキシューは効きもタッチもかなりプアな感じで、安物のダメなブレーキシューの見本みたいなものでした。幸か不幸か、間もなく前輪の一方のシューに金属片を噛んでしまいました。普通ならホジリ出して使うところですが、速攻でゴミ箱行きにして、前後ともデュラエースのシューに交換しました。

私にとってBD-1のデフォルトのポジションはハンドルが近く、上半身もかなりアップライトな姿勢になってしまう感じで(それは私が胴長短足だからかも知れませんが)、ハンドルポジションチェンジャーを使って50mmほど前に出しました。

また、デフォルトでは畳んだときにキックスタンドと干渉してしまうため、エンドバーの装着が難しいのですが、このポジションチェンジャーの導入でその懸念もなくなりました。なので、ついでにハンドルグリップもエルゴンのマグネシウム製エンドバー付きに交換しました。ハンドルバーも使っていなかったオーバルのM400に交換、ハンドル周りを一新しました。

それ以前はステムのクランプ部の左にサイクルコンピュータとベル、右にライトのブラケットとバックミラーが並んで非常に窮屈な感じでした。が、このハンドルポジションチェンジャーを使いますと、サイクルコンピュータをハンドル中央に取付けることが出来るようになりました。

また、バーエンドに取り付けるタイプのバックミラーやベルを探してきて、ステムにクランプさせる短いバーに取り付けてみました。自画自賛で恐縮ですが、それまで全てハンドルバーにクランプさせ、横一列に並んでいた状態よりいくらかスマートに纏まったかと思います。

MyBD-1_01.jpg
当初、バックミラーもベルもハンドルバーにクランプさせていましたが、
ポジションチェンジャーを取付けた際、写真のような取付け方法を思い付きました。


余談になりますが、このとき何度かブレーキレバーやシフターの着脱を繰り返し、カプレオの安っぽさを再認識することになりました。というのも、シフターの動きが渋くなってしまったからです。特にワイヤーリリースがスムーズにいかなくなってしまったんですね。

当初は何がいけないのかさっぱり解らず、ケーブルを疑って交換してみましたが、改善されませんでした。あるとき、ハンドルバーから外した状態で操作したら正常に動くことに気付き、もしやと思って色々試してみました。案の定、ハンドルバーにクランプさせるとき、ボルトを締め込んでいくとシフターの動きが渋くなり、最低限緩まない程度に締め付けを加減してやると正常に動きました。クランプボルトを締め込んでいくとシフターのガワが歪んで内部機構にも影響が出るようなんですね。

私はこれまでにもMTB用コンポで同様のシフターを扱ってきましたが、こんなに剛性が低いものは初めてでした。いくらハードな乗り方を想定していないとはいえ、さほど長くないアーレンキーで莫迦力を込めたわけでもなくてこれですから、わたしのカプレオに対する印象はさらに悪いものになりました。小径車用に色々配慮した設計がなされているのは評価すべきかも知れませんが、こういうところで詰めが甘いのもどうかと思いましたね。

話を戻しましょう。デフォルトのサドルも私にとっては少し柔らか過ぎて却って乗りにくく、セライタリアのプロリンク・ゲルフロウへ交換しました。ペダルも三ヶ島の工具なしで脱着可能なEzyシリーズに交換、カジュアルに乗るときはフラットのMT-E、少しまとまった距離を走るときなどはビンディングのMM-CUBEに差し替えるようにしました。

こんな具合に購入から数ヶ月の間で走行中に直接触れるパーツはブレーキレバーやシフターを除き、殆ど入れ替えることになってしまいました。そして間もなく、夏のボーナスが出ると再びサイクルハウスしぶやへ持ち込み、スピードドライブをインストールしてもらったのでした。

(つづく)

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BD-1とスピードドライブと私

私がBD-1カプレオを試乗したお店は小径車専門ショップとして有名な「サイクルハウスしぶや」ですが、ここでカスタマイズされたスペシャルバイクは専門誌でもしばしば取り上げられるようで、その筋でも頼りになるショップかと思います。

ここに来たら見たいと思っていたものが新型BD-1の他にも二つほどありました。一つはデフォルトの18インチから20インチへホイールをサイズアップしたスペシャルBD-1です。専門誌で見かけたそれは実に精悍な印象で、もしBD-1を手に入れたら是非やりたいと思わせるカスタムでした。(ま、過去にはBD-1Rという20インチモデルもありましたけどね。)

実物を目の前にしてみますと、驚くほど自然で、個人的にはかなりの完成度だと感じました。あいにく、このときは試乗させてもらえる個体がなかったので眺めるだけでしたが、その纏まりの良さにますます物欲をあおられていました。

もう一つ見たかったのが「スピードドライブ」でした。これはスイスの「シュルンプ」というメーカーの内装2段変速のクランクセットになります。遊星歯車が仕込まれており、クランクの中心軸にあるクロームメッキのボタンを左から右へ押し込むと遊星歯車を介さず、クランクとチェーンリングが直結になります。これを右から左へ押し込むと、遊星歯車が作動してクランクの動きを1.65倍加速してチェーンリングへ伝えます。なかなか面白いアイデアですね。

BD-1_20wheel-speeddrive.jpg
20インチカスタムBD-1+スピードドライブ
某専門誌に掲載されたサイクルハウスしぶやのスペシャルBD-1

スピードドライブは当初1セットサンプル輸入されたものの、結局はお蔵入りになったものだそうです。恐らく、取り付けにBBの加工が必要だったり、アッセンブリーにある程度の技能も要求されるからではないかと想像されます。

このサンプルを譲り受けたサイクルハウスしぶやのオーナー店長である渋谷氏が実際に取り付けてみたところ、上手く作動しなかったそうです。そこで、渋谷氏は何とスイスにある製造元のシュルンプ社までわざわざ教えを請いに行ったそうです。この辺のストーリーはサイクルハウスしぶやのサイトにある「シュルンプ社との出会い」に詳しいので、是非ご参照下さい。

私はこういう話に滅法弱いんですよねぇ。男たちの想いが込められているそれのバックグラウンドを知ってしまうと、ついつい感情移入してしまいます。性能とかコストとかは二の次になってしまって、「彼らの想いを受け止めたい!」みたいなことになってしまう訳です。

で、最初に試乗させてもらったパイプフレームのBD-1にはこのスピードドライブがインストールされていました。クランクとチェーンリング直結状態では殆ど普通のクランクです。が、遊星歯車を介して1.65倍に加速されると、やはり独特の感触がありました。

こうした機構を介すと、どうしても機械抵抗が生じてしまいます。スピードドライブも多少のフリクションは感じましたし、滑らかというほどでもありませんでした。が、思ったほどゴリゴリした印象もなく、内装されている遊星歯車の精度はそれなりのレベルにあると感じました。

また、切り替えボタンを足で蹴るという操作方法は慣れないうちはやりにくいものですが、何回も操作していると半ば無意識に蹴ることが出来るようになります(いまではビンディングを外さなくても蹴れます)。これはこれで非常に面白いアイデアだと思いましたね。

この試乗車のスプロケットは普通のMTB用でトップ11Tだったと思います。フロントも42Tだかそこいらで、スピードドライブが1.65倍に回転を上げていますから、6.3:1というかなりのハイギヤードになります。18×1.5"(周長1,360mm)とすると、クランク1回転で10.47m進む計算になりますから、700×23C(周長2,096mm)では55T×11Tとほぼ同等になります。

現代的な高ケイデンスのペダリングではプロでもTTなどでない限りあまり踏まないようなギヤ比でしょうから、かなり過剰なセッティングだと思います。が、逆にいえば、チェーンリングをもう少し小さくしても充分なギヤ比が保てるということになります。これにはそそられましたね。

見た目もシンプルで気取ったところがなく、小さなチェーンリングで見た目のバランスも悪くありません。ネックは取付け工賃含め約7万円(現在は1万円くらい値上がっていると思います)というプライスくらいでした。

シマノのカプレオという小径専用コンポーネンツは正直なところ今ひとつでしたが、モノコックのBD-1にこのスピードドライブを付け、ホイールを20インチ化し、もう少し上位グレードのMTB用コンポに交換して・・・といったストーリーボードが私の中の物欲という悪魔によって着実に書き上げられていくのでした。

(つづく)

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BD-1とカプレオと私

2006年の5月だったと記憶していますが、私は京成本線のお花茶屋駅にほど近い、サイクルハウスしぶやを訪れました。私の家からはワイズロード上野店渋谷店のほうがずっと近いのですが、あえてここを選んだのは他にも目当てがあったからです。ま、それについては後でお話しすることにしましょう。

同店はさすが小径車専門ショップだけあって、BD-1だけでなく、ブロンプトンダホン、クワハラのGAAP、スマートコグのKOMAANTタルタルーガといったその筋の銘車で溢れていました。用品もカスタムパーツもその品揃えは小径車が中心であるのはいうまでもありません。

もっとも、地元の人たちにとっては普通の自転車屋さんと同じ感覚で受け容れられているようで、普通の自転車用品類も扱っていますし、いわゆるママチャリのパンク修理など、普通の自転車屋さんと同じ仕事もしているようです。お高くとまった感じがないといいますか、敷居が低いといいますか、専門ショップにありがちな鼻につくような印象は一切なく、非常に好感が持てる雰囲気ですね。ま、小径車は私のようなマニアでなくても買いますから、当たり前のことかも知れませんけど。

で、お目当てのモノコックフレームの新型BD-1ですが、もちろん試乗車が用意されているのは確認済みでした。

でも、まずは従来型のパイプフレームに試乗させてもらいました。何年か前に試乗したきりでしたから、BD-1の乗り味を身体が鮮明に覚えていない状態で新型に乗っても、どこがどう良くなったのか解らないだろうと思ったからです。

しかる後に新型のモノコックフレームに試乗させてもらいました。やはり従来型より剛性感が増したのはよく解りました。が、普通の道で普通に何百mか走った程度では劇的に良くなったと感激する程ではありませんでした。私の感覚では新旧2台並べて乗り比べてみて、「ああ、やっぱり新型のほうが良いね」といった印象にとどまるものでした。いきなり乗って「これは剛性が高くなった!」と解る人は従来のパイプフレームをじっくり乗ったことのある人たちくらいかと思います。

もう一つ興味があったのは、このBD-1にインストールされていたシマノの小径車専用コンポーネンツ「カプレオ」でした。すでに2003年のマイナーチェンジの際にこれを導入したモデルもありましたが、私が実際に試したのはこれが初めてでした。

カプレオは20インチ以下専用になっていますが、それはフリーハブにかかるトルクの問題でしょう。細かい最適設計はともかく、カプレオに採用されている特殊な構造は専用のフリーハブとスプロケットくらいです。あとはシマノの9S互換コンポーネンツですから、特に珍しいものはありません。強いていえば、Vブレーキにロードバイク用のシューを使っていることくらいでしょう。

余談になりますが、このカプレオのブレーキカートリッジはMTBのオンロードユースでロードバイク用のシューを使いたいという向きに裏技的なアイテムとして活用されているようです。これを使えばVブレーキにデュラエースのシューを組み合わせるといったことも可能になります。摩擦面の広いMTB用のシューよりロードバイク用のほうがオンロードで乗る分にはフィールが良いという人もいます。もっとも、私の感覚ではよく解りませんけど。

話を戻しましょうか。これまで小径車はチェーンリングの丁数を多くしてギヤ比を稼ぎ、一漕ぎで進む距離が短くならないようにしてきました。が、小さなホイールに巨大なチェーンリングは見た目のバランスも良くない上、折りたたんだときのコンパクトさもスポイルされてしまう要素になっていたかと思います。

カプレオはトップに9Tという、ディレイラーのプーリーより小さい丁数のスプロケットを採用しました。45T×9Tで、チェーンリングを大きくしなくても5:1という大きなギヤ比を実現しているんですね。ロードバイク用やMTB用で一般的なトップギヤ11Tであれば、このギヤ比を得るにはチェーンリングを55Tという巨大なものにしなければならないところです。

しかし、9Tという極小スプロケットを組み込むのは構造上の制約が色々あります。カプレオのフリーボディはロー側7枚分の幅しかありません。そこまでは通常のフリーボディと共通の規格になりますが、トップ側2枚が取り付けられる部分にはフリーボディがないんですね。

capreo_hab.jpg
カプレオのフリーボディ
嵌合部の作りは全く同じですが、幅はロー側7枚分しかありません。
トップ側2枚はフリーボディに直接嵌合しない構造になっています。


特にトップの9Tは直径が非常に小さいですから、これを通す軸はフリーボディよりずっと細くしなければ構造的に成立しません。

9T-11T.jpg
11Tと9Tの比較
下が一般的なMTB用トップギヤの11Tで
その上にカプレオのトップギヤ9Tを重ねてみました。


カプレオのフリーボディに乗っているトップ側3枚目(11T)のスプロケットに嵌合部を設け、2枚目のスプロケットと噛み合わせ、さらにトップも同じ要領で噛み合わせています。「親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて」といった感じでトップ側3枚のスプロケットを嵌合させているんですね。

capreo_sprocket.jpg
トップの9Tとその隣の10T
トップ側3枚のスプロケットはフリーボディに似た嵌合部が
作り込まれており、隣のスプロケットと噛み合わせることで
トルクを伝える構造になっています。


通常のものと比べますと、かなり無理な設計にも見えます。が、20インチ以下のホイールではスプロケットにかかるトルクもかなり小さいですから、強度的には問題ないのでしょう(強度的に問題のある状態でシマノが商品化するわけもないでしょうし)。20インチ以下専用を謳っているのはそのためということですね。

このカプレオというコンポーネンツに関しては、良くも悪くも「普通」といった印象でした。まず、9Tという恐ろしく小さなスプロケットは円というより9角形ですから、動きに癖があるかも知れないと想像していました。ところが、実際に乗ってみますと、呆れるくらい普通でした。

カプレオの「タップファイヤー」と称するシフターは非常に懐かしい印象でした。というのも、私が大学時代に乗っていたMTBは第一世代のラピッドファイヤーでしたが、それはカプレオのタップファイヤーと同じで、シフトアップのボタンもシフトダウンのレバーも親指で押す「プッシュ-プッシュ式」だったからです。

このカプレオのシフターもブレーキもフィーリングはディオーレ以下くらいのかなり安っぽいもので、18万円もするモノコックのBD-1には少々アンバランスな印象がぬぐえませんでした。実際、7~8万円クラスのミニベロにもカプレオは採用されていますし、単体の販売価格もディオーレやティアグラと同レベルですから、クォリティ的にもそんなところでしょう。

恐らく、私はこのBD-1カプレオの試乗だけであったら、食指を動かすには至らなかったと思います。が、試乗した店と、比較したパイプフレームのBD-1が強力に私の背中を押しました。店には20インチにカスタマイズされたBD-1があり、パイプフレームのBD-1には「スピードドライブ」と称する特殊なクランクが装備されていたからです。

もっとも、モノコックフレームの新型BD-1を試乗するためにわざわざこの店まで足を運んだのも、実はかねてからこれらも見てみたいと思っていたのが理由だったんですけど。

(つづく)

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BD-1と私

生産の委託先は台湾の太平洋自行車ですが、BD-1がドイツのr&mというメーカーによって企画・開発・設計され、世界的に大ヒットした折りたたみ自転車であるのはいまさらいうまでもありませんね。日本以外では「birdy」という名で売られていることは以前「バーディーは誰のもの?」で詳しくご紹介させて頂きました。

birdyの発売は1995年、日本でBD-1が発売になったのは翌年ですから、今年で12年になります。


BD-1(1996年モデル)

いくつものモデル展開があり、過去にはベルトドライブも存在したそうですし、2001年にはチタンフレームも加わりました。細かい小改良はともかく、マイナーチェンジは2003年に行われ、「rm」のロゴがフレームにエンボス加工されたことから、マイナーチェンジ後のモデルは俗に「エンボスフレーム」とも呼ばれています。

チタンフレームもエンボスフレームも基本的な構成は殆ど変わらず、見た目もマニアでなければあまり区別が付かない変更にとどまっていたのは、世に出た当初から非常に完成度が高かったゆえでしょう。そのBD-1がフルモデルチェンジされたのは2006年のことでした。

従来のメインフレームはアルミないしチタンパイプを溶接したものでしたが、新型はアルミ板をプレス加工して左右のエレメントを製作、これを中央でTIG溶接したモノコックフレームになりました。なお、フルモデルチェンジされたBD-1は一気に全車が入れ替えになったわけではなく、しばらくは従来のパイプフレームと併売されていました。

私も1996年の発売当時からBD-1には大きな関心を寄せていました。サスペンションピボットのところで折りたたむというアイデア自体は以前からあったと思いますが、特にフロントのそれはリーディングアーム式で、非常に面白いデザインに惹かれました。シンプルかつ合理的で、動きも良く、見た目も良く、何より独創的だったからです。

こうした折りたたみ機構ですから、BD-1はフレームを分割しません。そのため、剛性が高く走りもかなり本格的とレポートされていました。が、実際に試乗してみますと、期待ほどではありませんでした。これまでの小径折りたたみ自転車の基準と照らせば見違えるようなレベルにあるとは思いましたが、同じ小径車でも折りたためないダイヤモンドフレームのそれと比べてしまうと、もう一つといった印象だったんですね。

ただ、その佇まいがかなり私の好みであるのは違いなく、常に気になる存在でした。ですから、2006年のフルモデルチェンジには興味津々でした。

どちらかといえば従来のパイプフレームのほうがシンプルで好みなんですが、モノコック化されたメインフレームの断面は逆三角形になっており、エッジが立った分だけ前後のサスペンションと造形的に調和がとれた印象です。

r&mを評価したいのは、このモデルチェンジに伴って軽量化より剛性アップを優先させたことです。軽量化はカタログ映えもしますので非常に解りやすい商品力になります。が、この種のフォールディングバイクは軽さだけが重要なスペックとは限りません。

剛性感は乗ればすぐに気付きますが、性能としてはなかなか表現しにくい要素です。子供騙しな発想が幅をき効かせる昨今にあって、あえてこちらの要素を重視してきた彼らの考え方には感じ入るところがありました。

ということで、私はこの新発売になったモノコックフレームのBD-1に試乗するべく、「サイクルハウスしぶや」へ出向くことにしました。それは確か2006年の5月のことだったと思います。

(つづく)

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アツイ握手

「あの社長、県議会議員に立候補するつもりらしいよ。もの凄く熱い人でさ、別れ際に握手を求めてくるよ、絶対。」

私が前職でまだ駆け出しだった頃、先輩にそう言われて引き継いだクライアントは、先輩の言う通り熱い人でした。千葉の田舎で事業を立ち上げ、その頃は年商も億単位に上っていたそうです。

初めてその社長と会ったのは、とても風の強い日でした。しばらく晴れ続きだったこともあって、近所の畑からもの凄い土埃が吹き寄せてくるような状態だったんですね。

私が訪問したとき、丁度社長も外出先から戻ってきたところで、エントランスから一緒に社長室の応接に入りました。

どうやら窓が少し開いていたらしく、高そうな革張りのソファーやテーブルの上にはうっすらと土埃が積もっていました。

「ああ、こりゃ埃まみれだな。」

などといいつつ、社長は素手でソファーの土埃を掃い始めました。ま、元々はお百姓さんの出ですから、気の良い田舎のオッチャンみたいな気質の人で、こういうところは何とも豪快な感じです。

素手では埒があかないと悟ると、社長は泥だらけの手でインターホンの受話器を取り、お茶とぞうきんを持って来るように伝えていました。間もなく、女性がそれらを持ってきて、ソファーとテーブルを拭き、お茶を呈してくれました。

当たり障りのない世間話で数分、本題に入って15分くらい、それで私の任務はおしまいなのですが、社長にしてみればそこからがアクセル全開になるところです。事業を立ち上げたばかりの頃の苦労話から、バブル期に押し寄せてきたあの手この手の誘惑など、いずれも強い信念を貫いたからこそ、いまの自分があるのだと社長の半生物語が続きました。

恐らく、これまで何十人という人に同じような話をしてきたのでしょう。そのうち洗練されていったのだと思います。30分くらいのスピーチは淀むことなくきれいに纏め上げられていました。

いまの自分があるのは周囲の人たちのお陰だから、その恩返しをしなければならない、地域に貢献しなければ男が廃るといった感じで、社長のヴォルテージはどんどん上がっていったのでした。

こういうとき、同じ話を延々繰り返す無限スパイラルに入り込んでしまう人もいますが、この社長は一通りしゃべり尽くしたら一応のカタルシスは得られるようで、ズルズルと付き合わされることもなく、すっきりと最後を締めていました。さすがは議員を目指しているだけのことはあります。

「それじゃあ、石墨君、今後とも宜しく頼むよ!」

と右手を差し出されました。「おお、やっぱり握手か」と思いながら私はその勢いに乗せられるように社長の手を握っていました。社長はもの凄く満足げでしたが、私は心の中でこう呟いていたのでした。

「アナタは忘れているでしょ? さっきソファーの土埃を掃って、この手が泥だらけになっていることを。」

日本 あんな調達こんな調達 (第2回)

国税庁 法定調書の手引き


本シリーズ前回に続き、昨年の5月に試験収集したときのネタです。


入札公告

次のとおり一般競争入札に付します。
平成19年5月22日

支出負担行為担当官
国税庁 長官官房会計課長 百嶋計

◎調達機関番号015 ◎所在地番号13
○第1号(No.1)
1 調達内容
(1) 品目分類番号 76
(2) 購入等件名及び数量
  平成19年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 5,358,000部
(3) 調達件名の特質等 入札説明書による。
(4) 納入期限 平成19年9月28日(最終)
(5) 納入場所 当庁の指定する場所。

(以下略)


お役所ではあれこれフォーマットが小うるさいわけですが、最近は説明や指導がかなり親切になってきましたね。国税庁も源泉徴収票などの法定調書について、作成と提出の手引書を発行して配布しているそうです。ネット上でもPDFで配布されていますが。

源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

こうした手引書も以前は堅苦しかったかと思いますが、ページの余白にはイータ君(e-Tax:国税電子申告・納税システムの広報キャラクター)の挿絵を入れたりして愛嬌もでてきました。


イータ君と今年のキャンペーンに起用された池脇千鶴
イータ君の誕生日は平成16年10月1日で性別は男
特技はパソコンと空を飛べることだそうです。
何故空を飛ぶ必要があるのかは謎です。
一方、池脇千鶴の誕生日は昭和56年11月21日。
もう26歳になるんですねぇ。


でも、何といいますか、旧態依然のお役所らしいデリカシーのない感じも未だに目に付きますね。例えば、2頁目の

第1 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)

(中略)

1 提出する必要がある者

平成19年中に俸給、給料、賃金、歳費、賞与、その他これらの性質を有する給与(以下「給与等」といいます。)を支払った者です。


賃金などを支払うのは「事業者」とは限らず、「個人」の場合もありますから、表現としては難しいところもあるとは思います。が、「者」という表現はどうなんでしょう? 私の語感にはちょっと引っ掛かる気がします。『今昔物語集』の「者は極(いみじ)き臆病の者よ」ではありませんが、どうも国民が「見下されている」感が拭えません。

いえ、彼らに見下しているつもりなどないかも知れません。が、そうだとしても言葉遣いに配慮が足りない感じがします。一般的な民間企業であれば、この場合は間違いなく「者」ではなく「方」になりますね。「提出する必要がある者」ではなく、「提出していただく必要がある方」と表記するのが常識でしょう。

もう少し役所臭を残しつつ、見下している感を解消したいなら、「事業者または個人等」といった感じにすべきでしょうか。「提出する必要がある事業者または個人等」と表記すれば、表現としては多少くどくなるかも知れませんが、イメージ的にはかなりマトモになると思います。

ま、そうはいっても、平成18年度版では「提出する必要がある者」ではなく、「提出しなければならない者」と表記されていましたので、彼らなりに表現を考慮した痕跡は窺えます。根本的な何かが民間企業の感覚とはズレているような気もしますが。

それにしても535万8000部という非常に切りの悪い数字はどうやって弾いたんでしょうか? お役人さんがこうした物品購入の数量を決定するとき「適当」では通りません。何しろ、納税者から徴収した血税を使うのですから、「根拠」が必要です。

例年の配布状況から経験的に割り出しているのかも知れませんが、何らかの積算をしているのは間違いないと思います(机上計算のような気もしますが)。そうした部分も是非知りたいところですね。

とりあえず解約 (後編)

約5年半連れ添った愛車を売却したのは以前にもお話ししたとおりですが、その代金の振込先をどうするかは考えるまでもありませんでした。シティバンク以外の普通預金口座では次のクルマの代金を販社へ振込むと、残高がほぼゼロになってしまうか、そもそも足りないかといった感じですから。なので、買い取り業者へはシティバンクへ振込むよう指定しました。

その振込みは先週完了している約束でしたので、この週末に最寄りのみずほ銀行のATMで確認しようと思いました。が、キャッシュカードが使えないというエラーメッセージが出ました。隣の端末で試しても同じでしたので、もしかしたら銀行間の通信に障害が生じているとか、何かのトラブルがあるのかも知れないと、想像しました。

このATMを利用するだけなら徒歩で出かけているところですが、このときは夕飯の買い出しに出たついでで、自転車に乗っていました。なので、そのまま五反田まで4km程の道のりを走り、直接シティバンクのATMで確認することにしました。が、やはり結果は同じでした。想像を巡らせても事態は一向に理解できません。

ということで、すぐ傍らにあった受話器を取り、コールセンターを呼び出して、どうなっているのか問い合わせてみることにしました。すると、シティバンクのキャッシュカードはセキュリティを考慮して一定期間使用しないと自動的に使用停止になるとのことでした。

はっきり言って余計なお世話だと思いましたが、そこは海外の銀行ですから、考え方の違いは仕方ないかも知れないと思い直しました。

日本では預金通帳でもATMを利用できますから、カードは持っていてもあまり使わないという人もいるかも知れません。実際、私の両親も後で記帳するのが面倒だからという理由で昔はあまりカードを使わなかったようです。が、シティバンクには預金通帳というものが存在しませんから、カードをしばらく使わないというのは異常事態と考えているのかも知れません。

こんな風に彼らの考え方を理解してあげようと思えるくらい、このときの私は平静でした。

速やかにカードが使えるようにして欲しいと伝えると、コールセンターでは対応できないので、電話でカスタマーサポートへ連絡して欲しいと言ってきました。しかし、このときは近所まで夕飯の買い出しに出るだけで、すぐに帰宅するつもりでしたから、携帯電話を持っていませんでした。

いまは電話がないので、このままこのインターホンからつなげないか、あるいはコールセンターから解除するようカスタマーサポートへ指示できないか、と掛け合いました。が、どちらもNGとのことでした。

カスタマーサポートの電話番号はキャッシュカードの裏に書いてあるとのことでしたが、私のカードは古く、番号が変わっていました。フリーダイヤル「0120」の後は6桁ですが、記憶力が乏しい私には覚えられそうにありません。かといってペンもないのでメモも取れません。

どうにかしてくれと伝えても、「申し訳ありませんが・・・」の一点張りで埒があきません。仕方ないのでそのまま帰宅することにしましたが、往復8km程の道のりは完全な無駄足になりました。

帰宅してシティバンクのサイトを見たらカスタマーサポートの電話番号が解ったので、すぐに連絡してみました。すると、そのままプッシュダイヤルで4桁の電話取引暗証番号だか何だか(正式名称はよく覚えていません)を入力するように言ってきました。そんな暗証番号など初耳ですから、とりあえずカードの暗証番号を入力しましたがNGだと言われました。

口座開設時に設定しているハズとのことですが、私がシティバンクに口座を開設したのは9年も前のことですから、そんな記憶など微塵もありません。暗証番号どころかテレフォンバンキングの利用手続きをした記憶すらありません。現在は口座開設時にテレフォンバンキングの利用手続きを同時にやる仕組みになっているのかも知れませんが、私が口座を開設した9年前からそうした仕組みになっていたのかも怪しいところです。

では、一体どうすればいいのかと問うてみると、オペレーターの女性は恐縮する様子もなく淡々と電話取引暗証番号だか何だかの設定からやり直して欲しいと言ってきました。

プッチン!

私のこめかみの辺りで何かがはじけました。これで感情を動かさないでいられるとしたら、仏陀のごとく完成された人間か、金属バットで殴打されても気づかないくらい鈍感な人間か、どちらかでしょう。幸か不幸か、私の場合はそのどちらでもありません。

「私は単純に自分の口座の残高を確認したいだけなんですけど。勝手にカードを使えないようにされた上、何でこんなに振り回されなければならないんですか? そもそも、カードの暗証番号で本人確認が出来ないなら、暗証番号は何のために設定されているんですか?」

ま、向こうに返す言葉なんてありませんね。

この日ここへ至る経緯を詳細に説明し、理詰めの抗議を重ねたら、その電話を切らずに残高照会はできました。が、口頭で確認できるなら初めから速やかに対応しなかったのは何故なの? という疑問も沸いてきました。怒りついでにその疑問もぶつけてみましたが、当然のことながら合理的な説明なんてできるわけありませんね。

あんまり緩すぎて悪い人間の付け入る隙となっても困りますけど、度の過ぎたセキュリティも考えものです。確かに、最後にカードを使ったのがいつだったか思い出せないくらい前に使ったきりの疎遠状態というのも普通ではないかも知れません。が、ユーザーが自分のカードで自分の口座の残高照会をしようとしてこんな対応をされるほうが、よほど普通とはいえない状態かと思います。

私にとってはあまりにも理不尽な仕打ちに思えましたので、正直なところ愛想を尽かしました。そのままカスタマーサポートのオペレーターの女性に二度と取引をしたくないので解約したい旨を伝えると、さすがにこのときは口惜しそうに書類を送る手配をしますとのことでした。

シティバンクの口座にある私の預金は私が指定する別の金融機関への振込みになり、その際に振込手数料840円が差し引かれることになるそうです。預金残高は新車のプリウス1台分+かなりの額になります。それだけの現金を引き出して持ち歩くのも不用心ですから、手切れ金のつもりでその振込手数料は由とすることにしました。

citibank_card.jpg
勝手に使用停止にされたシティバンクのキャッシュカード
実際はもうハサミを入れてしまったのですが、
その写真を使うのもえげつないと思いましたので
自粛することにしました。


(おしまい)

とりあえず解約 (前編)

私も社会人になる直前、給与振込みのための銀行口座を開設しました。そのとき富士銀行(現・みずほ銀行)を選んだのは自宅から最も近かったからという以外に理由はありません。

今でこそコンビニにもATMがあって利便性は日増しに向上していますが、昔は非常に不便でしたね。いまから10年くらい前の土曜日の夕方、友人と出かける約束があって富士銀行のATMで数万円引き出そうとしました。が、わずかに終了時刻(17時だったか18時だったか記憶は定かではありませんが、現在では信じられないくらい早い時間でした)を過ぎていたために利用できず、同行した友人から借金するという屈辱を味わったこともあります。

その頃、シティバンクが日本へ本格進出するというニュースが流れました。前身となるインターナショナルバンキングが横浜に設立されたのは1902年(明治35年)でしたが、本格進出は実に96年も後の1998年になります。それまで全国19店舗だった支店を拡大し、ATMも増設、私の自宅から4km程の五反田支店がオープンしたのもその頃だったと思います。

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24時間365日利用可能なATMもテレフォンバンキングも今では珍しくありません。が、いずれも彼らがこのとき日本で初めて導入したんですね。

当時、シティバンクは月間平均残高が100万円未満ですと、口座維持手数料を取られました。現在は20万円に条件が緩和されているようですが、それを下回ると毎月2,100円取られます。もちろん、条件を満たしていればこうした日本に馴染みのない手数料を取られることもありません。

変わった概念は他にもありまして、そもそもシティバンクには預金通帳が存在しません。印鑑も登録したい人だけ登録できるという仕組み(これは日本の商習慣に則った措置で、彼らとしては日本市場向けの特別対応になるようです)で、基本はサインです。さすがは海外の銀行ですね。

一方、店舗もATMも非常に少ないシティバンクゆえ、他行のATMから引き出しても手数料は取られません。これは大きなメリットですね。また、通帳がないゆえ、利用明細が毎月ダイレクトメールで送られてきます。キャッシュカードを主体とする身にはこれも便利で良いと思います。さらに、シティバンクのATMなら当時は日本で唯一、24時間365日利用可能ということで、私は1999年に同行五反田支店に口座を開設しました。

私の場合、親がそうしていたのに倣って複数の銀行に分けて預金していますから、このときも富士銀行以外にあさひ銀行(現・りそな銀行)や信金などにも口座はありました。なので、シティバンクには24時間365日使えるATMで緊急時に役立ってもらうとか、取引銀行のATMがすぐに見つからないときに他行のATMでも手数料を取られないシティバンクのキャッシュカードを活用しようとか、そんなイメージでした。

時が流れ、富士銀行は第一勧業、興銀と合併してみずほ銀行になり、あさひ銀行(私が口座を開設したときは協和埼玉銀行でした)は大和銀行と合併してりそな銀行になるなど、私の取引銀行も次々に名称を変えていきました。

と同時に、日本の銀行もATMの利便性をどんどん向上させていきましたので、シティバンクとはだんだん疎遠になっていきました。ここ何年かは頻繁に動かす必要のない大きな金額を扱う時に利用するといった感じになっていたんですね。

まさか、疎遠状態であったがゆえに散々振り回されることになるとは、数日前まで夢にも思っていない私でした。

(つづく)

とりあえず契約

プリウスにはグレードが2つあり、さらに各々3タイプずつありますから、通常のラインナップは都合6つになります。が、車両のコンポーネンツは全て同じです。「ツーリングセレクション」でタイヤ/ホイールのサイズやサスペンションのチューニングが若干異なる以外は装備の違いだけで、クルマとしての性能は何ら変わりません。

標準グレードの「S」と上位グレードの「G」の双方とも、上述のように足回りや空力パーツなどが異なる「ツーリングセレクション」があります。また「G」のツーリングセレクションには本革シートを奢った最高級の「レザーパッケージ」、「S」には装備をさらに減らした最廉価の「スタンダードパッケージ」があり、この両者の価格差はほぼ100万円になります。

こういうとき、一番お得なのは間違いなく最もベーシックなグレードになります。販売価格で100万円の差といっても工場原価の差額はもっと小さく、上級グレードほど利益幅が大きいというのは業界の常識です。

が、そこは消費者心理が色々研究されていて、「安いグレードより何パーセントか割高になるけど、これだけ装備が良くなる」みたいな部分で上手に心理をくすぐって、より利益幅の大きいものを買わせようとする巧妙なラインナップが形成されている訳ですね。ですから、それにあまり乗せられ過ぎないよう、冷静に吟味したいところです。

「G」には付くけど「S」には付かない装備といいますと、S-VSCと称するスタビリティコントロール、クルーズコントロール、スマートエントリーと称するスマートキーくらいです。どれも元々仕込まれている電気仕掛けの仕組みを利用するかしないか、スイッチの類が余計に要るか要らないかといった程度の違いで、工場原価の差はごくわずかでしょう。

あとはオーディオのグレード違い、シート表皮がアルカンターラかスエード調ファブリックか、ステアリングホイールが本革巻きかウレタンか、フロントの足元照明があるかないかといった他愛のない違いです。

私の場合、かつてテールハッピーなFRスポーツカーでヤンチャをやっていた身ですから、スタビリティコントロールなんて要りません。シートやステアリングホイールの表皮、足元照明なんてどうでも良いです。メーカー純正のHDDナビを付けるつもりでしたから、これに伴ってオーディオは同じになります。

クルーズコントロールやスマートキーはあったほうが便利だと思いますが、それしきのことで正味25万円も高くなる「G」を選ぶ必要はないと判断しました。また、これまで所有していたS2000はディスチャージヘッドランプで非常に明るく見やすかったのですが、プリウスでそれを求めると「ツーリングセレクション」になってしまいますから、約15万円割高なそれをチョイスする気にもなれませんでした。

ということで、「S」に純正HDDナビを付けてほぼ260万円ですから、これで良いかな? と思っていたんですね。でも、6つの通常ラインナップの他に「S "10th Anniversary edition"」というプリウス発売10周年記念の特別仕様車があることを知りました。



これはシート表皮がスエード調ファブリックである以外、あとの装備は「G」と全く同じです。純正HDDナビも初めから付いていて、オマケにディスチャージヘッドランプも装備しています。カラーバリエーションが3つしかないというネックもありますが、通常の「S」に純正HDDナビを付けたものから13万円アップの273万円ですから、これでええやんと思いました。


大筋が決まったところでいよいよ商談となるわけですが、前職で自動車業界にいたときの人脈をフル活用するのは当然ですね。幸い、私の後任で頑張ってくれている可愛い後輩のI君がトヨペットに太いパイプを持っている人を知っているということで、早速セッティングしてもらいました。

殆ど間髪入れずにトヨペットから連絡があったのですが、一般の地域営業ではなく、法人営業を担当している部署からでした。「やっぱり人脈が絡むとこういうイレギュラなルートになるんだなぁ」などと感心しながら話を進めました。

プリウスは元々あまり値引かないと言われますが、特に私がチョイスした10thアニバーサリーエディションはハナからかなりのお買い得バージョンですから、輪をかけて値引かないそうです。

が、私の場合は強力なコネが効きまして、ネットなどで流れている値引き情報と照らしても、結構な値引きをしてもらいました。かなり特別なケースになるので他言無用と釘を刺されていますから、具体的には書けませんが。やっぱり、持つべきものは人脈ですね。(ありがとう、I君。)

で、納期ですが、販社によって割り当て台数もありますから、バラツキもあるようです。最短で1ヶ月という情報もありましたが、私がサインしたトヨペットの場合はいまのところ3ヶ月待ちだそうです。かつては半年待ちもザラだったようですから、大分マシになっているそうですが。

ま、昨今の原油価格高騰で世界的にも需要が高まっているクルマですから、仕方ないかも知れません。出来るだけ早められるように掛け合ってくれるそうですが、気長に待つことします。

テーマ:ひとりごと - ジャンル:車・バイク

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まとめ

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