酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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好都合な予見 (その1)

今日、東京駅の改札口を出てすぐのところに普段はいない制服姿の警官が踏み台に乗って仁王立ちしていました。洞爺湖サミット開催まで1週間と迫りましたから、警備が強化されているのでしょう。

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一方、新聞各紙もまた社説でサミット絡みの論評を展開していますね。

サミットと温暖化―現役世代に見える目標を

 難題山積で地球が悲鳴を上げている。そんななかでのG8サミット、主要国首脳会議である。

(中略)

 「50年までに半減」は、世界の科学者の知恵を集めた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の見立てをもとにしている。

 その報告書には、温暖化の悪影響が全地球に及ぶのを避けるシナリオが描かれている。重要なのは、50年に必要な削減幅だけでなく、世界の排出増をいつまでに止めるべきかをセットではじき出していることである。

 それによると、50年に半減するなら20年ぐらいまでに排出量を減少に転じさせなければならない。これは密接不可分のひとつながりの目標である。

 「50年」が子や孫の時代であるのに対し、「20年」は現役世代がまだ社会の中心にいる近未来である。だからこそ、いま中期目標の旗を振ることが求められているのだ。

(後略)

(C)朝日新聞 2008年6月30日


今般のサミットで主要議題になることははじめから解っていた「2050年までにCO2排出量を半減させよ」というストーリーが出鱈目であることについては以前にも取り上げました。が、少し書き漏らしたこともありましたので、ここで書き加えておきたいと思います。

温暖化人為説を唱える人達は、人類が「膨大な量」のCO2を排出しているため、大気中のCO2濃度が上昇しているのだと言い張ります。が、当然のことながら自然界からも大変な量のCO2が放出されています。人為説論者達は決して自ら口にすることがないので、大衆メディアでも伝えられることはまずありませんが、地球の大気へ放出されるCO2のうち、人為的なものの割合はどれくらいになるか皆さんご存じでしょうか?

人類が1年間に排出しているCO2は炭素換算で約63億tとされていますが、これは自然界から放出されるCO2も含めた総トータルに対してわずか3%程度に過ぎません。63億tという数字だけを扱うことによって「膨大な量」というイメージを刷り込んでいるに過ぎず、人類の営みなど自然界のそれに比べたら微々たるものでしかないというのが実態です。

IPCCや日本の国立環境研究所などはこの3%程度でしかないCO2排出量を半分以下に減らして1.5%程度にすれば気候変動は回避され、このまま放置すれば取り返しの付かない気候変動が進行すると豪語しているわけです。

ご存じのように、自然界は機械仕掛けのようにキッチリと巡っているわけではありません。ちょっとした揺らぎで数%くらいの変動は日常的に繰り返されています。が、彼らは僅か1.5%程度に過ぎない極微細な変動であっても、人為的なものだけは許容されず、暴走状態に陥る可能性を示唆しているわけです。私には荒唐無稽な作り話としか思えません。


私の個人的な印象から言わせて頂きますと、この出鱈目なストーリーは「CO2の排出枠」という名を借りた「化石燃料の消費枠」、すなわち、工業生産能力に決定的な影響を及ぼす「エネルギー分配の枠組み」を固定するための方便というような気がします。

ある年を基準に何%削減するといった方式でCO2の排出枠(=化石燃料の消費枠)を決めようとする現在のやり方では、必然的に基準となる年にたくさんCO2を排出している(=化石燃料を消費している)国、すなわち先進国にとって有利な状況となります。

人口減少(=国力低下)の傾向に頭を抱えている西欧先進国や日本などが先導役となって、新興工業国や発展途上国に追いつき追い越されることのないよう、自分たちに有利なエネルギー分配の枠組みを策定するパワーゲームを展開しているのではないか?地球温暖化問題はそのためのツールではないか?と思われるわけです。

CO2の排出削減が目的なのではなく、ジリ貧を懸念する先進国が保身のために不平等な世の中の仕組みを作ることが本当の目的なのではないかと考えれば、科学的根拠が矛盾だらけの政策指針をゴリ押ししようとするのも不自然には感じられなくなります。

IPCCが繰り出してくるデータも単なる数字合わせに過ぎず、政治的に都合の良いそれを御用科学者達に纏めさせた結果に過ぎないのではないかと考えれば、出鱈目であっても何の不思議もありません。古今東西を問わず、政治家や官僚たちがこうした茶番を繰り返してきたのは歴史の事実ですし。

もちろん、これは私の勝手な憶測に過ぎませんけどね。

(つづく)
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テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

プリウスに自転車を積む

当初の目的からして、このために買い換えたクルマです。いえ、それならステーションワゴンやワンボックスなどのほうがもっと積載能力は高いのですが、昨今の燃料価格の高騰から少しでも燃費の良いクルマということでコレにしたというお話は以前にもしましたね。

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横倒しなら後部座席を畳むだけで何もせずに積めます。ま、これは商談を始める前に試乗車で実際に試させてもらいましたので、初めから解っていたことです。もちろん、これでは極めてスペース効率が悪く、後部座席の足下や助手席くらいしかものを置く場所がなくなります。そこで、車内積載用のキャリアを導入しました。

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カブトのというメーカーの1台用車載スタンドで、外したホイールも纏めておける点を買いました。もちろん、寸法を計算してどうのこうのと検討した上で選んだわけではありません。仮に寸法上は車内に収まる範囲でも、実際には積んだり下ろしたりする際にハッチゲートの開口部を通過できないとか、色々ありがちです。なので、こういうものは実際に試してダメなら改造するとか、現物合わせで対応するのが一番です。ま、多少ギャンブルにはなりますけどね。

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ということで、条件付きながら収まりました。その条件とは以下の三点です。

(1) プリウスは後部の天井が低いため、サドルはポストごと抜かなければ入らない。

(2) ハッチゲート開口部も低く、ホイールを立てて通過させることが出来ないため、ホイールは後部座席横のドアから出し入れしなければならない。

(3) やはりハッチゲート開口部が低く、デフォルトではシートチューブの上端がつかえてしまうため、後輪車軸を受ける部分の高さを下げなければならない。そのためキャリアの一部に切断・穴あけ加工が必要。

ステーションワゴンなどならホイールを外して車外で全部キャリアにまとめて固定し、そのまま滑り込ませて荷締め器で固定して終わりといった感じになるでしょう。が、プリウスの場合は後部の天井の低さとハッチゲート開口部の低さゆえ、積み下ろしする度に上記(1)と(2)を繰り返さなければならない不便があります。ま、(2)に関しては車内に積み込んで横からホイールをセットすればよいだけのことですから、さほど手間が増えるわけでもありませんが。

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内張りが明るめのグレーですから、タイヤを擦ると一発で汚れてしまいます。が、天井が非常に低いので、内張りに触れさせないよう取り扱うのは殆ど不可能です。なので、カバーは必須です。ただ、クリアランスが殆どないゆえ、ホイールがつかえて転倒するということが物理的にあり得ません。固定するとしたら前後左右へ滑らないようにすることくらいですが、キャリアの底には滑り止めのラバーも貼られていますので、それがない後部の横滑りを荷締め器で固定してやれば充分でしょう。

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その荷締め器のベルトを通すループ(業界でいうところの丸環フック)が付いているのは良いことですね。プリウスにはラゲッジスペースの四隅に設けられていますが、こういう何気ないものでもあると大変便利に活用できます。

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かなり前方に迫りますが、前席に干渉するほどではありませんので、自転車を2台積んで2人で移動することも充分に可能です。自転車の後ろや後部座席足下のスペースにも荷物を積めますから、自転車を積んで旅行にいったり、レースに出たりといったことも2人までなら余裕で対応できそうです。

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また、高さはないものの奥行きは充分にありますから、1人なら車中泊にも対応できそうです。前席側に足を伸ばすと、私の身長(169.5cm)ではふくらはぎの下の方(アキレス腱の上の方)くらいから畳んだ後席からはみ出ます。が、完全に横になっても頭がハッチゲートにつかえたり、つま先が前席のバックレストに触れたりしません。マットレスでも敷けばちゃんと寝られるベッドスペースになるでしょう。

まだMTBでは試していませんが、泥だらけになったそれを車内に積むのはかなりキツイものがあります。積む前に水タンク付のポータブル洗車機などで洗えば良いのかもしれませんが、そこは諦めてルーフキャリアを導入するほうが現実的かも知れませんね。

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

お門違い (その3)

クルマを維持するには租税公課の他にも点検整備などのコストがかかります。が、そこに生じる収益の殆どは整備工場や部品メーカーなどにとどまるもので、自動車メーカー本体に返ってくるものではありません。特に販社の採算にはランニングコストにかかる収益が重要な柱になっています。

また、部品メーカーが自動車メーカーへ供給する部品は極めて薄利です。逆に、修理などで部品を単品供給する際にはちゃんと利益が載せられています。また、輸送コストも単品のほうが遙かに割高ですし、流通マージンもかかりますから、結構な金額になります。

余談になりますが、私はトヨタ部品共販でトヨタの純正部品を直接買い付けたことがありますが、「クルマ1台を構成する全ての部品をここで買ったら、新車何台分の価格になるのだろう? さらに組み立て工賃を取られたらエライことになるな」と思ったほどでした。ま、相手を選んで値引きの掛け率なども違ってくるのでしょうけど。(トヨタ部品共販の場合、私のような単発的な取引相手には代金を先に払い込まなければ注文すら受けてくれないという厳しさでした。)

それだけ部品メーカーも激烈なコストカットの中で何とかやりくりして、自動車メーカーへ部品を供給しているということですね。

例えば、ヴィッツクラスのダンパーの工場原価は1本500円ほどだそうです。アフターマーケットで売られているサスペンションキットは如何に高性能とはいえ、平気でその100倍くらいの値段が付いています。なので、俄には信じがたいことかもしれませんが、日本の自動車メーカーはそうした厳しいコスト管理で世界一の競争力を維持し、部品メーカーがそれを支えているわけです。

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Suzuki Alto Van

日本車の国内最低価格はこのクラスになるでしょうか。車両本体価格は税抜きで69万円ですが、3速オートマチック、AM/FMラジオ、マニュアルエアコン、さらには運転席と助手席にSRSエアバッグ、キーレスエントリーまで装備されています。マニュアルシフトでキーレスエントリーなしなら、さらに65,000円ほど安くなります。

「クルマは100万円以上かかる買い物だと誰が決めたのだろう。」などと無思慮な言いがかりを付けられていますが、日本では諸費用を除けば70万円ほどでこれだけ立派な新車が買えるんですね。このクルマは4ナンバーの商用車登録になりますから、租税公課も幾分安くなりますので、諸費用込みでも85万円前後といったところでしょう。これを企業努力といわずして何というのでしょうか?

しかし、産経新聞の早坂礼子はあのコラムをこう結んでいます。

主力の北米市場の景気が減速しているうえ、円高傾向の為替レートや、鋼材など原材料費の高騰などで自動車各社の業績は今後、悪化が避けられない。それでも利益は少なくないはずだ。もうけた分は株主や社員だけでなく、市場創造で消費者にも返してほしい。


彼女の発想は「自動車メーカーはたくさん儲けているのだろうから少しは還元しやがれ」といったところなのでしょう。しかし、最も業績の良いトヨタとて、全世界の年間生産台数900万台強に対して純利益は1兆6500億円弱でしかありません。つまり、百万~何百万円という価格帯の商品を売って1台平均18万円そこそこしか儲けていないわけです。率を見れば決して大きいとはいえないでしょう。

自動車メーカーは1台売ってこの程度の利益しか得ていませんが、国や地方自治体などの税収はこの何倍にもなります。例えば、クルマを購入するときにかかる租税に取得税と消費税がありますが、各々車両価格の5%にもなります。(軽自動車の取得税は3%です。また、低公害車や福祉車両なども取得税が減免されるケースがあります。)

もう少し具体的に考えてみましょうか。例えば、車両本体価格180万円の小型乗用車が新車で1台売れたとしましょう。このとき、取得税9万円、消費税9万円が発生しますから、行政には合計18万円の税金が入り、最も業績の良いトヨタの収益1台平均と同じ分だけイニシャルで搾取することになるわけです。

ランニングのほうはさらに大変です。例えば、1.5超~2.0リッター以下のガソリン車、燃費は15km/L、これを買って10年間、毎年1万km乗ったとしましょう。この場合、10年間の自動車税は39万5000円、重量税は7万5000円、10万kmを15km/Lで走ると消費するガソリンは約6666リットルになりますから、ガソリン税は35万8630円になります。つまり、この例で考えますと、行政は10年間で83万円近い税収を得ているわけです(いずれも現在の暫定税率が維持された場合の計算結果です)。

上記2例を全部合計しますと、100万円を超えるレベルに達します。この例で考えれば、最も業績の良いトヨタの1台平均の利益を5倍以上も上回る税収を国と地方自治体は得ているということになるわけですね。しかも、上述のように自動車メーカーは部品メーカーに血の滲むような努力を求めてコストダウンさせるなど大変な葛藤の上で1台平均たったの18万円ですが、行政は何の努力もせず自動的に入ってくる100万円です。

こうしてみれば、自動車メーカーの利益と国や地方自治体の税収、どちらを還元させるべきかは火を見るよりも明らかでしょう。

もちろん、税金は還元するために徴収されることになっています。が、必ずしもそうなっていない現実は誰しもが認めるところでしょう。例のマッサージチェアやカラオケセットなど言語道断ですが、道路整備の名目でも様々な利権がうごめき、官僚の天下り先を作るためのバラマキになっているケースが少なくないという実態も皆さんよくご存じかと思います。

しかも、今年の5月13日に出された『道路特定財源等に関する基本方針』(←リンク先はPDFです)には、取得税や重量税、ガソリン税などの道路特定財源が2009年度から一般財源化されることが明記され、自動車の利用には全く無関係なことにこれら税金の一部が使われることが閣議決定しているのです。

最後にもう一点、彼女はニートやワーキングプアなどの問題にも言及していましたが、もし、ニートやワーキングプアに無償で新車を与えても、多くの場合は維持費を捻出することもままならないでしょう。これは誰がどう考えても新車価格云々の問題ではありません。こうした貧困層や不就労者の存在を社会的にどう克服していくかの問題です。

MSN産経ニュースの『【早坂礼子の言わせてもらえば】激安価格のクルマを作れ』というコラムは、日本国内の乗用車マーケットを全く理解せず、根本的な問題点を履き違え、自動車メーカーに対して無意味で一方的な注文をつけているに過ぎません。私に言わせてもらえば、このコラムは全くの「お門違い」です。

(おしまい)

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お門違い (その2)

タタ・モーターズが超低価格車のナノを開発した一番の思惑は「モーターサイクルのユーザーを取り込みたい」というものです。この辺は先進国でモータリゼーションが起こった頃と非常に良く似ています。例えば、先日訪れたトヨタ博物館にはこんなチープカーもありました。

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Flying Feather

1954年(昭和29年)に日産系の車体メーカーだった住江製作所が製作した軽自動車です。19インチのスポークホイールはまさにモーターサイクル用のそれで、自社製のV型2気筒350ccエンジンは12.5psでした。フライングフェザーというその名の通り、徹底的に軽く作ることで非力なエンジンでも何とか自動車として成立させようとしています。

しかし、こうしたチープカーも商品であるからにはマーケットに受け容れられなければ商業ベースに乗りません。2座でフロントブレーキも省略され、特にモーターサイクル用のホイールからくる貧相な印象は、やはり理解されませんでした。フライングフェザーの総生産台数は200台弱、販売台数はわずか54台にとどまりました。ま、早々の生産中止は同社の経営悪化も要因の一つではありましたが、このクルマがそれなりに売れていれば同社の救世主となっていたに違いないでしょう。

タタ・モーターズが主要な購買層としてモーターサイクルのユーザーをターゲットにした超低価格車を企画したのは、こう考えたからかも知れません。

普通に低価格車を作っただけでは、インドでそのクラスの圧倒的なシェアを握っているスズキと勝負にならない

モーターサイクルはエアコンもラジオも、自動車に装備されているあらゆるものがありません。モーターサイクルからの乗り換えならば、「ないない尽くしのチープカー」でも売れる公算があります。4人乗れるとか、悪天候の日でも苦にならないといった点だけでも、こうしたマーケットには訴求力があるでしょう。だからこそ、構造を思いっきりシンプルに、最低限のもの以外は大胆に切り捨て、大人が4人乗れる実用的な超低価格車を開発したのだと思います。

しかし、難関は沢山あります。中古車と競合するのもそうですが、やはり昨今の原油高の影響はインドとて免れるものではありません。

これまではインド政府の補助でガソリンの値上げが抑えられてきたそうです。が、それでもこの原油高に抗うことは難しいようで、今月5日にインド国営石油会社3社が大幅に値上げを行っています。となれば、如何にシンプルで軽量なナノでもモーターサイクルレベルの燃費など望むべくもありませんから、ランニングコストの面で訴求力が大きく削がれることになります。

実際、タタ・モーターズのラビ・カント社長も「燃料の値上がりがナノの需要に水を差す恐れがある」とコメントしています。この秋に予定通り発売されれば世界一安い乗用車となるナノも、結局はランニングコストが大きな障壁になる懸念が高まっている状況なんですね。

ところで、私は現在の日本の自動車マーケットで問題になっている「若者のクルマ離れ」の傾向には趣味嗜好の変化が大きく関わっていると見ています。私が幼児の頃には、カー、クーラー、カラーテレビは俗に「3C」とか「新三種の神器」などと呼ばれ、一定の生活水準にある庶民にとっても生活必需品とみなされ、持っていないと恥ずかしいと思われるような風潮すらありました。

しかし、今日にあっては、デジカメ、DVDレコーダー、薄型テレビをメーカーや広告代理店やメディアなどが「デジタル三種の神器」などとはやし立てても、マーケットの反応はかなり冷ややかです(私もデジカメは3台持っていますが、テレビ番組の録画はパソコンを使っていますので、DVDレコーダーは持っていません)。

しかも、昨今は環境意識の高まりから(その大半はイメージ先行のエセエコですが)、特に都市部にあってはクルマを利用しないほうが良いとする風潮も年々強まっています。その一方で趣味も多様化していますから、「クルマ以外にお金をかけたい」「自分のライフスタイルにマイカーは必要ない」と考える人も増えているように思います。また、それに応えるようにレンタカー会社などがカーシェアリングのプランを提案し始めています。

クルマが「買えない」のではなく、それ以外の趣味がクルマの魅力に勝っているから「買わない」人達に安いだけのクルマを提案するのは却って逆効果です。場合によってはチープカーの存在がクルマ文化全般のイメージを低下させかねません。

もし、「クルマ離れ」の問題を経済的な理由だけで考えるのであれば、その最大の要因はクルマ本体の価格によるものより諸経費、とりわけ維持費の高さにあると見るべきでしょう。

自動車税、自動車取得税、自動車重量税、消費税及び地方消費税、揮発油税及び地方道路税(いわゆるガソリン税)もしくは軽油引取税、自動車損害賠償責任保険料、自動車リサイクル料等々、一つの商品にこれだけたくさんの租税公課がかかるなど他に殆ど例がないでしょう。取得税と消費税、リサイクル料はイニシャルでかかるのみですが(燃料にかかる消費税は除きます)、他は自動車を維持する間、ずっとかかり続けることになります。

多くの人に自動車を保有させたいというのなら、まずはこれらを整理して減額することを望むべきでしょう。また、都市部にあってはアホほど高い駐車場料金が安くなるような方策を考えることのほうが、車両本体の価格を抑えることを望むより遥かに重要です。

(つづく)

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お門違い (その1)

MSN産経ニュースにこんなアホなコラムがありました。

【早坂礼子の言わせてもらえば】激安価格のクルマを作れ

(前略)

地方在住者にとってクルマは通勤や買い物に欠かせない生活必需品だ。

 そのクルマが売れていない。2007年の国内販売は前年比7・6%減の343万台。軽自動車を含めても6・7%減の535万台だった。この傾向は今年に入っても変わらず、4年連続で前年割れする見通しだ。ピークだった1990年の777万台の4分の3の規模である。新車の保有期間もバブル前は平均5年だったのに、ここ数年は7年ほどに延びている。

 ことに若者のクルマ離れが著しい。自動車ディーラーに聞くと来店客は家族連れがほとんど。ニートやワーキングプアの増加で、携帯電話の通信料を払うとクルマのローンを組めない若い人が多い。原油高騰でガソリンは上がるばかりだし、駐車場や税金など維持費も高い。欲しくても買えないのだ。

(中略)

インドではタタ自動車などが10万ルピー(約30万円)のクルマを開発している。インドで30万円のクルマが作れるというのなら、どうして日本国内でも作って売る努力をしないのか。クルマは100万円以上かかる買い物だと誰が決めたのだろう。ユーザーは富裕層ばかりではない。ちゃんと走って曲がって止まる足代わりで十分という人は多いはずだ。シンプルで燃費の良いクルマを激安価格で提供できないものか。バターやカップ麺と値上がりばかりの時代だからこそ、質がよくて安い商品を提供するのがメーカーの社会的使命ではあるまいか。

(後略)

(C)MSN産経ニュース 2008年6月17日


これを書いた記者は産経新聞で経済部の次長も務めたそうですが、どう考えても頓珍漢なコラムですね。

そもそも、新車が売れない最大の理由はクルマを持たない(持てない)人が増えているからではありません。何故そういえるのか? 自動車の保有台数は現在も増え続けているからです。財団法人自動車検査登録情報協会の自動車保有台数統計データによりますと、国内の乗用車(軽自動車を含む)の保有台数は今年3月末の時点で5774万4029台ですが、2年前は5727万6651台でした。この2年間で46万7378台も増えているんですね。

新車が売れない最大の理由は代替えサイクルが伸びているからに他なりません。その理由は色々あるでしょうが、現在のクルマは10年くらい普通に乗れます。バブル前といえば20年以上も前のことですから、クルマのクォリティも現在と同レベルだったわけではありません。もちろん、ユーザーの価値観も当時とは違っているでしょう。二昔も前のことを基準にして考えるほうがおかしいのです。

また、タタ・モーターズのナノは販売予定価格が30万円程度と、驚異的な低価格車ですが、これに追従するようなクルマを作って日本でも売れというのは、日本の自動車マーケットを全く理解していない暴論です。

日本には30万円以下でもナノとは比べ物にならないほど良く走り、装備も充実している中古車が掃いて捨てるほどあります。いえ、その半分くらいの価格でもちゃんと走る中古車はいくらでもあるでしょう。一方、約30万円に価格設定されているナノのベーシックモデルにはエアコンやカーラジオはおろか、助手席側のバックミラーさえありません。つまり、日本の公道を走るための保安基準を満たしていないのです。恐らく、排出ガスや衝突安全性も日本の基準を満たしてはいないでしょう。

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Tata Nano
タタ・ナノ、ヨーロッパへ?」と題したエントリの使い回しで恐縮ですが、
ナノのベーシックモデルは助手席側のドアミラーが省略されています。
インドではバックミラーなど殆ど見ないから必要ないという判断によるそうです。


日本の保安基準、排ガス基準、衝突安全基準などに対応してもなお、30万円程度の低価格に抑えるなど無理なハナシだと思います。が、よしんばこれらの問題をクリアできたとしても、マニュアルシフトのクルマなど、現在の日本ではあえてそれを望む人以外にはなかなか売れるものではありません。まして、エアコンのないクルマなど見向きもされないでしょう。

要するに、これだけ充実したクルマが溢れ返り、中古車ならオートマでエアコンもよく効くクルマがナノなどより安く手に入る日本にあって、日本の自動車メーカーが「ないない尽くしのチープカー」など作る意味がないのです。

(つづく)

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日本にもあった (その2)

どう考えても怪しいジェネパックスの「水で走るクルマ」ですが、その発電システムの原理についてほんのさわりだけ日経BPnetで報じられていました。

ジェネパックスが水素生成のメカニズムを明らかに

(前略)

 金属または金属化合物には常温で水と酸化反応する金属を使っているとする。水と反応する金属はLiとNa、Mg、K、Caなどがある。今回発表したシステムの特徴はこの金属または金属化合物の反応性を制御して長時間に使うことを可能にした点にあるという。

 今回披露したシステムはMEA(膜/電極接合体)の燃料極内部にこうした金属や金属化合物をゼオライトなどの多孔質体に担持しているとする。水素生成反応による生成物は水に溶解し、システム中の水とともに排出される。反応が終了すれば、水素の発生も発電もストップする。

(C)日経BPnet 2008年6月16日


要するに、水を金属と化学反応させて水素を取り出すということのようですが、前回ご紹介した説明図にはインプットが「水」と「空気中の酸素」だけしか書かれていませんでしたから、全くハナシが違ってきましたね。しかも、こんな技術なら以前からありましたし。例えば、2006年に日立マクセルが水とアルミを水素発生源とした燃料電池を開発しています。

水とアルミニウムを水素発生源とした燃料電池を開発
~10ワット級の燃料電池をモバイル電源で実証~


 日立マクセル株式会社(執行役社長:角田 義人)は、水とアルミニウムとの反応による水素発生システムを確立し、このシステムを水素発生源とした燃料電池を開発いたしました。さらにこの燃料電池を使用した10ワット(W)級モバイル電源の開発に成功し、ノートPCを動作させることができました。

(中略)

 今回開発した燃料電池は、10~100W級の電源として用途の検討を進めています。今後、実用化に向けてさらなる開発を進めてまいります。

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(C)日立マクセル 2006年4月24日


こうした水素発生システムは金属を消費します。日立マクセルのアルミと水を水素発生源とした固体高分子形燃料電池(PEFC)も1gのアルミから1.3リットルの水素を発生させるもので、アルミを消費しています。

しかし、アルミを得るにはアルミナ(酸化アルミニウム)から酸素を取り除く際に電気分解を行うため、膨大な電気エネルギーを必要とします。アルミが「電気の缶詰」と呼ばれるのはそれゆえなんですね。なので、アルミと水を反応させて最終的に電気エネルギーを取り出すという発電方法が有効な技術といえるのか、かなり微妙になってきます。

日立マクセルはアルミ廃材をリサイクルするなどの構想も練っているようですが、アルミをリサイクルするならそのまま金属素材として再利用したほうがエネルギー効率としては良いのではないか?という懸念もあります。実際、アルミは現状でも非常にリサイクル率の高い金属ですし。ま、この辺はきちんとLCA的な手法でエネルギー収支を検討しなければ最終的な評価を下すわけにはいかないでしょうけど。

いずれにしても、エネルギーを取り出すことができる物質というのは、その状態へ至る過程に(人為的か自然由来かは別として)何らかのかたちでエネルギーが投入されています。その点を無視して「環境負荷のない未来のエネルギー源」などと甘い言葉で宣伝されるものは、まず疑ってかかるべきです。

ということで、ジェネパックスの「ウォーターエネルギーシステム」が日経BPnetで報じられているとおりの原理ならば、水と化学反応させる金属の調達コストや全体を通じたエネルギー効率が本当に優れているのか否かという部分こそが重要になるわけで、「水を用いる」という部分だけを取り出して語るのは全くのナンセンスです。

しかし、ジェネパックスの説明資料(←リンク先はPDFです)を見ても「給水するだけで電気エネルギーが取り出せる」としか読めないような書きぶりになっています。水と化学反応させる金属を消費するとか、そのコストはどうだとか、その金属を得るために投入されるエネルギーと発電によって回収できるエネルギーの収支はどうなっているとか、そうした最も肝心な情報が完全に抜け落ちているんですね。(ま、コストやエネルギー収支については日立マクセルの広報にも書かれていませんが。)

また、前回のエントリに貼り付けた質疑応答のVTRの中で、「地球上から水が無くならない限り永久に電気を生み出す可能性のある技術ということですか?」という質問に対して代表者の平澤潔は「そういうことだと思います、はい。」と答えていますが、これは日経BPnetの記事と大いに矛盾します。彼がVTRで答えた通りなら永久機関に相当しますからペテンになるでしょうし、日経BPnetの記事が正しいならこのときの彼の発言は大ウソになります。どちらにしても、こんな出鱈目を真に受けるなど愚かなことです。

それにしても、『ワールドビジネスサテライト』によるレポートは実に間抜けでした。原理の確認やエネルギー収支がどうなっているのかという、重要な問題は全てスルーし、キャスターたちはピンボケなコメントに終始しています。何とも情けない限りですね。ま、元々大したレベルの報道番組ではありませんが(メインキャスターの小谷真生子などいつも頓珍漢なことを言ってますし)。

以前、「猫がムササビになる未来像を信じる人たち」と題したエントリでも書きましたが、子供の「理科離れ」などよりも、メディアのこの救いようのない「理科オンチ」のほうが遙かに危機的な状況にあると思います。

(おしまい)

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日本にもあった (その1)

これまで都合8回も書きましたので、MDIのエアカーついて言いたいことはだいたい言い尽くしました。現段階でMDIの代表者であるギー・ネグレという人物をペテン師と断定することはできないかも知れません。が、私は極めてそれに近い匂いを感じています。

と思っていたら、日本にもありましたねぇ。非常によく似たハナシが。

water-car.jpg
ベース車両はタケオカ自動車工芸が輸入している
レーバーというアメリカの電気自動車です。


これは株式会社ジェネパックスというやはり怪しげなベンチャー企業が製作したもので、そのエネルギーの源は「水」だと豪語しています。次から次へとよくもまぁ同じような胡散臭いハナシが湧いてくるものです。

で、この「水で走る」という実に訝しいクルマはテレビ東京系の経済報道番組『ワールドビジネスサテライト』でも紹介されたようです。



水から電気をつくり、その電気で走る電気自動車ということだそうですが(ま、ベースになっているレーバーがそもそも電気自動車ですが)、どうやったら水から電気をつくることができるのでしょうか? 彼らの資料はこうなっています。

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曰く、水を化学反応で分解して水素を発生させ、その水素を燃料電池の要領で酸素と反応させ、電気エネルギーを得るのだそうです。

この水を分解して水素を発生させる化学反応が具体的にどのようなものかは「企業秘密」だそうですが、私の性分ではハイそうですかと鵜呑みにすることなどできません。代表者の平澤潔という人物とプレスとの質疑応答を収めたVTRもYouTubeにアップされていましたが、質問しているプレスがアホ揃いなので全く無意味な内容でした。



それにしても凄いことを言ってますねぇ。一度使った水はフィルターを通してリサイクルしているので、蒸発した分を継ぎ足すだけだと。このハナシを聞いた限りでは完全に永久機関になってしまうでしょう。

しかし、「水と空気中の酸素だけ」というのはやはりウソだったようです。

(つづく)

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11speed

5回に及ぶ連載をはじめた直後に飛び込んできたニュースでしたので、完全に乗り遅れた感じになりましたが、カンパニョーロの次期モデルで11s化がスクープされましたね。また、「スーパーレコード」の復活もちょっとした話題になっているようです。

11s_ergo-power-levers.jpg
これまた有機的なデザインへ変貌を遂げましたが、
マヴィックのメカトロニックっぽいとの声もあり、
外観に関しては79デュラのそれよりずっと苛烈な
賛否両論を巻き起こしそうな雰囲気です。


個人的にはカンパは縁遠い存在ですので、すぐにどうこうということもないと思います。また、私の場合は諸般の事情で10sへの移行もかなり遅めでした。確かに、「ここの間にもう1枚欲しい」と思うシーンもありますが、走る条件に合ったカセットをチョイスできていれば9sでも何とかなっていましたし、そもそも私がロードレーサーに乗り始めた当時はプロもみんな6sで走っていましたし。

もっとも、それは四半世紀くらい前のハナシですから、いまとは時代が違うといわれれば、まさにその通りです。6×2でトータル12sだった時代を思えば、リヤだけで11sというのは確かに凄いことだと思います(シマノは試作だけならもっと段数の多いものもテストしているそうですが)。ま、10sが出てきたときもそうでしたが、「本当にこの段数アップは必要なのか?」という議論も、そのままあの時のリピートになっているようです。

ところで、シマノの日本語サイトにある79デュラのクランクセットの概要にはこのような一文もあります。

●ギアを改良、チェーンとの接触を解消
CN-7900チェーンとの組み合わせにより、2x10speed すべてのギアがストレスなく使用可能に。


これまでタブー視されてきたインナー×トップ、アウター×ローも全部使い切れることを売り文句にしているようですから、「カンパのリヤ11sより実質的に使えるギヤは多い」という意見もあり、既にネット上ではカンパ派とシマノ派の間で論争になっているようですね。

シマノは以前からフロントの変速性能に自信を持っていましたから、トリプルを推すなどリヤの段数アップよりフロントの活用を重視してきたようなフシもあります。結局79デュラでフロントトリプルは諦めたようですが、今般のチェーンリングの改良も、いわれてみれば確かにその通りで、下手にリヤの枚数を増やすより良い結果が得られる可能性もあります。

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もちろん、11枚のスプロケットが連なっています。
カンパは10s化したとき、スプロケットの厚さを9sと同じまま据え置き、
スプロケットの間隔を狭め、チェーンもそれに対応させました。
が、さすがに今回はそういうわけにもいかないでしょう。
構造面が窮屈になれば、様々な点で要求がシビアになると思いますが、
実際はどうでしょうか?


段数が増える度に言われるのが信頼性や耐久性の問題ですが、この辺はまだ何とも評価し難いところでしょう。もうすぐ始まるツール・ド・フランスでカンパの11sが本格的にテストされるのは間違いないと思いますが、シマノの79デュラも全く同様です。今年のツールは2大コンポメーカーの争いもメディアを賑わすことになると思いますので、その辺も注目したいですね。

もし、カンパに続いてスラムも11sへ移行するとなれば、マーケットの流れは一気にそちらへ向かうでしょう。が、スラムもレッドを出したばかりですし、スラムの10sは(79デュラを除き)シマノ互換ですから、カンパ互換で11s化するか、独自規格でいくかの判断もすぐに出せるのか、かなり微妙な気がします。シマノはしばらく様子見を決め込むでしょうから、11s化が潮流に乗るか否かは案外スラムの動きが鍵を握るかも知れません。


ここからは余談になりますが、多段化の究極はやはり無段階変速でしょう。自動車の世界では(特に小型車では)もはや珍しくも何ともありませんし、モーターサイクルでもかなり以前から商品化されてきました。

では、自転車用はどうでしょうか?

実はこれも既に実用化されています。例えば、ヌヴィンチというリヤハブ内装のトロイダル式CVTは、実際に商品化もされているようなんですね。もっとも、こういう摩擦車は伝達効率も良くないでしょうし、重量面も気になりますし、レース用としてはまだまだ現実的な段階ではないと思います。ま、将来的にもそうしたステージに上ってくるか微妙な気もしますが。

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その5)

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Toyota 7

従前の日本グランプリはFIAのマニファクチャラーズ選手権、つまりル・マン24時間を中心に据えた耐久レースに準拠するレギュレーションでした。が、1968年に突如としてCAN-AM(カンナム)シリーズに準拠するレギュレーションへ変更されました。そのため、主役だった日産やトヨタといったワークスチームをはじめ、各コンストラクターは対応に追われたそうです。写真のトヨタ7もこれに対応したマシンで、5リッターV8をさらにツインターボで過給するエンジン(一説には800psとも)が搭載されています。

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CAN-AMシリーズというのは、正式名称を「カナディアン・アメリカン・チャレンジカップシリーズ」といい、1966年からアメリカとカナダで開催されるようになったレースです。賞金総額も当時の世界最高を誇り、最も人気を博したイベントでもありました。グループ7の排気量無制限という現在では考えられないレギュレーションだったゆえ、1000馬力を超えるポルシェ917などのモンスターマシンが活躍していたんですね。

恐らく、こうした弾けっぷりから興行的にも隆盛を極めたCAN-AMシリーズを横目で見て、日本でもこれに続こうといった思惑が働いたのかも知れません。が、1970年に日産は排ガス規制の対応に専念するといった理由から撤退、トヨタもこれに続きました。

また、トヨタワークス関しては自工と自販の2チーム体制でしたが、ドライバーが死に過ぎました。1965年に鈴鹿で浮谷東次郎がこの世を去り、1969年にはヤマハのテストコースで行われていたテスト中、当時絶大な人気を誇っていた福沢幸雄(福沢諭吉の曾孫)が亡くなりました。1970年にも川合稔が鈴鹿で命を落としています。こうした暗い影もレース活動の継続には重い十字架となっていたような気がします。

トヨタ7はそういう意味で時代の徒花だったかも知れません。が、それ故トヨタのモータースポーツ史上、最も伝説的な1台になったといえるかも知れません。


さて、今回は6GBのマイクロドライブを持って行きましたし、時間もたっぷりありました。なので、展示車両すべてを撮影し、述べ720枚を超える写真があります。これまでご紹介したのはほんの極々一部ですが、このままのペースで続けていけばキリがありませんので、いい加減総括して終わりにしようと思います。

タイトルにもあるように「フェラーリもポルシェもない」などと散々文句を垂れましたが、こうした博物館運営という文化活動を20年近くも継続してきたのは非常に意味のあることだと思います。

同館は昨年4月にオープンからの入場者数が400万人を突破したそうですから、毎年の平均入場者数は22万人程度になります。仮に全ての入場者が割引なしの大人料金(1000円)だったとしても、これまでの入場料収入は42億円そこそこといったところでしょう。もちろん、実際にはもっと少ないのは間違いありません。

経済誌『財界』の元記者で経済評論家の梶原一明がオープニングセレモニーのとき豊田英二に「建設費はどれくらいかかったの?」と問うたところ、50億円との答えだったそうです。要するに入場料だけではドンガラの分もまだ償却できていないということですね。

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あれだけのビンテージカーを買い集めるのにかかった費用は見当も付きませんが、展示車両は基本的に動体保存ですから、全てではないにしても多くのクルマは実際にエンジンをかければ走る状態に整備されているといいます(実際、私が行った当日も数台が整備中で、写真展示になっていました)。

他にも施設の保守管理、案内スタッフや警備員の人件費、固定資産税等々、コストはかなりの額に上るでしょう。売店やレストランもありますが、その売り上げなどもたかが知れていますから、大した足しにはなっていないと思います。

こうしてみるとトヨタ博物館は独立採算ではなく、かなりの部分がトヨタ本体から拠出されているものと思われます。トヨタクラスの巨大企業にしてみれば、こうした企業メセナ(といえるほど純粋ではないかも知れませんが)を行っていくことは自慢するほどじゃないかも知れませんが、クルマを愛する者としては大変有り難いことだと思います。

実は私がここに訪れるのは今回で3回目です。展示内容は特別展を除いてあまり変わり映えしませんが、最後に来たのは6年前でしたし、それ以前も同じくらい間が空いていたと思いますので、その間に記憶もかなり薄れていきます。そういう意味でも丁度良いタイミングだったかも知れません。個人的には東京モーターショーなどよりずっと楽しめますしね。

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何年かして古き良き時代のクルマたちが恋しくなったら、またここを訪れたいと思います。

(おしまい)

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フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その4)

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Nissan Silvia (P311)

トヨタ博物館のコレクションは全般的にもの凄くキレイですが、この初代シルビアは特にキレイで、未登録のデッドストックがあったのではないか?と思ってしまうほど素晴らしいコンディションにレストアされていました。

それにしても、このスタイリングには惚れ惚れします。ドイツ系アメリカ人の工業デザイナー、アルプレヒト・グラーフ・ゲルツはBMW507のデザインでも知られていますが、彼が監修したとされるこの初代シルビアも珠玉の1台ですね。個人的には歴代の日本車の中でも屈指の美しさだと思います。

が、末代のシルビア(S15)はドリフト系御用達の酷く下品な姿に堕していきました。こんなスタイリングのクルマにシルビアの名を与えるとは、初代に関わった人達にとっては屈辱以外の何ものでもないでしょう。

ゲルツというと、フェアレディZ(S30)にも関与していたとする意見もあります。

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Nissan Fairlady Z (S30)

が、Zに関しては松尾良彦の手になるというのが定説です(ゲルツのスケッチを元に松尾が発展させたとの説もありますが)。初代シルビアに関しても木村一男によるものとされますが、これについては監修していたゲルツの影響力も決して小さくなかったと思います。

当時、ゲルツは日産のデザイン顧問でしたから、多くの日産車に関わっていたでしょう。カーデザインというのは一人で一から十までやるものでもなく、特に今日では総合的な取り纏め役のチーフデザイナーがチームを指揮するのが当たり前ですし、誰がどれだけ仕事をしたのかは外部になかなか伝わるものでもありません。

ところで、ゲルツはトヨタ2000GTも手がけたとする俗説が以前から根強くありました。そもそも、このスポーツカー開発プロジェクトは当時提携関係にあったヤマハと日産の共同で企画されたものでした。が、コスト面などの問題から破談となり、ほぼ時を同じくしてヤマハと日産との提携も解消、ヤマハは間もなくトヨタに接近するようになりました。

件のスポーツカー開発プロジェクトも提携先をトヨタに鞍替えして継続されたといわれています。そして出来上がったのがトヨタ2000GTで、もし日産がこれを投げ出さなければトヨタ2000GTとして世に出たクルマは日産フェアレディZ(S30)に当たるスポーツカーになっていたかも知れないという人もいます。

この流れで、日産とヤマハが共同で製作したプロトタイプをスタイリングしたのがゲルツだったのではないかという憶測から、最終的にトヨタ2000GTとして世に出たクルマもゲルツのデザインが元になっているのではないかという俗説が出来上がったようです。

しかしながら、最近になってトヨタ2000GTは同社の野崎喩によるデザインであることが公表され、当人によるデザイン過程についての談話も出されたことから、現在では「ゲルツ説」は否定されているようです。

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Toyota 2000GT

そのトヨタ2000GTも非常に素晴らしいコンディションで保存されています。このクルマが世に出るまでの経緯からして「ヤマハ2000GTというべきクルマ」とする意見もよく聞かれます。当事者であるトヨタもヤマハも詳しい分担内容は恐らく「大人の事情」で明かさなかったのだと思いますが、ヤマハの立場は表向き「技術供与」となっているようです。

ただ、個人的な印象としましては、史上最もトヨタ臭のしないトヨタ車といいますか、そもそもこんなクルマがトヨタのディーラーで売られていたなど、いまのトヨタの企業イメージからしてみれば信じられないハナシで、逆にヤマハの企業イメージから考えたほうがキャラクター的にはしっくり来るような気もします(あくまでも個人的な感想です)。

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いずれにしても、これほどのカリスマをいまのトヨタでは逆立ちしても創造し得ないでしょう。

(つづく)

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フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その3)

自動車博物館としては日本最大の規模を誇るトヨタ博物館ですが、常設展示が行われている155台(模型やモーターサイクルも含みます。四輪の実車だけなら120台くらいでしょうか?)のコレクションの傾向は私の感覚からしてみますとやはり偏っていると言わざるを得ません。

私たちの世代は小学生の頃にスーパーカーブームという洗礼を受けましたから、その頃が一つのピークになっています。なので、1960~70年代くらいの外国車、殊にフェラーリやランボルギーニといったイタリアのスーパースポーツは格別です。また、中高生になれば現実的にそう遠くない将来手が届きそうな存在だった日本車に憧れたものです。なので、80年代の日本車も私たちの世代にはかなりの訴求力があります。

当時の私はF2からF1へ至るホンダのモータースポーツ活動に熱狂していました(詳しくはこちら)。この頃に発売されたバラードスポーツCR-X・Siに搭載されたDOHCエンジンのヘッドカバーはF1などのそれとよく似た意匠で、それがホンダのイメージ戦略だということは薄々感じつつも、かなり興奮したものです。『モーターファン』の別冊、ニューモデル速報『CIVIC Si & BALLADE SPORTS CR-X Si ホンダDOHCのすべて』が発行されたのも1984年でしたが、当時中学3年生だった私は表紙がボロボロになるほどこれを繰り返し読んだものです。

しかし、トヨタ博物館の常設展示は戦前の外国車と、1970年代前半までの日本車というコンセプトですから、リアルタイムで憧れたクルマたちがスッポリと抜け落ちているわけです。

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Toyota Carolla Levin

今回は特別展でこのAE86が展示されていました(やはりデロリアンのアレと同じように、すぐ傍らには『頭文字D』の単行本が展示されていました)が、当時の私はアンチトヨタを標榜して憚らなかったんですね。このクルマはむしろ仮想敵の筆頭でしたから、個人的には特別な思い入れがありません。

強いていえば、PSソフトの『グランツーリスモ』を新規でプレイし始めたばかりの段階で手持ち資金がないとき、コレの中古車で地道に資金を貯めるといった格好でお世話になったくらいでしょうか?(『グランツーリスモ』をやったことのない人には何のハナシか解らないかも知れませんが。)


恐らく、トヨタ博物館の常設展示は私達の親やその少し上の世代の共感を呼ぶのではないかと思います。同館がオープンしたのはいまから19年前になりますが、その頃のトヨタのエライ人たちは私の親と同じくらいか少し上の世代でしたから、そうした意向が働いたのかも知れません。(あくまでも個人的な憶測です。)

この世代の人達が初めてクルマを持てるようになったのは1960~70年代くらいになると思います。そのせいか、トヨタ博物館のコレクションも、この当時の日本車はかなり充実しています。彼らにとってはノスタルジーに浸れる空間になっているでしょう。

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Toyota Corolla

この初代カローラは2ドアですが、私の父が初めて買ったクルマはこの4ドア版になります。ウチがこれに乗っていたのは私が生まれる前から幼児くらいまでの間でしたから、このカローラについては殆ど記憶にありません。その頃のアルバムを見ると写真に写っていることから、私にとっては何となく馴染みがあるといった程度の存在です。

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Isuzu 117 Coupe

これなどは私が小学生の頃もまだ生産が継続されていましたので、ハッキリと覚えています。この美しいスタイリングはベルトーネを離れてイタルデザインを立ち上げる前、カロッツェリア・ギアのチーフデザイナーを務めていた時代のジョルジェット・ジウジアーロの作品であるとか、初期のカタログ写真を撮ったのは篠山紀信だったとか、そうした蘊蓄は全て大人になってから身につけました。それでも、近所の月極駐車場にとめてあったこのクルマを見ては「カッコイイなぁ」と思ったものです。

特に初期モデルはリヤガラスからトランクリッドに連なる抑揚の効いた曲面構成が圧巻でした。これはセミハンドメイドだからこそ可能だったのでしょうけど、そのせいか少量生産のプレミアムスポーツカー並みともいえる供給体制で、月産わずか50台程度だったそうです。

当然、そんなクルマを安売りするわけにもいかず、クラウンが100万円そこそこ、スカイラインGT-R(C10系)が150万円くらいで売られていた当時、172万円もしたクルマでしたから、如何に特別な存在だったか解ります。ま、後に生産性向上のためにディテールを甘くして、大幅値下げされた後期モデルからたくさん売れるようになったわけで、ウチの近所にあったのも多分そちらだったと思います。要するに、コストダウンという「会社の都合」は今に始まったものでもないということですね。

(つづく)

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フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その2)

フェラーリもポルシェも常設展示されていないトヨタ博物館ですが、何とかそれに通じるものを見いだそうとなれば、やはりこれをおいて他にないでしょう。

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Volkswagen 38 Prototype

いまさら説明の必要もないでしょうが、クルマ好きで知られたヒトラーの国民車構想として企画され、ヒトラーお気に入りのエンジニアだったフェルディナンド・ポルシェ(それゆえ戦後にヒトラーの協力者と見なされ、戦犯としてフランス政府に収監されましたが)によって開発された銘車中の銘車ですね。

ちなみに、この国民車構想では国民がクーポンを購入して積立て、満額に達した者に車両を引き渡すシステムでしたが、この仕組みはホーネッカー体制下の旧東ドイツの国民車トラバントにそのまま受け継がれました。

ナチスの親衛隊によって走行テストが重ねられたフォルクスワーゲンですが、しかし第二次大戦の勃発によって計画は事実上破棄され、シュビムワーゲンやキューベルワーゲンといった軍用車両に応用されました。私たちがよく知るビートルの量産および市販はドイツの戦後復興に尽力したイギリス軍将校アイヴァン・ハーストがその価値を見いだしたからに他なりません。

フェルディナンドの息子フェリー・ポルシェがこのビートルをベースに開発したポルシェ356が今日の911へ受け継がれるパッケージングとなったのは皆さんもよくご存じのことと思います。

では、フェラーリに通じるものは何から見いだせば良いでしょう?

昨日のエントリで写真だけご紹介したアルファロメオなどもゆかりはあるでしょう。エンツォはあの当時、同社のワークスドライバーでしたし。でも、フェラーリが作ったクルマに通じるとしたら、この巨大なアメ車も外せないかも知れません。

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Packard Twelve

第32代米大統領フランクリン・ルーズベルトが乗っていたパッカードの大統領公用車です。物凄い体躯で3457kg(防弾装備を含む)という巨漢ゆえ迫力満点ですが、エンジンは7752ccのV型12気筒でたったの175psでした。

パワーウエイトレシオが20kg/psにもならんとする鈍くさそうなこのクルマの何がフェラーリに通じるのかといいますと、それはエンジンなんですね。GAZOO.comの名車館の解説にはこうあります。

実はこのV12ユニットには、イタリアのエンツォ・フェラーリとフェラーリ最初のエンジンを設計したジョアッキーノ・コロンボにも感銘を与え、彼らが自社のエンジンをV12とする決断に決定的な影響を与えたという有名なエピソードもあるのだ。


確かに、青年期のエンツォがパッカードに惹かれていたというのは有名なハナシですから、さもありなんといったところでしょう。ま、かなりこじつけっぽくなってしまいましたが、こういう歴史を踏まえていけば、ひと味違って見えてくるような気もします。


とはいいつつも、やはりスーパーカーブームの洗礼を受けた私たちの世代にとって、1960~70年代くらいの外国車が展示されていない空間は寂しいものです。で、色々調べてみましたら、Wikipediaのトヨタ博物館の項にはこう書かれていました。

第二次世界大戦後に製造された外国車は、スペースの関係で原則として常設展示されていないが、特別展の場合は展示されたり、JETRO輸入車ショールームなどへ貸し出されたりしている。


ま、いまはJETROのショールームも閉鎖されていますから、トヨタ博物館での特別展がメインで、たまに何かのイベントに貸し出されるといった感じなのでしょう。今回は「世界の名車展―あなたの大好きなクルマ、ここに集まる。」という特別展(2008年4月8日から9月28日まで)で「羨望の的となったスポーツカー」としてメルセデスベンツ300SLとデロリアンDMC-12(ガルウィングドアつながりということでしょうか?)が展示されていました。

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Mercedes-Benz 300SL

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De Lorean DMC-12

デロリアンというと映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のイメージが非常に強烈でしたから、やはりこういうライティングでそれっぽい演出になってしまうのですね。ま、写真でも奥のほうに見えるように同映画のポスター、シリーズ1・2・3の3枚が並べて掲げられていたり、写真には写っていませんが、ドクによってタイムマシンに改造されたデロリアンのミニカーも展示されていました。

余談になりますが、実は私もサンスター1/18スケール『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』仕様のデロリアンのミニカーを持っています。ミスターフュージョンの家庭用原子炉を背負い、タイヤが水平になって飛行モードチェンジするアレです(ミニカーにもちゃんとタイヤが水平になるギミックが仕込まれてます)。ちなみに、ミスターフュージョンの家庭用原子炉はドイツのクラプス社の電動コーヒーミル、タイプ223Aがベースだと見られています。

mr-fuson.jpg

トヨタ博物館の展示車両は原則として触れてはならないことになっています。が、デロリアンについては無塗装ヘアライン処理のステンレスボディという特徴的なそれを実感させるためか、こんなものが展示されていました。

de-lorean_fender.jpg

左前フェンダー部で板金作業中とのことです。「さわってみよう」とありましたので、私も遺憾なく触ってきました。

アーチ上部の白っぽく見えるところは槌痕です。ステンレスの素地のままヘアライン処理で仕上げるとなれば、これをキレイに消さなければなりません。普通に塗装するならパテ盛りで手間も省けますが、デロリアンの場合はそういうわけにいきません。つくづく誤魔化しの利かないボディだと思います。それだけに完璧なレストアを目指すとお金も手間もかかりそうです。塗装では絶対に出せない独特の輝きを放つボディがデロリアン最大の魅力の一つですが、それを維持するのも容易ではなさそうですね。

(つづく)

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フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その1)

自動車評論家の福野礼一郎は『福野礼一郎の宇宙 乙』に再録された座談会の中でプレイステーションのソフト『グランツーリスモ』シリーズについてこう述べています。

「フェラーリとポルシェのない世の中ってのはつくづくつまんねえよなあ。」

シリーズ累計で5000万本を出荷したお化けカーレースソフトにレース界最高峰の双璧が登場しないのは、版権による縛り以外に理由はありません。が、まさに正鵠を射る指摘で、自動車文化を鑑みるにつけ、この二者が存在しない世界というのは全く以て魅力に欠けます。カメラの歴史を語る上でライカとコンタックスを無視するとか、日本のプロ野球を語る上で巨人と阪神を省くとか、そんな感じになるのでしょう。

トヨタ博物館で常設展示されているコレクションもフェラーリとポルシェがありません。日本最大級のコレクションを誇る同館でありながら、何故この二大巨頭がないのでしょうか?

それは常設展示の外国車が第二次大戦前のものに限られているからです。トヨタ博物館の説明にはこうあります。

本館2階:欧米車展示ゾーン 19世紀末から1940年代までの欧米車50台以上を5つのゾーンに分けて展示しています。


本館3階:日本車展示ゾーン 1936年のトヨダAA型を起点として1970年頃までの国産車50台以上を展示しています。


要するに、自動車の黎明期から第二次大戦前を欧米のクルマで、戦後を日本のクルマで振り返るというコンセプトなのでしょう。フェルディナンド・ポルシェの息子であるフェリー・ポルシェによって設立されたポルシェA.G.も、エンツォ・フェラーリによって設立されたフェラーリS.p.A.も、1947年に産声を上げました。両社ともトヨタ博物館のコンセプトにはかからないメーカーなんですね。

戦前の日本車はトラックやバスなどの業務用を除けばたかが知れていますから、戦後の欧米車も抑えておけば世界の自動車史のかなりの部分を網羅できる内容になるでしょう。そういう意味ではちょっと残念です。

ま、でもモータースポーツは自動車の曙から脈々と受け継がれてきたもので、もちろん戦前にもフェラーリやポルシェに匹敵するようなメーカーはありました(現在のイメージはかなり変わってしまいましたけど)。実際にこうしたクルマが並んでいたらやはり胸躍るものがありますね。

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Bentley 4 1/2litre

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Alfa-Romeo 6c 1750 Gran Sport

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Bugatti Type35B

戦前のモータースポーツ界を席巻したこの銘車たちには私もチビリそうになります。殊に流麗なブガッティのボディスタイルはいつまで眺めていても飽きません。直列4気筒のシリンダをタンデムに並べた直列8気筒エンジンなど、現在ではあり得ないレイアウトのパワーユニットにも興味が尽きません。

bugatti type35b_wheel

この時代は自動車もスポークホイールが当たり前でしたが、ブガッティのこれはアルミ鋳造の3ピースホイールという画期的なものでした。しかもこの造形美ですから、もしレプリカでも売られていたら即買いして部屋に飾っておきたくなります。

クラシックリムジンには疎い私ですが、このクルマにはちょっと興味をそそられました。

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Renault Type DJ

「自動車は馬車から進化した」というのはよく知られるところですが、運転席と客室を分離したこのパッケージングは、それをありありと示すものですね。

当時は馬車もまだまだ現役でしたから、それが次第に自動車へ置き換わっていくまさにその端境だったわけです。たぶん、保守的な貴族たちは煙を吐きながら走る自動車を下品な乗り物と見下したり、逆に革新を好む貴族たちは動物に引かせる乗り物など原始的だと見下したり、当時は当時なりに見解の不一致があったと思います。

もちろん、この時代は馬車もそうであったように大衆車など存在せず、個人の移動用に馬車や自動車を所有するというのは大金持ちだけの特権でした。この贅を尽くした貴族御用達の超高級車はそんな時代を映す鏡でもありますから、非常に興味深いものがありますね。

(つづく)

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プリウスの燃タンは何リットル?

プリウスのカタログや取扱説明書には燃料タンクの容量が「約45リットル」とあります。また、取扱説明書には残量が6リットルを切ると「いちばん左の残量表示が点灯から点滅に変わり、ブザーが鳴ります。」とあり、またディスプレイにも約6秒間「燃料を補給して下さい」と表示されるそうです。が、どうもそれでは計算が合わないんですね。

先の週末に東京から愛知県長久手町にあるトヨタ博物館まで往復し、732km走りました。また、その前後と合わせて初回の給油からの走行距離が1171kmとなりました。この間無給油だったというだけで呆れるくらいの高燃費ですが、問題なのは2回目の給油で入ったガソリンの量です。デジタル式燃料計の10コある表示単位のうち、最後の1コになってから給油までの走行距離はせいぜい30~40kmくらいでしたから、まだ警告が出るまで余裕はあったと思います。

ところが、いつも入れている信頼できるスタンドで給油したところ、43.6リットル入ったんですね。燃料タンクの容量が45リットル、残量6リットルで警告が出るなら、単純に考えれば警告が出る前の給油では39リットル以上入らないことになります。

ここで疑われがちなのがスタンドの不正計量ですが、39リットル以下のところ4.6リットル以上も多いとなると、約12%の上乗せとなります。いくら何でもこんなに大胆な不正を行ったら、すぐにチクられてしまうでしょう。現実問題として給油機については法令で誤差0.5%以下と定められており、検査も行われますし、罰則もありますから、このような不正計量をやっても割の合わないことだと思います。

また、先のエントリでは45リットルから諸先輩方の残量データの平均値を差し引いて消費量を推測したところ、33km/Lを超える異常な高燃費となりましたが、これも俄には信じがたいところです。

今回の給油で解った「満タン法」による燃費は26.9km/Lでしたから、由良拓也氏の17km/Lに対してほぼ10km/L上回る燃費を記録できました。が、満タンから警告が出るまでの消費量が39リットル以下だったと考えると、もっと凄いことになっていたハズです。ということで、この辺はきちんと精査する必要があるのではないかと思いました。

そこで、視点を変えてみて、プリウスのマルチインフォメーションモニタの燃費計を基準に考えてみることにしました。ここに表示されるデータは5分間隔の区間燃費と現在の瞬間燃費、リセットしてからの平均燃費になります。

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プリウスの燃費表示画面
トヨタ博物館まで往復した直後の画面で、平均燃費は29.7km/Lと表示されています。
カタログデータはJC08モード燃費で29.6km/Lですから、それを若干上回りました。
ただし、これはプリウスの特性を良く理解し、それを引き出すために
ミリ単位の微妙なアクセルワークを駆使してようやく得られた結果ですので
同じようなチャレンジをこれからも続けるかどうかはちょっと微妙です。
(最高レベルでは40km/Lくらいまで伸ばす人もいるそうですが、私にはたぶん無理です。)


この燃費計の精度も完璧とはいえないでしょうが、ガソリンの消費量をモニターしながら走行距離との商で求められるデータですので、それほどいい加減な数値でもないといわれています。そこで、この平均燃費が信頼できるものと仮定して消費したガソリンの量を逆算してみました。

先の週末にトヨタ博物館を往復した行程が732kmで、この間の平均燃費は上の写真にあるように29.7km/Lでした(かったるくなる領域まで省エネ運転に徹してこの数字です)。これから逆算しますと、24.6リットル強のガソリンで愛知県長久手町まで往復したということになります。

その前に乗ったときが約90kmの行程で平均燃費が26.5km/Lでしたから、3.4リットルほど消費したことになります。さらにその前は行程の一部で高速道路も使ったことで燃費もやや悪化し(プリウスは高速道路のほうが悪化するんです。本当です。理由はまた別の機会に)、また私自身もプリウス固有の省燃費走行に関する習熟度が低く、殊に微妙なアクセルワークに不慣れだったことなどが要因と思われますが、約350kmを22.8km/Lで走りましたから、約15.4リットル使っている計算になります。

合計しますと、43.4リットルになりますから、今回の給油で入った43.6リットルとの差はわずか0.2リットルとなり、これなら無視できる範囲の誤差と見てよいしょう。プリウスに備わっている燃料消費量の計測機能と私が以前から利用してきたガソリンスタンドの給油機の流量計が全く同じレベルで過大計測しているとはまず考えられませんから、やはり燃料タンクの容量が45リットルというほうに錯誤があると見るべきですね。

ま、燃料タンクの容量が表示より大きかったり、給油口からタンク本体までの配管も含めるとさらに容量が大きくなるといったことも十二分に考え得ることですから、私はそちらの誤差が大きかったと考えることにしました。ただ、取扱説明書で残量が6リットルを切ったら警告が出る旨を謳っていますので、警告が出た時点で残量が6リットルより少ないということはないと思います。

一番確実に燃料タンクの容量を確認する方法は完全にガス欠状態にして燃料を入れてみることですが、そこまでして正確な容量を確認する必要もないでしょう。警告が出ていなかった段階で43.6リットル入りましたから、それに加えて6リットル以上残っていたとすれば、おおよそ50リットルくらいになりますから、だいたいそんなものだろうという認識で良いのかも知れません。

ということは、先の週末のように29.7km/Lがキープできるなら、1回の給油で1485km走ることになります。恐るべき足の長さですね。これなら倉敷あたりまで無給油で往復できる計算になります。ただし、このレベルの燃費を叩き出そうと思ったら、高速道路ではまず無理なので、一般道を片道20時間くらいかけて走ることになるでしょうけど。

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突然増える怪

今日「ハブボルト折損は不可避なのか (その2)」と題したエントリにこんなコメントを頂きました。

(前略)

ただ、ひとつ解せないのは、2004年頃から、何故、脱輪事故が多くなったのでしょう。車両がデリケートになったのでしょうか?


私の印象としましても、以前はこれほど多く車輪脱落事故があったように感じませんでした。言われてみれば確かにその通りで、奇妙なことのように思います。そこで、この件について詳しく検討してみることにしました。ただ、どうしても専門的な内容が避けられない部分もありますので、一般の方は適当に読み飛ばして下さい。

「ハブボルト折損は不可避なのか (その2)」でも書きましたが、私が某トラックメーカーの技術の方と話をしたとき、やはり製造者サイドは日本のトラック業界の整備品質が決して高いレベルにないことを見越していると悟りました。バス業界ではきちんと自社整備する業者が多いため、日本でもISO方式の10穴ホイールが既に導入されていますが、トラックは未だJIS方式の8穴ないし6穴ホイールが殆どなのもそのせいだということですね。

JIS方式とISO方式の違いは下図の通りになります。

JIS-ISOホイール規格の違い

特に大きく異なるのはナットの座面とそれを受けるホイールの構造で、JIS方式が球座面となっているのに対し、ISO方式は平座面になっているところです。ついでながら、後輪のダブルタイヤに関してはISO方式がひとつのナットで共締めするのに対し、JIS方式はインナーナットで内側のホイールをアウターナットで外側のホイールを個別に締めるという点、ホイールのセンタリングについても異なります。が、その辺は今回の内容とは直接関係ないでしょうから、特に言及しません。

平座面であるISO方式の場合、取付け時に座面の管理(異物を噛み込んだり傷や変形などの異常がないか確認するなど)が球座面のJIS方式よりもシビアになるそうです。

また、日本のトラックの整備現場では「強く締めたほうが緩みにくくなって安全」という認識が未だに根強く、メーカーの指定トルクを無視して過締めする傾向があります。が、球座面のJIS方式に対して平座面のISO方式のほうが同じ締め付けトルクでも軸力が出るため、こうしたオーバートルクには却って耐久性の面で厳しくなると見られています。

日本のトラックメーカーは国際化の波に乗り遅れないよう、ISO方式へ移行したいと思いつつ、しかし現場の整備品質を憂慮してなかなかそれに踏み切れないというのが実態のようなんですね。以前にも述べたようにJIS方式は左側を逆ネジとし、制動時にかかるトルクをナットが締る方向に作用させるという点もありますが、JIS方式よりデリケートな扱いが求められるISO方式は日本のマーケットに馴染まないのではないかという懸念も大きいようです。

仮に日本のトラックにもよりデリケートな扱いが求められるISO方式が導入され、その直後から車輪脱落事故が多発するようになったという状況だったとすれば、ハナシも明解でした。しかしながら、実際にはメーカー自身がこの旧態依然のマーケットをどう扱うべきか悩んでいるフシがあり、ISO方式の導入には消極的です。こうしてみますと、2004年以降から突然ハブボルト周りがデリケートになったとは考えにくいのではないでしょうか?

ということは、事故が増えたという印象のほうが実態に即していないと考えるべきかも知れません。そこで、具体的なデータを調べてみましたら、国土交通省による「大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故のデータ」(←リンク先はPDFです)というものがありました。一部抜粋してみます。

車輪脱落事故件数月別集計

ご覧のように平成11~15年までの5年間で34件だったのに対し、平成16年が71件、17年が69件、18年が47件と激増しています。それまでは年平均6.8件だったものが2004年を境に62件強へ突然10倍近くも増えているということは、事故件数が10倍近くに跳ね上がったというより、データそのものに問題があると考えるべきでしょう。

実際、上に抜粋したグラフのすぐ脇にこのような注意書きがありました。

(注)平成16年3月以降、事故件数が増加したのは、車輪脱落等により運行できなくなった事故について報告を徹底する通達を発したことによるものと思われる。また、平成17年2月には、自動車事故報告規則を改正し、車輪脱落を含む車両故障により運行できなくなった事故について報告の義務化を行った。


要するに、2004年(平成16年)2月に北海道で起きた死亡事故が契機となって、それまであまり顧みられることのなかったハブボルト折損による車輪脱落事故について積極的に情報を収集するようになったということですね。事故があった2月の翌月から事故件数が跳ね上がったのも、こうした理由によるものと考えてまず間違いないでしょう。

報道に関しても全く同様で、それまで看過されてきた事故がきちんとチェックされるようになったことから、事故数が増えたような印象につながっていっただけで、実態は全く変化していない可能性が高いのではないかというのが私の読みです。


こうしたパターンはよくあることで、例えば三菱ふそうのトラクタのハブが割れ、死亡事故に至った例の一件も、その直後から大衆メディアによる三菱バッシングが展開され、三菱車の車両火災が相次いで報道されるようになりました。この騒動については松永和紀著『メディア・バイアス-あやしい健康情報とニセ科学』や、Wikipediaの「偏向報道」の項でも「偏向報道とされる主な例」として紹介されるなど、典型的な偏向報道の実例と見られています。

このケースで問題だったのは、日本国内で発生している車両火災が年間6000~8000件、一日平均16~22台くらい燃えているという実態が顧みられなかったことです。当時の三菱自動車の国内シェアは5%前後でしたから、2日に1台くらい三菱車が燃えても何の不思議もないハズですが、三菱バッシングに明け暮れていた大衆メディアにはこうした冷静な分析ができなくなっていたんですね。

また、車両火災の原因も放火やタバコなどの火の不始末、電気配線の不正改造などメーカーの責任範囲から外れるものが殆どですが、当時の大衆メディアは事故原因が特定されていなくとも三菱車が燃える度にこれをニュースとし、他社のクルマが燃えても無視するということが続いていました。その結果、あたかも三菱車に限って車両火災が多発し始めたような印象を与えてしまったわけです。

後に毎日新聞などは過剰な報道があったと反省するコメントを出していましたが、注目を浴びる中に置かれることで従前は見過ごされてきたことがクローズアップされるということはよくあることだと思います。

「何だか最近、似たような事故(事件)が続くね」

と思うことが時々ありますが、実際に調べてみると「それまでは単に見過ごされてきただけで、いまに始まったことではなかった」というパターンも珍しくないようです。

2006年に家庭用シュレッダーで幼児が指を切断される事故が相次いで報道されましたが、このときの対応は比較的速やかでした。経済産業省が実態調査に乗り出したところ、最初に報道された事故以前にも消費者センターに寄せられた報告だけで同様の事例が5件あったことが解りました。

これを受けた大衆メディアの論調も個別のメーカーに対する批判から業界全般へ向けたものとなり、消費者センターに寄せられた事故の情報が直ちに生かされなかったことへの批判へ軌道修正されました。が、いつもこのようになるとは限りません。

殊に大衆メディアは古今東西を問わず問題が大きくなるほど、事故や事件が悲惨になるほど「正義」という錦の御旗を振りかざして暴走する傾向が見られがちですから、私たち受け手もその心づもりはしておいたほうが良いかと思います。

ある日突然「似たような事故や事件が頻繁に報道されるようになった」とか、「認知される件数が急激に増えた」といった場合、「それまで看過されていただけではないか」あるいは「データの取り方が変わったのではないか」という捉え方も考えに入れておいたほうが良いのかも知れません。

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壊れてる?

初めてプリウスに乗ると燃料計が壊れているのではないかと思う人が結構いるみたいです。何年か前に『Newsweek(日本版)』にアメリカのOLがGMだかフォードだかのミディアムセダンからプリウスに買い替え、あまりにも燃料計が動かないから壊れているのかと思ったといったハナシが紹介されていました。

そうしたエピソードをいくつか見聞きしていましたから、私もそんなものかと覚悟はできていました。が、やはり燃料計があまりにも動かないので少々不安になりました。何しろ、納車されて最初の給油はオドメーターで19kmのときでしたが、燃料計の表示が初めて減ったときに示していたのは250km弱くらいでしたから。

プリウスのメーターは全てデジタル式ですから、燃料計も10の表示単位で示されるデジタルメーターです。様々なデータを取られている方々の情報によりますと、最初と最後を除けばほぼ線形になるようで、最初と最後以外の表示単位1コは3.5リットル前後を刻んでいるようです。

で、私の愛車は現在オドメーターが451km(給油してから432km)を表示していますが、燃料計がどうなっているかといいますと・・・

fuelgauge-odo.jpg

ご覧のとおり、まだ表示単位が2コ減っただけです。仮にこの直後に3コ目が消灯したとして、上記のデータを取られている方々の情報に照らしてみれば、これまでに消費したガソリンはせいぜい13リットルということになります。給油から432km走って消費したのが13リットルということは、33.2km/Lということになりますが、本当なんでしょうか?

プリウスSのカタログデータでは10・15モード燃費で35.5km/L、いくらか実走に近くなったとされるJC08モード燃費で29.6km/Lですが、これらと同等以上の結果が実走で得られているということなのでしょうか? マルチインフォメーションの平均燃費は概ね26~27km/Lを表示していますので約25%も食い違っていますし、やっぱり燃料計(もしくは距離計)が不調なのではないかと不安になります。

ま、確かにプリウスで省燃費走行を研究しておられる方々のサイトで燃費に良いとされている理論を色々勉強させて頂いて、それに基づく走法をできるだけ(かったるくならない範囲で)実践していますので、ある程度の効果は期待していましたが、現行プリウスは一般的に20km/L前後といわれているなかにあって(レースカーデザイナーの由良拓也氏は御殿場~東京間の高速道路が主体でアクセル全開率も高いため17km/Lなんだそうです)、新参者の私がここまで燃費を伸ばせるとはちょっと狐につままれている気分です。

以前に乗っていたホンダS2000も、あのジャンルのクルマとして燃費は良好な部類だったと思います。一般道を大人しく走って9km/L前後、高速道路を流して12km/L前後でしたから、それ以前に乗っていた1600ccのユーノス・ロードスターと同等以上といった感じです。ま、ハイオクとレギュラーの差が多少影響している可能性もありますが。

余談になりますが、ガソリンの比重はハイオクが約0.77、レギュラーは約0.73ですから、ハイオクのほうが約5%高密度です。熱量は密度に比例しますから、理論上はハイオクのほうが約5%燃費がよくなるとされています。もし、このままガソリンの価格上昇が続いてレギュラー200円/L、ハイオク210円/Lを超えると価格差が5%を切ります。となれば、ハイオク指定ではないクルマでもハイオクを入れたほうがお得になる可能性があるわけですね(ま、あくまでも机上論ですが)。

以前のクルマなら一般道中心で400km以上も走ったら血眼になってガソリンスタンドを探しているところです(少しエンジンをブン回せばとても400kmなど走りません)が、今度のクルマは燃料計の表示単位10コあるうちの2コ減っただけです。このままのペースでいけば、次の給油まであと1000kmくらい走れそうな勢いなんですけど・・・。

燃費は運転の仕方や走行条件などに大きく左右されるのは言うまでもありませんが、プリウスの場合は輪をかけて運転の仕方で燃費の差が大きく出るそうです。私もこれまで何回か渋滞にはまったり、エアコンもフルオートで普通に使っていましたから、走行条件に特別なことはなかったと思います。高速道路も走りましたが、これまでの432kmのうちせいぜい1割弱といったところです(プリウスは高速道路の方がむしろ燃費が悪くなりますが)。

普通と違うとすれば、先達の教えに従って微妙なアクセルワークを駆使しつつ、プリウスの特性を引き出すような走り方に(かったるくならない範囲)で傾注してきたくらいです。が、その結果は私の予想を遙かに上回る状態になっています。正直なところこれ程とは思っていませんでした。

S2000で100km走るのに9km/Lのペースでハイオクガソリン(180円/Lとして)を消費すれば2000円弱くらいになりますが、プリウスで100km走るのに33.2km/Lのペースでレギュラーガソリン(170円/Lとして)を消費すれば500円強くらいにしかなりません。今回の買い替えでガソリン代が1/2くらいになるつもりでいましたが、メーターの表示を信頼するなら1/4に迫る勢いです。

「トヨタのハイブリッドカーは化け物かっ!?」(シャア・アズナブル風に)

というのが率直な感想ですね。

実は、S2000を買ったときも慣らしに名古屋まで往復したのですが、今回もこの週末に名古屋まで走ってトヨタ博物館でも見て来ようかと計画しています。道中で給油となるのか、東京まで無給油で戻って来られるのか、その辺もちょっと楽しみです。

ちなみに、私の家からトヨタ博物館までの往復が700km強ですから、これまでの432kmを足して約1150kmといったところになります。プリウスの燃料タンクは45リットルですから、25.6km/Lでいけば無給油での往復も可能という計算になります。これまでのペースなら値の悪いほう(マルチインフォメーションの平均燃費)でもクリアできそうですが、実際はどうでしょうか?

この名古屋行きをエネルギーの浪費といわれれば全く以てその通りです。が、そもそも「プリウスのジレンマ」と題したエントリでも「確実に燃料費が安く抑えられるだろうということで、その分だけ自転車を積んであちこちに出かけようと考えています。ですから、差し引きゼロかプラスになる場合もあるでしょう。」と述べているように、省エネや環境保護を目的としてプリウスを買ったわけではないので、私の行動に大きな矛盾はないでしょう。

ということで、この週末の更新はお休みします。

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続報・デュラエース7900シリーズ (その4)

79デュラのなかで見た目の印象が最も変わったのは、やはりデュアルコントロールレバーのシフトケーブルが内蔵式になったところでしょう。シマノの日本語サイトには掲載されている写真が限られていますので、内蔵式になったことがよく解るアングルの写真もありませんが、デュラの公式サイトの3Dビューは従来シフトケーブルが生えていたブラケット内側も確認できます。

st-7900_inside.jpg
ST-7900の内側
これはデュアルコントロールレバー(左)の内側で、
従来はフロントディレイラーにつながる
シフトケーブルが生えている方ですが、
カンパやスラムと同様にそれがなくなりました。


思えば、私が中学生のとき初めて購入したロードレーサーはメインコンポがシマノの600EX(現在のアルテグラの祖先に当たりますが、当時はレース向けにデュラ、ホビーライダー向け及びツーリング向けに600、以上2つのグループコンポーネンツしかありませんでした)で、変速系にカンパもどきのアラベスクパターンが刻まれていたことから「唐草模様」とも呼ばれました。そのブレーキレバーはまだケーブル内蔵式ではなかったんですね。

br-6200.jpg
BR-6200
当時のカタログから抜粋したもので画質が荒れています。
説明の必要はないかも知れませんが、当時のブレーキケーブルは
レバーの上方、天に向かって生えていました。


で、この頃から次第に内蔵式に変わっていったわけですが、それを横目で見るにつけ、天に向かって生えているブレーキケーブルが古臭く感じてきて、高校時代にこれを内蔵式のものに交換しました。確かサンツアー製だったと記憶していますが、型番等は全く覚えていません。ま、高校生の小遣いで買えるものですから、安物には違いありませんが、それでもスッキリしたハンドル周りを見ては悦に入ったものです。それから何年かしてインデックスシステムが採用されたNEW600EX-SISに入れ替え、その後は特に手を加えず、現在は実家の物置の中で眠っています。

私が初めてブレーキケーブル内蔵式に替えてから10年くらい後にSTIが発売され、再びブレーキレバー付近からケーブルが生えることになりました。が、ブレーキレバーを横に操作してシフトさせるという画期的なアイデアに打ちのめされ、当初はケーブルの取り回しなど全く眼中にありませんでした。

でも、カンパもスラムも内蔵式を採用し、それを横目で見るにつけ、高校時代にブレーキケーブル内蔵式のレバーに替えたくなったあの感覚がそのまま蘇ってきた今日この頃だったりします。なので、個人的な思い入れで語らせて頂くなら、このシフトケーブルの取り回しも非常に好ましい改良点だと思います。

それはともかく、シフトケーブルもハンドルバーに沿わせるようになれば、ハンドルバーとの相性も問題になるかも知れません。殊に、日東のニートSTIシリーズのようにシマノのデュアルコントロールレバーに最適化されたハンドルの場合、ケーブルを沿わせる凹みが従来のブレーキ用のみで、前後に凹みが設けられていなければ収まり具合が良くないでしょう。(もっとも、昔のハンドルバーにはこうした凹みなどありませんでしたけどね。)


ところで、FC2のアクセス解析には検索エンジンのリンク元をたどってどんなキーワード検索でアクセスしてきたか解る集計機能もあるのですが、当blogへ79デュラ絡みでアクセスがあったなかで非常に多かったのが、フライトデッキに関するものでした。ま、私も6月3日のエントリで「個人的に惹かれたのはサイクルコンピュータのフライトデッキですね。」と書いたように、心拍計や勾配計などよく望まれる機能が追加され、かなり充実したこれには皆さんも興味を示されているようですね。

sc-7900_main-content.jpg
SC-7900:Flight Deck
シマノの日本語サイトにこの数字がふられた画像がアップされたので、
詳しい説明があるのかと思いましたが、いつの間にかこの画像そのものが
なくなってしまいました。


残念なことにシマノヨーロッパのサイトにもデュラの公式サイトにもシマノの日本語サイト以上に詳しい情報はありませんでした。が、表示部をよく観察してみますと、いくつか気づいた点がありました。私の勝手な推測も入ってきますので、本当にその通りになるか解りませんが、とりあえず纏めてみたいと思います。

まず、上の写真の[3]は上が3、下は10のセグメントに切られていますから、ギヤのインジケーターに違いないでしょう。従来のような楕円を並べたものよりスマートで表示スペースを奪わない良いデザインになったと思います。フロントトリプルにも対応しているようですが、従来のフライトデッキはMTBにも対応していましたし、これも79デュラ専用ではないでしょうから、当然かも知れませんね。

さらに表示部を詳しく見ていきますと、数字の表示は3カ所しか確認できません。一番上の3桁(100の位は「1」のみ)+小数点以下1桁と見られるところは、どうやら速度もしくはケイデンスの表示となるのだと思います。

クリップボード02
SC-7900の表示部のアップ
一番上の数字が表示される左右には
「rpm」「Km/h」「Mile/h」とありますから、
速度もしくはケイデンスの表示になるのでしょう。


中段の3桁のすぐ左にはハートマークがありますから、心拍数になるのは間違いないでしょう。3桁あればケイデンスも表示できますが、それを示す「rpm」は一番上の3桁+小数点以下1桁と見られる表示部にあり、中段の3桁との間にはギヤのインジケーターが挟まりますから、脈絡はなさそうな感じです。

また、従来のフライトデッキも「CLK」はClock(時計)の意味でしたから、これは一番下のコロンで区切られた2桁×3=6桁の表示部にかかるもので、現在時刻を示すためにあるのでしょう。また、桁数からいって経過時間や距離などもここに表示されるのは間違いないと思います。

高度計や勾配計なども一番下の6桁のうち左2桁を使って、例えばaltimeter(高度計)を示す「AL」とか、gradient(勾配)を示す「gr」とか、そんな風に表示しつつ、残りの4桁で数値を示すか、あるいは一番下の6桁で高度や勾配を意味する表示を出しつつ、中段の3桁で数値を示すような気がします。ただ、アルファベットを表示するなら、この部分だけでもドットマトリックスにしたほうが読みやすかったかも知れません。

いずれにしても、一度に表示できる情報量はかなり限られるようで、基本的に表示を切り替えながら必要な情報を確認するというスタイルになるのだと思います。これが普通のサイクルコンピュータなら一々ハンドルから手を放してボタンを押さなければならず、邪魔くさいことになっていたでしょう。が、そこはブラケットにスイッチが仕込まれて表示切り替えも極めて容易に行えるフライトデッキですから、むしろ画面がゴチャゴチャしないで見やすいというメリットが生きるかも知れません。

ということで、まだまだ公式の情報が少なく、詳細は充分に解りません(それゆえ当blogへもいつもより多くの方がアクセスして来られたのでしょう)。ここで述べたことも私の勝手な憶測がたくさん含まれていますので、本当にその通りになるのか解りませんが、やはりシマノのフラッグシップモデルだけに期待も大きくなってしまいます。

私が79デュラの実物と対面できるのは恐らく11月に開催されるサイクルモードになるでしょう。どうやら物欲との戦いは避けられそうにないようです。

(おしまい)

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続報・デュラエース7900シリーズ (その3)

以前、「ボールベアリング用ピンセット」と題したエントリでハブベアリングのメンテナンスにビーズアクセサリー用のピンセットを使っているハナシを書きましたが、私はその種のメンテナンスも苦にならないほうです。なので、79デュラのハブに採用された「デジタルクリックアジャスト」がどんなものなのか気になっていました。

シマノヨーロッパの説明書きにはハブコーンレンチが不要といった内容になっていました。また、デュラの公式サイトでは写真を拡大できますので、それを見て何となくイメージはつかめた気がします。

79dura_hubnat.jpg
FH-7900のロックナット部

従来はロックナットと玉押しをダブルナットの要領で固定していました。玉押しが共回りしないようにハブコーンレンチで抑えつつ、ロックナットだけを締め込むわけですね。しかし、不慣れな人が扱うと締め込み時に玉押しも微妙に回してしまって、折角調整した玉当たりを狂わせてしまうこともありがちです。私も自分でこうしたメンテナンスをやるようになった当初はそうでした。

79デュラの「デジタルクリックアジャスト」というのは、上の写真中央にあるローレット加工された黒っぽい部品が担う機構なのだと思います。これは恐らく玉押しとロックナットのクリアランスを決めるアジャスターになるのでしょう。ロックナットを(恐らくアーレンキーで締め込んで)固定し、しかる後にクリックストップ機構が内蔵されたこのアジャスターを回して玉当たりを調整するのではないでしょうか? (これはあくまでも私の勝手な想像ですが。)

ハブコーンレンチを使う従来の構造も慣れてしまえば間違いなく締められるものですが、その辺を頓着しないで済むのであれば整備性は格段に向上します。ただ、クリックストップの幅が広くて極々微妙な調整が利かないとなれば却って邪魔くさいと思うかも知れません。ま、この辺は実物に触ってみないと何ともいえない部分でしょう。

いずれにしても、以上の機構は私が勝手に想像しているだけで、シマノから詳細な情報は発表されていませんから、正しいかどうかは解りません。ま、完組ホイール全盛のきょうび、単体のハブに興味を持つ人など少ないでしょうし、ベアリングの玉当たり調整を自分でやる人もそんなに多くはないでしょうから、シマノとしてもわざわざ一般ユーザー向けに丁寧な説明などするつもりはないのかも知れません。

一方、キャリパーブレーキはカンパやスラムのようなスケルトン構造にはなりませんでしたが、デュラの公式サイトにある3Dビューで横から見ると、こんな感じになっていました。

br-7900_side.jpg
BR-7900側面
日本語サイトの写真では見えないアングルも
デュラの公式サイトにある3Dビューで見られます。


ケーブルアジャスターが付くアームはカンパもスラムもすスッポリと肉を抜いていますし、78デュラは裏側をえぐっていましたが、79デュラは横からえぐっていますね。応力がかかる方向を考え、重量の軽減より剛性を重視するのであれば、この肉抜きのほうが理に叶っているように見えます。

78デュラに対して79デュラのブレーキは前後セットで20.7g軽くなっていますが、それでもまだカンパ・レコードに対して14.3g、スラム・レッドに対して28.3g重くなっています(いずれも公称値同士の比較です)。ま、シマノはこれまでも重量に関して他社に「勝らぬとも大きく劣らぬ」的なスタンスだったように見受けられますから、今回もその路線を引き継いでいると見るべきでしょう。

一つ気になったのは、ブレーキシューのトーイン調整について日本語サイトには「調整可能なトーイン/容易なセッティング」とあり、デュラの公式サイトにも同様に「Adjustable toe-in: for easy setting」とあるんですね。わざわざ「容易」と謳っているからには何かトーイン調整をやりやすくする改良点があったのではないかと勘ぐってしまいますが、具体的にはよく解りませんでした。

もう一つ気になったのは、シューの取付ボルトがトルクスになっているところですね。最近の携帯マルチツールにもトルクスのT25が付いているものは珍しくありませんが、個人的にはあまり歓迎したくない感じです。

私の場合はホイールをちょくちょく換え、そのたびにブレーキシューも調整しますから、このボルトを固着させるようなことはまずありません。取説にもネジロック剤を使うような指示はありませんから、そうしたケミカルも使いませんし、締め付けトルクも5~7N・mで決して高トルクではありません。なので、従来のアーレンキーでも私はこのボルトの六角穴を潰したことなどありませんから、トルクスにする必要も感じないんですね。むしろ余計なお世話といった感じです。

(つづく)

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続報・デュラエース7900シリーズ (その2)

個人的なハナシをさせて頂くと、いわゆるコンパクトクランクはFC-R700しか持っていません。これが少々重いので、もっと軽いものが欲しいと常々思っており、変速性能が劣るのは覚悟の上でFSAやストロングライトなど他社のカーボンクランクを導入しようかと本気で検討していました。が、コストパフォーマンス的に79デュラのコンパクトクランクは私にとってかなり魅力的です。

私の場合、旧モデルとチャンポンで使うことにあまり抵抗がない人間で、経済的な理由も含めてコンポ全てを一気替えしないことがよくあります。(実際、MTBでメインに乗っているS-ワークス・エピックFSRはこのこの夏のボーナスが出たら全部M970系XTRに揃える予定ですが、現在はM760系XTとチャンポンになっています。)

interchangeability_79-78dura_f
今頃気付きましたが、7800シリーズのラインをよく見ると「NEW FC-7800C」とあります。
例のカーボンクランクも発売する気なのでしょうか? (本文とは関係ありませんが。)


で、フロントのドライブトレーンについて79-78デュラの互換チャートを見ますと、クランクセットを替えてもBBユニットは替えずに済みますが、フロントディレイラーも同時に替える必要があるようですし、そのフロントディレイラーも78デュラのデュアルコントロールレバーとは互換性がないようです。つまり、79デュラのクランクセットをシマノが保証する範囲内で導入しようと思ったら、チェーンを含めて4点セットで替えなければならないということになるわけですね。

こうしたことから「シマノ商法」と揶揄されてしまうのかも知れませんが、見方を変えればこの4点替えでもコスト的には定価12万円強、実売価格で9万円前後といったところでしょうか(前回ご紹介した非公式の税込定価をベースに考えていますので、本当にそうなるかは保証できませんが)。

これならFSAやストロングライトなどのカーボンクランクの最上位モデルよりむしろ安いくらいですし、4点のトータルで78デュラからざっと100g減量になりますから、重量的にも充分なメリットがあります。もちろん、変速性能の良さは他社製と比べるまでもないでしょうし、78デュラよりさらに良くなっていると想像されます。

この辺は昨日のエントリでも述べましたが、今回のモデルチェンジでフロントのドライブトレーンの互換性を維持しなかったのは、やはり78デュラでも高性能だったフロントの変速性能をさらに向上させるためだと思います(あくまでも私見です)。

殊に、インナーからアウターへチェーンを引き上げる仕組みが変速性能には重要な鍵になるでしょう。シマノはこれまでもチェーンを引き上げる突起をアウターチェーンリング裏側に設けるなど、様々な工夫を凝らしてきました。今回の非対称チェーンはチェーンリング裏側に作り込まれた形状と上手く噛み合わされるように最適化され、さらに一歩進んだシステムにするためのものではないかと私は考えています(くどいようですが、あくまでも憶測です)。

ネット上には「スラムと互換性をなくすためではないか」といった噂も流れていますが、そのために従来のシマノユーザーにも不便を強いるのはちょっとナンセンスです。フロントのドライブトレーンのみ互換性が維持されなかったのは、やはりフロントの変速性能向上が主要な狙いだと考えたほうが妥当な気がします。

コンポの顔ともいえるクランクセットですが、79デュラのクランクアームのデザインはまたぞろ評判が悪いようです。個人的には左クランクの取付方法がXTR方式にならなかったのも残念に思います。しかし、79デュラのクランクセットは変速性能に大きく関与するチェーンリング裏側のデザインこそ、「シマノの本気」が秘められているのではないかと思います。そういう意味でチェーンリングの裏側のデザインと非対称チェーンには猛烈に興味をそそられています。

ということで、私が導入する場合はまずデュアルコントロールレバーとフロントディレイラー、コンパクトクランク、チェーンの4点になるでしょう。ま、コンパクトでない普通のクランクも必要に応じて追加することになるかも知れませんが、現在使用している78デュラのクランクもチャートに「Slower shift may occur depending on frame dimension.」とあるとおり、フレームのディメンションによっては変速が遅くなるかも知れないという注釈付で使えない訳ではないようです。

interchangeability_79-78dura_b.jpg

上図のように79デュラのデュアルコントロールレバーで78デュラのブレーキも引けますし、昨日ご紹介したチャートでもお解りのようにリヤのドライブトレーンに関しては互換性が保たれています。これらはしばらく現状維持で、追々79デュラに揃えていけば良いでしょう。ま、あくまでも個人的なハナシですが。

でも、コンポーネンツを総入替えせず、部分的に79デュラを導入するとしたら、デュアルコントロールレバー、クランクセット、フロントディレイラー、チェーンの4点は最も変える意味があるパターンのような気がします。

(つづく)

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続報・デュラエース7900シリーズ (その1)

先般、正式に発表されたデュラエース7900シリーズ(以下79デュラ)について当blogでも取り上げましたが、想像以上のアクセスがありました。ちゃんとカウントしていませんが、ピークだった6月5日だけでも70~80くらいはこの79デュラ絡みのアクセスだったようです。ま、シマノの日本語サイトにある内容以上のことは殆ど書いておらず、私の個人的な思い入れが先行するような内容でしたから、お越し頂いた方の舌打ちが聞こえてきそうです。

その後、例のエアカーについての連載を間に入れてしまったこともあって、今回の続報もネット上で色々伝えられている内容以上のものは殆どないと思います。ただ、シマノヨーロッパのサイトには日本語サイトで触れられていない部分についても色々書かれていましたので、解った範囲で個人的に気になった部分を纏めてみたいと思います。

まず、先般のエントリでコメントを頂いたように、価格についても情報が流れています。私が見かけたものも2chあたりから伝播してきた情報っぽいので、どこまで信頼できるのか解りません。が、雰囲気的には妥当な線ではないかと思われる値上げ幅で、アルテグラSLの投入はこのための布石だったのではないかと推測すると、ビジネス的な流れとしては上手く纏まる気もします。

ま、コピペですが一応転載しておきます。

● 価格(税込)
・リヤディレイラー/RD-7900SS ¥20,362
・フロントディレイラー/FD-7900F ¥9,582
・デュアルコントロールレバー/ST-7900 ¥54,546
・バーエンドシフター/SL-BS79  ¥9,582
・ブレーキレバー/BL-TT79 ¥12,882
・ブレーキ/BR-7900 ¥31,144
・チェンホイルセット/FC-7900  ¥53,898
・ボトムブラケット/SM-BB7900 ¥2,634
・スプロケット/CS-7900/11-27 ¥21,559
・チェン/CN-7900 ¥4,406
・フロントハブ /HB-7900 ¥13,654
・リヤカセットハブ/FH-7900 ¥25,152

   ※これはあくまでもネット上で非公式に流れている価格ですので、
     信頼できる情報かどうかは各自でご判断下さい。



さて、先般のエントリで私が最初に導入するかも知れないと書いたチェーンですが、コメントでもご指摘頂いたように78デュラと完全互換ではありませんでした。この辺はチャートをご覧頂いたほうが解りやすいと思います。

interchangeability_79-78dura_r.jpg

interchangeability_79-78dura_f

これはシマノヨーロッパのサイトからリンクされたデュラエースの公式サイトにあったものから抜粋しましたので、間違いなく公式な情報になります。オリジナルはPDFになっていますので、下記をご参照下さい。

Interchangeability: DURA ACE [7800 series] and new DURA-ACE [7900 series]

このチャートからも解るとおり、スプロケットとリヤディレイラーは78デュラと互換性が保たれていますが、チェーンリングとフロントディレイラーに関しては互換性がないことになっています。

シマノヨーロッパのCN-7900の説明文には「asymmetric design」とあります。要するにプレートの形状が進行方向に対して左右で異なる非対称デザインになっており、各々最適化されているということでしょう。当然、取付け方向が指定されることになるハズです。

ここからは想像の範疇になりますが、恐らくフロントの変速性能をさらに向上させるため、チェーンリング裏側と、そこに掛かるチェーン(進行方向に対して右側のチェーンプレート)の形状が改良されたのだと思います。

cn-7900_close-up.jpg
CN-7900のアップ
この写真ではよく解りませんが、
チェーンプレートが写真手前側と奥側で
異なった形状のものになるようです。
これは恐らく変速性能向上のため、
変速時スプロケットに引っかける側と
チェーンリングに引っかける側の形状が
各々個別に最適化されているのだと
私は推測しています。


デュラの公式サイトにはクランクセットの3Dビューもあり、日本語サイトの写真では見えない角度も見ることができるのですが、肝心なチェーンリング裏側は見えません。この部分はまだ見せたくないのかも知れません。

fc-7900_muiti-view.jpg
FC-7900
デュラ公式サイトの3Dビューでは
180度しか回らず、アウターチェーンリングの裏側が
どのようなデザインになっているのか、
一番気になる部分は見せてもらえません。


ドライブトレーンに関して78デュラとの互換性はリヤのみ保たれており、フロントは互換性がなくなったというのは、恐らくこうした改良があったからと考えるのが妥当な線ではないでしょうか? (あくまでも憶測に過ぎませんが。)

(つづく)

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矛盾だらけのエアカー (その4)

インドのタタ・モーターズがMDIに投資した額は32億円程だそうです。自動車の開発予算として見た場合、これでは全くハナシになりません。大手自動車メーカーが既存のコンポーネンツを組み合わせてニューモデルを1台でっち上げる程度でもこんな予算では全然足りません。

トヨタなどはハイブリッドや燃料電池をはじめとした将来的な技術投資、環境技術開発などに年間9000億円以上の予算を組んでいます。そこまでの規模ではないトラックメーカーなどでも、年々厳しくなるディーゼル車の排出ガス基準に対応するため、毎年100億円を超える投資を行っているのが実情です。

既存の技術を改良するだけでもタタがMDIに投資した額の何倍にも及ぶ予算が毎年組まれているのが現代の自動車メーカーなんですね。だからこそ、資本を集中したり開発した技術を共有したりするメリットを見込んで買収や合併、提携などの業界再編が進められてきたわけです。

特に、厳しい排出ガス基準の対応に追われているトラック業界では、エンジンの開発を行っていく範囲を絞り込んで(例えば中型用の開発はやめ、大型用に集中するなど)、自社開発をやめたエンジンについては他社から買うというパターンも既に珍しいことではなくなっています。実際、日産ディーゼルは中型トラック・バス用のエンジンを日野自動車から買っていますし。

ところで、MDIは何年も前から来年には市販できると豪語し続けてきましたが、そのスケジュールもまた具体性がありません。タタの自社工場ないしフランチャイズでの生産が見込まれているような報道もありますが、これも何だか怪しげです。

日本の自動車メーカーはかつて新車開発に30ヶ月程度かかっていました。現在ではこれを20ヶ月前後に短縮しているようですが、いずれにしても量産となれば製造ラインの構築に大変な時間がかかります。大手自動車メーカーのように既に工場があってそのラインにのせる段取りだけでもかつては20ヶ月くらいかかっていました。

MDIのエアカーはまだエンジニアリグ試作も道半ばといった印象で、量産試作(実際の製造ラインないしそれに相当する施設で実際の量産体制と同じ段取りで行われる試作)などまだまだ遙か先のようにしか見えないんですけどねぇ。普通ならどんなに遅くとも発売1年くらい前に量産試作をはじめ、いかに効率よく安定した品質管理の下で生産ができるかという、製造ラインの最適化に向けた調整を始めていなければとても間に合いません。

公道を含めたテストなどはとっくの昔に終わっていて、最終的な仕様の大部分が決まっていなければ1年後の量産・発売には間に合うわけがありません。ま、MDIとタタによるエアカーが普通の乗用車と同じように普通の人が普通に買うような商品ではなく、単なる実験として実用性など度外視した上で酔狂な人が買ってくれることを狙っているというのならハナシは別かも知れませんが。

MDIの試作車の一部にはナンバープレートが付いているものもあり、公道を走っている映像もいくつか見ました。が、問題なのはやはり実用性で、ごく短時間のデモンストレーションなのか、本当に実用レベルの航続距離を持っているのか、その点が確認できなければ意味がありません。

NHKで放送された例の番組もその点では全く無意味で、MDIの敷地内をチョロチョロ走っただけに過ぎませんでした。「とりあえず走る」ということだけは示されていましたが、実用化に必要な性能を確認するには何の参考にもなりませんでした。その一部がYouTubeにアップされていましたのでご参照下さい。



こうしてみるとクルマそのものは見た目もちゃんとしていますし、まともに動いていますから、何となく信じても良さそうな雰囲気はあります。が、この番組でも他でも、航続距離や最高速度など具体的な性能をカメラの前で示すということをやらないのは、やはり引っかかります。

もちろん、そうしたことをやらないだけで出鱈目と烙印を押すつもりはありません。が、来年には市販できるというのなら、せめてテストコースで100kmくらいは走ってみせるべきでしょう。110km/h出せるなら、1時間足らずでそのデモンストレーションも終わるのですから。逆に、そんなこともできない状態で来年には量産だ市販だと吹聴するのは、まともな会社のやることとは思えません。

例えば、武蔵工大は水素を燃料とする水素自動車の草分けですが、1974年に日産サニー(B210)の後期型クーペをベースに日本初の水素自動車「武蔵1号」を製作しました。このクルマはあちこちでデモ走行が行われましたが、アメリカのUCLA主催による燃費ラリーにも出場してその実力をアピールしました。結局、この水素自動車プロジェクトは34年を経た現在も市販につながっていませんが、彼らはこのように公明正大に性能を示したわけです。

musashi1.jpg
武蔵工大の水素自動車
この写真をネットで探し回りましたが、全く見つからず、
小学生の頃に買った図鑑からスキャナで取り込みました。
私の「捨てられない」性癖に対して「いずれゴミ屋敷になる」
などと揶揄されますが、こういう貴重な資料が眠っているので
やはり捨てられないのです。


いま、大手自動車メーカーは燃料電池車の開発に血道を上げ、一部ではリースも始められています。が、これとて本当に有力なエコカーとなり得るのか現時点では結論づけられませんし、いつになったら市販レベルまでコストダウンできるのかも解らない状態です。それでも、ちゃんと実用的な性能は持っていることは様々な形で示されているわけですね。

来年には量産だ市販だと何年も言い続けていながら、こうした性能の公開を行わない非常識なベンチャー企業を私は信用することができません。また、出先で圧搾空気がなくなった場合に300気圧ものそれを現実的なスピードでチャージするためのインフラ整備を無視し、来年には市販すると豪語している点も自動車ビジネスとしてみれば滅茶苦茶です。

超絶に高価なカーボンコンポジットのエアタンクを搭載しているのに信じられないような低価格を示すなど、彼らの吹聴する仕様には明らかな嘘が多すぎます。何故メディアはこんな稚拙な嘘が見抜けないのか、こんな会社の言うことが何故これほど多くの人に信じられてしまうのか、私には謎としか言いようがありません。

(おしまい)

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矛盾だらけのエアカー (その3)

MDIのエアカーがガソリンエンジンや電気モーターなどとのハイブリッドも考えられていることは何年も前からアナウンスされていました。最近では「デュアルエナジーエンジン」と称し、空気エンジンのシリンダとピストンをそのまま内燃機関として利用する方法も提案されているようです。

しかし、ここでも疑問なのは圧搾空気という決して効率が良くない方法でエネルギーを蓄えるという考え方です。

もちろん、既存のガソリンエンジン+電気モーターのハイブリッドカーでも発電/蓄電/放電/送電/変電など全てのステップでエネルギー損失はあります。が、電気はかなりきめ細かいマネジメントが可能ですから、余剰エネルギーを上手く取り出しながら最適化してやることでメリットを引き出しているわけですね。

しかし、空気は圧縮する際にかなりの熱が生じますから、魔法瓶のような構造で上手く断熱してやらなければ相応のエネルギーを失います。また、流量/圧力調整などの細かいマネジメントも電流/電圧ほど容易にはできないでしょう。これで本当にメリットが見込めるハイブリッドシステムが成り立つのか疑問を感じます。

よしんば、そうしたハイブリッド化でメリットが得られる可能性があったとしても、車両重量や製造コストの増加にどう対応するのでしょうか?

例えば、プリウスの場合、68ps相当の電気モーターや大容量のニッケル水素バッテリー、相応のジェネレーター等を搭載しているため、一般的なガソリン車より重くなっていると思われがちですが、実はそうでもないんですね。プリウスが重くならなかった一番のポイントは、トランスミッションが搭載されていないせいでしょう。エンジンの次に重い部品を持たないため、電気モーターなどのハイブリッドシステムを搭載しても重量増を回避できたのだと思います。

ths.jpg
プリウスのパワートレーン
写真中央近くにある遊星歯車(カット面が赤く塗装された部品)で
動力分割/混合を行い、可変バルブタイミングの
ミラーサイクルエンジンと電気モーターとの極めて細やかな
マネジメントによって車速に合わせたトルクを得る仕組みになっています。
そのため、トランスミッションという重い部品が必要ありません。
リバースする際も普通のクルマのようなリバースギヤは用いず、
モーターを逆回転させるだけです。


実際、私が所有しているプリウスSの車両重量は1260kgとなっていますが、これは同クラスのガソリン車(トヨタは2000ccクラスのセダンと同等としており、一般にアリオン/プレミオなどが同クラスと見られています)と比較しても全く重くなっていません。が、コスト面ではやはり普通のガソリン車より割高になっています(というより、販売価格の上乗せ分が小さく利益率がかなり低いと見られています)。

MDIが提唱しているデュアルエナジーエンジンは内燃機関と空気エンジンを兼用することで重量増やコスト増が回避できるかも知れません。が、その場合はそれぞれの出力特性を補完するようなハイブリッドにはなり得ず、バイフューエルと同じ性格になるため、効率の改善につながるとは考えにくくなります。

また、MDIはハイブリッドでなくても回生ブレーキでエネルギーを回収する、即ち制動時のエネルギーを利用して圧搾空気をつくり、それを再利用すると説明していますが、それも容易なことではないでしょう。というのも、彼らのエアカーが採用しているエアタンクは最大300気圧の超高圧だからです。

電気ならばモーターを発電機として蓄電することができますが、最大300気圧のタンクへ圧搾空気を充填するとなれば、そんな単純なハナシでは済みません。例えば、自動車用ディーゼルエンジンの圧縮比は概ね16~23:1くらいですが、それで1気圧の大気を圧縮してもたった16~23気圧程度にしかなりません。これでは300気圧のタンクに圧搾空気を送り込むことなど不可能です。

300気圧のタンクへ圧搾空気を充填しようと思ったら、常識的な圧縮比のレシプロエンジンではコンプレッサー代わりになり得ず、専用のコンプレッサーを搭載しなければならないでしょう。その分の重量増とコストアップはどう処理されるのでしょうか?

また、以前にも書きましたが、300気圧の超高圧に耐えるアルミライナーをカーボンファイバーで強化した猛烈に高価なエアタンクを使っていながら、車両価格が50万円だの100万円だのといった異常な低価格で市販できるなど、絶対にあり得ません。

仮に、車両の販売価格50万円に対し、製造原価が40万円だったとして(そんな原価率では開発費の償却や販売コストなども賄えないでしょうから、商売として成立しませんが)、そのうち半分がエアタンクの製造原価だとしてもたったの20万円です。もし、こんなに安いコストで300気圧に耐えるエアタンクが供給できるのなら、CNG車を発売している自動車メーカーがこぞって買いに来るでしょう。

従来の自動車の燃料をCNG化するに当たって最もコストがかかるのは他ならぬ超高圧タンクで、CNG化にかかるコスト(中型バスなら1000万円くらい)の概ね4割がこのタンクに裂かれているといわれています。MDIはそんなに安く超高圧タンクを供給できるというのなら、タンクをCNG車メーカーに売り込むだけでも莫大な利益が得られるでしょう。

(つづく)

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矛盾だらけのエアカー (その2)

MDIの空気エンジンが不安定な大気熱を利用しているのかどうか本当のところはよく解りませんが、一方で、こんな報道もありました。

インドのタタ、圧縮空気で動くクルマ発売

(前略)

長距離旅行などの場合には多種の液体燃料を使用できるバーナーで空気を暖めることで圧縮空気の圧力を高め、800kmの走行もできるようになるという。

(後略)

(C)carview 2008年3月27日


「バーナーで空気を暖めることで圧縮空気の圧力を高め」るということは、要するに圧搾空気の圧力を抜いて冷たくなったそれで大気の熱を奪うというヒートポンプの原理は完全に成り立たなくなり、大気の熱を利用するという説は崩壊します。

また、大気熱の利用云々を別にしても、以前「エアカーの実態 (その2)」で解説したような、ピストンで空気を圧縮して高温になった筒内へ圧搾空気を吹き込み、それが膨張する力を取り出すといった原理もかなり揺らいでしまいます。このバーナーを用いるという情報が正しければ、MDIの空気エンジンは単なるエアモーターでしかないということになるでしょう。

また、コンプレッサーを駆動するのが電気モーターであるなら、電気エネルギーを使って空気を圧縮し、その時に生じた熱を捨ててタンクに圧搾空気を蓄え、その圧搾空気を取り出しながらバーナーで熱を与えて圧力を割増し、エアモーターを回すという仕組みになります。熱を捨てて再びバーナーで熱を与えるというのは無駄以外の何ものでもありません。

もちろん、こうした熱エネルギーの収支を無視しても、蓄えた圧搾空気から取り出せるエネルギーがコンプレッサーを駆動する電気エネルギーを上回ることなど絶対にあり得ず、むしろかなりの損失が生じます。それならば素直に電気モーターでクルマを走らせたほうがずっと効率が良いでしょう。

このバーナーを用いるという報道も事実なのかよく解りません。このハナシは調べれば調べるほど訳の解らない尾ひれが付いて来るんですね。しかも、そうした情報には全く一貫性がなく、何が正しい情報なのかも解りません。いずれにしても、情報が錯綜している現状は情報源であるMDIが悪いのか、それを伝えるメディアが悪いのか、両者とも悪いのか、いずれかになるでしょう。

mdi_air-engine.jpg
MDIの空気エンジン
詳細な原理は明かされず、断片的で一貫性のない
怪しげな情報が錯綜する謎のエンジンといった感じです。
それにしても、全くのプロトタイプ然とした佇まいで、
とても市販が近いとは思えない雰囲気です。
(あくまでも個人的な感想です。)


このように根本的な原理について矛盾する情報がいくつも乱立しているのは、そもそもMDIがきちんと基本原理を説明しないからでしょう。何故、彼らは公明正大に自分たちの発明の中身を公開しないのでしょうか?

公開したら真似される?

んなアホな。公開しなければ簡単には真似できない飲み物や食べ物のレシピじゃないんですから。機械モノの作動原理なんて分解されればすぐにバレます。彼らは来年には市販すると豪語していますが(本当に市販できる日が来るのかどうか解りませんが)、彼らの作ったエンジンが人手に渡り、それに価値があると解った途端にそれは分解され、原理が白日の下にさらされるのは間違いありません。

真似されたくないのなら、その仕組みを公にして国際特許を取得し、知的所有権を守るというのが機械モノの発明においては鉄則中の鉄則です。まして、MDIが豪語するような驚異的な性能が本当に得られるのであれば、世界中の自動車メーカーがこぞってそのパテントを欲するでしょう。MDIはライセンスを与えることで莫大な富が転がり込むことになるハズです。

(つづく)

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矛盾だらけのエアカー (その1)

例のエアカー絡みのアクセスは1日に30件を超えた時期もありましたが、しばらくは1日10件以下くらいまで減っていました。5月29日にいきなりアクセス数が跳ね上がったのでログを調べてみましたら、どうも2chにリンクを張られたようですね。その後すぐに落ち着きましたが、それでも毎日5~10件くらいのアクセスが続いており、この件で全くアクセスがない日は殆どありません。NHKの例の番組から1ヶ月経ちましたが、皆さんまだ飽きていないんですねぇ。私は少し飽きてきましたが。

guy-negre_and_his_aircar.jpg
発明者ギー・ネグレと彼のエアカー
左はナンバープレートとタクシーのアンドンが付いていますが、
いずれもフェイクだと思います。(あくまでも個人的な印象です。)


私のようにMDI社のエアカーの実現可能性を検討している人もちらほら見かけるようになりました。ただ、基本的なエネルギー収支の考え方が不充分で、あまり参考にならないものが殆どです。

例えば、大気の熱をエネルギーとして利用しているのではないかという、それこそヒートポンプの「エコキュート」などと同じような発想で検討している人もいましたが、私はそれも成り立たないと思います。

そもそも、大気の熱を利用するということは、大気を取り込んで何らかの方法でその熱を奪い、取り込んだときより低い温度にしてそれを排出しなければなりません。また、熱は高いところから低いところへ一方向へしか伝わりません(要するに冷たいものは暖かいものから熱を奪うだけで、冷たいものから暖かいものへ熱を与えることはできません)から、その点も重要なポイントになります。

MDIの空気エンジンは大気の熱を利用していると推測する人は、常温の圧搾空気の圧力を下げれば「ボイル=シャルルの法則」で冷たくなることを利用するのだと考えているようです。確かに、300気圧という超高圧に圧縮された常温の空気の圧力を下げれば、かなりの低温になります。それでエンジンに取り込まれた空気の熱を瞬時に奪い、排出される空気が大気温度より低温になっている状態にすることも充分に可能でしょう。しかし、エネルギー収支を考えれば、こうした方法も上手くいかないと思います。

空気を圧縮すれば温度が上昇しますが、その熱を逃がさないようにして圧力を元に戻せば、温度も元に戻ります。圧力を下げた時に冷たくなって周囲の熱を奪うということは、つまり圧縮するときに生じた熱を捨てていなければなりません。

コンプレッサーで300気圧に圧縮する際に生じた熱を大気に捨てて常温にした圧搾空気を用い、その圧力を抜いて低温になった空気で大気の熱を奪うという仕組みでは新たにエネルギーを取り込んだことになりません。この仕組みは要するに

一度捨てた熱を回収しているだけ

ということになり、トータルのエネルギー収支を見れば相殺されていることになります。ま、こういうステップが増えれば増えるほど損失も大きくなりますから、厳密には「一度捨てた熱を回収しているだけ」という状況にもならず、かなりの損になっているでしょう。実際にこんな装置を作ったとしても、非効率なだけだと思います。

そもそも、大気の熱を取り出すヒートポンプである「エコキュート」も従来のような電気ヒーターより約30%効率が良くなっていますが、投入した電気エネルギーを上回る熱エネルギーを大気から取り込んでいるわけではありません。大気の熱エネルギーをそのまま熱エネルギーとして給湯に利用するために最適設計がなされているエコキュートでも、実態はこんなものです。

まして、電気エネルギーなどでコンプレッサーを回し、圧縮した空気の熱を捨て、その空気で大気の熱を奪い、そのエネルギーを動力に変換するとなれば、エコキュートなどよりずっと多いステップを踏むことになる分だけ効率が悪化するのは明らかです。

また、エコキュートもそうであるように、大気の熱を利用するということは昼よりも夜、夏よりも冬、温暖な土地よりも寒冷地のほうが能力は低下するという不安定な要素を抱えることになります。

定置で電力の供給を受けて運用されるエコキュートなら、気温が下がってもモーターの出力を上げてやればお湯を沸かす能力に支障はありませんが、限られたエアタンクしか持たないエアカー場合、他のエネルギー源を複合的に利用しなければ安定的な性能は得られないでしょう。

(つづく)

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風向きは変わるか?

私のようにCO2温暖化説に矛盾を感じている人間は、よく「懐疑派」などといわれます。が、逆に私の側から言わせて頂けば、どこまでアテになるのか解らないコンピュータシミュレーションくらいしか根拠のない、矛盾だらけのCO2温暖化説を支持する人達のことをむしろ「盲信派」としたいくらいです。

大衆メディアも極右の「盲信派」を形成し、科学的なストーリーはスパコンオタクの引きこもり気候学者達が言うそれを受け売りしてきただけでした。書店へ行けばこれを批判する書籍が何冊も売られていますが、そんな反対意見などこの世に存在しないかのごとく、日本のメディアの殆どはCO2温暖化説の既成事実化の旗振り役を務めてきたのは皆さんもよくご存じのことと思います。

が、一昨日(6月2日)の日本経済新聞の科学面に大変興味深い記事が掲載されました。

nikkei_08-06-02-p13.gif

日経ネットのほうでは扱われていないようですが、いずれにしてもこんな記事が載るとは、これまでの流れからすればちょっと考えられないことです。

ま、そうはいっても政治面や経済面、国際面はまだまだ「盲信派」に傾倒した偏向報道が相変わらず続いていますし、自動車メーカーや電器メーカーなどの広告もまた同様です。が、それにしても全く顧みられることのなかった科学的な議論が取り上げられたことは極めて画期的かと思います。

以前、『報道ステーション』での古舘伊知郎のリアクションに私は失笑しました。それは、アメリカの大統領候補の予備選が始まった頃だったと記憶していますが、候補者に対してアメリカのメディアから「地球温暖化を信じますか?」という質問があったと現地の特派員が伝えていた事に対し、彼は「信じますかって・・・」と、心底呆れた表情をしていたんですね。

しかし、現実に都市化によるヒートアイランド現象などの影響で気温が高く観測されるポイントが増えていたり、気温の測定誤差そのものについての検討も不充分なんですね。それこそ百葉箱に塗る塗料が昔の無機顔料のものから現在の有機顔料のものに切り替わっただけでも最高気温が1.2℃高く観測されたとするデータもあるくらいで、本当に地球規模の気温上昇が起こっているとはいえないかも知れないとする専門家もいるわけです。(私個人の見解としましては、温暖化はしているかも知れないけれど、それが人為的だとは思っていないという立場ですが。)

いずれにしても、科学の世界では意見が割れたままで、充分な議論はなされていない状況なんですね。しかし、政治家や官僚や企業やメディアはそんなことなどお構いなしに、どんどん既成事実化を進めてきたわけです。

ま、日経のこの小さな記事は殆ど見過ごされ、大きな波に抗うことなどできないのかも知れません。が、小さくとも画期的な一歩が示されたことは非常に有意義なことだと私は高く評価します。

頑張れ! 日経新聞科学部!!

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新型デュラエース発表!

昨日、シマノから正式にデュラエース7900シリーズ(以下79デュラ)が発表されましたね。

dura-ace7900.jpg
DURA-ACE 7900series

ま、これまでにもスクープ記事は(主にヨーロッパで)流れていましたし、今年のジロ・デ・イタリアでも恐らくパイロットプロダクション(量産試作:実際に製造ラインを使って市販モデルを量産するのと同じ段取りで試作されたもの)と思しき試作品が盛んにテストされていました。このタイミングで正式発表ということは、今年のツール・ド・フランスでは最終テスト+プロモーションということで大々的にこの79デュラが投入されるのでしょう。

詳しい内容はシマノのサイトでご確認頂いたほうが間違いないと思いますので、ここでは個人的に気になった部分を取り上げることにします。

かねてから噂されていたとおり、デュアルコントロールレバーのブレーキレバーがカーボン化されましたが、一番のトピックはカンパやスラムと同じくシフトケーブルをハンドルバーに沿わせる内蔵式になったところでしょう。77デュラ以来十数年、頑なに内蔵式を採用してこなかったシマノもついにといった感じです。

st-7900.jpg
ST-7900

が、プロ選手などもこのケーブルを掴んで、ハンドルバーのステムに近い位置に肘を置いて、DHポジション的なフォームで乗る人もたまにいるようですから、そういう人たちにしてみれば、これは改悪になるのかも知れません。

一方、コンポの顔といいますか、デザインコンセプトを最も大きくアピールするクランクは78デュラも賛否が分かれていましたが、79デュラも同様に賛否が分かれそうなデザインですね。そういえば、今春発売予定とされた例のカーボンクランクはどうなったんでしょうか? (シマノのサイトにあったFC-7800Cのページは削除されたようですが。)

詳しくは昨年のサイクルモードのレポートをご参照頂きたいと思いますが、デュラエースの「デュラ」はアルミ合金であるジュラルミンに由来しますし、その名が初めて用いられたのはクランクです。なので、これをカーボン化することには内外を問わず抵抗が大きかったのではないかと思います。カーボンクランクが台頭してくる中にあってスルーアクスルBBの採用で対抗した彼らの心意気に感銘を受けた私としても、カーボン化を見送ったのは悪くない判断だったと思います。

ま、そうはいってもやり尽くされている感の否めないクランクですから、思い切った構造の見直しはなかったようです。全般には見た目で解りにくい最適化が中心といった感じで、特筆すべき点は「中空ギア」と称するチェーンリングを採用したことくらいでしょうか。

fc-7900-7950.jpg
FC-7900/7950

写真の印象からして中空構造なのはアウターのみのようですが、これまで裏をえぐって肉抜きしていたチェーンリングを中空構造にすることで軽さと剛性を両立させたということでしょう。また、こちら側からフィックスボルトが見えないということは、中空構造で厚みができたアウターチェーンリングにスレッドが切られ、裏からボルトで留めるという方式になっているのだと思います。(つい先日、床に転がっていたペグスパナを裸足で思いっきり踏んでしまい、かかとに血豆を作った私としては歓迎したい構造です。)

そして、やはりコンパクトクランクもラインナップされました。50-34Tの1種類しかないのはまだ本気でやる気がない故かも知れません(カンパ・レコードは50-36T/50-34T/48-34Tといった具合にバリエーションがあります)が、ラインナップされたこと自体はやはり時流に逆らえなかったということでしょう。逆にトリプルについては何もアナウンスされていませんから、やはり諦めたということでしょうか?

個人的に惹かれたのはサイクルコンピュータのフライトデッキですね。

sc-7900.jpg
SC-7900 Flight Deck

ブラケットの段数センサーもワイヤレス化されたのはやや微妙な気もしますが、機能面では心拍計・斜度計・高度計が備わるなど、一気に充実しました。これまでのフライトデッキは速度・距離・ケイデンスなどベーシックな機能に絞られており、少なくとも心拍計は欲しい私としては食指が動きませんでした。が、このニューモデルはかなり魅力的になりましたね。

ブレーキキャリパーはカンパやスラムのようなスケルトン構造が採用されなかったり、リヤディレイラーのプーリーケージがカーボン化されたり、フロントディレイラーの構造が見直されてアウターに掛けているときのトリム操作が必要なくなったり、ハブベアリングの玉当り調整が簡単になるという「デジタルクリックアジャスト」が(余計なお世話な機能でなければ良いのですが)採用されたり、全部挙げていくとキリがないのでこの辺にしておきますが、やはり旗艦モデルのフルモデルチェンジらしく、細かい部分まで色々手が加えられているようですね。

ただ、個人的には78デュラに替えてからまだ2年くらいしか経っていませんし、ロードバイクだけと真面目にお付き合いしているわけでもありませんから、替えるとしてもかなり先のことになるでしょう。今年はMTBのコンポを替える予定ですし、ロードバイクは来年か再来年くらいにフレームセットを替えようか、それともパワーメーターの導入を優先させようか、どうしようかと考えているところです。

たぶん、最初に導入する79デュラはチェーンになるでしょうね。

cn7900.jpg
CN-7900

これまたようやく中空ピンと肉抜きプレートが採用され、従来より30g近く軽量化されるようです。公称値ではカンパ・レコードを若干下回ったようですね。その分だけ値上がりもするでしょうけど、いくら何でも一気に2.5倍も値上げするなど考えられませんから、カンパ・レコード並み(定価8610円)になるということもないでしょう。

現物にはサイクルモードで御対面できると思います。楽しみではありますが、物欲との戦いにならないことを祈るばかりです。

(続報へ)

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ようやく納車

登録日は5月30日だったのですが、私の大阪出張が重なってしまったので、今日納車となりました。契約からピッタリ3ヶ月でした。もちろん、仕事を終えてからですので、引き渡しは夕方になりました。

my_prius.jpg
無事納車されたプリウスS 10th Anniversary edition

で、任意保険の契約変更手続きをすっかり忘れていました。損害保険代理店の普通資格(ノンマリン:海上保険を除く)を取得しているんですけどねぇ。紺屋の白袴/医者の不養生/坊主の不信心/儒者の不身持ち/大工の掘っ立て・・・。ま、類語は沢山ありますが、無保険で事故って痛い目は見たくありませんのでまだ1ミリも走らせていません。が、世の中便利になりました。つい今さっき、ネットで契約変更を済ませましたので、ちょっくら給油がてら近所を一回りしてこようかと思います。

manuals_of_prius.jpg

取説も本体のほうはネットで見ることができましたので、この3ヶ月の間にザックリ読んでいました。が、カーナビや諸々のオプションなど、別冊の細かい取説が全部で10冊もありました。とりあえず目を通すべきでしょうが、時間がかかりそうなので追々ということにします。

それにしても、一番ボリュームがあるカーナビの取説は2cm以上の厚さがあり、手に取っただけでちょっとウンザリします。ま、この辺は携帯電話なども同じことで、たぶん全部の機能を覚えられないのも携帯電話と同じなのでしょう。

ということで、クルマと戯れて参りますので、今日のところはこの辺で。

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何歳で死ぬべきかが解るゲーム

オーストラリアのABC(Australian Broadcasting Corporation)はオーストラリア連邦政府の交付金で運営されていますから、受信料で運営されている日本のNHKやイギリスのBBCとやや形態は異なるかも知れませんが、公共放送であることに違いありません。

ここんちは『The Chaser's War on Everything』という社会風刺番組で捕鯨問題を取り上げた際、「日本人が鯨を殺すのは調査が目的ならば、我々も日本人を調査するために日本人を殺そう」という趣旨で、駐豪日本大使に「調査のため、あなたを殺します。」といいながら追いかけまわすという映像が放送されたそうです。

ま、そんな感じの感情的でラディカルな番組を放送するような局だからかも知れませんが、子供向けに『PROF.SCHPINKEE'S GREENHOUSE CALCULATOR』というこれまたラディカルなゲームを作りました。

greenhouse_calculator.jpg
PROF.SCHPINKEE'S GREENHOUSE CALCULATOR

サブタイトルには「find out when you should die!」とあります。要するに、11の質問に答えていくことでCO2の排出量が積算されてゆき、規定値を超過すると何歳で死ぬべきなのかが解るという趣向です。

you_should_die_at_age.jpg
規定のCO2排出量を超過するとブタに見立てた被験者が破裂し、
ご覧のように床が血で染まって「オマエは○○歳で死ぬべき」と出ます。


地球温暖化がCO2の温室効果で引き起こされていると科学的に証明されていて、なおかつ、そのCO2の増加が人為的なものであることも科学的に証明されていて、さらにこの気候変動が本当に破滅的な悪影響をもたらすことも科学的に証明されているなら、このくらいラディカルでも許されるでしょう。が、いずれも単なる推測(というか空想)の域を出ないレベルでしかありません。

これを以て、子供に何歳で死ぬべきと脅迫するのは明らかに度を超しています。こうしたラディカルな考え方が許される状態というのは、要するに集団ヒステリーに陥っているということでしょう。

それにしても、普段利用するのが「モーターバイク」より「タクシー」のほうがCO2排出量が少ないというのは理解できませんが、こういうメチャクチャな内容が看過されるのも集団ヒステリー状態ならではなのかも知れません。

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まとめ

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