
これまた有機的なデザインへ変貌を遂げましたが、
マヴィックのメカトロニックっぽいとの声もあり、
外観に関しては79デュラのそれよりずっと苛烈な
賛否両論を巻き起こしそうな雰囲気です。
個人的にはカンパは縁遠い存在ですので、すぐにどうこうということもないと思います。また、私の場合は諸般の事情で10sへの移行もかなり遅めでした。確かに、「ここの間にもう1枚欲しい」と思うシーンもありますが、走る条件に合ったカセットをチョイスできていれば9sでも何とかなっていましたし、そもそも私がロードレーサーに乗り始めた当時はプロもみんな6sで走っていましたし。
もっとも、それは四半世紀くらい前のハナシですから、いまとは時代が違うといわれれば、まさにその通りです。6×2でトータル12sだった時代を思えば、リヤだけで11sというのは確かに凄いことだと思います(シマノは試作だけならもっと段数の多いものもテストしているそうですが)。ま、10sが出てきたときもそうでしたが、「本当にこの段数アップは必要なのか?」という議論も、そのままあの時のリピートになっているようです。
ところで、シマノの日本語サイトにある79デュラのクランクセットの概要にはこのような一文もあります。
●ギアを改良、チェーンとの接触を解消
CN-7900チェーンとの組み合わせにより、2x10speed すべてのギアがストレスなく使用可能に。
これまでタブー視されてきたインナー×トップ、アウター×ローも全部使い切れることを売り文句にしているようですから、「カンパのリヤ11sより実質的に使えるギヤは多い」という意見もあり、既にネット上ではカンパ派とシマノ派の間で論争になっているようですね。
シマノは以前からフロントの変速性能に自信を持っていましたから、トリプルを推すなどリヤの段数アップよりフロントの活用を重視してきたようなフシもあります。結局79デュラでフロントトリプルは諦めたようですが、今般のチェーンリングの改良も、いわれてみれば確かにその通りで、下手にリヤの枚数を増やすより良い結果が得られる可能性もあります。

もちろん、11枚のスプロケットが連なっています。
カンパは10s化したとき、スプロケットの厚さを9sと同じまま据え置き、
スプロケットの間隔を狭め、チェーンもそれに対応させました。
が、さすがに今回はそういうわけにもいかないでしょう。
構造面が窮屈になれば、様々な点で要求がシビアになると思いますが、
実際はどうでしょうか?
段数が増える度に言われるのが信頼性や耐久性の問題ですが、この辺はまだ何とも評価し難いところでしょう。もうすぐ始まるツール・ド・フランスでカンパの11sが本格的にテストされるのは間違いないと思いますが、シマノの79デュラも全く同様です。今年のツールは2大コンポメーカーの争いもメディアを賑わすことになると思いますので、その辺も注目したいですね。
もし、カンパに続いてスラムも11sへ移行するとなれば、マーケットの流れは一気にそちらへ向かうでしょう。が、スラムもレッドを出したばかりですし、スラムの10sは(79デュラを除き)シマノ互換ですから、カンパ互換で11s化するか、独自規格でいくかの判断もすぐに出せるのか、かなり微妙な気がします。シマノはしばらく様子見を決め込むでしょうから、11s化が潮流に乗るか否かは案外スラムの動きが鍵を握るかも知れません。
ここからは余談になりますが、多段化の究極はやはり無段階変速でしょう。自動車の世界では(特に小型車では)もはや珍しくも何ともありませんし、モーターサイクルでもかなり以前から商品化されてきました。
では、自転車用はどうでしょうか?
実はこれも既に実用化されています。例えば、ヌヴィンチというリヤハブ内装のトロイダル式CVTは、実際に商品化もされているようなんですね。もっとも、こういう摩擦車は伝達効率も良くないでしょうし、重量面も気になりますし、レース用としてはまだまだ現実的な段階ではないと思います。ま、将来的にもそうしたステージに上ってくるか微妙な気もしますが。
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