
※前回のエントリで掲げたものと同じグラフです。
どう見ても前倒ししたほうが悪い結果になっていますね。ただ、製造や廃棄にかかるCO2排出量の削減幅が不明なので、その点については一定としましたから、それらの要素が1台分多く反映される7年サイクルのほうが不利な値になりそうな感じではあります。が、実はこのグラフにはハンデがあります。
そもそも、このグラフは10年×3=30年と7年×4=28年の比較なんですね。3年前倒しの「エコ替え」の方は走行時にかかるCO2排出量が2年分足りないデータなんです。この2年分の補正が難しいので30年と28年で比較しましたが、それでも3年前倒しの7年×4=28年のほうが悪い結果になっています。LCAで比較すると、トヨタの提唱する「エコ替え」がちっとも環境負荷低減につながっていないということさえ確認できれば目的を果たせますので、ややこしい補正を抜きに考えても問題はないでしょう。
もちろん、これはCO2排出量しか見ていません。トヨタの「エコ替え」のサイトで示されている環境負荷のデータがCO2しかなく、比較できるデータが他にないのですから仕方ありません。私はCO2温暖化説に否定的な立場ですから、CO2の排出が環境負荷になっているとは考えませんが、トヨタが提唱している「エコ替え」もLCAで評価すれば出鱈目で、厚顔無恥な偽善であるということを明らかにできれば良いので、こうした検討にも意味はあるでしょう。
また、自動車が与える環境負荷は他にも沢山あります。それらについても資源調達や廃棄物処理まで考慮しなければなりません。少なくとも、7年サイクルでの代替えは10年サイクルでの代替えより約30年でクルマ1台分の金属や石油などの資源を余計に消費するわけですから、「まだ乗れるけど」などといって替えてしまうのはやはりエコでないのは間違いないでしょう。
それにしても、これほど評判の悪いキャンペーンをトヨタはいつまで続ける気なのでしょうか? 間違った風潮に抗い、正しい主張を通すためにあえて空気を読まないのは良いことだと思います。が、誤った主張をゴリ押ししながら空気も読まないというのは最悪です。巷で「エゴ替え」と揶揄されるのも当然でしょう。
ところで、先般「お門違い」と題したエントリで新車販売台数が減っているのに国内の自動車の保有台数は増えている現象をお伝えしました。確かに、「若者のクルマ離れ」の傾向は明らかだと思いますし、新車販売台数は3年連続で前年度割れとなっています。が、保有台数は増えているという現象は、要するに代替えサイクルが伸びているのが一番の要因だと考えられます。

乗用車保有期間の変化(前保有車が新車)
これは(財)日本自動車工業界調べのデータになりますが、保有期間の長期化が非常に顕著に見られます。また、こんなデータもありました。

主運転者年齢
ご覧のように、若者の比率は減少していますが、高齢者の比率は顕著に増えています。要するに、若者がクルマから離れている故、新規ユーザーのマーケットは縮小している一方、既納ユーザーのマーケットはある程度維持されており、また60歳以上の高齢ユーザーは大幅に増えているため、保有台数は減らず、むしろ微増を続けているということでしょう。
となれば、自動車メーカーとしてはクルマから離れていく若者を追いかけ、新規ユーザーの開拓を期すよりも、既納ユーザーを囲い込んで代替えを促進するといった戦略のほうが効果的です。そこへ訴えかける何かを模索したところ、このエコブームに乗じるのが良かろうという結論に至ったのではないかと想像されます。が、「まだ乗れるけど燃費の良いほうに変えたよ」などと、素人目にも嘘くさいと見透かされてしまった故、無様なまでの空回りとなってしまった訳ですね。
「エコ替え」という名の「独善的な代替え促進キャンペーン」を企画したのはトヨタ自身なのか広告代理店(トヨタですから電通でしょうか?)の提案になるのかは解りません。が、誰でも偽善と解る非常に見苦しい内容だけに、批判にさらされるのは当然のことです。
いずれにしても、トヨタ車に乗るのが非常に恥ずかしくなるので、一刻も早くこのバカげたキャンペーンを中止して欲しいものです。