酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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プレミアムブランドは一日にしてならず (その2)

いつだったか、経済評論家を気取った人が「日本ではレクサスも上手くいっていないのに、ホンダが日本でアキュラを展開しても玉砕するだけだ。日本でインフィニティやろうとしない日産は賢明だよ。」というようなことを得々と語っていました。

ま、確かに現在の日産は大衆車の売れ筋も充分に確保できていないくらいですから、日本でインフィニティを展開するのはかなり難しいでしょう。アキュラも当初は今年からということになっていましたが、何だかんだで2年延期となり、そしている間にまた景気が下降し、タイミングとしてはレクサスのときより厳しくなっているかも知れません。

とはいえ、ホンダはトヨタよりも早くプレミアムブランドを北米市場で展開したパイオニアですし、現在もそのブランド価値を高めようとする努力は惜しんでいません。彼らは、昨年カリフォルニア州トーランスに1500万ドルを投じてアキュラ・デザインスタジオを設けているんですね。要するに、アキュラブランド専門のデザインスタジオをわざわざ作って、さらにテコ入れを図ろうとしているわけです。

アキュラデザインスタジオ(外観)
アキュラ・デザインスタジオ

この他にもホンダはアドバンスドデザインスタジオを新設しています。市販には直接結びつけないコンセプトカー専門、つまり将来を見据えたデザインコンセプトだけを研究するための拠点ということです。

いまは人の褌で相撲を取るような情けないデザインも繰り出して来るホンダですが、デザイン部門の強化には大いに期待したいところです。実を結ぶのは何年も先のことになるのだと思いますが、こういうことは焦ったところで付け焼き刃になるのがオチでしょうから、長い目で見守るべきですね。

こうしてみますと、トヨタもホンダもプレミアムブランドの醸成には近道をしようとせず、地道に王道を歩んでいるように思います。3年やそこらの売上やシェアなどのデータしか見ないで評価するような人たちはこうした長期的なビジョンはどうでも良いのかも知れませんけどね。

私はただの一素人ですが、日本国内でのレクサスブランドの扱いについてトヨタに注文を付けさせて頂くとしたら、まだまだ「差別化が甘い」というところでしょうか。

トヨタのグローバルサイトのトップページにある「自動車事業」の項には「TOYOTA」「LEXUS」「HINO」「DAIHATSU」と並んでおり、公式サイトもトヨタブランドレクサスブランドを明確に分けています。が、ブランドイメージの広報手段として定石中の定石であるモータースポーツ、殊に日本の国内イベントでは最高の集客力を誇るスーパーGTで各々のブランドをごちゃ混ぜにしているのは頂けません。

スーパーGTの公式サイトにあるチームインフォメーションをご覧頂けば一目瞭然ですが、GT500クラスでレクサスSC430を走らせている全チームに「トヨタ」を冠しているのは、プレミアムブランドとして「トヨタ」とは別に「レクサス」を設けた意味を失わせるものです。

ECLIPSE ADVAN SC430
ECLIPSE ADVAN SC430 (TOYOTA TEAM TSUCHIYA)
ま、元々は日本国内でトヨタ・ソアラとして売られていたクルマですが、
レクサスは鼻先のエンブレムくらいで、トヨタのロゴのほうが目立ち、
トヨタを冠したチーム名で車名にもレクサスが出てこないというのでは
ブランドを分けた意味がないでしょう。


一方、狡猾なイギリス人に騙されたフォルクスワーゲン(以下VW)はロールス・ロイスを買収したつもりが、「ロールス・ロイス」の商標権は僅か90億円少々でBMWに切り売りされ、ロールス・ロイス社とその古い生産設備と改革意識の低い従業員と「ベントレー」の商標権に1000億円近くもの巨費を支払うハメになってしまいました。

しかし、泣き寝入りしても仕方のない彼らは、ベントレーがもっとも輝かしかった時代のイメージを蘇らせるべく、アウディR8で実績を重ねていたル・マン24時間耐久レースにベントレーを復活させました。

Bentley_Speed8.jpg
BENTLEY EXP SPEED 8
73年ぶりにル・マン優勝を飾ったベントレーですが、
エンジンもシャシーもアウディとは異なるものが与えられ、
もちろん、VWの名称はどこにも出てきません。
(ちなみに、このイラストは私の手描きです。)


ベントレーEXPスピード8はクローズドボディのGTPクラスですから、オープントップのLMPクラスになるアウディR8とは元々異なるシャシーが与えられていました。また、参戦初年こそ同じエンジンでしたが、翌年からはそれも独自のものに改められました。しかし、こうした努力はあまり知られることもなく、熱心なファン以外にはアウディR8にクローズドボディのカウルを被せただけと認識されているのは何とも気の毒なハナシです。

VWのような徹底した取り組みでも充分な理解を得られるとは限らないわけですね。トヨタがそこまで見越しているとは考えられませんが(いえ、彼らなら人を見透かしてそれくらい平気だったりしますが)、いずれにしてもスーパーGTでのブランド混用は無神経過ぎるでしょう。

レクサスをプレミアムブランドとして際立たせたいのなら、トヨタブランドとイメージが重ならないよう、明確な棲み分けをさらに進めていくべきです。クラウンのように位置づけが難しい車種を展開していなかった北米市場では、そうした問題もなく比較的スムーズに運んだかも知れません。が、日本国内においてはヒエラルキーの頂点にクラウンを君臨させてきた歴史もありますから、両ブランドの差別化に当たって、その扱いは非常に難しいものがあると思います。

先代「ZERO CROWN」へのモデルチェンジでは、ユーザーの若返りを狙ってスポーティな雰囲気も漂わせました。が、レクサスブランドのことを考えれば、これは失策だったかも知れません。クラウンに関しては上位車種を次第に抑え、全般的な車格を徐々に下げていくなどして、そのユーザーをレクサスに取り込んでいくようなマーケティングを本気で検討しなければならない段階に来ていると思います。

もっとも、私たちより上の世代には「いつかはクラウン」のコピーもまだ生々しい記憶です。なので、クラウンの車格を見直すこともまた「一日にしてならず」なのでしょう。

(おしまい)
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プレミアムブランドは一日にしてならず (その1)

かつて、徳大寺翁が「日本のプレスは自動車オンチ」というようなことを言っていましたが、経済評論家や証券アナリストといった類の人たちも同列にあるといえるでしょう。彼らが自動車ビジネスについて語るときは長期的なビジョンや文化的な側面などを理解していないことが多く、直近の結果しか見てないと思わされることが多々あります。

トヨタに関していえば、「結果の出せないF1活動をいつまで続けるのか?」とか、「レクサスの日本導入は失敗だった」とか、表面的な部分だけで語っている人も少なくありません。

そもそも、F1などのモータースポーツはメーカーにとって「広報活動」と「文化活動」という二つの側面がありますが、軽薄なアナリストたちは前者しか見ていないでしょう。それにしても、日本国内とは大きく異なる海外の広告事情はあまり理解していないように思います。国内ならば大手の広告代理店に任せておくだけで、隅々まで行き渡る広報を容易に行えます。しかし、全世界にそれを展開するとなれば、大変な手間と費用がかかります。

F1はサッカー同様に北米での訴求力こそないものの、ヨーロッパ諸国を筆頭として世界的に広く関心を持たれているスポーツですから、その宣伝効果は侮れません。トヨタは日本国内のメディア広告費だけで年間1000億円以上を投じているそうですから、F1活動に投じているそれを費用対効果で考えても決して悪い内容とはいえないでしょう。いまどきメーカーのワークスチームが勝てないからといって「市販車の性能も悪いのではないか?」と短絡的に考える人など殆どいないでしょうし。

また、彼らは「文化活動」という側面について全く考慮していません。「優勝できる見込みが立たないのなら撤退すべき」とする考え方は、モータースポーツを文化として認めていない証左です。日本のプロ野球で万年Bクラスに甘んじ、優勝争いに絡めないからといって「いつまでも優勝できないチームは撤退すべきだ」と切り捨てるような人はいないでしょう。

一方、プレミアムブランドとして展開しているレクサスは日本導入からまだ僅か3年です。トヨタが想定した当初の計画より売上やシェア獲得が伸び悩んでいるも確かですが、そもそもプレミアムブランドは一朝一夕で立ち行くものではありません。ブランド価値の醸成とその認知に時間がかかるのはむしろ当然のことで、たかだか3年ほどで結論づけるのはナンセンスです。

ファッション業界などでは欧米の新興ブランドが日本でも一気にブレイクすることがあります。が、そういうパターンは得てして単なるブームで終わり、プレミアムブランドとして長く支持され続けるというところまではなかなか至らないものです。

レクサスがプレミアムブランドとして日本国内マーケットでも成長していく良い兆しがないわけではありません。

販売店満足度、レクサスが2年連続で総合首位

 米調査会社JDパワーが25日発表した08年の日本自動車セールス満足度調査によると、トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」が、ランキング対象の12ブランドの中で、2年連続して総合首位になった。セールス担当者、商品展示など五つの項目でも、すべて他ブランドを上回った。

(中略)

総合満足度は千点満点で、平均は594点。レクサスは730点で、2位のBMWを73点離した。「店内が快適」「車両がよい環境で展示されている」など、店や展示状況への評価が特に高かった。

(後略)

(C)asahi.com 2008年9月25日


ま、この種のリサーチ結果は極々表面的な一部分の評価に過ぎませんけどね。ただ、店舗の評価が特に高かったとのことですから、商品そのものだけではなく、総合的なイメージづくりに心を砕いている様子は覗えます。

レクサス高輪の店内
レクサス高輪のショールーム内
非常に高い評価を受けているレクサスのショールームですが、
確かに、従来の国産車ディーラーとは一線を画すプレミアムな空間を
上手に演出できている印象です。(個人的な感想です。)


ブランドの価値を重厚なものにしていくには、話題づくりのための派手なイベントやキャンペーンを展開していくより、こうした地道な努力のほうがずっと重要かも知れません。

(つづく)

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

ランスはチームのどこに身を置くべきか?

ランス・アームストロングがアスタナで現役復帰することが正式に決定したのは皆さんもご存じかと思います。彼のビデオメッセージが出されたとき24日に詳細を発表するとのことでしたが、全て予定通りでしたね。

現役復帰を発表するランス
現役復帰の詳細を発表するランス・アームストロング

その数日前、アスタナのエースであるアルベルト・コンタドールはスペインのスポーツ新聞『アス』紙のインタビューに応えています。史上5人目の3大ツール全制覇を成し遂げた彼ですが、ランスのアスタナ合流に対して不安感を抱いており、このように述べていました。

「そうなれば面倒なことになってくる。僕はチームのエースの座を戦わずして手に入れた。そしてアームストロングが入れば、チームは彼を優先して僕は被害を被るという難しい状況に陥るだろう。」

「彼が言ったことを自分自身の決定の基準にするつもりだ。2010年までの契約があるので残留するつもりではあるが、他のチームからかなり良い条件提示を受けている。ブリュイネールは僕が結果を出せると信じているが、彼が名を上げたのはアームストロングとの結びつきがあったからということは否定できない。」

今年はチームごとツールから排除されたものの、ジロとヴエルタでのコンタドールは見事な勝ちっぷりでした。もはや実力No.1はツールを制したカルロス・サストレでもなければ、サストレと最後までツールの優勝を争ったカデル・エヴァンスでもなく、コンタドールであることを疑う人はいないでしょう。

グランツールで勝てる実力No.1が引く手数多というのは当然のことで、アスタナとしても彼を手放したくはないでしょう。ブランクもあり、年齢的にも厳しいランスを立てるより、コンタドールをエースとしたほうが監督のヨハン・ブリュイネールも勝利へのシナリオを書きやすいでしょう。

もっとも、ランス自身も置かれている立場をよく理解しているようです。当初はツール8勝目を目指すと伝えられていたものの、24日の会見の折、

「ツール8度目の優勝は保証できない。しかし、ライブストロング(ランスのライフワークであるがん撲滅キャンペーン)のメッセージががんに対する様々な状況に影響を与えるだろうということは保証する。」

「彼(コンタドール)とレースに参加することを楽しみにしている。アルベルトは現在地球上で最高のライダーだ。我々はそれを認識し、尊重しなければならない。今、私があれほど速く走れるか分からない。ことがうまく運ぶことを願っているよ。」

と述べ、コンタドールを賞賛し、チームの纏まりを乱すことのないよう配慮しています。

ま、現実的にランスがかつてのような実力を取り戻すのは容易ではないでしょう。ランス贔屓のブリュイネールといえども余程のことがなければコンタドールのアシストとして走らせ、折を見てツールのステージ優勝で花を持たせるといったことを考えているのではないでしょうか?

サイクルロードレースの良いところは、勝利したエースだけでなく、その勝利をアシストした選手も賞賛されるところです。ランスの身の置き場所としてもっとも無難な線はそのあたりなのかも知れません。ブリュイネールがランスを優先させるようなことがあれば、コンタドールがチームを去るのは必至でしょうし。

テーマ:自転車ロードレース - ジャンル:スポーツ

現代の免罪符

CO2温暖化説に否定的な立場の私から見てもCO2の排出削減は化石燃料の消費削減という意味で非常に意義のあることだと思います。が、「免罪符」という宗教慣習の上で歴史を重ねてきたヨーロッパ人は「カーボンオフセット」という免罪符同様の発想を以てCO2温暖化説を金儲けの道具にしているのは皆さんもよくご存じのことと思います。

カーボンオフセットの理想論だけに傾注していればメリットがありそうだと思われる方も沢山いらっしゃるでしょう。しかし、どんなに視野が狭い人でもカーボンオフセットが「免罪符」同然に利用されることが解るような商品が発売されますので、ご紹介しておきましょう。

(株)カーメイト “カーボンオフセット付 リモコンエンジンスターター” 発売

 株式会社カーメイト(本社:東京都豊島区、代表取締役会長兼社長:村田隆昭)は、カーボンオフセット付のリモコンエンジンスターター 『TE-W2200EG』 を、平成20年10月上旬に発売いたします。
 この製品は、冬期1シーズンのアイドリングで排出される二酸化炭素を相殺する相当量の排出権(一台あたり200kg-CO2e)を付加したカーボンオフセット対象製品で、京都議定書が定めた日本の温室効果ガス削減目標に貢献する製品となっております。

(後略)

免罪符付リモコンスターター

(C)カーボンフリーコンサルティング 2008年9月24日


要するに、冬場クルマに乗ったとき寒いのは嫌だとか、凍った窓を溶かすのが面倒とか、そういう理由で屋内からワイヤレスで暖機運転をさせておく装置に、インドの風力発電からCO2排出権を買って付けたので、デカイ顔をして暖機運転しても(一冬だけは)OKだよという商品です。「エコスタート」などと称し、カラーリングもグリーンとして思いっきり環境指向をアピールしていますね。

しかし、こうした無駄なアイドリングを積極的にさせる商品が「日本の温室効果ガス削減目標に貢献する製品」などと謳うこと自体、厚顔無恥も良いところです。

カー用品ショップの店頭には、燃費向上とかパワーアップを謳うインチキケミカル類、シートベルトの装着を形骸化させるようなクリップなど莫迦げた商品が山のように積まれています。が、山のように積まれているということは、そうした商品を喜んで買っていく人も沢山いるということです。そういう人たちにとっては、このリモコンスターターもエコ商品ということになってしまうのでしょう。

イメージ先行の似非エコが幅を利かせる昨今にあって、カーボンオフセットがエネルギー浪費の免罪符になっていたり、リサイクルが大量消費の免罪符になっていたり、何でもありの無法状態になっています。そろそろ実効性のある歯止めを設けていかなければ、こうした嘘に多くの人が気づき始めたとき、間違った方向へリバウンドしてしまうかも知れません。

テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

日本 あんな調達こんな調達 (第4回)

国土交通省航空局 フライトチェッカーの修理


私もすっかり忘れていたこのシリーズですが、このところネタを探すのが面倒なときは5大紙(殊に朝日新聞)の社説に文句を垂れるパターンが続いていましたので、今日は『官報』の「政府調達」から一つ取り上げることにしました。


入札公告

次のとおり一般競争入札に付します。
平成20年9月25日

支出負担行為担当官
国土交通省航空局長 前田隆平

◎調達機関番号020 ◎所在地番号13
○第0434 号
1 調達内容
(1) 品目分類番号77
(2) 購入等件名及び数量
  BD700型機用APUの修理作業1台(電子入札対象案件)

(以下略)


「BD700型機」というのはボンバルディア・エアロスペース社の双発ジェット機です。同社はランディングギアの不調で胴体着陸して日本でも一躍有名になりましたが、あの事故機はDHC-8-Q400という双発プロペラ機で、ボンバルディアのオリジナルではありません。DHC-8シリーズは1980年代の初め頃にデハビランド・カナダ社が開発したもので、1996年にボンバルディアに買収され、今日に至っています。

ちなみに、「BD」というのはボンバルディア、「DHC」というのはデハビランド・カナダを示しています。エアバス社の機体も頭に「A」が付されますし、ボーイング社も「B」が付き、ボーイング社に買収された旧マクダネル・ダグラス社の機体にも「MD」が付きます。ま、こうした呼称は航空業界の習慣なのでしょう。

余談が続いて恐縮ですが、ボンバルディアも事故で有名になりましたが、「MD」といば第4世代ジェット旅客機で全損事故率ダントツ1位(100万便あたり3.45回は2位のA310の2倍以上)の悪名を轟かせたMD-11が有名ですね。これも現在はボーイング社が取り扱って(尻ぬぐいして)います。例えば、JALが「J-bird」と称し、一機一機に鳥の名前で愛称まで与え、低燃費の次世代機として鳴り物入りで10機導入したMD-11も事故の多さゆえ早々に退役となりました。その機体はボーイング社で改装され、現在はUPS社で貨物機として運用されています。

話を戻しましょうか。この案件で修理の対象になっている「APU」というのは、「Auxiliary Power Unit」即ち、「補助動力装置」のことです。ジェット機やターボプロップ機(ガスタービンエンジンのプロペラ機)はメインエンジンの自力始動ができなかったり、エアコンや機内与圧のコンプレッサー、発電器、油圧ポンプなどを駆動する動力をメインエンジンから取り出す構造になっていなかったりしますので、補助動力装置(大抵は小型のガスタービンエンジン)がそれらを担うわけですね。

航空局保有のBD700
国土交通省航空局が保有するBD700

では、国土交通省はこうした航空機をどのような目的で運用しているのでしょうか?

空港へのアプローチラインには、VORTACなどの航空保安無線施設があります。この施設からは方位・距離情報などが電波で送られており、離着陸時に重要な指標として利用されています。こうした施設が正常に機能しているかどうかは地上からのモニターでも確認されていますが、モニターアンテナより遠くの空間における電波の状態を確認するのは地上設備だけでは限界があります。

そこで、国土交通省はフライトチェッカー(飛行点検機)と呼ばれる飛行機を飛ばして、実際に空中から電波を受信し、施設が正常に機能しているかどうかを確認するわけです。要するにこのBD700は飛行の安全確認のために運用されているということですね。

私たちが日常生活で利用している交通機関や、もっと広範な社会インフラも同様の保守点検作業が日々行われています。いわば縁の下の力持ちとなる方々の努力によって私たちの日常は支えられているということですね。

量ではアメリカのほうが遥かに多い

例のメラミン混入牛乳の件について各紙が社説に取り上げ、異口同音の論評を展開していますね。

朝日新聞 「メラミン問題―海またぐ食の安全管理を
読売新聞 「メラミン牛乳 中国産食品の検疫を厳格に
産経新聞 「メラミン問題 中国に毅然たる態度貫け

朝日は見出しに中国の名を出していませんが、本文は他紙と同様に事実関係の精査と日中両政府に厳格な検疫体制を求める内容になっています。

丸大食品「クリームパンダ」の撤去を知らせる張り紙

確かに、今般のケースは極めて悪質ですし、また読売や産経が指摘しているように以前ペットフードに同様のメラニン混入があり、アメリカで多数のペットが死ぬ事件に発展した同じ轍を踏んでいる愚かさには呆れるしかありません。

ただですね、読売の見出しのように「中国産食品の検疫を厳格に」というと、私のようなへそ曲がりは「中国だけでいいの?」と突っ込みたくなってしまうわけですよ。もちろん、そんなことないのは重々承知していますが。

厚生労働省の『輸入食品監視統計(平成18年度版)』によれば、違反件数が最も多いのは中国ですが、量で見ればアメリカの約15万トンがダントツのトップで、これは中国の約43倍に及びます。このうち、9割方がトウモロコシで、主に輸送中に発生したカビが原因となっているようです。

もちろん、これは食用のサンプル検査でハネられた分だけですから、実際にはもっと大量のカビ毒に汚染されたトウモロコシが出回り、トウモロコシ加工食品に用いられていると推測されるわけですね。ましてや、家畜の飼料用となると、サンプル検査は全体のわずか0.4%だそうですから、どれだけカビ毒に汚染された飼料が出回っているかは知る術もないでしょう。

こういう状況が全くといってよいほど知られていないのは一種の「偏向報道」と言えるでしょう。単に大衆メディアが無能ゆえ気付いていないだけなのか、中国バッシングをしたいのか、アメリカの顔色を窺っているのか、この問題をつつくと大変な食糧パニックに発展する恐れがあるので誰も腫れ物に触りたくないのか、ま、そんなところなのだと思います。

余談になりますが、例の事故米では「基準値の2倍のメタミドホスが検出された」ということで大衆メディアは祭り状態になっています。が、彼らの殆どはその基準値がどのように設定されているのか全く理解していないと思います。良い機会なので、この種の残留農薬の基準値がどのようなカタチで定められているのか、ザッとご説明しておきましょう。

まず、複数の動物を使って「無毒性量(NOAEL)」を割り出します。これは生涯毎日摂取し続けてもその化学物質による悪影響が出ないギリギリの量です。もちろん、人体実験を行うことは出来ませんし、動物の種類によって毒の感受性は異なりますから、さらに万全を期してこの無毒性量の100分の1(場合によっては1000分の1)を「一日摂取許容量(ADI)」としています。残留農薬の基準値は、常識的な量を食べたとき一日摂取許容量のさらに何百分の1といったレベルに収まるよう定められているのです。

つまり、残留農薬の基準値というのは、無毒と考えられる量のさらに数万分の1程度でしかないわけです。ですから、基準値の2倍といっても、その化学物質が毒として作用すると考えられる1万分の1とか、そういうレベルの極々微量に過ぎないわけです。この程度では健康被害に至ることなどまずあり得ません。

彼らがバカ騒ぎしているのは基準値がどのようなものなのか全く知らない故でしょう。もちろん、危険性がないからといって不正を容認してもいいということではありません。ただ、物事の中身を全く理解せず、勝手な想像だけで必要以上に騒ぎ立て、結果的に集団ヒステリー状態へ扇動しかねない大衆メディアの野次馬体質は何とかならないものかと私は危惧しているわけです。

テーマ:食に関するニュース - ジャンル:ニュース

大ハズレ

地球温暖化が人為的だとする仮説、平均気温の上昇と人類が排出した温室効果ガスとの関係を結びつける根拠は、「地球の気候を再現できる」と関係者達が豪語するコンピュータシミュレーション以外にありません。つまり、このシミュレーションの結果が間違っていれば、地球温暖化が人為的だとする仮説も全くアテにならないわけです。

まずは先日『Arctic Hell in a Handbasket』に掲載されたグラフをご覧下さい。

平均気温とCO2大気濃度の推移

これは気象観測衛星で観測された対流圏下部の気温データ(出典はアメリカの国立海洋大気局)と、大気中のCO2濃度のデータ(出典はアメリカの海洋大気庁)を重ねたものです。同じようなグラフは以前にもご紹介しましたが、これのほうが最新のデータになります。ご覧のように、緑の線で示されている大気中のCO2濃度は右肩上がりを続けていますが、青の線で示されている地球の平均気温は下降傾向を示していますね。

では、各国が地球温暖化対策の指針としているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書に採用されている予測データはどうなっていたでしょうか?

IPCC第4次評価報告書の気温変動予測

これは最新の第4次評価報告書から抜粋したものですが、2000年以降の様々な色が付いた線は社会情勢の変化や温暖化対策の実施状況などを幾つかのシナリオで想定したもので、一番下のピンク色の線は大気中のCO2濃度が2000年のレベルで一定とした場合になります。いずれもスーパーコンピュータによるシミュレーションの結果です。

上の人工衛星で実測されたデータと比べやすいように2002~2008年の部分を拡大するとこうなります。

IPCC第4次評価報告書の気温変動予測(拡大)

垂直に伸ばした赤い線の間が2002~2008年ですが、ご覧のようにIPCCが採用した予測データは実測データと全く異なっていますね。このようにシミュレーションによる予測が現実と大きく食い違っている実例は他にも沢山あります。それは追々ご紹介していこうと思いますが、いずれにしてもシミュレーションが地球の気候を常に正しく再現できるレベルにないのは間違いないでしょう。

繰り返しますが、地球温暖化が人為的だとする仮説の根拠はシミュレーションの結果に過ぎず、そのシミュレーションが正しく地球の気候を再現できるということが大前提となっています。しかし、そのシミュレーションは常に正しく地球の気候を再現できているわけではありません。つまり、人為的温暖化説は実に頼りない根拠の上に立脚した非常に次元の低い仮説に過ぎないということです。

人為的温暖化説を支持する人たちは、最近の気温の下降傾向をシミュレーションで正しく予測できなかったのは何故なのか、この大ハズレの理由は何なのか、合理的に説明しなければなりません。それができないというのであれば、人為的温暖化説が「科学」を標榜することは許されません。

この盲目的なコンピュータ信仰は一種の宗教のようにも見えます。が、実際のところ人為的温暖化説の根拠がこのような胡散臭いコンピュータシミュレーションの上に成り立っているものだという事実を知らない人が大多数なのでしょう。

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盾と矛

「矛盾」という言葉は、どんな盾でも貫ける無敵の矛とどんな矛でも貫けない無敵の盾を同時に売り込んだ武器商人の故事から来ているのは皆さんもよくご存じのことと思います。そして、現代において弾道ミサイルを矛に、ミサイル防衛システムを盾に準えて語られることもしばしばですね。

PAC3、初の迎撃試験に成功 米で航空自衛隊

 【ホワイトサンズ(米ニューメキシコ州)=樫本淳】日本の弾道ミサイル防衛(BMD)の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の初の実射試験が17日午前7時55分(日本時間17日午後10時55分)、米陸軍のホワイトサンズ・ミサイル発射試験場で実施された。航空自衛隊が2発を発射し、弾道ミサイルに見立てた標的を2分半後に迎撃、破壊することに成功した。

(中略)

 中距離弾道ミサイルは秒速3~7キロで飛来する。今回は標的の速度を実際より遅く設定し、発射時刻や飛来方向も事前に決められた状況で実施した。PAC3は1発8億円で、ほかに約15億4千万円の費用がかかっている。

 初期整備までで1兆円に上る費用が、今後どこまでふくらむのか見通しがたたないなど課題も多い。弾道ミサイルが米国を狙っていると判明した場合、日本のBMDシステムで迎撃することは憲法が禁じる集団的自衛権の行使にあたるが、政府での議論は進んでいない。

(C)朝日新聞 2008年9月17日


NHKのニュースなどでもこの実験映像が流れ、成功の瞬間に喜ぶクルーや防衛官僚(?)の姿も映し出されていました。私は専門家でもマニアでもないので詳しいところはよく解りませんが、彼らが無邪気に喜んでいる姿を見て思わず失笑してしまいました。

迎撃実験成功に歓喜するエライ人たち
実験成功で拍手が沸き、握手を交わして喜ぶエライひとたち。
動画はコチラで見られます。


日本の大衆メディアはこうしたミサイル防衛システムの導入について「アメリカに向けて発射されたミサイルを日本の迎撃ミサイルが撃ち落とせば集団的自衛権の行使を禁じる憲法に反する」といった浅薄な議論に終始しています。日本に向けられたミサイルを領空内で撃ち落とす分には適法ですから、憲法を遵守するなら日本以外の国に向けられたミサイルに手を出さなければよいのです。ただそれだけのことですから、議論もクソもないでしょう。

それ以前に議論されてしかるべきなのは、「そもそもミサイル防衛システムは本当に役に立つのか?」という極めて根本的な部分です。これがハナから無視されているのは非常に理解しがたいものがあります。

この種のミサイル防衛システムは敵国から発射されたミサイルを早期に捕捉し、迎撃ミサイルでこれを撃ち落とすものというのは改めてご説明するまでもないでしょう。が、ロシアなどではこれを無力化する方策が練られているという事実は何故か日本の大衆メディアで報じられることがありません。

具体的には、弾道ミサイルに囮となる筒状の金属を搭載し、迎撃ミサイルの発射が想定される空域に達したところでこの囮をばらまき、迎撃ミサイルに弾道ミサイル本体が撃ち落とされる確率を大幅に低減させるといったものです。

今回の実験では成功しましたが、これまで行われてきたミサイル迎撃実験は成功率が40%程度だといわれています。しかも、この確率は囮を想定していないミサイル単体を撃ち落す実験での結果です。囮を含む実戦を想定した場合、どれだけの確率でミサイルの迎撃に成功するのかというデータはないに等しいでしょう。

というより、ミサイル防衛システムの無能さが明らかになってしまったら、軍需産業やそことつながっている政治家や官僚にとっては大打撃になるでしょう。ですから、現状ではそんな実験など行う気すらないと思います。

日本政府はこの役に立つのかどうか全く以て疑わしいシステムの導入に引用記事の通り初期整備までに1兆円を超える血税を注ぎ込もうとしています。国民一人頭8000円ほどですが、役に立つ見込みが極めて薄いもの(だと私は思いますが)に私もあなたも生まれたばかりの赤ん坊も日本国民はみんな8000円ずつ払わされるというのは納得できませんし、今後もこの金額がさらに膨れあがっていくことは許し難いことだと思います。

PAC3.jpg
米軍ホワイトサンズ・ミサイル実験場から
標的の模擬弾めがけて発射されるPAC3


かつて、外国人記者クラブで海外のプレスが防衛省の研究員にパトリオットミサイルの迎撃能力を疑問視する質問が浴びせられました。このときの返答は「実際にどの程度迎撃できるかということより、迎撃システムを持っていることで国民が安心できることが重要だ」といった主旨だったそうです。

要するに、「北朝鮮のミサイルが飛んでくるかも知れないが、日本は迎撃システムを持っているから危機管理に懸念はない」と国民に信じ込ませるための1兆円ということなのかも知れません。

メディアはこうした疑問点を強かに指摘して国民が騙されているかも知れない状況を焙り出す必要があると思います。が、それをやらないのは彼らが単に無知なのか、政府のお先棒を担いでいるからなのか、どちらかということでしょう。どちらにしても実に情けないハナシだと思います。

逆ネジ対応トルクレンチ (その3)

デジラチェというKTCの電子式トルクレンチは、従来の機械式に慣れた私にとって違和感のある製品でした(あくまでも個人的な感想です)。特にあの「カチッ」という振動のシグナルは力をかけている手の感覚と非常に密接につながるものですから、こうした手応えがあるほうが反射的に対応しやすいと思います。

もし、私にこうした製品のプロデュースをやらせてもらえるなら、設定トルクに達したところでビープ音を鳴らし、同時にバイブレーターで手応えを演出し、機械式から持ち替えても違和感なく使えるような工夫を施していたでしょう。TVゲームのコントローラーなどはかなり前からバイブレーターを仕込み、様々な演出に利用してきたのですから、これを応用するのはアイデアとして悪くないと思うのですが。

さて、私の「逆ネジに対応するトルクレンチ」というリクエストに行きつけの工具店のスタッフの方が提案してくれたのはシグネット72110でした(当blogでも以前に写真だけ登場していますが)。これを見た瞬間、私はこう呟いていました。「おお、なるほど、リバーシブルですか。」

シグネット72110
SIGNET 72110

これは差込角をスライドさせてレンチを裏返してやれば、本体の機構が従来どおりでも逆ねじに対応できるというアイデアです。

シグネット72110ヘッド部
通常の順ネジは写真左のような状態で使用しますが、
逆ネジに対応するときは写真右のように差込角をスライドさせ、
表裏を逆に用いて使用します。


私は同社の「サイレント・ラチェット」と称するワンウェイローラークラッチのギヤレスラチェットハンドルを持っていたのですが、その差込角の部分がこれと同じスライド式で、時計回りと反時計回りは裏返すという方式になっていました。それゆえ常用のラチェットハンドルとしては使い勝手が悪く、友人に譲ってしまいましたが。

以前、「ハブボルト折損は不可避なのか?」と題したエントリでトラックのホイールナット用トルクレンチに触れましたが、あれも考えかたは全く同じです。あのときご紹介したものは差込角が両面に出っぱなしになっていますが、スライド式はよく見ないと普通のラチェットヘッドと殆ど区別が付かないスマートさが良い感じです。

同様のものはプロクソンなどからも発売されていますが、お店の人曰く、「プロクソンのものは副尺が付いていないので微調整にやや難ありですね。また、シグネットはこのトルクレンチの発売に当たって日本でも校正を受けられる体制を整えてきましたから、より精度を気にされるのでしたら断然こちらのほうがお勧めです。」とのことでした。

以前にも触れましたが、トルクレンチは測定器具ですから、必ず定期的な校正を受けなければ精度は保証されません。アマチュアで使用頻度が低い場合、あまりナーバスに考えることはないかもしれませんが、校正を受けられるメーカーのほうが無難ですし、長い目で見ればお得かもしれません。このシグネットの場合も校正費用は5,000円くらいかかるそうですが、買い直すことを考えればずっとお得です。

使用方法は極めて常識的です。指定トルクのプリセットはグリップエンドのロック機構を引っ張って解除し、ハンドルを回してメインゲージの指針を合わせます。メインゲージは1目盛り1N-mですので、小数点以下はハンドルの前端に刻まれている副尺で合わせます。ハンドル1回転あたり2N-mになっていますので、0.1N-m刻みの副尺はハンドル半周で1N-m分が刻まれています。トルクをプリセットしたらグリップエンドのロック機構を押し戻せばスタンバイ完了です。

私が持っているトルクレンチの中でもっとも古いのはクルマいじり用に使っているもので、メインのゲージがシャフトに直接刻印されています。当時はこうしたものが普通でしたが、このシグネットや以前にご紹介した東日のように小窓が設けられていてそこに目盛りが印刷されたゲージが覗いているタイプのほうがずっと読みやすく、合わせやすくて良いように思います。

シグネット72110ゲージ

このシグネット72110で強いて難点を挙げるなら、差込角にソケットを装着する際、指で押さえておかないと、スライド式のそれが反対側に出っ張ってソケットが装着できないということくらいでしょうか。ま、通常のラチェットハンドルのように頻繁に差し替えるような使い方をするものではありませんし、そもそも構造上致し方ないでしょう。(逆ネジ対応である必要がないという人にとっては邪魔くさい機能でしかないでしょうけど。)

で、自転車いじりに使う場合、例えば順ネジの左ワンを取り付ける際は下の写真のように普通に使います。

左ワン取付時

一方、逆ネジの右ワン(イタリア規格を除く)を取り付ける際も裏返すだけで、使い方は全く同じです。

右ワン取付時

これで以前のように左ワンを締めたときの手応えを覚えておいて、その手応えの記憶を頼りに右ワンを締めるといったプリミティブな方法は必要なくなりました。

デジラチェには今でも興味はありますし、インターフェイスもそれなりに練られていて一度使えば迷うことはないと思います。が、多機能ゆえ機械式のシンプルな使い勝手に比べると煩雑な印象は拭えません(あくまでも個人的な感想です)し、あの違和感はすぐに馴染めそうもなく、私はこの機械式のリバーシブルトルクレンチを選びました。

ま、好みの問題も多々あるでしょうし、私の場合は機械式に身体が馴染んでしまっているため、このインプレッションはそうした部分を差し引いて読んでもらったほうが良いと思います。逆に、初めて使ったトルクレンチがデジラチェという人にとっては機械式のほうが使いにくく感じる可能性も否定しません。

(おしまい)

逆ネジ対応トルクレンチ (その2)

自転車に用いられている逆ネジは右BB(イタリア規格は順ネジですが)や左ペダルなどで、いずれも緩み防止が目的になるのでしょう。また、いずれもネジ径が大きく、多少の過締めではネジ山を舐めてしまうこともそうそうないと思います。なので、気にしない人はこんなところに厳密なトルク管理など必要ないと思われるでしょう。

いえ、私もそう思いますが、マニュアルに指定トルクが明記されているところについては、できるだけそれに従わないと気持ち悪いといいますか、キッチリとトルク管理して組み上げると完璧な仕事をした気がするとか、そういう気分的なところが大きいわけです。プロで職人気質の方にしてみれば、「何を素人臭いことを」と思われるかも知れませんが、そもそも私は素人ですし、自分の感覚はあまり信用していませんので。

ということで、逆ネジ対応のトルクレンチを物色しました。まずは老舗の東日を当たってみましたが、プリセット式で逆ネジ対応は生産ライン用の単能型か、トラックやバスの足周り用くらいしかなかったんですね。

東日のものは単能型でも専用工具で設定トルクをアジャストできるようになっているのですが、その際にはテスターが必要になります。ということで、一般的な使用条件では現実的といえません。

トラック用は以前にも触れましたが、左側(助手席側)のハブボルト&ナットは殆どが逆ネジになっていますので、足周り用は左右両ネジ対応でなければ製品として成立しません。が、何せ大型自動車の足周りと自転車とでは締め付けトルクのレンジが桁違いです(メーカーや車両総重量のカテゴリーによっても違いはありますが、大型トラックのホイールナットの締め付けトルクは概ね400~600N-mくらいが相場です)から、自転車にはまるで使い物になりません。

どうしたものか・・・と考えていたところ、ふと思い出しました。2005年の東京モーターショーで部品関係のセクションに工具メーカーのKTCがブースを構え、大々的にプロモーションしていたデジラチェという製品です。これは逆ネジにも対応しているということを思い出しました。

デジラチェ

単純に言えば電子式トルクレンチですが、構造はそれほど複雑ではありません。汎用のラチェットハンドルを流用し、歪みゲージをセンサとし、マイクロプロセッサや液晶表示部などを搭載したユニットで構成されています。トルクをかけた際のシャフトの撓みを歪みゲージで測定し、ドライブ部にかかっているトルクを演算するといった感じでしょう。SRMパワータップといったパワーメーターも同様に歪みゲージを応用しているのは自転車乗りで知らない人は殆どいないでしょう。

で、このデジラチェですが、プリセットしておいたトルクに達するとLEDのパイロットランプとビープ音で知らせる方式のほか、常時値が表示されていますから、トルク測定にも使用可能です。つまり、プレート形やダイヤル形のような直読式と、プリセット式のどちらとしても使用することができるわけですね。しかも、表示単位がN-mのほか、kgf-m、lbf-in、lbf-fにも対応します。ま、私の場合はN-mだけで充分ですが。

少々興味をそそられた私は実際の使い心地はどうなのかと思い、いつもクルマいじり用の工具を買っている馴染みの店に行ってデモ用のそれを使わせてもらいました。結論からいいますと、非常に特殊な印象で、従来の機械式に馴染んでいる身にはかなりの違和感がありました。

前回ご説明したとおり、一般的な機械式はプリセットしたトルクに達したら、「カチッ」という音と手応えでそれを知らせます(ドイツのハゼットなどはこれらに加えて赤いマーカーが突起するような凝ったものもありますが)。

ところが、デジラチェにはまず手応えがありません。トルク測定用の機械的な構造はハンドルユニットの取り付けとそのロック方法を除いて一切なく、基本的に電子デバイスに依存しているのですから、当然といえばそれまでですが。いずれにしても、プリセットしたトルクに達したことを知らせるシグナルは上述のとおりLEDランプの点灯とビープ音になります。

このシグナルが案外クセモノでして、実はプリセットしたトルクの90%まで達すると、ビープ音とLEDランプが断続的に作動します。要するに、「もうすぐ設定トルクになるよ」という予告として「ピッピッピッ」と鳴り、LEDもそれに合わせて点滅するんですね。で、プリセットしたトルクの100%に達すると、「ピー」と鳴りっ放しになり、LEDも点灯しっ放しになるというわけです。

しかし、機械式ではいきなり「カチッ」と来ますから、私の場合はそうしたシグナルで反射的に手の力を抜くように身体が出来上がってしまっているんですね。正直なところ、予告はじゃまくさいですし、手応えがないのも当然だと頭では解っていても、やはり違和感があります。

「何か違和感ありますね。」
「機械式に慣れた方は皆さんそう仰いますね。価格的にも最近は機械式で精度も劣らず、この半額くらいのものもありますから。単位換算が面倒とか、直読式のような使い方もしたいとか、デジタル表示のハイテクっぽい雰囲気が好みだとか、そういう方以外はあまりメリットがないかも知れません。」
「実は、このレンジの機械式は既に持っているんですが、逆ネジ対応が欲しいと思って見に来たんですよ。」
「いまどき逆ネジなんて珍しいですね。」
「自転車には逆ネジがあるんですよ。例えば・・・(略)。」
「なるほど、そうですか。逆ネジ対応ということならこちらがお勧めですよ。」

といって店員さんが持ってきてくれたのが逆ネジ対応の機械式でした。

(つづく)

逆ネジ対応トルクレンチ (その1)

近年のスポーツバイクに用いられるパーツの多くはアルミで出来ています。また、チタンやカーボンなどもかなり一般的に・・・というハナシは以前にも書きましたね。

私が自転車イジリのときメインで使っているのは、以前ご紹介した東日のMTQL40Nというワイドレンジのトルクレンチですが、これでは対応できないところがあるんですね。この種のプリセット式トルクレンチは一般的なラチェットヘッドを用いていますので、時計回り(以下、順ネジ)にも反時計回り(以下、逆ネジ)にも使えそうですが、殆どの製品は順ネジしか対応していません。

MTQL40N注意書き
ご覧のように矢印と「ONLY」の文字が刻印されており、
順ネジの締め付けにしか使えないことが示されています。
ならば、ラチェットヘッドも切り替えレバーを廃し、
逆ネジには使えないようにすべきだと思いますが、
恐らくこの部分は汎用品をどこかから仕入れているのでしょう。
順ネジの締め付け専用のヘッドを造らせると却ってコストアップに
つながってしまうのかも知れません。


この種のプリセット式トルクレンチは、予めセットしたトルクに達したときに「カチッ」という音と手応えを発しますが、その機構は大抵「トグル式」と呼ばれる方式が採用されています。

ソケットなどのドライブを装着するヘッドから伸びた腕の先にトグル機構が設けられており、ハンドル付近に仕込まれているコイルスプリングによってその機構に圧力がかかっています。スプリングの圧力でトグルの動きを抑えていますが、ヘッドにかかるトルクがスプリングの圧力を上回るとトグルが動き、「カチッ」というシグナルを発するわけですね。

工場などの量産ラインで使用されるものはトルクの設定値が固定された単能型が用いられますが、一般的なものはトルクの設定値をアジャストできるようになっています。これはトグルに圧力をかけるスプリングのプリロードを強くしたり弱くしたりする方式が一般的です。

で、そのトグル機構が順ネジでも逆ネジでも対応するものは意外に少なく、一般に売られているものの多くは順ネジ専用となっています。私が所有しているトルクレンチは4本になりますが、今回ご紹介する1本を除いて、全て順ネジ専用です。

一般的な順ネジ専用のトルクレンチは逆ネジの精度が保証されていなかったり、ものによっては逆ネジに使用すると不具合を起こして順ネジに使用する際の精度も落としてしまう場合があるそうです。この辺はものによって異なるでしょうから、取扱説明書を確認しておくべきですね。ただ、メーカーが「左右両ネジ対応」などと謳っていない限り、逆ネジでの使用は避けたほうが無難だと思います。

ま、普通は逆ネジ対応など必要ないでしょう。クルマいじりの際には必要ありませんでしたし。しかしながら、自転車には現在でもBBやペダルに逆ネジが使われています。逆ネジ対応のトルクレンチがないなら、その部分のトルク管理はあきらめるか、何らかのテクニックで対応するしかありません。私が知り合いのメカニックに教わったテクニックは以下の手順でした。

(1) とりあえず順ネジの方をトルクレンチで規定トルクまで締める。
(2) 通常のレンチに持ち替え、締めたネジを90°くらい緩める。
(3) それを元の位置まで締め込み、そのときの手応えを覚えておく。
(4) すかさず、覚えたその手応えを頼りに逆ネジの方を締め込む。

実に原始的な方法ですが、逆ネジ対応のトルクレンチがなければこれは致し方ないところです。でも、面倒くさいですし精度もイマイチでしょう。新しいフレームを買ってきて組んだり、総バラシして組み直したり、そういうことを何度かやっているうちに逆ネジ対応のトルクレンチが欲しいと思うようになり、探してみることにしたわけです。

いえ、プレート形などの直読式なら探すまでもないのですが、直読式は目盛を読みながら締め込んでいきますから、使いづらく、作業効率も悪いんですね。おまけに力を込めると針が振れますから、上手に扱わないと精度にもそれなりに影響があるでしょう。少なくとも、一度プリセット式を使ってしまった身にプレート形はちょっと・・・と誰しも思うことでしょう。

(つづく)

赤べこ大暴れ

最近はあまり熱心に見ていないので偉そうなコメントは書けませんが、フィアットのディーラー経営からレーシングコンストラクターを興し、1985年にF1デビューして今年で23年、毎年のように存続が危ぶまれてきた彼らにこんな日が訪れるとは夢にも思いませんでした。おめでとう、トロロッソ。

若きドライバーも大いに讃えるべきでしょう。

雨のモンツァを制したベッテルのSTR3

彼らでさえ勝てたのですから、2002年に参戦したトヨタも2025年までには勝てるでしょう。たぶん。

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腸脛靱帯炎か?

ロードバイクに乗っていて左膝の靱帯を痛めてしまいました。部位や症状から推測して恐らく腸脛靱帯炎だと思います。私は足かけ4半世紀を超える(途中何年かブランクはありますが)自転車乗りで、これまでも太股痛を何度か経験しているのですが、膝を傷めたのは今回が初めてです。

腸脛靱帯

昨日の未明だったのですが、左膝外側の靱帯が痛み出したのはたかだか25kmくらいしか走っていないところでしたから、さほど気に留めず走り続けてしまいました。痛みは治まるどころか次第に増してゆき、10kmくらい走ったところでこれはマズイと思って引き返すことにしました。途中、タクシーでも使おうかと思いましたが、時間と場所からしてそれは望めず、結局35kmくらい痛む左膝をかばいながら何とか帰宅しました。

普通に歩く分にはさほど痛みませんでしたが、階段を昇り降りするとかなり痛みましたので、アイシングして一日安静にしていました。このまま痛むようなら整形外科に行こうかとも思いましたが、今朝にはすっかり痛みもなくなっていました。朝のうちは階段の昇降で若干違和感というか軽い疼痛がありましたが、これを書いている現時点ではそれも殆どなくなりましたので、しばらく様子を見ようと思います。

しかし、原因が特に思い当たらないんですよねぇ。このところ仕事が忙しかったり天気が悪かったりして、それほど乗っていませんでしたし、痛みが出たのはたかだか25kmくらいしか走っていないところでしたから、オーバーワークではないと思います。ポジションもここ2年程いじってませんし、普段通りに乗っていただけで高負荷をかけていた訳でもないんですけど。

自転車を積めるクルマに買い換えて以来、ロードとMTBをとっかえひっかえする頻度が以前よりかなり高くなったのが関係あるのでしょうか? あるいは、このところ三本ローラーに乗っていなかったので、気づかないうちにぞんざいなペダリングに戻っていたのでしょうか?

ま、よく解りませんが、この種の故障は長引きがちですがら、しばらくはローラー台を中心に様子を見るしかありませんね。ここでみっちり三本ローラーに乗って、ペダリングを確認しながら基本からやり直したほうが良いのかも知れません。

最近は固定式のローラー台に乗りながら退屈しのぎに液晶モニタ付きのポータブルDVDプレイヤーでUCIプロツアーなどのビデオを見ていました。なので、これを良い機会だと捉え、DVDプレイヤーの外部入力にビデオカメラをつないで、正面を向いた状態でも真横からのフォームを確認できるようにしてトレーニングしてやろうかと思案中です。

騙しのテクニック

先月の22日に警察白書の平成20年版が出ましたが、いわゆる振り込め詐欺の被害総額はこの3年間ほぼ横ばいの状態が続いているようですね。具体的には2005年が約252億円、2006年が約255億円、2007年が約251億円となっています。一方、手口を見ますと、いわゆるオレオレ詐欺や架空請求詐欺が減少傾向にあり、還付金詐欺や融資保証金詐欺(いわゆる貸します詐欺)の類が急増中といった感じです。

これほどメディアでも盛んに報じられているのに被害額が減少することなく、未だ多くの人が騙されてしまうのは何故でしょうか? 私はその手口に共通点があり、その共通点に対する警戒感がまだまだ緩いからだと思います。

ご存じのように、いわゆるオレオレ詐欺の場合は身内を装って「交通事故を起こした」といったパターンで引っかけ、まず冷静さを奪います。「相手方が妊婦で破水した」などの刺激的な言葉を続けることでさらにパニック状態を煽り、まんまと金を振り込ませるわけですね。

一方、最近増えている還付金詐欺の類ですが、これも基本的には同じことです。社保庁や自治体を名乗って保険料や税金などの還付があると切り出して食い付かせ、「還付手続きはどうすればいいのか」という段階で相手を陥れます。

振り込め詐欺抑止広告
熊谷市の還付金詐欺抑止広告

詐欺グループはお役所仕事にありがちな複雑怪奇な手順を説明して相手を混乱状態に導きます。そこで「振込先の確認のため」などと称してATMへ誘導し、指示通りの操作をするように仕向けます。操作している本人は金を振り込んでいる自覚すらなく、言われるがままとなってしまうわけですね。

警察やメディアなどはこうした手口を明かして引っかからないようにと啓蒙していますが、これからも新たな手口は次々に開発されていくでしょう。最近ではATMではなく宅配便を利用するなど、金を受け渡す段取りも多様化しつつあるそうです。対症療法的な指導ではイタチゴッコになるだけで、根本的な解決には至らないように思います。そこで、まず認識しなければならないのはいずれのケースでも共通して

対象者をパニックに陥らせ、思考停止状態にする

というテクニックが駆使されていることです。身内が交通事故の加害者となってけが人を出したといった作り話でパニックに陥れるか、金を返すというストーリーで複雑な段取りを指示してパニックに陥れるか、いずれにしても被害者は自分で考えることをやめてしまい、その隙を突かれてしまうという格好になるわけですね。冷静に考えれば解ることでも、パニックに陥って考えることをやめてしまったら、誰でも引っかかる可能性があるということです。

かつて、電通PR(現在の電通パブリックリレーションズ)が提唱していた戦略十訓は以下の通りでした。

・もっと使わせろ
・捨てさせろ
・無駄使いさせろ
・季節を忘れさせろ
・贈り物をさせろ
・組み合わせで買わせろ
・きっかけを投じろ
・流行遅れにさせろ
・気安く買わせろ
・混乱をつくり出せ

これはヴァンス・パッカードの著書『浪費をつくり出す人々』が元になっているそうですが、ここにも「混乱をつくり出せ」という騙しのテクニックに通じるそれが盛り込まれています。

携帯電話や生命保険などのプランが複雑怪奇で非常に解りにくいのは、こうしたテクニックを駆使しているからではないかと私などは穿ってしまいますが、相手に深く理解されないほうが手玉に取りやすいのは間違いないでしょう。「何でこんなに複雑にする必要があるの?」と思われる物事の裏には、こうしたカラクリが潜んでいる可能性を意識しておいたほうが良いかも知れません。いずれにしても、

人間が最も騙されやすいのは自分で考えることをやめたとき

ということを常に意識しておくべきでしょう。政治家や官僚、メディアなどもよく嘘をついて大衆をミスリードします。当blogで何度となく取り上げている環境問題についてもこうしたケースは少なくないと思いますが、騙されたくないと思うなら、自分で考えて理解しようとする努力を怠るべきではありません。

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本人が復帰を表明

盛んに報じられていますのでランス・アームストロングの現役復帰が正式決定したのは皆さんもご存じかと思います。一昨日のVeloNewsのスクープで収拾が付かなくなってきたことを危惧したのか、本人が2009年に復帰する旨の声明をビデオメッセージとして伝えています。cyclingnews.comでもそのビデオが見られます(←アクセスすると勝手にビデオが始まりますので、スピーカーがONになっている方はご注意を)。

復帰を表明するランス
ビデオで復帰を表明するランス・アームストロング

正直なところ、昨日の段階では私も半信半疑でしたが、本人の口から「I have decided to return to professional cycling 2009.」と言われては疑いようがありませんね。

ただ、このビデオでも具体的にどのチームで復帰し、どのレースにエントリーするといったところまでは伝えていません。噂されているアスタナも候補としては有力だとは思いますが、ツール制覇を目指すというなら(そこまでの身体を維持できているのか微妙な気もしますが)コンタドールという有力なエースのいるアスタナではチーム戦略上難しいようにも思います。

件のビデオメッセージをざっと見たところでは、彼がライフワークとしているガン撲滅キャンペーンの広報活動的なニュアンスもありそうな感じで、どこまで純粋にレースに打ち込むのかもよく解りませんね。

ま、詳しいところは今月24日に伝えられるようですから、それを待ちたいと思います。

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ランスが現役復帰?

前人未踏のツール7連覇を果たし、2005年を最後に引退したランス・アームストロングが復帰するとアメリカの『VeloNews』誌の電子版が報じています

今年41歳になるマリオ・チッポリーニが借金苦で復帰したくらいですから、今月37歳になるランスの復帰も絶対にあり得ないとはいえないでしょう。が、アスタナに合流して来年のツール制覇を目指すと報じられている一方、当のアスタナの広報はESPNに対してこの報道を否定しているそうです。

ツール7連覇をアピールするランス
ツール7連覇をアピールするランス・アームストロング

彼は昨年のニューヨーク・シティマラソンで2時間46分43秒をマークしたといいます。元々トライアスロンの選手でしたから、長距離走もド素人ではないハズですが、ランが5kmのスプリント・ディスタンスで活躍していたそうですから、フルマラソンでこのタイムは立派ですね。

現役を引退してブクブクに太ってしまったツール覇者を何人も見てきましたが、ランスに関してはまだまだアスリートとしてそれなりのレベルをキープしている感じです。

レモンの昔と今
グレッグ・レモン
1985年はチームオーダーでベルナール・イノーに譲りましたが、
翌年、アメリカ人として初めてのツール総合優勝を果たしました。
そのシーズンオフに猟銃の誤射で瀕死の重傷を負い、
2シーズン棒に振るも、カムバックした1989年にいきなり優勝、
翌年も勝って生涯3勝を成し遂げました。
チームオーダーと猟銃事故がなければ、史上初のツール6勝以上は
ランスではなく彼が記録していたかも知れません。
写真左はツール2勝目をあげた1989年、右は2005年に来日、
ツール・ド・草津に招待されたときのものです。


ランスが復帰して8度目のツール制覇を目指すというストーリーは、年齢を考えればやはり現実的とは思えません。そもそも、アスタナはコンタドールという若く実力充分のエースを抱えてますし。

テーマ:自転車ロードレース - ジャンル:スポーツ

賑やかしなら何でも良いのか?

ご存じのように自民党総裁が2人続けて1年ほどでその役職を投げ出しましたが、その後継の総裁選立候補者は結党以来最多となる見込みだそうですね。結党以来初となる女性候補も正式に出馬表明しました。

しかしですよ、彼女は「原爆が落とされてもしょうがなかった」という発言で失脚した前任者の跡を受けて防衛大臣になりましたが、その役職を投げ出したという「前科」があります。しかも、彼女が就任する以前に起こったイージス艦機密情報漏洩事件の引責という全く以て意味不明な理由でした。(本当のところは例の事務次官人事や、それを巡って当時の官房長官らと対立した一連の流れによるものなんでしょうけど。)

防衛相をわずか55日で投げ出した人物が日本の内閣総理大臣の候補として立つというのはどうなんでしょう? いえ、あれから歳月が流れ、様々な実績を重ね、政治家として一回りも二回りも成長したというのならハナシは別ですけどね。しかしながら、実際にはあの会見場からの去り際、コメントを求めようとして群がった記者たちに対して

「だから私は辞めるって言ってんのよ」

と吐き捨ててからまだ1年少々しか経っていません。私はあのとき「何じゃこの女は?」と思いましたが、この1年あまりの間に「変わった」と思わせる何かがあったか思い返してみても、何も思いつきません。

ま、彼女が総裁に選ばれるなどということは考えられませんから、これもただの話題づくりなのでしょう。特に大きな波風が立たなければ、あの漫画オタクで2ちゃんねらーの彼が次の内閣総理大臣になるのは間違いないと思います。

が、それにしても2代続けて政権を投げ出したその跡を継ぐ候補として「投げ出し」の前科がある人物を擁立するのはデリカシーに欠ける気がするんですけどねぇ。賑やかしだから何でも良いということなのもかも知れませんが、それはそれで国民が莫迦にされているような気がするんですけど。

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プライドを挫く仕事

クルマに限らず、工業製品の意匠はデザイナーの理想と無関係なカタチで決まってしまうことも珍しくないでしょう。当代最高、史上屈指の工業デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロも常にその点に腐心しているといいます。

まだ私が高校生くらい(20年以上前)だったと思いますので、かなり記憶が不確かなのですが、図書館にあった彼の作品集にこのようなこと(言葉そのものは不正確だと思いますが、主旨としては間違っていないハズです)が書かれていました。

「デザイナーの苦悩はデザインのアイデアを得ることではなく、クライアントの理解を得ることだ。」

あれほどの巨匠にしてこのコメントですから、メーカーの社員デザイナーなど推して知るべしといったところでしょうか。

日本車のデザインは欧米車のパクリが多いと言われます。しかしながら、色々見渡してみますと欧米のメーカー(特にルノー)も日本車のスタイリングやディテールの一部などを模倣しているケースはありますので、その辺はお互い様といったところだと思います。しかし、真剣なデザイナーほど、才能のあるデザイナーほど、こうした仕事はやりたくないと思うでしょう。

通常、クルマのデザインは企画段階でコンペが行われます。無数のスケッチから段階を経て絞り込まれていきますが、原寸大モックアップが製作され、評価される段階でも3~4案くらいは残されるのが一般的かと思います。何を規準にどのような評価が下されるかはメーカーによってもその時々によっても異なるでしょうが、いずれにしてもデザイナーの理想が生き残るとは限りません。むしろそのほうが希なのかも知れません。

あるいは、マーケティングリサーチの結果を受けてやりたくないデザインをやらされるというケースもあるでしょう。職人気質のフリーランスなら死んでも受けないような仕事だったとしても、サラリーマンデザイナーは甘んじてそうした業務に就き、淡々とこなしていかなければならないのでしょう。

そういう意味ではホンダのデザイナーが新型インサイトのコンセプトモデルでやらされた仕事には同情を禁じ得ません。

インサイトコンセプト
インサイト コンセプト
このスタイリングを見た瞬間に思わず失笑してしまったのは
私だけでしょうか?


先駆者
同じようなアングルの写真を探してみました。
前後の意匠が大きく異なるのは当然として、
見比べますとルーフの曲率やタイヤサイズ、
キャブのボリューム感も若干違うようです。
が、全般的なフォルム、殊にピラーのつながり方や
そのバランスは非常によく似ていますね。


昨日(2008年9月4日)付のプレスリリースによれば、この新型インサイトのコンセプトカーは来月開催されるパリモーターショーで発表されるそうで、

この「インサイト コンセプト」は、新型インサイトの持つ次世代のハイブリッドカーとしての先進性や個性を具現化するコンセプトモデルである。


とホンダは述べています。が、「個性」を謳うのであれば、このスタイリングはないでしょう。

発売予定は2009年とのことですから、パイロットプロダクション(量産試作:実際の製造ラインないしそれに準じる施設を用い、実際の量産体制と同じ段取りで行われる試作で、品質管理や合理化などが検討されます)もボチボチ始まっていると思います。つまり、モーターショーでのリアクションを受けてもこのスタイリングが見直されることはまずないでしょう。

初代インサイトはアルミボディを奢り、その身軽さで先駆者を若干上回る燃費データを稼ぎ出しましたが、そのアルミボディのせいで大変な赤字となり、売れば売るほど損をするといわれていました。ゆえに、スポーティでも何でもないキャラクターに2座という実用性の低いパッケージングとし、あえて「売れないクルマ」に仕立て、企業イメージを牽引する広告塔的な位置づけにしたというのがもっぱらの噂です。(あくまでも噂です。)

恐らく、ホンダはシビックハイブリッドで製造面での合理化などを含めた様々なノウハウを学び、本格的にハイブリッド専用車のマーケットへ参入しようと考えているのだと思います。高速燃費を稼ぐために空力を煮詰めるとおおよそのフォルムはこうなってしまうのかも知れません。が、それでもイメージが重ならないように仕上げるのがデザイナーの仕事であり、そうした環境をつくってあげるのが開発主査の務めでしょう。

ま、何処までデザイナーの責任で新型インサイトのコンセプトモデルがこのような姿になってしまったのかは解りませんが、こうした仕事をさせ続けると彼らのモチベーションはどんどん低下し、悪循環に陥るのは必至だと思います。

テーマ:新車・ニューモデル - ジャンル:車・バイク

何故、朝日新聞の社説は頓珍漢なのか?

当blogでは度々5大紙の社説、特に朝日新聞の社説に注文を付けていますが、それは右とか左とか、そういう問題ではありません。基本的な部分で書き手の理解に誤りがあることを看過することができないからです。

先日もグルジア紛争についてこんな頓珍漢なことを書いていました。

グルジア紛争―欧州の役割に期待する

 米国とロシアの軍艦が黒海で互いの動きを監視し、にらみあう。まるで冷戦時代に逆戻りしたかのような光景だ。米ロ対立は収まるどころか、さらにエスカレートしている。

 ロシアは、紛争の発火点となった南オセチア自治州ばかりか、同じグルジア領内のアブハジア自治共和国の独立を承認するところまで踏み込んだ。欧米は旧ユーゴスラビアのコソボ自治州の独立を認めたのだから当然だ、という理屈なのだろう。

 しかし、国際社会がロシアに追随することはありえない。独立承認はグルジアへの肩入れを強めるブッシュ米政権への面当てのようにも見える。

 上海協力機構の首脳会議でも、中国の胡錦濤主席らはロシアの支持要請に応じなかった。世界を2陣営に分割するようなことが通用するはずもない。

(後略)

(C)朝日新聞 2008年 8月31日


コソボと南オセチアの置かれている状況や歴史的背景が同じでないことは私も承知しています。が、ロシア寄りのセルビアから独立して西側諸国に同調しようとしているコソボは認めつつ、西側諸国寄りのグルジアから独立してロシアに同調しようとしている南オセチアは認めないというのは西側諸国のエゴであり、ダブルスタンダード以外の何ものでもありません。

南オセチアに侵攻するグルジア軍の戦車隊
南オセチアに侵攻するグルジア軍の戦車隊

確かに、ロシアが南オセチアを庇護する背景には西側諸国、とりわけアメリカに対する当てつけという意味もあるでしょうし、コソボ紛争の流れを受けるものでもあると思います。しかし、中国がロシアの支持に応じなかったのは「世界を2陣営に分割するようなこと」を胡錦涛主席が望まなかったからではありません。

上海協力機構首脳会議
上海協力機構首脳会議
同機構オブザーバー加盟国イランのアフマディネジャド大統領と
握手を交わそうとしているロシアのメドベージェフ大統領。
その奥に見えるのが中国の胡錦涛主席。


そもそも、中国がこのパワーゲームに乗っかるメリットはあまりないでしょうし、彼らにはそこまで国際社会のことを考えるような責任感もないでしょう。彼らがロシア支持の要請を蹴った理由はただ一つです。

国内の独立運動弾圧との整合性を保つため

中国も国内にチベット自治区や新疆ウイグル自治区などの独立問題を抱えており、また台湾の独立も認めていないのは今さら言うまでもないでしょう。国内の独立勢力に対して時に武力を行使して弾圧しながら他国のそれを認めるとなれば、やはりダブルスタンダードだと批判されるのは火を見るより明らかです。また、他国の独立を認めれば、国内の独立勢力の火に油を注ぐことにもなるでしょう。中国政府もそこまで莫迦ではないということです。

中国政府は南オセチアの独立を認めていませんが、コソボの独立も認めていません。要するに、このようなパターンの独立は承認しないという立場でずっと一貫しているわけです。国内の独立運動を弾圧し続けるために、その姿勢を維持しているに過ぎないということです。

朝日新聞は「南オセチアの独立承認で世界を2陣営に分割するような行動に出たロシアを中国も突き放した」としか読めないような社説を載せていますが、これはとんでもない曲解です。

日本の大衆メディアの論評は総じて大したレベルではないと思いますが、社説に関していえば朝日新聞の勘違いぶりは5大紙の中でもかなりのものです。まさか、5750名の朝日新聞全社員がこの程度ということはないでしょう。つまり、論説委員に対して誰も意見を言えない風通しの悪さが、こうした頓珍漢な社説を許しているのだと思います。


余談になりますが、もし冷戦時代に逆戻りしたら、地球温暖化問題など科学的根拠が不充分な環境問題をネタに繰り広げられている回りくどいパワーゲームは一気に収束し、かつてのようにストレートなそれが展開されるのは間違いないと思います。

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ドライブレコーダー (その4)

私の仕事はシーズンによって忙しさがかなり異なり、1~6月は比較的余裕があるのですが、7~12月、とりわけ7月後半くらいから9月前半、11月前後が特に忙しくなります。そんなわけで当blogの更新も滞りがちになりました。

クルマに乗る機会も7月前半くらいまでに比べると減っているのですが、乗った際には今般導入したドライブレコーダーをテストするため、様々な条件で記録ボタンを押して映像データを保存しています。例えば、昼間や夜間、夕方太陽に向かって逆光となる状態、トンネルの出入り、雨天でワイパーを動かしている状態などです。ま、結果は元々の画質の悪さを気にしなければ特に問題ない感じでしたね。

こうしたテスト映像の一部を動画ファイルとしてアップしようかとも思いましたが、前回も述べましたように独自形式の動画ファイルの再生は専用ビューアーを用いなければならず、一般的な動画ファイルに変換することもできません。かといって、適当なキャプチャソフトを探して誰でも見られるファイル形式にするのも面倒ですし、そもそも大して面白い映像でもありませんので、わざわざ手間をかけるのはやめました。

ということで、メーカーのサイト(リンク先の下の方にサンプル映像があります)や、参考にさせて頂いた『ドライブレコーダー比較サイト』さんの「DREC2000での記録映像」などをご参照頂きたいと思います。(私のテスト結果もこれらと大して変わらないものでしたし。)

DREC2000カメラ部

私の場合は本体をコンソールボックス内に設置したことで、普段目に触れるのはカメラのみです。そのカメラもブラケットを除けばSDカードにすっぽりと隠れてしまうくらいのコンパクトさですから、車外から見てそれと気付く人は殆どいないでしょう。これくらい控えめなら装着することに抵抗を感じる人も少ないと思います。

ドライブレコーダーは交通事故の実態調査や解析などに役立つ可能性も秘めていると思いますから、もっと普及を促していくべきではないかと思います。新しいアイテムの導入は弊害を伴うこともありますが、ドライブレコーダーに関しては弊害といっても特に問題となるようなことは思い当たりません。

普及を促す一番の方法は保険会社が保険料を割り引くなり、導入コストの一部を支援するなり、何らかのサポートをすることです。ドライブレコーダーのデータが必ずしも交渉に有利に働くとは限りませんが、当事者同士の証言が食い違っているとき事実関係の確認に絶大な効果を発揮するのは間違いありません。証言をすり合わせるために余計な時間と労力を奪われるくらいなら、こうしたアイテムの導入を促したほうが保険会社にとってもメリットにつながると思います。

ちなみに、ソニー損保はFAQでこんな回答をしています。

ドライブレコーダーは運送業等の一部の会社で導入されているようですが、社会的にはまだ十分に普及しておりません。そのため、保険の商品設計に必要なドライブレコーダーと事故の関係についてのデータが、十分にそろっていないというのが現状です。

したがいまして、ドライブレコーダーを搭載した車の割引については、ドライブレコーダーが一般的に普及するなどの条件が必要と考えております。当社といたしましても興味があるところですが、現時点では検討に至っておりません。

ソニー損保・商品企画部 (2006/08/21UP)


ドライブレコーダーの装着によって事故の発生率がどう変化するとか、そんな感じで考えているところが根本的に間違っているように思います。事業者が雇用しているドライバーを管理するために導入している場合、例えば運送事業者などは安全運転管理者の選任を義務づけられていますが、そうした責任者が事故の内容を検討してドライバーを指導したり処分したり、データを生かした何らかのアクションを行えば一定の効果が見込める可能性もあるでしょう。

しかしながら、個人レベルではドライブレコーダーのデータを受けてドライバーが指導されたり処分されたりすることは殆ど考えられません。ドライブレコーダーに記録された内容がドライバーにとって都合の悪いものだったら消去してしまうことも可能です。殆どの場合、反省するか否かはドライバー次第となりますし、それがドライブレコーダーの有無で大きく変化するとは考えにくいところです。ドライブレコーダーを取り付けただけで安全運転に対する意識が高まると考えるのは短絡的に過ぎます。

保険会社としては上述のように食い違った証言をすり合わせる際に有効だったり、公正な判断の助けになるといった観点からドライブレコーダーの価値を検討すべきです。特に前者についてはシステムの作り方次第で業務負担軽減からコストダウンにつながる可能性があるでしょう。それを保険料に反映させるような商品設計を行うべきだと私は考えます。そういう意味でソニー損保の見解は最初のボタンを掛け違えているように思います。

海外では既にドライブレコーダー装着車の保険料を割り引いている保険会社もあるそうです。日本の保険会社もドライブレコーダーのデータを公正かつ迅速な処理に活用するような考え方で保険料を割引くなどのプランを検討して頂きたいところです。

(おしまい)

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ドライブレコーダー (その3)

一般向けのドライブレコーダーはまだまだ普及しておらず、マーケットの規模としても大したレベルにはないと思います。カーナビのオプションとしてバックカメラはもはや当たり前ですが、ドライブレコーダーを加えようという動きはまだなさそうです。

Gセンサを内蔵しているカーナビは少なくありませんし、パナソニックはSDカードスロットを装備したモデルを既に発売しています。音声認識で操作できるモデルも随分前からありますから、マイクを装備したシステムも珍しいものではありません。こうしたカーナビに映像や音声などの一時データを記録するメモリや全般的なマネジメントを行うチップを追加してやれば、あとはフロントカメラを取り付けられるようにビデオ入力系統を増やすだけでハードウェアは成立するでしょう。

また、車両のコンピュータから速度信号を取り出さなくても、GPSで走行速度を記録することは可能ですから、ポータブルカーナビでも高機能なドライブレコーダーとして応用することは可能でしょう。もちろん、事故現場の緯度経度なども記録できますし、映像確認もその場で容易に行えます。

こうしてみますと、カーナビにドライブレコーダーの機能を持たせるのは決して難しいことではなく、コストアップも極わずかで済むのではないかと想像されます。車載情報端末の中核を成すカーナビにこうした機能を盛り込まないのはむしろ勿体無いハナシだと思います。

メーカーがそのように動き出さないのは、要するにマーケットニーズが高まっていないということですね。実際、市販されている一般向けのドライブレコーダーの多くは中小のカーエレクトロニクス関連メーカーによるもので、大手は私が購入した富士通テン以外、殆ど見かけません。そんな状況ですから、現在の製品レベルはまだまだ高いとはいえません。

私が購入したDREC2000でまず不満に思うのは画質の悪さです。撮像素子のサイズを変えずに解像度を上げると感度が下がり、殊に夜間などの映像記録に問題が生じる恐れがありますが、いまどき1/4インチ27万画素のCCDというスペックは脆弱と言わざるを得ません。

フレームレートが30コマ/秒なのは良いのですが(前モデルのDREC1000は10コマ/秒でかなりカクカクした動きだったそうです)、この超広角レンズでこの解像度の低さですから、こちらがカマを掘るとか、以前ご紹介したように向こうからカマを掘られに来るとか、そうした状況でもないとナンバープレートの文字を読むのはかなり厳しい画質の悪さです。

私が2度ほど経験している車線変更してきたクルマに当て逃げされたといったケースでは、相手の車種や車体の色などを確認できてもナンバーの確認は極めて困難でしょう。ナンバーを照会して持ち主を特定するといったパターンはあまり望めない感じですね。具体的な証拠となる映像があれば警察も多少は動きやすくなるでしょうけど、ナンバーという決定的な情報が実質的に記録できないのは非常に残念です。もっとも、この画質の悪さは他社製品も似たり寄ったりのようですが。

車載モニタで再生させる場合は関係ありませんが、パソコンを用いる際は専用のビューアーソフトを用います。そのビューアーは付属のSDカードに保存されており(ネットから無償ダウンロードもできます)、これを起動させ(インストールしなくてもSDカードから立ち上げることができます)、これで再生させる格好になります。つまり、メディアプレイヤーなどの一般的なアプリケーションで映像の再生はできないということです。

DREC2000専用ビューアー

ビューアーソフトはご覧のようなインターフェイスで、音量と明るさをコントロールするスライダや1コマずつ送ったり戻したりできるボタンもありますが、全般的にはかなりシンプルです。右下のほうにあるフォルダを開くアイコンをクリックしてデータを開きますが、映像ファイルは独自形式で、音声(WAVE)ファイルと別々になっているため、そのフォルダを指定する格好になります。

前回、「事故の瞬間に悪態をつけばそれもシッカリ保存されてしまうでしょうから、注意が必要ですね。」と書きましたが、いま試してみたところ音声ファイルだけ削除してしまえばその心配は無用だということが解りました。音声に関してはプライバシーに関わる場合もあるでしょうから、ファイルを別々にしたのはその辺りを考慮したからかも知れません。車載モニタに接続して再生する場合もビデオ出力だけでオーディオ出力はありませんし。

この独自形式のファイルをMPEGやAVI、WMVといった一般的な動画ファイルに変換することはできません。デジタルデータなど小細工しようと思えばいくらでもできますから、サポートするつもりがないのかもしれません。もっとも、キャプチャを使えば何とでもなりますから、メーカーがどのように考えているのかは解りませんけど。

(つづく)

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ドライブレコーダー (その2)

タクシーやトラック、バス業界などで導入されている業務用のドライブレコーダーには、映像や音声はもちろん、速度や加速度、ブレーキやウインカーの操作状況も記録されるなど、それこそ航空機に搭載されているフライトレコーダー同様の考え方でつくられているものもあるそうです。

ここまでの機能が盛り込まれると価格もかなりのものになるでしょう。が、下手な言い訳など通用しなくなる装置を取付けることでドライバーを管理し、安全運転を促す効果は大きいといえるかも知れません。費用対効果で充分なメリットがあるからこそ、こうしたマーケットも成立するということなのでしょう。

私が購入した富士通テンのイクリプスDREC2000は一般向けのドライブレコーダーですから、単純に映像と音声、日時しか記録できません。いずれのデータも常にメモリに記録されますが、何も起こらなければ常に上書き消去されていきます。急ブレーキや衝突時などの加速度をGセンサが感知すると、それをトリガーとして自動的にその前後合計20秒の映像と音声データがSDカードに保存されます。つまり、事故の瞬間から12秒さかのぼった映像と音声を残すことができるわけです。

また、DREC2000は本体とカメラが別になっているセパレート式で、本体には記録スイッチを装備しています(オプションでその有線リモコンスイッチも用意されています)。これを押すことで任意にデータを保存することも可能です。衝撃が小さく、センサが反応しなかった場合などに用いますが、自分が絡んでいない目の前で起こった事故を記録するといった使い方もできるでしょう。

前モデルのDREC1000はメディアがコンパクトフラッシュで本体もかなり大きく、Gセンサの関係で水平から30度以上傾けて設置することが出来なかったそうです。それに対し、現行のDREC2000は取付け角度に制約がなく、SDカードをメディアとして本体もETC車載器と変わらないくらいコンパクトになりました。

本体にはマイクも内蔵されて音声記録も可能であるため、メーカーはそれを生かせる取付け位置を推奨しています。が、私としてはできるだけ余計なものを目の届くところに置きたくないということで、コンソールボックス内に設置しました。ETC車載器も同じ理由でコンソールボックス内に取付けさせましたので、下の写真のように並べてあります。

DREC2000とETC車載器の比較
右が今回導入したドライブレコーダーDREC2000、
左はトヨタ純正のETC車載器です。
DREC2000のほうがやや厚みがありますが、
縦横の寸法は大差ない感じです。


コンソールボックスの蓋を閉めたところで大した防音性があるわけでもなく、ややこもった感じの音にはなりますが、車内に流しているBGMの曲名が解る程度に音声も記録できます。なので、事故の瞬間に悪態をつけばそれもシッカリ保存されてしまうでしょうから、注意が必要ですね。

DREC2000のオプションは有線リモコンスイッチの他にシガー電源コードとビデオ出力ケーブルが用意されています。私は電源をACCのヒューズから取り出してギボシでつなぎましたのでシガー電源コードは不要でしたが、本体をコンソールボックス内に設置しましたのでオプションのリモコンスイッチをステアリングコラムの近くに取付けました。

他のドライブレコーダーもそうですが、映像の再生はパソコンを用いるのが一般的です。SDカードなどのメディアにデータが保存され、専用のアプリケーションを用いるというパターンですね。DREC2000の場合はオプションのビデオ出力ケーブルをカーナビなどのモニタに接続すれば、そこへ映像を表示することができるようになります。つまり、事故後その場で速やかに映像を確認することが可能になるというわけです。

これは相手方と主張が食い違っているときなどに大変な効果を発揮してくれるでしょう。私も警察を呼んで事故検分を行っているとき1度だけ相手方に嘘をつかれたことがありましたが、映像で確認できれば動かぬ証拠となります。

また、前回ご紹介した出会い頭の事故では相手方の女性がかなり動揺しており、事故の直後は「頭の中が真っ白になってしまった」そうです。そのため、最初は記憶の整理ができていない様子で、証言に一貫性がありませんでした。事故によって精神状態が平静を失ってしまったら、混乱してしまうのも無理はありません。このように悪意はなくとも誤った証言をされてしまうことは充分にあり得ますから、こうしたケースでも極めて有効なツールとなってくれるでしょう。

現場でモニタに映像を再生して当事者と警察と全員で確認できれば、無駄な言い争いを避けることができるでしょう。しかし、モニタにつなげなければパソコンで確認するしかありません。その場にパソコンがないとなれば、せっかく記録した映像が確認できず、後日改めてということになってしまったり、場合によってはドライブレコーダーを搭載した意味がない形で警察に結論づけられてしまう恐れもあります。

軽微な事故(殊に軽い物損事故)の場合、枠に当てはめて結論を急ごうとする警察官もいます。そういう人に限って思い込みが激しく、人の話にあまり聞く耳を持たないタイプだったりします。現場で映像の確認ができれば、こうした警察官に下手な処理をされないようにする効果もある程度は見込めるような気がします。DREC2000のビデオ出力ケーブルは2500円ほどのものですから、クルマにモニタが装備されているならケチることはないでしょう。

私は以前にもお話ししたとおり、同時にワンセグチューナーも取付け、そのついでの作業でしたから、モニタへの接続も全く手間がかかりませんでした。いえ、DREC2000のビデオ出力ケーブルをワンセグチューナーの外部入力につないだだけですから、作業というのもおこがましいところです。これで何かあった際、チューナーを外部入力に切り替えるだけですぐにドライブレコーダーの映像を確認できるわけです。

カメラ一体式には携帯電話と同じくらいの液晶画面を備え、ダッシュボード上に設置するタイプのものもあるようです。が、これはかなり好き嫌いが分かれるでしょう。繰り返しで恐縮ですが、私は余計なものを目の届くところに置きたくない性分ですので、液晶画面付より元々設置されているモニタを利用するほうがスマートで好ましいと思います。また、画面のサイズもずっと大きく見やすくなりますから、そうした点でも有利といえるでしょう。

(つづく)

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まとめ

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