酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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やはり未確認だった

昨日の朝日新聞の夕刊に「エコ燃料 環境に優しい?」という見出しの記事がありました。asahi.comにも見出しは異なりますが、全く同じ内容の記事がアップされていましたので、全文を引用します。

車の「エコ技術」、環境省がチェック タイヤの音も確認


 バイオ燃料やディーゼル車の窒素酸化物(NOX)削減装置などは、本当に「環境に優しい」のか――。環境省は、自動車で使う新しいエコ燃料などに有害性がないかを調べる研究に乗り出した。規制外だったタイヤから生じる騒音なども確認し、新たな対策につなげる狙いだ。

 環境省の実施する実験は、エコ技術を使った燃料でエンジンを実際に回し、排ガスの成分を調べる。流通し始めた「E3」と「バイオガソリン」の2種類が対象。E3は、植物や廃材などから作られるバイオエタノールを3%含む。バイオガソリンは、バイオエタノールをETBEという物質に加工してガソリンに混ぜた燃料だ。バイオ燃料の排ガスには、ぜんそくなどを引き起こす有害物質ホルムアルデヒドが含まれる可能性が指摘されている。

 また、NOX削減装置を積んだディーゼル車も試験する。大型トラックなどで増えている排ガス後処理装置はNOXを抑える効果がある。一方で、温暖化を加速させる温室効果ガス(亜酸化窒素)を増やすのではないかという懸念がある。

 自動車の騒音については、タイヤのサイズや溝の形によって生じる騒音に違いがあるため、蛇行走行の際の発生音などを調べる。アクセルを徐々に踏んだ時のエンジン音も含め、新たな騒音の基準づくりなどにつなげる考えだ。

 環境省環境管理技術室は「エコ技術の排ガス調査は、世界的に珍しい取り組みだ。普及する前に問題がないかを調べたい」としている。(高山裕喜)

(C)asahi.com 2008年11月29日


当blogでも何度となくイメージ先行の似非エコキャンペーンに対して批判してきましたが、こうした検証が行われるようになったのは一歩前進ということで評価したいところです。が、ここで看過できないのは最後に触れられている環境省のコメントです。

「エコ技術の排ガス調査は、世界的に珍しい取り組みだ。」

つまり、これまでエコエコと散々唱えられてきた取り組みは、単に一部分の理屈だけがクローズアップされ、トータルでの環境負荷がどうなっているのかはマトモに検証されてこなかったということです。

大阪府のE3推進キャンペーン広告
大阪府のE3推進キャンペーンの広告
大阪府はE3が環境に「いい!」と豪語していますが、
実際にトータルでの環境負荷がどうなっているのか
環境省がこれから取り組むような検証を大阪府は一切せず、
ただイメージだけを盲信しているのでしょう。


ま、今回の環境省の検証でE3の問題点が明らかになったとしても、正当な評価が下されるとは思えませんけどね。何せ、これまで何の検証も行わず、環境省自身が盛んにE3の推進を続けてきたのですから。それが実は出鱈目だったなどと撤回されることはあり得ないでしょう。

そもそも、呼吸器系疾患や皮膚炎などの原因になると考えられるホルムアルデヒドと、地球温暖化の原因とプロパガンダされているCO2と、全く違う種類の要素に対してどのような基準で重み付けを行うべきなのか極めて難しい問題です。最終的に主観を排除してそれを行うことは不可能でしょう。
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海面上昇も止まった?

当blogでは「最近10年は気温の上昇傾向がなく、最近数年はむしろ下降している」ということを何度かお伝えしてきました。その根拠となるデータは人工衛星による対流圏下部の気温データで、陸上も海上もまんべんなく、都市部も未開拓地も無関係に測定されるため、ヒートアイランドなど都市化の影響を受けにくいものと考えられています。それゆえ気温の下降傾向も顕著に表れます。こうしたデータは人為的温暖化説論者にとって極めて「不都合な真実」ですから、色々イチャモンをつける人も少なくありません。

今年の気温低下は特に顕著で、WMO(世界気象機関)も今年の平均気温が最近5年で最も低くなることを確実としています。皆さんも日常生活で「夏の暑い時期が短く、冬の寒さが早く来た」と実感されているかと思います。ま、これが長期的な気候変動と関係あるのか否かは解りませんが(WMOもラニーニャ現象の影響を示唆していますし)。

日本の大衆メディアは人為的温暖化説を盲信していますので、気候に関わるニュースには確実にバイアスがかかります。私たち一般的な市民がごく普通に新聞やテレビの報道番組を見ているだけでは人為的温暖化説にとって不都合な真実を見聞きすることは滅多にありません。が、海外のサイトには日本のメディアバイアスで弾かれてしまうような情報が山ほど転がっています。先日、こんなデータを見つけました。

平均海水面の推移

これは平均海水面の推移を示したものですが、2006年くらいをピークとして下降に転じている印象です。ま、本当に長期的な傾向として下降に転じているのか、短期的な揺らぎに過ぎないのか、予断を許すことはできませんけどね。

いずれにしても、日本の大衆メディアは短期的な揺らぎや局地的な現象であっても地球温暖化にイメージをつなげられるソースがあれば鬼の首を取ったように大騒ぎします。しかし、最近2年くらいの傾向としてみられる平均海水面の下降は一切伝えません。以前取り上げたように北極海の海氷面積が減少したときは大騒ぎし、それが回復しても一切報じません。こうした一方的な取捨選択をメディアバイアスと言わずして何と呼べば良いのでしょうか?

彼らが如何に「地球温暖化が進行している」と呪詛のように毎日唱え続けても、現実はその通りになっていません。もし、このまま気温も海水面も下降を続けていったとしたら、地球温暖化問題はどのように幕引きをされるのでしょうか?

オゾンホール問題の場合、20年近くも前からフロンの生産や使用が規制され、代替フロンへの切り替えが進められ、確実にその量を減らし続けてきました。

世界におけるフロン類の生産量の推移
世界におけるフロン類の生産量の推移(1980~2003年)
ご覧のようにオゾン層を破壊すると宣伝されたCFCは
現在殆ど生産されておらず、オゾン破壊係数
(CFC11を1としたとき何倍オゾンを破壊するかという係数)
0.001~0.52とされる代替フロンのHCFCも生産量が減らされ、
オゾン破壊係数0のHFCへ代替が進められています。
(が、いずれも強力な温室効果ガスということで、
総量は減らされる傾向が強まっています。)


しかし、オゾンホールが生じなくなる気配は微塵もありません。

2008年10月4日のオゾンホール
今年のピークとなった10月4日のオゾンホール
20年近くも前からフロンの削減を続けていながら、
今年も巨大なオゾンホールが生じています。


「オゾンホールは厳冬の年に大きく発達し、暖冬の年にはあまり発達しない南極固有の季節現象」ということは専門家の間でよく知られていることです。今年の寒さでもそれは再認識できます。ちなみに、南極が暖冬だった年はご覧の通りです。

2002年10月9日の南極のオゾン分布
南極が暖冬だった2002年のオゾン減少のピーク
最近10年で最も気温が高かった2002年には
ピーク時にもオゾンホールと呼べるようなレベルの
オゾン濃度の低下は見られませんでした。


しかし、メディアはこうした事実を全く報じることなく、既に過去のことであるかのように忘れ去ろうとしています。オゾンホールは肉眼に見えず、南極上空でしか起こらないことですから、このように何年も黙殺し続けることで大衆の記憶から消し去ることが出来るのかも知れません。

地球の気候変動の今後がどうなるのかそれは私にもよく解りません。が、もしこのまま気温も海水面も下降傾向を続けていったとしたら、地球温暖化問題はどのように展開していくのでしょうか? フロンのときのように徐々にフェードアウトしてシラを切り通し、忘れ去ろうとするのでしょうか?

風邪の予防にはマスクより手袋のほうが効く

だいぶ快方に向かってきたようですが、2週間ほど前に風邪をひいてしまいまして、咳込む日々が続いています。最盛期に会社で咳込んでいると、臨席の同僚に「マスクをして来い!」と半ばキレたように言われ、少々険悪な雰囲気になりました。要するに、うつされたくないということですが、この発想は根本的なところで思い違いがあるといって良いでしょう。

そもそも、風邪は空気感染や飛沫感染はしないと見られています。こうした感染経路の特定は科学的な証明が困難ですが、様々な実験を通じて確認されていますので、風邪の感染経路は接触感染と見て間違いないようです。

空気感染(飛沫核感染)というのは、病原体が直径5μm以下の微小な飛沫核となって長時間空気中に漂い、広範囲に伝播されるものです。この感染予防には感染者を設備の整った病院などへ隔離入院させるのが一番ですが、N95などの特殊マスクでも効果があるとされています。

3M_1860S.jpg
N95マスク
アメリカの国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の
N95という規格は耐油性がない0.3μmの試験粒子を
95%以上捕集できる性能を有するマスクに与えられるもので、
元々は製造業などの現場作業向けだったそうです。
空気感染の予防にも一定の効果があることが認められたため、
医療関係でも頻繁に用いられるようになりました。


飛沫感染というのは、咳やくしゃみ、会話などによって病原体が飛沫粒子となり、1m程度の近距離に飛散し、その範囲内にいる人に感染させるものです。この場合、唾液などの飛散を防ぐだけでもそれなりの効果があると見られますので、通常のマスクでも有効であるとされています。

風邪の感染経路に対する世間一般のイメージは、恐らくこうした空気感染や飛沫感染になっているのではないでしょうか? 少なくとも、マスクを着用するのは「社会人として当然の配慮」と私に言った彼はそういう認識だったようです。

しかし、風邪の感染経路は接触感染と見て間違いないようです。なので、人に風邪をうつしたくない人も、人から風邪をうつされたくない人も、マスクを着用したところで殆ど意味がないわけです。では、接触感染と見られる風邪はどのように感染するのでしょうか?

それは、感染者と直接触れ合ったり、感染者が触れたものに触るなど間接的に接触した場合になります。ですから、風邪をひいた人がマスクをしていても、病原体が付着した手で触れたものに別の人が触れると感染させてしまう恐れがあります。もちろん、風邪をひいていない人でも間接接触で病原体を媒介してしまう可能性があります。

特に風邪が流行している時期は電車やバスのつり革、エスカレーターの手すり、場合によっては通貨など、不特定多数の人が触れたものに風邪の病原体が付着している可能性があります。目の前にいる人から感染するとは限らないわけですね。ま、触れただけで皮膚を通してすぐに感染するほど風邪の感染力は強くないと思いますが。

こうしたことから、風邪の予防に最も効果的なのは「手洗いの徹底」と考えられています。特に食事の前は薬用石けんなどで念入りに手を洗い、なるべく手づかみは避けると良いでしょう。公共交通機関を利用するときなどは手袋の着用も無意味ではないと思います。また、目を擦ったり、鼻をほじったり、粘膜に直接触れる際も病原体が付着した手では感染の恐れがありますから、その前に手を洗っておいたほうが良いと思います。

ちなみに、手洗いと同様に奨励されている「うがい」についてはやや微妙です。ヨード液などの薬うがいはあまり効果がなく、水うがいは効果的とする報道もありましたが、サンプル数が僅か400名足らずですから、有効なデータといえるか難しいところです。この種の統計をとるとき、サンプルは数千単位が望ましく、それより1桁少ないのでは参考程度にしかならないでしょう。

また、リンク先の記事は「水うがいによって上気道炎の発生率は36%も抑えられました」とありますが、上気道炎は「かぜ症候群」のうちの一症状でしかありませんし、風邪以外でも生じるものですから、その見出しで謳われている「水うがいで4割も風邪が予防できる!」というのは誇張というより誤報になるでしょう。

いずれにしても、マスクを着用すれば周囲の人に風邪をうつさないというのは迷信といっても過言ではないでしょう。それを「社会人として当然の配慮」というのは、疾病の感染経路を正しく認識しようとせず、勝手にイメージを膨らませて正しいことだと思い込み、その誤った認識を人に押しつけるものです。

こうした短絡思考がエスカレートすると、疾病感染者に対する差別にもつながるでしょう。ハンセン病患者の隔離政策などはまさに感染経路の科学的な理解を怠ったゆえの差別政策に他なりません。こうした勝手な思い込みで結論づけることを許さず、物事に対する正しい理解を得ようとする姿勢こそ、社会人としてあるべき姿というものでしょう。

などと偉そうなことをほざいておきながら、油断して毎年のように風邪をひいている私も相当間抜けな部類の人間ということですが。

さすがはトヨタ (その2)

愛車プリウスのホーンの交換を終え、とりあえず満足してから数週間後のことでした。都心を走っているとアホなタクシーが唐突に割り込んできて、あわや接触という状況になりました。危険回避のため盛大にホーンを鳴らすことになったわけですが、こういうときホーンを鳴らす時間の長さは相手の行動の無謀さに比例するもので、やや長い時間鳴らすことになったんですね。

タイミング的にかなり肝を冷やすような状況でしたから、ハッキリと確認できる余裕はなかったのですが、ホーンが鳴り止むタイミングがどうもホーンパッドから手を放す直前だったような気がしました。後で確認してみたところ、やはりヒューズが飛んでいました。

切れたホーン回路のヒューズ

リレーを噛まさず、デフォルトの配線にそのまま取り付けたのですが、どうも容量が足りなかったようです。取り外したデフォルトのホーンユニットのインピーダンスを測ってみますと約1.5Ωでしたから、12Vでは8Aになります。ホーンの回路のヒューズはご覧のように10Aです。交換したフィアムのそれを確認してみますと10Aでしたから、ま、飛んでも仕方がないですね。

プロは事前に確認するのでしょうけど、同じ電磁式なので大丈夫だろうと思い込んでしまったんですね。昔、ロードスターに取り付けたフェラーリ純正のそれはモーターでコンプレッサーをブン回して鳴らすエアホーン(確か20A)でした。そのときも「飛んだらリレーを噛ませばいいや」と思い、とりあえずそのまま取付けたのですが、何の問題もなく使えました。プリウスはそこまで寛容じゃなかったということですね。

さすがはトヨタ、ホーンの配線一本に至るまでオーバースペックなし、無駄金は一銭も使っていないということのようです。

「少しくらいの容量オーバーなら配線のダメージもないだろうし、そもそもホーンなんてそんなに長時間通電させるものでもなし、ヒューズを15Aに差し替えても大丈夫さ」という悪魔のささやきもありました。が、ここはセオリー通り、リレーを買ってきて配線をやり直すことにしました。

当初、バッテリーからどうやって電源をとるか悩みました。プリウスはハイブリッドの動力用バッテリーの他に電装用の普通のバッテリーが搭載されているのですが、いずれも車両後部にあるんですね。で、色々調べてみましたら、エンジンルーム内にあるヒューズボックスにブースターケーブルを噛ますプラス端子があることを知りました。

プリウスヒューズボックス
ヒューズボックス内左上の赤いカバーを開くと
青い矢印で示したブースターケーブルの接続端子があります。
それとバッテリーのプラス端子とをつなぐケーブルは
赤い矢印で示したナットで固定されますが、
そこにホーンへつなぐケーブルの端子を共締めしました。


この端子を利用することで電源の問題はアッサリとクリアできたわけですね(真似される場合は自己責任でお願いします)。あとは最初に取付けたときのように手を傷だらけにしながら、ほぼ手探りでゴチャゴチャとやったわけですが、作業ステップが増えた分だけ、苦痛に耐える時間も長くなりました。

もちろん、作業中はセオリー通りバッテリーのマイナス端子を外していました。これをやるとラジオのメモリーや時計などがリセットされてしまいます。ま、大概のクルマがそうですから文句は言えませんが、プリウスの場合は何故かパワーウィンドウも初期設定をやり直さなければならないんですよねぇ。

最初はそんなことなど知りませんでしたから、お盆休みにドライブレコーダーなどを取り付けたときは壊したのかと思って少々焦りました。ま、取説にちゃんと対処法が書かれているのをディーラーのサービス工場に連絡しようと思う前に発見できましたから、恥をかかずに済みましたが。それにしても、電気イジリをする度に各席を回って所定の手順でパワーウィンドウの初期設定をやり直さなければならないのは面倒です。

ま、ディーラーのサービス工場の人に言わせると、イマドキのクルマは無闇にバッテリー端子を外さないほうが良いそうですけどね。以前、某ディーラーのメカニックの方にOBD(On-board diagnostics:車載式故障診断システム)のログが消えてトラブルシュートがやりにくくなる場合があるので、バッテリーの交換もきちんと対応できるところ以外ではやらないほうが良いと言われましたが、これだけフラッシュメモリが安くなった今でも揮発性メモリを使ってるんですかね? 機会があったら聞いてみようと思います。

(おしまい)

テーマ:カスタム - ジャンル:車・バイク

さすがはトヨタ (その1)

プリウスはバッテリーの充電状態にもよりますが、低速時にモーターだけで走行することもよくあり、とりわけ住宅地などで徐行するときはエンジンを始動させない状態が多いんですね。殆ど騒音が生じないこの状態も善し悪しで、深夜早朝などはご近所に気兼ねしなくて良い一方、歩行者の後方から接近するときなどは気付いてもらえないこともしばしばです。アメリカではハイブリッド車や電気自動車に「最低騒音」の規準を設ける議会案が提出されているそうです。

私はホーンを乱用しない主義で、道のド真ん中を傍若無人に歩いていたり、複数人で広がって歩いていたり、相手がルールやマナーに反しているなどやむを得ない場合を除いて、なるべくホーンを鳴らさずにエンジン音などで気付いてくれるのを待つことにしていました。が、モーター走行時のプリウスは気付いてもらえないことが多いんですね。

こうした時はできるだけやんわりとホーンを鳴らしますが、プリウスのそれはありがちな安物電磁ホーンゆえ、「ビィ~~~」といった感じのチープな音質で全くデリカシーがありません(個人的な感想です)。この音色はあまり好ましくありませんし、鳴らされれた側の印象も良くないような気がします。

実際、同じように感じておられるプリウスオーナーは少なくないようで、「もう少しソフトな音色のホーンにして欲しい」とか、「通常のもののほかに音量の小さいものを別に装備してはどうか」とか、「ボリュームを付けて音量を調節できるようにしてはどうか」とか、「電子オルゴールなどで何かメロディを流したらどうか」とか、色々な意見が寄せられているようです。

個人的には「ソフトな音色のホーンに」という意見がもっとも現実的で賛成なのですが、それ以外は法的な問題や操作性、イメージなどの面でも問題があるように思います。特にメロディを流すというのは何だかオートメーション化された工場などに用いられている無人搬送ロボットみたいで、流す曲にもよるでしょうけど、何となく珍妙なイメージになりそうな気がします。冬場などは灯油を売りに来たと勘違いされるかも知れませんし。

ということで、私はプリウスのホーンをもう少し威圧感のないソフトで音質の良いものに換えることにしたんですね。かつては若気の至りといいますか、ユーノス・ロードスターに乗っていた20代の頃、フィアムのフェラーリ純正品に交換して喜んでいたこともありました。が、最近はそういう趣味もなく、S2000に乗っていたときもずっとデフォルトのままでした。なので、ホーンユニットを換えるのは十数年ぶりです。

色々聴き比べをして、チョイスしたのは偶然にもまたフィアムでしたが、価格も3000円前後と手頃なCTE/LUSSOというメルセデス純正になっている小型電磁ホーンにしました。

フィアムCTE-LUSSO
FIAMM CTE/LUSSO

いまどきのFF車はエンジンルームがミニマムですから、小振りなものが良かろうと思って音色だけでなくユニットの外寸にも留意し、フィアムのこれを選んだのですが、それでも取付にはかなり苦労しました。プリウスはバンパーとグリルが一体になっている上、取り付け部へアクセスする隙間が僅か40mm程しかないんですね。無理なく作業しようと思うとバンパーを取り外さなければならず、それを回避するとなれば僅かな隙間に手を突っ込んで、殆ど手探り状態で作業しなければならないという何とももどかしいものになってしまいます。

さすがにホーンユニットの交換ごときでバンパーの脱着は面倒ですから、私はわずかな隙間に手(グローブなどしたら却って圧迫されますし、手探りの作業ではまさに「隔靴掻痒」状態になってしまいますので、もちろん素手です)を突っ込んで、手の甲や手首の周りを傷らだけにしながらようやく終えました。メンテナンスマニュアルを見ますと、フォグランプのバルブ交換の際にもバンパー脱着が原則なんですね。工数を増やして工賃を余計にふんだくろうとしているんじゃないか?などと詮索したくなる感じです。

プリウスホーンユニット交換
赤い矢印で示したのが今回取付けたフィアムのホーンです。
写真で見ると結構な隙間があるように感じますが、
青い矢印で示したストライカーのレバーが邪魔で、
実際にはかなり窮屈です。
デフォルトでこの位置に付くユニットは一つだけで、
もう一つは右のヘッドライトに近い位置になります。
が、そこはスペース的にかなり難しく、
この位置に二つまとめて装着しました。


それはともかく、とりあえず無難に取付は完了し、そこそこ満足していました(と同時に、私にボトルシップの製作は不可能だと悟りました)。ここでハナシが終わっていたらblogのネタにしなかったと思います。が、そうは問屋が卸してくれませんでした。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その9)

2005年にミシュランを抜き、世界トップシェアのタイヤメーカーとなったブリヂストンはグループ内に自転車メーカーを抱えていながら何故か自転車用タイヤは手がけず、私たちサイクリストの間では常々話題に上っていました。そのブリヂストンからロード用タイヤが発売されたのは皆さんもご存じのことと思います。

ブリヂストン・エクステンザ
BRIDGESTONE EXTENZA
まずはロード用のレース向けとロングライド向け
2本立てですが、MTB用も展開されるでしょうか?


タイヤは見た目の印象から性能の善し悪しが判別しにくいパーツの代表格みたいなもので、実際に手に取ったくらいではよく解りません。リムに嵌めてエアーも充填されていましたが、価格に見合った仕上がり具合という以上に特段印象的なものはありませんでした。

これがホイールに組まれた状態なら軽く回してやるだけで真円度の具合も容易に解るのですが、リムだけではその辺のチェックも難しいところです。ま、ヴィットリアのチューブラータイヤのように少し真円度が低いタイヤでも、実際の走行にそれほど悪影響があるわけではありませんから、あまり目くじらを立てることではありませんけどね。

ブリヂストン本体のサイトにこのエクステンザは影も形もなく、ブリヂストンサイクルの扱いとなっています。パンフレットを見てもブリヂストンサイクル開発2課長の春日さんという人とテストライダーを務めた田代恭崇氏(元ブリヂストン・アンカー所属でアテネ五輪日本代表、現在はブリヂストンサイクル販売企画部所属)の両名のコメントが掲載されているのみで、ブリヂストン本体は関与していないような印象です。

ブリヂストン本体が関わっているなら生産もブリヂストン本体という可能性は捨てられませんが、雰囲気的にそのような状況ではないような気がします。もちろん、ブリヂストンサイクルが自社工場を立ち上げたとも思えません。いずれにしても、これまで一切手がけてこなかった自転車用タイヤをブリヂストングループ内で生産するとなれば、そのための設備投資が不可欠です。

今後ラインナップを拡充していくにしても、出端にロード用タイヤ2種類のみという状況では、そこまでの投資をしているとは考えにくいところです。やはりどこかのOEMメーカーで委託生産という格好になるような気がします(あくまでも個人的な憶測です)。

「エクステンザ」というネーミングは四輪車用のスポーツタイヤ「ポテンザ」にイメージがつながりますが、モーターサイクル用の「バトラックス」とはかすりもしません。技術的にはモーターサイクル用のほうが近いハズですが、あえて四輪車のそれを彷彿とさせるネーミングを選んだのは、F1でも用いられている「ポテンザ」ブランドのほうが遙かに有名で、訴求力が強いというマーケティングリサーチ結果が出たとか、そんな感じの理由なのだと思います。

ま、タイヤの場合は見た目で構造的な特徴や性能を表現するのは難しいですから、ケミカル類ほどではないにせよ、イメージは重要なポイントになるのでしょう。

三ヶ島チタンベル

三ヶ島といえばペダルですが、チタン製のベルを発売するそうです。フォルムも音色も良いのですが、価格が3800円と下手なサイコンより高いくらいで、自転車から離れるときに残しておくのも少々心配です。取付方法は最近のキャットアイと全く同じラック状のベルトをスクリューで締める方式ですから簡単に外せますが、駐輪する度に着脱となれば面倒くさくなります。ここは簡単には着脱できないキー式スクリューとか、そういう方向で考えたほうが良かったかも知れません。

BD-1ミニチュアモデル

BD-1やブロンプトンなど魅力的な小径車の輸入元ミズタニ自転車のブースに飾られていたBD-1の1/6スケールのミニチュアモデルです。詳しくはミズタニのサイト内にあるご参照頂くとして、その精巧な仕上がり具合はかなりのレベルです。これまでにも自転車のミニチュアモデルは発売されましたが、一線を画すといっても過言ではないでしょう。

私は一時期ミニチャンプス(←リンク先はいきなり音が出ますので、スピーカーをONにしている方はご注意を)などのミニカーをコレクションしていたこともあり、普通の人よりは少し目が肥えているつもりです。その目で見ても、BD-1のコレは量産品としてかなりのクォリティで、大したものだと思います。ま、価格も18,000円ということで、それなりではありますけど。

要潤トークショー

右の男性は要潤さんというタレントさんだそうです。聞き手の女性は昨年も鶴見辰吾さんと今中大介さんとの対談のときもMCを務めていましたが、今年も浅く腰掛けて何かの拍子でコケるのではないかと心配で、話の内容より気になりました。

ということで、他にも色々見てきたのですが、キリがないので個別の話題はこのくらいにしておきます。

サイクルモード全般(幕張会場に限ります)を通じて感じたことは、昨年と大差なかったという印象が強かったですね。昨年は試乗コースのレイアウトを大きく見直して動線の乱れが解消され、MTBの試乗会場を分けたことで展示スペースが増すなど、会場内の雰囲気がずっと洗練された印象でした。

しかし、今年は昨年に準じた感じで、大きく変わった印象はなく、会場内で見かける業界有名人の顔ぶれも大差ありませんでした。良く言えばこなれてきた感じ、悪く言えばマンネリ化しつつある感じです。

一番強く感じたのは、来場者が多くなったということでしょうか。私の場合、昨年までは土曜日で今回初めて日曜日に行きましたので、条件が同じといえるかどうか解りません。が、一昨年より昨年のほうが、昨年より今年のほうが多くなった印象です(具体的な来場者数がどう変化しているのか知りませんので、あくまでも印象です)。

ま、人が多いこと自体は決して悪いことではないのですが、午後の混み合う時間帯はボチボチ飽和状態に近づいている感じです。このペースで増え続けると数年後にはかなり苦しい状況になるかも知れません。かといって安易な拡大路線は内容が散漫になりがちですから、その辺をどう舵取りしていくかは難しいところでしょう。

一昨年までは近い時期に東京ビッグサイトで東京サイクルショーが行われており、コチラは小径車やシティサイクルなどカジュアルな自転車と、業界向けの部品メーカーなどが中心でした。が、昨年には東京バイクビズと改称され、一般客入場不可の完全業者向け見本市に転身しました。サイクルモードとの棲み分けをもっと上手くやっておけば、現在とは違った状況になっていたかも知れません。

その東京バイクビズは公式サイトが2007年から更新されておらず、会場となってきた東京ビッグサイトの検索機能で調べてみてもそれらしきイベントはありませんでしたから、もしかしたら消滅してしまったのかも知れません。

業界こそ違いますが、私も今月中旬に東京ビッグサイトで開催された某展示会に出展者として関わりました。展示会の雰囲気は出展者によるところも小さくはありませんが、参加企業1社だけではやれることに限界もあります。やはり主催者サイドのビジョンが重要なポイントになってきます。如何にニーズを読みつつニーズに振り回され過ぎないかというバランス感覚が重要になってくるように思います。

最近は原油価格も従来の正常なレベルに戻りつつあり、高騰していたそれに後押しされて自転車に乗り始めた人たちも飽きてくれば、空前の自転車ブームは終焉を迎えるかも知れません。あるいは、環境志向や健康志向の高まりで自転車はブームから脱皮し、一つの文化として深く根を下ろすかも知れません。これからの何年かがそのターニングポイントになると思いますし、サイクルモードの雰囲気はそのバロメーターになるのではないかと思います。

(おしまい)

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

サイクルモード'08 (その8)

カンパニョーロはいつものごとくデモ車は置かず、単体での展示のみでした。

カンパ11s

話題の11sはパーツ単体を手にとれるようになっていて、重さを実感できます。もっとも、私は普段からこうしたパーツを単体で手に取って重さを確認しているわけでもありませんから、手に取ったところで「うわ、軽い!」と実感できるわけでもなく、レコードとスーパーレコードを持ち比べてみて「確かにスーレコのほうが少し軽いね」と解るくらいです。

見た目で大きく印象が変わったのは、やはりレバーになります。旧モデルに比べるとややごつくなった感じもありますが、握り心地は悪くないと思います。もっとも、カンパのブースに展示されていたそれはハンドルにセットされた状態ではありませんでしたし、ハンドルの形状やセットする位置や角度によっても印象は変わりますので、単体を握ってみたくらいで結論を出すべきではないでしょう。

マヴィックアパレル1

今年度限りで自転車関連アパレルから撤退するアディダスに替わってマヴィックが参入してきました。元々、アディダスのそれはマヴィックがプロデュースしていたそうで、デザイン的にも通じる部分が散見されます。

マヴィックアパレル2

右にジッパーをオフセットさせるこのデザインもアディダスユーザーにはお馴染みですね。

マヴィックシューズ

ラチェットのリリース機構はボタンからレバーに変わりましたが、ベルクロ留めする部分はベルトではなくコードになっているという構造もアディダスユーザーにはお馴染みです。

私の場合、パールイズミやサンティーニなども愛用していますが、比較的落ち着いたデザインが好みでアディダスのウエアやシューズも幾つか愛用してきました。ですから、今回の撤退は非常に残念なのですが、そのテイストがかなりストレートにマヴィックへ継承されている感じで、これまでのアディダスと組み合わせてもデザイン的な違和感はあまりない感じです。

新型デジラチェ

KTCもブースを構え、モデルチェンジしたデジラチェを展示していました。大きく変わったところは複数の歪みゲージを搭載してハンドルのフロート構造をやめ、固定式ハンドルにした点と、LEDのパイロットランプの発光面が大幅に拡大され、液晶などの表示面に対して真横からでも見えるようになった点くらいでしょうか。例の設定トルクの90%でビープ音とパイロットランプが断続的に作動する「予告」も健在です。

以前、当blogでもこのデジラチェについて述べましたが、やはり機械式に慣れた身には予告は邪魔くさく、手応えがないのは気持ち悪いものです。ということで、スタッフの方にその辺を熱く語ってきました。予告は邪魔なのでキャンセルできる機能を設けるべきということも伝えましたが、やはり手応えを演出すべきだという点についてはかなりしつこく熱弁してきました。

「ハンドツールを扱う人間は、手に伝わる感覚に集中していると思うんですね。ある程度のスキルがある人は、ネジ山を舐めそうになったり、囓りそうになったり、ボルト頭がもげそうになったり、手応えに何らかの異常があったとき、手の力を反射的に緩めるように身体が出来上がっているわけですよ。目や耳で感じるものより手の感覚に伝わるシグナルのほうがずっと直接的で反応しやすいと思うんですね。

テレビゲームのコントローラーや携帯電話にバイブレーターが仕込まれるようになったのはかなり前のことですけど、バイブレーターでも何でも良いので、振動のシグナルを発する機構をこれ(デジラチェ)にも設けられると思うんですね。私のように機械式に慣れた人間には、そうした機構を設けたほうがずっと受け容れやすいと思います。次のモデルチェンジがあるときには、予告がキャンセルできるようにすることと、振動のシグナルが発せられる機構の組込みを是非検討してみて下さい。」

それを聞いていたスタッフの方は「大変参考になりました」ということでリアクションは悪くなかったと思いますが、ま、どこまでマーケットの声として重視してくれるかは全く以て解りません。予告シグナルは管理プログラムの組み方次第ですから、キャンセルできるようにするためにコストはかからないでしょう。バイブレーターも汎用の部品はいくらでもあるでしょうし、安価なものだと思いますから、ネックになるのは振動によって精度に悪影響がおよぶか否かといったところだと思います。

もし、KTCのデジラチェが次のモデルチェンジで振動のシグナルを発する機構を設けてきたとしたら、私のアイデアが採用されたと触れ回っても良いですよね?(待てよ、このアイデアでパテントをとって売れば良かったかも?)

(つづく)

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サイクルモード'08 (その7)

スコットは昨年、シモーニやリッコなどサウニエル・ドゥバルの選手が使用した実車を展示していました。が、今年はリッコやピエポリのドーピング問題を受けて速やかに撤退しましたので、その種の展示は一切なく、来期よりチーム・コロンビアに供給する旨を伝えるパネルが1枚あるのみでした。

プラズマ
PLASMA

これまでスコットのTT用フレームは「CR1プラズマ」と称していましたが、今回のモデルチェンジで単に「プラズマ」となりました。ま、どう見てもアディクトやCR1とは共通項がありませんから、当然でしょう。従来のCR1プラズマも薄く水平なトップチューブで直線基調ではありましたが、このニューモデルは輪をかけて直線的になりましたね。

それにしても、近年のTTバイクはUCI規則ギリギリを狙っている感じです。特に問題となるのはフレームの構造や形状を縛る1.3.020と空気抵抗について縛る1.3.024の条項になりますが、BB周りは詳細な定義がなされていないため、各社ともここを攻めている感じですね。

プラズマBB周り

解りやすい写真が撮れませんでしたので、公式サイトから拝借しましたが、プラズマのBB周りもかなり際どい感じです。BB下に伸びているフィンのような造形はどう見ても整流効果を狙ったものです。UCI規則1.3.024には「流線形の胴などの空気抵抗を減少させるか又は推力を増す目的または効果のあるいかなる装備の追加または組み込みを禁止する。」とあり、抵触しそうな感じなんですね。

でも、「胴形は断面を涙滴のように後方に伸ばすかまたは流線形にするものである。」となっていますので、BBシェルを下方に伸ばし、タイヤの前方を覆う分にはお咎めなしということなのでしょう。これがシートステーのブリッジ部を後方に伸ばして後輪上部を覆うような形状とした場合、間違いなくアウトになるでしょう。UCI管轄下のレースを狙ったバイクではこうしたデザインは採用できないということですね(シーポのようにトライアスロンを狙えば関係ありませんが)。

UCI規則1.3.020には「立管はボトムブラケットシェルに連結する。」とあります。プラズマのシートチューブはBBをギリギリかすめる感じで、ダウンチューブ下部とシートチューブ下部をつなぐボリュームがなければ殆どチェーンステーにつながっているように見えますから、これでは違反になるでしょう。要するに、BB周りの逆台形の構造全体をBBシェルと定義しているわけですね。

となると、どこまでをBBシェルと見なすかという解釈によって微妙な小細工もできそうです。UCI規則1.3.020では「主三角は管の中心線が真直ぐな直管またはテーパ管(断面形状は円、楕円、扁平、涙形など)で構成すること。」となっていますので、BBシェルをもっと複雑な構造としてボリュームを増してやると、前三角の形状に対する制限を緩和させることができるかも知れません。

もっとも、条項をどう解釈するかという微妙な問題も、UCIは野放しにするつもりはないでしょう。フレームのように開発にお金のかかるものについてはいきなりUCIからNGを食らって販路が制限されても困るでしょうから、メーカーは試作段階でUCIにお伺いを立て、お墨付きをもらってから先に進むというステップを踏んでいるのかも知れません。

そもそも、こうした構造や形状を縛るUCI規則そのものが安全性や公平性のために有効なものというより、ダイヤモンド型のフレーム構造を崩したくないという情緒的な部分が大きいように思いますので、個人的にはバカバカしいと思う部分も少なくありません。インドゥラインやボードマンやオブリーらがアワーレコードに挑戦した頃はモノコックのもっと自由な形状が試されました。

ピナレロ・エスパーダ
PINARELLO ESPADA
1991年からツール5連覇を果たしたインドゥラインは
1994年にこのモノコックフレームのピナレロを駆り、
53.040kmという当時のアワーレコードを樹立しました。


しかし、UCIで権力を握る老人たちは、このようにアヴァンギャルドな見た目が好みではなかったということなのでしょう。UCI規則1.3.020でフレームを構成するのはパイプでなければならないことと、各々のパイプがいわゆるダイヤモンドフレームの形状を成さなければならないことを規定しています。が、90年代のTTバイクで試みられたモノコック構造を否定する合理的な根拠はありません。

アディクト
ADDICT LIMITED

一昨年に発表されて以来、いまもトップレベルの軽量フレームの座をキープしているアディクトですが、殆ど変更点はなさそうです。例によって豪華パーツで組まれた完成車も売られており、このアディクト・リミテッドはスラムのレッドとマヴィックのコスミック・カーボン・アルティメイトなどが奢られ、税込で1,575,000円だそうです。

プラズマの展示車もそうですが、インテグラルシートチューブをカットしないでサドルを取付けると、何とも凄い高さになりますね。これで足が届いてハンドルまでの距離も適切という人はこの世に存在しないでしょう。売り物をそのまま展示しているゆえ、カットできないという事情なのでしょうけど、この猛烈に高いサドルは異様な感じです。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その6)

トレックは世界屈指のスポーツサイクルメーカーでありながら株式を公開していません。「外部から干渉されず、いいものだけを作り続けたい」というのがその理由だそうで、株主はゲイリー・フィッシャー、キース・ボントレガーなど十数人しかいないそうです。

トレックブース

今年、アルベルト・コンタドールは主催者であるASOにチームごとツールから排除されましたが、ジロとヴエルタを制し、現在最強のステージレーサーであることを見せつけました。そのコンタドールよりランス・アームストロングのほうが大きな写真を掲げられているのは、ツール7連覇の偉業ゆえでしょうか? それとも、十数人しかいない株主の一人だからでしょうか?

タイムコンピュータ&タイムウォッチ

トレックブランドでご覧のようなアイテムが展示されていました。手前5つは速度・距離・時間を計れるシンプルなサイクルコンピュータ、奥の5つは2針のアナログウォッチで、いずれもブラック/モスグリーン/オレンジ/エッグブラント/ペリウィンクルの5色をラインナップしています。バンドが2サイズ付属し、22.2~25.4mmもしくは31.8mmに対応するそうで、「工具いらずのワンタッチ装着」と謳っています。

見た目にオシャレでクロスバイクやミニベロなどカジュアル系に似合いそうな感じで、特に女性に受けそうな気がします。でも、「ワンタッチ装着」といっても普通のサイコンのようにスライドさせたりひねったりするくらいの手軽さで着脱できなければ、駐輪する度に煩わしい思いをすることになるでしょう。ガラス越しだったのでその辺までは解りませんでしたが。

スーパーシックス(バッソ仕様)1

ディスカバリーチャンネル最後の年に移籍が決まった矢先、ドーピングスキャンダルで喪に服すことになったイヴァン・バッソですが、喪が明けてリクイガスに合流し、先のジャパンカップに出場しました。そのとき彼が使用したスペシャルカラーのそれが展示されていました。欧米人のイメージする「JAPAN」のイメージはいつもこんなものなんですね。

スーパーシックス(バッソ仕様)2

何故「極太楷書体」なのか全く以て意味不明ですが、イヴァン・バッソを「伊蛮伐蘇」と当てたのは誰なんでしょうか? 「伊」は良いとして、「蛮」の字義は決して良い意味ではないんですけどねぇ。改めて調べてみましたが、起源はこんな感じです。中国はかつて自国を宇宙の中央に位置する大国として「中華」ないし「中夏」と称し、その周辺国を「東夷」「西戎」「南蛮」「北狄」と呼び、未開の民と蔑んでいました。日本人も「南蛮」という言葉はよく使いましたが、やはり相手を蔑んで称したことに違いはありません。

ま、一つ参考になったのはカンパの新しいエルゴパワーがシャローハンドルにも浮かないという点くらいでしょうか。

SWエピック

当blogでも以前取り上げた(自転車雑誌の発売日は何故か毎月20日に集中しており、それゆえ4日早くお伝えできました)エピックのニューモデルも展示されていました。見た目にはスマートな感じで良いのですが、やはり前三角で担ぐのは厳しそうです。サドルで担ぐと安定しにくく、レールが肩に食い込んで痛かったりするので私は苦手なんですよね。

エピック-リヤサス部

機械式Gセンサとサスユニット本体をセパレート式とした新型のブレインショックですが、各々をつなぐホースは思ったより太いものでした。これくらいの太さにしておかないとフローポートのレスポンスに影響するのでしょうか? などと子細に眺めていると目の毒なので、これくらいにしておきました。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その5)

複雑な曲面構成からなるモノコックフレームが幅を利かせる近年にあって、デ・ローザの新作ネオプロはあえてラグ構造が採用されたとのことです。ま、ルックやコルナゴもこのオーソドックスな構造を用いていますので、これだけでは特別な印象もありませんね。

ウーゴの三男クリスティアーノ曰く、「ラグ構造はスケルトンオーダーを可能にし、プロの要求にも応えることが出来る。レースを走るには何が必要か。それらを考えたとき、ロードバイクの原点に返ることもときには必要」だそうです。要するに、彼らがこの構造を採用した狙いは細かいサイジングが可能という点にあるようです。もっとも、日本総代理店の日直商会で正規にスケルトンオーダーを受けるかどうかは未定のようですが。

ネオプロ
NEO PRO
キング3とアイドルの間くらいのグレードということで、
フレームセットは562,800円(税込)になるそうです。


モノコックは設計の自由度が高く、軽量化や空力面、個性的な外観をデザインしやすいといった点で有利といえるでしょう。が、大規模な金型の製作が求められますので、サイズを細かく設定するとその分だけ大変なコストアップに直結します。

4~5くらいの大雑把なサイズ展開でも、トップチューブをスローピングさせればシート高の調整幅を持たせられますから、あとはステムの長さや高さなどで合わせてもらおうという傾向が近年では常識化しています。結果、高価なフレームでもサイズ合わせに苦労するケースが少なくないわけですね。

「一に軽さ、二に剛性、三四がなくて五に見た目」みたいな風潮もありますが、一番重要なのは乗り手のパフォーマンスを発揮させるのに適切なポジションを得られているかどうかにあると思います。そういう意味でクリスティアーノの「原点に返ることもときには必要」という主張は正鵠を射ているといえるでしょう。が、日本でスケルトンオーダーを正規対応しないのであれば、その御利益も半減といったところですね。

どれだけの需要があるかというビジネス的な側面もあると思いますが、欲しい人は多少のアップチャージも厭わないでしょう。何せ、レディメイドでも50万円を超える高級フレームなのですから。ここはやはり正規対応すべきでしょう。逆に、大手マスプロメーカーとの差別化を図り、プレミアムブランドとしての存在感を際立たせるには、この種のきめ細かいサービスこそ重要ではないかと思います。

アヴァント
AVANT

デ・ローザのフルカーボンモデルとしては安価な(といってもフレームセットで30万円超ですが)アヴァントはカラーリングを一新しました。ネオプロで掲げられた理想とは真逆で、概ね3cm刻みの5サイズというありきたりな展開です。旗艦モデルのキング3が約2倍の価格となっているのは、素材や工法などが高度なだけではなく、約2cm刻みの10サイズ展開ということも無関係ではないでしょう。デ・ローザも魔法使いではないということですね。

ネオプリ
NEO PRIMATO

コテコテの古典的クロモリフレーム、ネオプリマートはもはや変わらないことに意義があるのかも知れません。ラグ溶接のこれはクリスティアーノのいう「原点」に最も近いせいか、サイズは48cmから61cmまで1cm刻みで14も用意されています。ま、全てのサイズが各色毎にストックされ、日直商会の契約ショップまでスムーズにデリバリーされるかどうかは別問題でしょうけど。

私ならホリゾンタルに似合う73度のステム、ハンドルもアナトミックではなくシャロー、ボトルケージもカーボンではなくエリートのチウッシあたりをチョイスしたいところですね・・・などと妄想しはじめると本当に欲しくなってしまうので、この辺にしておきます。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その4)

昨年、私は生意気にもサイクルヨーロッパ・ジャパンのブースを散々こき下ろしました。ま、チェレステブルーのパーティションにフラッグ2枚垂らしただけでしたからね。

ビアンキのブース07
昨年のサイクルヨーロッパ・ジャパンのブース

ところが、今年は偉く見違えました。

ビアンキのブース08
今年のサイクルヨーロッパ・ジャパンのブース

昨年見られなかったトップレーシングモデルの928カーボンと、オシャレな実用車オパールを前面に並べていますが、ビアンキを象徴するグッドチョイスだと思います。歴史と伝統のあるビアンキブランドをアピールするなら、こうでなければいけません。

昨年のように試乗待合所みたいな格好で出展し、貧相なイメージを与えてしまうくらいなら、いっそのこと出展を見合わせたほうがマシだったのでは?と思いましたが、今年は全く文句ありません。マルコ・パンターニも草葉の陰でホッと胸をなで下ろしている・・・かどうかは解りませんが、個人的には良かったと思います。

一方、いつもゴージャスな雰囲気のコルナゴは何やら古代ローマ風にブースを仕立ててきました。

コルナゴのブース

しかし、今年は明らかに失敗ですね。石柱をイメージした白い柱はただの合板で、凸部は細長い合板を無数のステープルでバシバシと留め、その上に白いペンキを塗りたくっただけです。しかも、ステープルのところはペンキが弾かれ、無数に打ち込まれた鉄のそれがアバタのごとく無秩序に散在し、近くで見ると如何にも貧相でした。中央に配された噴水のようなオブジェからは本当に水が滴っていましたが、これも本物感が全くないだけに却ってチープな印象につながってしまいました。

何と言いますか、某高級焼き肉チェーンの店内といいますか、高速道路脇のラブホテルといいますか、「作りもの」感タップリの似非ゴージャスな雰囲気はただただケバイだけで、少々悪ノリが過ぎたように思います。

EPS.jpg
EPS

昨年のトレックに続き、コルナゴもいよいよインテグラルヘッドになってしまいました。独自規格とのことですが、インテグラルヘッドは規格乱立状態ですから、いまさら文句を言う気にもなりません。チューブも一層太くなり、結局のところレーシングモデルにありがちなトレンドをそのままなぞることになってしまいました。

ジャイアントに廉価版を作らせるなど、マーケットの拡大を期しているコルナゴだけに、何らかの特色を出していかないと伝統のブランドというだけではいつの日かじり貧に追い込まれてしまうかも知れません。デ・ローザのように拡大路線を捨てて頑ななビジネスを保持するのが良いのか、ある程度の規模に拡大させておいたほうが良いのか、その辺の判断は非常に難しいところだと思いますが。

マスターX-ライト
Master X-Lite

でも、その一方でフォークやラグをメッキ処理した魅力的なクロモリフレームも健在です。私のような古い人間はこういう古典を見せつけられると単純にホッとしてしまいます。しかも、個人的には昨日のコメントでもちょっと触れた通り、いまクロモリフレームで1台組みたいと考えていますので、かなりそそられるものがあります。殊にコルナゴやデ・ローザなどは中高生のころ憧れたブランドで、大人になったら手に入れたいと思っていましたから尚更です。

この種のクロモリフレームのマーケットは、いまの私が抱いているような「若い頃の憧憬」に支えられている部分が少なくないかも知れませんね。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その3)

私はシマノ製品を多く使っていますが、色々不満もありますので、シマノ党とかシマノ信者というほどでもありません。なので、シマノのネタで引っ張るのも何ですが、普段なかなかお目にかかれないサポートカーが展示されていましたので、ご紹介しておこうと思います。

シマノサポートカー1
トラックの荷台下は燃料タンクやエアタンクやマフラーやバッテリーや
スペアタイヤなどなど、色々ゴチャゴチャしています。
一般的なトラックユーザーはそんなゴチャゴチャを気にせず使いますが、
こういう見た目の印象も大事なサポートカーはアンダースカートを付けますね。
需要が非常に少ないため、大概はFRPのハンドプライで殆ど手作りですから、
意外に値が張ります。


サポートカーは2台展示されていましたが、私の場合はやはり「動くサービス工場」といった感じのコチラに興味をそそられました。ベースは日野のデュトロもしくはトヨタのダイナ/トヨエースのいずれかになりますが、エンブレムが外されていましたので不明です(いずれも日野自動車の羽村工場で生産されている同じモデルですが)。

シマノサポートカー内部1

このような電動工具やエアコンプレッサーはもちろん、水槽と蛇口も装備されていますので、汚れた手を洗ったりすることも出来るようになっています。写真左上のほうにエアコンのリモコンが見えますね。こうしたバンの中は夏の炎天下でサウナのようになってしまいますから、この中で作業をするのであればエアコンは必須です。

私は前職でこの種のクルマを何台かプロデュースしたことがありまして、スナップオンさんとこの大型ツールキャビネットをプロモーションする移動展示車なども手がけたりしたことがあります。そのときはこれより大きい4tトラックベースで、やはり住宅用のエアコンを取り付けました。オルタネータの容量を増やし、インバータで交流100V電源を取り、室外機はバンの前方上部に設置、キャブ上のウインドディフレクタでそれを隠すというパターンがお約束ですが、このクルマも全く同じですね。

側面のパネルに窓を設けるとか、キャブと一体にするとか、もっと凝ったものにしようと思うと、キャンピングカーなどを手がけている特殊車体メーカーに作らせなければならず、コスト的にもかなりのレベルになると思います。が、このクルマの場合はカーゴ用のバン(冷暖房の効率を上げるためにパネルには断熱剤を入れているハズですから、ベースは保冷バンでしょう)を流用していますので、比較的低コストで作れます。ま、それでもメルセデスのSクラスくらいいってしまうかも知れませんが。

シマノサポートカー内部2

インナーワイヤーはこのように真っ直ぐ収納したほうが、余計なクセも付かず、スペース効率も良いというナイスなアイデアです。

シマノサポートカー内部3

ツールジャンキーな私としては一番興味のあるハンドツールですが、ソケットはトネKTCがごちゃ混ぜで、PBとパークツール以外は殆ど国産ブランドになるようです。それもネプロスのようなハイグレードではなく、ごく普通の普及モデルばかりですね。ま、弘法筆を選ばずといいますか、プロのメカニックの方には使い倒してダメになったらどんどん新しいものに換えていくだけといった感じで些細なクォリティに頓着しない人も少なくありませんから、こんなものだと思います。

シマノサポートカー内部4

グリスは用途別にグリスガンに積め分けて使用しているようですが、このノズルの仕様はリオグランデのアレではなく、当blogでも以前ご紹介したアレと全く同じもののようです。(関係ありませんが、サーチエンジンで「グリスガン 自転車」と検索すると、かなり上位でヒットするせいか、当blogの中でもあのエントリは屈指のアクセス数になっているようです。)

ホイールのセンターゲージは複数ありましたが、振れ取り台は見かけませんでした。どこかに収納しているのか、問題があるホイールは交換するだけで、出先では基本的にいじらないことにしているのか、その辺はよく解りません。

傍らにはコーヒーメーカーなども置かれていたり、MTBのイベントで山の中へ行ったら必須という吊り下げ式の蚊取線香皿がぶら下がっていたり、生活感といいますか、現場の雰囲気みたいなものがあって、なかなか良い感じでした。

シマノサポートカー2

コチラはスバル・レガシーをベースとしたサポートカーです。シマノのコーポレイトカラーにペイントされ、そのロゴがカッティングシートで入っているのは当然ですが、スペアホイールを搭載するキャリアがルーフ上とラゲッジールームに設置されている以外はあまり特殊な感じではありません。助手席のヘッドレストが外されて、そのバックレスト裏に工具が並べられていますが、至って普通のクルマです。

といったところで、シマノについてはボチボチおしまいにしますが、最後にコレもご紹介しておきます。

シマノ純正ケミカル

既にアチコチで伝えられていますのでご存じの方も少なくないと思いますが、シマノから本格的に純正ケミカルが発売されることになったそうです。これまではグリス類やMTBの油圧ブレーキのフルード等、最低限の展開にとどまっていましたが、実力のほどはどうでしょうか?

(つづく)

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サイクルモード'08 (その2)

シマノの目玉といいますか、恐らく今回のサイクルモードでもっとも注目を集めていたのは7970系デュラエース(以下電動デュラ)だったと思います。

電動デュラ
時間があれば人が退くまで待ってから撮るのですが、
今回はマトモな写真が撮れるまで待っていられる
時間的な余裕がありませんでしたので、公式画像で失礼します。


これまでマヴィックのメカトロニックをショップで見せてもらったことはありましたが、実際に触れたことはなく、小学生の頃に流行ったスーパーカーもどきなアレも未経験ですから、私は電動シフトと全くご縁がなく、それだけに興味津々でした。

が、結論から先に言わせて頂きますと、期待ほどではありませんでした。これは私の期待が無用に大き過ぎただけかも知れませんが、今回試した範囲で感じたメリットは、電気スイッチの僅かなストロークでシフトできるという点くらいでした。ワイヤー式より素早くシフトできるわけでもなく、キッチリとメンテナンスされたワイヤー式なら正確さでも全く劣らない印象です。

ま、シマノ自身も「従来のワイヤー式と電動式とを比較するためにシフト回数のデータを取ったところ、電動式のほうが増えており、その分だけストレスなくシフトできている」といった旨の説明をしているくらいです。劇的に良くなっていたら、こんな持って回ったような能書きを垂れる必要もないでしょう。

今後、増設用のシフトスイッチが発売され、上ハンを握った状態でもシフトできるとなれば相応のメリットにつながると思います。が、デュアルコントロールレバーに仕込まれたスイッチだけで操作するなら、フロントをアウターにシフトするのが楽ちんという以外に圧倒的なメリットがあるようには思えませんでした。

そのフロントの変速も慣れないうちは若干の違和感があります。ワイヤー式はレバーのストロークが長いですから、操作開始からディレイラーの動作完了までの時間を比べたら大差ないと思います。が、電動式は一瞬にして操作が終了してしまうため、その分だけディレイラーの動作完了までの時間を長く感じてしまい、「鈍い」と錯覚してしまうようで、ワイヤー式とは異なるアクションが違和感につながってしまうのでしょう。

特に私の場合、フロントの変速が一段とスムーズになったワイヤー式の79デュラに感動したばかりで電動デュラを体験しましたから、このダイレクト感のない変速感覚が気持ち悪いと思ってしまったのかも知れません。リヤはフロントほど大きなアクションではないため、その分だけ違和感も殆どない印象でしたが。

また、あまり目くじらを立てることではないと思いますが、電動はトラブルに気付きにくいというデメリットがあると感じました。メンテナンスに万全を期していても、走行中にゴミを拾ってディレイラーの動きが悪くなってしまうことがあります。ロードでは滅多に起こらないかも知れませんが、枯れ草やビニール紐の切れ端などがパンタフラフに絡まったという経験を私は過去に何度かしています。

ワイヤー式ならその引きが重くなるなど、ディレイラーの動きがワイヤーを通して指先に伝わってきますから、何か異常があればすぐに気付くことができます(もがいて死にそうなときは気付かないかも知れませんが)。しかし、電動ではディレイラーの動きが指先の感覚として一切伝わってきません。要するに、機械との会話ができないんですね。

MTBなどは泥まみれになってディレイラーやそこへ至るまでのワイヤーの動きが渋くなることがよくあります。それをメンテするのも楽しみの一つで、スムーズなシフト感を取り戻すと「今日も良い仕事をした」などと悦に入ってしまう私のような変態には、こういう機械との会話ができない仕組みは少々物足りない感じです。

でも、その一方で「ヒュン」といった感じでアクチュエータが一唸りし、シフトしていくあのハイテクな感じも決して嫌いではありません。リヤの動きに応じてフロントも自動的にクリアランスを調整する「オートトリム」の動きを見ると感心してしまったりして、これはこれで別の魅力を感じたりするんですね。我ながら何ともワガママだと思いますが。

逆の視点から見れば、あれだけ完成度の高いワイヤー式に劣らないレベルに仕上げてきたという点で電動デュラの完成度の高さは大したものだと思います。私の場合、経済的な理由も含めて、いまのところ必要性を感じないというのが正直なところですが、ここまで作り込んできたものが徒花に終わってしまうのは何とも勿体ないことですから、開発の手を緩めないで欲しいところです。普及に向けてのネックは価格だと思いますので、差し当たっての課題は如何にコストダウンしていくかでしょう。

多少穿った見方かも知れませんが、これはクルマのマニュアルシフトとセミオートの関係をなぞっていくかも知れません。クルマの場合、2系統のクラッチと変速系を交互に切り替えたり、F1のシームレスシフトのようにクラッチを切らずにシフトできるようになったり、シフトチェンジの早さという点でセミオートのほうが圧倒しています。もはやマニュアルでセミオートに勝とうというのは難しい時代になってきました。が、御する楽しさという点でマニュアルが色あせたわけでもありません。

現在の電動デュラはそうしたレベルに程遠いものですが、将来的にこうなっていける素質はあると感じました。レース機材としてシフトの素早さを求めるなら電動式、機械を操作したりメンテしたりする趣味的な要素を重視するならワイヤー式という時代が来るかも知れません。

(つづく)

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サイクルモード'08 (その1)

昨年一昨年も好き勝手にレポートさせて頂いたサイクルモードですが、今年も何とか都合を付けて行ってきました。幕張会場のスケジュールは11月6日(金)~8日(日)で、今年も3日間ありました。が、私のスケジュールは土曜日に仕事が入ってしまい、また諸般の都合で日曜日も早めに切り上げる必要があったりしましたので、例年ほどじっくり見ることができませんでした。なので、あまり期待しないで下さい。

さて、今回もっとも楽しみにしていたシマノの7900系デュラエース(以下79デュラ)ですが、期待を裏切らない仕上がりでした。私は現在7800系を使っており、特に変速系は改良の余地があると思えないくらい高い完成度だと認識していました。が、一度79デュラを味わってしまいますと、やはり従来のものは色あせてしまいますね。

ま、良くなっていなければわざわざモデルチェンジする意味もありませんし、シマノがそんな無駄なモデルチェンジをするようなメーカーだったなら、「自転車界のウインテル」と評されるレベルには至らなかったでしょう。しかも、今回は駆動系・変速系に関してフロントの互換性を犠牲にしていますから、それで良くならなかったらシャレになりません。

そのフロントの変速性能向上が今回のモデルチェンジでもっとも大きく進歩したと感じさせる部分でしょう。自画自賛で恐縮ですが、当blogでも以前にチェーンホイールの刃先や裏側の形状、そこと噛み合わさる表側(進行方向に向かって右)のチェーンプレートの形状が最適設計され、変速性能の向上が期待できるのではないかと推測しました。その読みに狂いはなかったと思います。

FC-7900(裏)
かねてから注目していた79デュラのチェーンリングの裏ですが、
見れば見るほど唸ってしまう複雑な構造になっています。


従来もフロントの変速性能についてシマノは他社を圧倒していたように感じます。私も何度となく軽さを求めてサードパーティのカーボンクランクになびきかけましたが、なかなか手を出す気になれなかったのもその点がネックになっていたからです。今回のモデルチェンジでまたそのアドバンテージを大きくしたといっても過言ではないでしょう。

CN-7900(裏)
CN-7900(表)
上の写真が裏(進行方向向かって左)側、
下の写真が表(進行方向向かって右)側になります。
裏は穴あきプレートになった以外は違いが解りませんでしたが、
表は向かって左下と右上が斜めに削られ、
この写真では解りにくいのですが、エッジは
かなり複雑な面取りがなされています。


特にワイヤーをリワインドしてアウターに掛け替えるときは感動的と評しても良いくらいで、一度このスムーズさを味わってしまうと7800系以前に戻れなくなるでしょう。また、トリム操作が不要で、アウター×ローが何の問題もなく使えるというのは、実用面で大きなメリットになるように思います。「アウター×ローなどで走っているのはド素人」といった認識が定着しているように思いますが、殊79デュラに関してはこれも充分にアリといえます。

「カンパのリヤ11s化より、アウター×ローが問題なく使える79デュラほうが実戦では有効なのでは?」という意見も少なからず聞かれますが、私もその可能性は大いにあるだろうと思いました。逆に、リヤは特段進歩した印象はありませんでした。互換性も保たれていますし、大きな手は加わっていない印象です。ま、コチラはこれ以上の性能といっても想像すらできない感じですが。

また、7800系やその世代の下位モデルでも評判の悪かったデュアルコントロールレバーの(特にブラケットの)形状ですが、比較的オーソドックスな形状に戻されました。従来はシフトケーブルを巻き上げるユニットがメインレバーの付け根に作り込まれていましたが、シフトケーブルも内装式となった79デュラはカンパやスラムと同じくブラケット側に移りました。その割にはブラケットのボリュームが増したような印象もなく、個人的には握りやすさも向上したように思います。

RHM9SL.jpg
ANCHOR RHM9SL
シマノのブースにあったデモ車はついたてを設けずに置かれ、
全周を常に人が取り囲んでマトモな写真が撮れませんでしたので、
アンカーのフラッグシップモデル(完成車は税込みで70万円)に組まれた
それで全般的な雰囲気をご確認ください。


従来のブラケットは長く突き出て背中が深くえぐられており、握る位置も深くなってしまいがちでした。人によってはそのほうが良いと思われるかも知れませんが、私は手が(足も)短いほうですので、ステムを以前より少し短めにして対応しています。が、79デュラは長いものに戻せそうな感じです。

こうしたブラケットの形状変更で微妙にポジションが変わってしまうケースもあるでしょう。ハンドルとの相性など他の要素との兼ね合いもあると思いますが、従来のものから交換するとき、現在のポジションを維持するためにステム交換が必要になる場合もあるかもしれません。

個人的には、ステムが短いよりある程度長さがあったほうが見た目も含めて好みですので、これは大歓迎ですね。また、見た目といえば、やはりシフトケーブルもハンドルに沿わせるほうがスッキリとして良い感じですし。

もう一つ見た目でいえば、レバーが従来のアルミ合金からカーボンになりました。が、そこはシマノらしく、表層に化粧カーボンをあしらうことはせず、単なる塗装で済ませています。この点はホイールのカーボンリムなども同様ですね。「カーボンはカーボン柄あってこそ」という人には向かないでしょうが、「レース機材にそんなデコレーションなど不要」と思う人にはコストダウンという意味でも良いでしょう。

(つづく)

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オバマをルーズベルトに仕立てようとする人々 (その2)

各国のメディアが今般のアメリカ大統領選を嬉々として伝えたのは、かつてない強力な話題性があったからです。党の指名レース当時から共和党が殆どオマケ扱いだったのに対し、民主党に関しては異様なまでに熱心な報道がなされていました。

女性初を狙うクリントン氏と黒人初を狙うオバマ氏、どちらが選ばれても極めて画期的な出来事ですから、彼らが熱心になっていたのも無理はないでしょう。予定調和の自民党総裁選以上に彼らが盛り上げたのは、結果が読めず、ネタとして非常に面白いからという点に尽きます。

民主党の候補がオバマ氏に決定すると、彼らはさらに現実を超えたイメージを膨らませていきました。ブッシュ政権によって疲弊したアメリカを救うスーパーヒーローは、中道の老政治家ではなく(副大統領候補に指名された彼女はバリバリの保守系ですが)、肌の色を超越した若きリベラルのカリスマというほうが遙かに絵になります。

日本のメディアも彼を美化しながら多大なる期待を寄せ、次期大統領の座を獲得したいまは、日本の学校で使われている世界史の教科書が描くルーズベルト大統領を理想像とし、それに彼を重ねているように見えます。が、前回ご紹介したasahi.comの記事のような経済政策を本当にオバマ氏が進めていくつもりなら、カーター大統領の二の舞となってしまうことが危惧されます。

カーター大統領の就任から4ヶ月後のロンドンサミットでは、第1次オイルショックで不況に喘ぐ世界経済を回復させるため、いわゆる「機関車論」が提唱されました。余力のある国が経済刺激策を講じ、世界経済回復のけん引役を担うという考え方です。そこでカーター政権は財政支出を大幅に拡大し、公共事業に投資しました。

しかし、その積極的な経済政策はインフレ圧力を強めるばかりで空回りに終わりました。そこへ追い打ちをかけるように第2次オイルショックが発生してしまったんですね。物価上昇は加速を続ける一方、景気後退が同時に進行する深刻なスタグフレーションに陥っていきました。2度のオイルショックを通じてインフレ圧力が減退しなかった当時のアメリカは、潜在的なインフレ体質を持っている状況だったということです。

そこで、FRB(連邦準備制度理事会)のボルガー議長は通貨供給量を調整しました。彼は「インフレ・ファイター」とも呼ばれ、レーガン政権でも引き続きFRB議長を務めましたが、カーター時代はこの通貨供給量の調整が景気の低迷を長引かせることになってしまったと見て間違いないでしょう。

それまで経験したことのない異常なスタグフレーションに翻弄されたカーター政権は不運なだけだったのかも知れません。が、彼が1期4年でその座をレーガン大統領に譲ることになったのは、その経済政策が失敗だったと国民に見なされた故です。自信を失いかけたアメリカ人に軍備の増強で「強いアメリカ」をアピールし、その軍事費を除く財政支出を縮小して「小さな政府」をアピールしたレーガン→ブッシュ(シニア)時代へ進んでいったわけですね。

現在、石油価格は異常な高値から徐々に従来の水準へ近づこうとしています。しかしながら、アメリカでは金利が引き下げられ、ドル安が進み、また食糧などを筆頭に物価は依然として上昇傾向が続いており、インフレ圧力は収束しそうにありません。しかも、オバマ氏はクリーンエネルギー開発の推進を公約していますから、エネルギーコストの上昇は必至です。仮に、コスト増を政府が引き受けるとなれば、政府の財政悪化はさらに深刻化するでしょう。

また、アメリカは日本のように廃材や間伐材など食糧と競合しないバイオエタノールの開発が(ベンチャーレベルではともかく)国策として殆ど進められていません。それに加えて穀物メジャーという強力な黒幕がアメリカのバイオ燃料ビジネスに大きな影響力を持っていますから、これを推進させると弊害として穀物の価格を高止まりさせる恐れがあります。となれば、物価上昇はさらに続いていくかも知れません。カーター時代のように深刻なスタグフレーションへ陥る可能性は否定できないでしょう。(既にその兆しがあるという専門家もいるようです。)

今般の金融危機に端を発した景気の悪化から立ち直りたいと思うなら、社会資本への投資などしても殆ど無駄でしょう。まず成さなければならないのは金融の立て直しに他なりません。日本もバブル崩壊後の不況は、やはり金融界が不良債権で満身創痍に陥っていたからです。日本国内では責任の所在をうやむやにしたかったのか、その不良債権処理については深く報じられなかったような印象ですが、これなくして経済の回復もありませんでした。

中国などの市場拡大が日本の景気回復の原動力となったように考えられがちですが、何だかんだと文句を言われつつも深刻な不良債権の問題を克服してきたことが重要なポイントになっていたと私は思います。中国市場への投資から企業が収益を上げていくことができたのも、その元手を金融界から調達できたゆえです。先立つものがなければ手も足も出せません。

メディアはオバマ氏の若さを度々ケネディと対比して大統領選を伝えました。いまは社会資本投資で雇用創出を狙う経済政策からルーズベルトを連想させるストーリーを描いているように見えます。が、その経済政策がカーターのような失敗に終わったなら、レーガノミクスの再興を願う声を高めていくのかも知れません。

オバマ氏はイリノイ州議会議員を8年務め、上院議員に当選したのは2004年11月のことですから、国政に携わるようになってから僅か4年です。しかも、最近1年以上は殆ど大統領選に係りきりでしたから、実質的には3年程度のキャリアしかありません。こんな素人同然の彼が大統領に選ばれてしまったのはまるで漫画のようなハナシですが、これも民主主義なので好しとしましょう。

国政でのキャリアは極めて短く、実力が全くの未知数である彼がここまでメディアに持ち上げられてしまうと、あとは落ちるしかないような気もします。ホリエモンや亀田兄弟の例を挙げるまでもなく、持ち上げてから落とす「必殺・手のひら返し」は彼らの得意技ですし。

オバマ新大統領がそんな無様な姿に描かれることのないよう、いまは祈るしかありません。

(おしまい)

オバマをルーズベルトに仕立てようとする人々 (その1)

来年からの4年間、アメリカの政権を担うことになったオバマ氏に関するイメージの多くは、程度の低い大衆メディアによって創作されたと見るべきでしょう。今週発売の『Newsweek(日本版)』にはイギリス労働党の下院議員デニス・マクシェーン氏の「ヨーロッパが夢から覚める日」というレポートが掲載されていますが、それにはこんなくだりがあります。

(前略)

ヨーロッパは、幸福な未来へのすべての希望をオバマに託してきた。自らEU(欧州連合)の統合を推し進め、安全保障を強化したり、単一市場の障壁を取り除く努力をせずに、だ。

ヨーロッパは「諸悪の根源」であるブッシュ政権の終わりに胸を踊らせながらも、オバマのイデオロギーの細部についてはほとんど点検してこなかった。いま以上に地球規模の問題を多国間で解決したいとヨーロッパは考えているが、オバマは国連からの指図は受けないと明言している。

(後略)

(C)Newsweek(日本版) 2008年11月12日号


「オバマのイデオロギーの細部についてはほとんど点検してこなかった」という状況は日本の政治家やメディアも全く同じでしょう。特にメディアはオバマ氏に極めて好意的で、「Change」という彼のキャッチフレーズを盛んに伝えてはいましたが、具体的に彼が何をどう変えようとしているのか、その中身については大して触れず、ただ選挙の盛り上がりぶりを軽薄に伝えるばかりでした。

いよいよ彼の政権樹立が決まると、その政策の中身についてボチボチ報じられるようになってきたようです。が、断片的な情報と自分たちが美化してきた「英雄オバマ」像をベースとし、希望的観測によるストーリーをあまり楽観的になり過ぎない程度に思い描いている印象です。

雇用確保へ政策を総動員 オバマ次期政権方針

 【ワシントン=西崎香】不況への不安感が強力な追い風になったオバマ氏の米大統領当選。オバマ次期政権は、失業を減らすために政策を総動員する方針だ。景気の落ち込みが続けば、国民の期待は失望に転じる。まずは実績を上げるため、米競争力の向上も狙った政府主導の公共事業や産業支援に取り組む。

(中略)

 雇用を増やすため、インフラ整備の公共事業を積極化する。主要道路や橋、港湾、空港などの社会投資を増やし「最大200万人の新規雇用を実現する」(オバマ氏)。

 エネルギー対策を充実し、インフラ整備とともに企業の競争力強化も狙う。代替エネルギーの技術開発など、環境対策を兼ねた「グリーン雇用」を500万人つくるため、今後10年間で1500億ドル(約15兆円)を投資する。

(中略)

 オバマ氏は4日の演説で呼びかけた。「道のりは長く険しい。任期(4年)中にたどり着かないかもしれないが、皆さんとともに到達することを約束する」

(C)asahi.com 2008年11月6日


こうした書きぶりはあたかもルーズベルト大統領の「ニューディール政策」を彷彿とさせます。現在はどうか知りませんが、私が高校生のときには「大恐慌以来の不況をニューディール政策が救った」というように教わりました。恐らく、この記者も同様だったでしょう。こうしたイメージをオバマ氏の公共事業投資に重ねているような印象です。

しかし、ニューディール政策の効果についてはあまり評価していない人たちも沢山います。ルーズベルト時代に経済復興を遂げた直接的な原動力となったのは「第二次大戦による特需」と見る向きも少なくないんですね。

そもそも、現在のアメリカは社会資本が充実しています。道路や橋や港湾や空港を整備したとしても、それによる経済効果は大して見込めないでしょう。一時的に雇用を生むことはあっても、その財源は増税か国債の発行によるでしょうから、根本的な解決へ向かうとは限らず、場合によっては負の遺産を未来へ残すことにもなりかねません。

日本でも道路や空港など社会資本に投資を重ねていますが、それが景気を刺激する有効な手立てになっていないのは皆さんもよくご存じの通りです。アメリカが日本よりずっと社会資本の整備が遅れている国というのならハナシは別ですが。

(つづく)

ビンゴ! だけどねぇ・・・

例の高速道路1000円乗り放題について、当然のように民主党の菅氏が噛みついています。

高速1000円「なぜETCだけ?」 菅氏、政府批判

 民主党の菅直人代表代行は3日、水戸市で街頭演説し、政府の新総合経済対策に盛り込まれた休日の高速道路料金値下げについて「なぜETC(自動料金収受システム)がついている車だけが千円で乗り放題になるのか。ETCを推進している機構には、国土交通省のお役人がどどっと天下りをしているからだ」と批判した。

(後略)

(C)asahi.com 2008年11月3日


「ETCを推進している機構」というのは、国土交通省所管の財団法人道路システム高度化推進機構(以下ORSE)といいます。理事長(非常勤)はトヨタの現会長(前社長)の張富士夫氏ですが、常勤理事4名のうち専務理事の村岡憲司氏(元北海道局長)と常務理事の石原孝氏(元大臣官房総括監察官)の2名が国土交通省のOBです。

さらに、非常勤理事には経済産業省のOBが2名、常勤監事に警察庁のOBが1名います。「国土交通省のお役人がどどっと」がORSEの実態を正確に言い抜いているかどうかは解りませんが、官僚が少なからず天下っているのは間違いありません。

そもそも、ORSEなどという組織が国土交通省所管の公益法人である必要がないと思います。昨年5月、当時新党日本の荒井広幸氏(現在は改革クラブ)が「ETCシステムにおける新たな利用者負担の解消とORSEの廃止等に関する質問主意書」を提出しました(政府の答弁書はコチラ)。その7番目の質問はまさにその点についての政府見解を問うたものでした。

(前略)

既に、各高速道路株式会社がETCパーソナルカードを発行しており、ETCシステムの開発、情報管理等については、以後、民営化された各高速道路株式会社で行うことも可能であると考えるが、政府の見解を示されたい。また、JRのスイカや私鉄・バス事業者が採用するパスモは、民間会社が運営している。仮に、ORSEを存続すると言うのであれば、民営化された各高速道路株式会社が、ORSEの業務を行うことが不可能である理由を示されたい。


非常に正鵠を射た良い質問だと思いますが、それに対する答弁はこうでした。

 ORSEが行う情報安全確保規格(ETC省令第四条第一項第一号に規定する「情報安全確保規格」をいう。以下同じ。)の提供の代行及び識別処理情報(同項第二号に規定する「識別処理情報」をいう。以下同じ。)の付与の業務については、これらを確実かつ効率的に実施するとともに複数の有料道路の利用者の利便に資するよう一元的な実施を確保する必要があり、これを各高速道路株式会社がそれぞれ行うこととすると、一元的な実施を図ることが困難となり、結果として複数の有料道路の利用者の利便を害する結果にもつながるため不適切であると考えている。
 したがって、今後もORSEにおいて引き続き当該業務を行うことが適切であると考える。


これはもう、小学生が聞いても答えになっていないと解るでしょう。荒井氏の言い分は至極もっともで、ETCなどよりSuicaやPASMOのほうが利用者数も桁違いに多く、駅等やそれらを結ぶ路線も遙かに膨大で複雑です。PASMOだけでも鉄道事業者26社、バス事業者78社、計104社を数えます(2008年10月現在)。

IC乗車カード相互利用相関図
JR東日本のSuicaを軸として、IC乗車カードは2010年までに
北海道や九州のとも互換性を持つようになります。


しかし、高速道路の管理会社は日本道路公団が分割民営化された東日本・中日本・西日本の高速道路会社3社、首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速の計6社です。他にも名古屋高速道路公社、福岡北九州高速道路公社など、12の高速道路公社もETCのサービスに対応していますが、PASMOとは桁が違います。一部の駐車場などでも対応しているケースはありますが、電子マネーとしても普及しているSuicaと比べたら全く足下にも及びません。

こうしたIC乗車カードの利用状況を鑑みれば、「各高速道路株式会社がそれぞれ行うこととすると、一元的な実施を図ることが困難となり、結果として複数の有料道路の利用者の利便を害する結果にもつながるため不適切」などという政府答弁は愚の骨頂です。要するに、ORSEはETCの権利を牛耳ることで年間115億円もの巨額を搾取する利権団体ということでしょう。

今般の追加経済対策の発表を受け、カー用品店などにはETCの装着に関する問い合わせが急増しているそうで、やはりETCの普及促進としてかなりの起爆剤になりそうです。その分だけORSEにもカネが転がり込みます。「1000円乗り放題」の狙いとしては、コチラも無関係ではないでしょう。民主党の菅氏の批判も極めて真っ当なものだと思います。

が、民主党のマニフェストにはこうあります。

地球環境で世界をリードする。

●2050年までに、日本の温室効果ガス排出量を1990年と比べて50%削減することを目指します。そのために、国内排出権取引市場を創設するとともに、省エネルギーの徹底、環境教育などを進めます。

●風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーの利用を進め、その割合を2020年までに10%に引き上げます。

●地球温暖化防止の新たな国際的枠組みに、米国、中国、インドなどが参加するよう促します。


そして、同じ民主党のマニフェストは「高速道路原則無料化」の基本方針を示しています。自動車の利用拡大とCO2排出量増加が不可分なのはいうまでもありません。麻生政権のそれよりさらに救いがたい矛盾が民主党のマニフェストにはあるわけです。こうした部分をつつく人がいないのは何故なんでしょう?

便乗売名行為

当blogでも以前に一度取り上げましたが、福井県小浜市の人たちの脳天気ぶりと、このどうでも良い話題を嬉々として伝える大衆メディアの勤勉ぶりには頭が下がります。

オバマ候補当選に沸く小浜市民たち

小浜市の人たちに一言忠告させて頂くなら、2人以上で声を合わせて叫ぶときは、

「I love Obama!」

ではなく、

「We love Obama!」

と言ったほうが、「英語を知らない田舎者」と思われずに済むと思います。

テーマ:どうでもいいニュース - ジャンル:ニュース

TIMEがコンプリートホールをリリース

去年、『サイクルスポーツ』誌にタイムの技術顧問であるジャン-マルク・グニョー氏のインタビュー記事が掲載されていて、「2年前、将来はホイールとフレームの関係が濃くなるだろうって予測していた。今も変わりない?」という質問に「方向性は正しいと思うよ。(中略)モーターサイクルを買うときに、フレームとホイールを別々に買う人はいないでしょ。みんな完成車を買う。将来的には自転車も、そうなっていくと思う。」と答えていました。

それを読んだ私は「いずれタイムもフレームに最適設計されたコンプリートホイールを手掛けるようになっていくのではないか?」てなことを別のところに書きましたが、これまたアッサリと実現の運びとなりましたね。ま、フレームに最適設計されているわけでもなさそうですが。

TIMEのコンプリートホイール
Roues Hi-Tense by Frullani

ロープロファイルのアルミリムで前後ペア1,530gだそうで、マヴィックのキシリウムSLより45g重く、価格は72,000円も高い198,000円だとか。

TIMEのコンプリートホイール(リヤハブ)

ハブはカーボン製でフロントはラジアル、リアはフリー側がタンジェント、反フリー側がラジアルという至極オーソドックスなスポークパターンですね。

で、これらの写真は本家のサイトから拝借しましたが、そちらでは既にマニュアルもPDFでダウンロードできちゃったりするんですね。んで、その一番最後の写真を見て一気にテンションが下がりました。

TIMEのコンプリートホイール(MAVIC製?)

このクイックレバーにこの専用工具、どう見てもマヴィックと同じでは・・・? やっぱりOEMなんですかねぇ? ま、個人的にはアルミリムのホイールにこの価格という時点で既に興味が失せてますので、どうでも良いのですが。

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

オバマ政権でアメリカ経済は奈落の底へ?

現在、支持率で優勢なオバマ候補ですが、石炭産業を「bankrupt(破綻)」させようと考えている旨を述べた音声インタビューがYouTubeに投稿され、話題になっています。



アメリカの電気料金は日本の半額ほどで、その安い電力供給を維持できているのは全体の5割近くを占める石炭火力のお陰です。が、彼は地球温暖化対策として風力や太陽光、バイオディーゼル燃料などの代替エネルギーへシフトさせようという、人為的温暖化抑止論にありがちなパターンを支持しているようです。

何度も述べていますが、私はCO2温暖化説にかなり否定的な立場ですので、CO2排出削減そのものについては無意味なことだと考えています。有限である化石燃料の消費を抑え、少しでも先の未来へ残そうという考え方には大いに賛同できますが、石炭は石油より遙かに埋蔵量が豊富ですから、これを早急に節約しなければならないというのはやや微妙です。

代替エネルギーは例外なく猛烈に高価ですし、風力や太陽光といった不安定電源には安定化のための設備やバックアップ体制も必要で、結局は設備の二重投資となるケースが殆どです。世界一の風力発電立国であるデンマークなど自国内で変動を吸収できないため隣国に売電し、同時に隣国から電力を輸入して帳尻を合わせるという始末です。

地球温暖化がCO2の温室効果によるというのはあくまでも仮説に過ぎず、その排出量を削減しても気候変動を食い止められる保証など全くありません。しかし、オバマ氏の発言が実際に実行された場合、アメリカのエネルギーコストが猛烈に跳ね上がるのは間違いなく、産業の首を絞めるのも必至です。

このタイミングでこうしたハナシが出てきたのはマケイン陣営の最後の悪あがきの一つかも知れません。が、オバマ氏が発言したコレを本当に実行したなら、アメリカ経済の苦境はいよいよ深刻さを増すことになるでしょう。もちろん、対米輸出による収益が大きい日本経済への影響も軽微なものでは済まないでしょう。

何故、高速道路乗り放題をメディアは批判しないのか?

麻生政権が発表した追加経済対策に盛り込まれた給付金ないしクーポン券の支給は、票をカネで買わんとするバラマキ政策に他ならず、これには野党議員でなくとも呆れるしかありません。加えて、高速道路の値下げも結局は大衆のご機嫌伺いといったところでしょう。

追加経済対策を発表する麻生首相

そもそも、乗用車などの一般利用者を対象に、東京圏と大阪圏を除いた料金を土日祝日は原則1000円(一部地域では1500円程度)で乗り放題というのは、本当に高速道路の利用を必要としている人たちに殆どメリットがありません。(乗り放題の対象となっているのはETC搭載車に限られていますので、ETCの普及促進という思惑もあるのかも知れませんけど。)

ご存じのように、日本の物流の約9割はトラック輸送が担っています(輸送トン数ベースの場合)。最近は幾分落ち着きましたが、燃料価格の高騰で倒産した零細業者も少なくなく、現在でも厳しい状況に置かれている人たちは沢山います。以前、ハブボルト折損事故に関して頂いたコメントに対しても同様のことを書きましたが、業界の置かれている厳しい状況がこうした事故の遠因の一つと考えるべきです。

土日祝日の乗用車を対象とした乗り放題は遊びで高速道路を利用する人たち、即ち、利用しなければしないで生活に支障があるわけでもない人たちを喜ばせるだけです。本当に高速道路の利用を必要とし、現在死活問題に直面している人たちは平日3割引の恩恵しかありません。大手に多い長距離便にとってはそれなりのメリットもあるでしょうが、倒産の危機に瀕している零細業者には中・近距離も多いですから、大した福音となっていないように思います。

もちろん、この政策が実施されたら高速道路の利用者が増え、多少の経済効果も見込めるでしょう。が、これまで控えられていた乗用車の利用が増えるとなれば、その分だけCO2の排出も増えることになってしまうでしょう。

ネットを眺めてみますと、「一般道を走っている人が高速を使うようになればエネルギー効率が上がってCO2削減になる」という人もいますが、これは根本的な読み間違いを犯しています。そもそも、これは地域振興を狙った経済対策とされています。人の流れる道筋が変わっただけでは経済効果など得られませんから、経済対策たり得ません。

土日祝日乗り放題という政策は、要するに自動車の利用を促し、行楽客を増やし、カネを使わせ、それによって経済効果を得ようという目論みです。利用者が増えれば渋滞も増える懸念も高まりますから、CO2の排出が増えることはあっても減るようなことはまずないでしょう。メディアは何故こうした政策に反対しないのでしょうか?

彼らの中には「青森から大津まで現在は21,750円かかっているのが1000円になる」などと、非常に極端な例を示しているところもあり、半ば面白がっているようにも見えます。が、「経済効果が生じるレベルで自動車の利用が増えれば、その分だけCO2排出量も増加する」という至極当たり前のことに考えが至っていない単細胞ぶりもまた相変わらずです。

彼らは日頃から「CO2の排出削減は急務」とか「待ったなしの状況」などと盛んに叫き散らしています。やっても無駄なコンビニの深夜営業規制の提案に対しても、どちらかといえば歓迎するような傾向が見られます(少なくとも朝日新聞と中日新聞は賛成の立場です)。以前、当blogでも「発電所は急に止まれない」と題したエントリで取り上げましたが、朝日新聞の社説などはこう書いています。

 化石燃料を燃やす人類一人ひとりの生活の結果が、地球の負荷になる。だれかが何かを我慢し、生活の形を変えて、地球の重荷を減らす。

 難しいことだが、豊かな地球を子や孫に残すため一歩を踏み出さなければいけない。便利さを犠牲にしてでも。


しかし、今回の値下げに対して「遊び目的の高速道路利用者を増やし、徒にCO2排出量を増やしかねない政策などけしからん」といった主旨の論調は見られません。例えば、10月31日付の毎日新聞の社説では

8月末の対策に盛り込まれ、既に実施されている高速道路料金の再引き下げ措置にも問題が残る。この間、原油価格が1バレル=60ドル台まで軟化しており、原油価格高騰対策は影響の甚大な業種への経営支援などを除けばピークは過ぎている。メリハリというのならば、再検討が必要だったはずだ。


という程度ですし、同じく10月31日付の中日新聞の社説

高速道路の料金引き下げも休日に重点を置いた結果、一般家計の行楽などに恩恵があっても、肝心の経済活動に対する刺激効果にはやや疑問符が付く。


と同じような論調です。他紙も大手については目を通してみましたが、この是非について殆ど論評の対象になっていません。

以前にも同じようなことを書きましたが、彼らの知能が救いようのないレベルにあるのか、地球温暖化問題など本当は茶番だと解っている偽善者たちなのか、どちらかということでしょう。どちらにしても、政府のこのダブルスタンダードを許している時点で、日本のジャーナリズムは終わっています。また、この政策に文句を言わない環境省も全く同様です。

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まとめ

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