
昨年10月くらいに流出した新型プリウスの資料
昨年1月に当blogで取り上げたアレは完全にガセでしたが、「PRIUSCHAT.COM」などでスクープされた画像は本物だったということが今般のデトロイトショーでの正式発表で証明されたわけですね。


今般のデトロイトショーで正式発表された新型プリウスの外観
ライトやバンパー周りなどの意匠を改め、全体的にエッジを立ててシャープな印象にしたという以外は完全にキープコンセプトで、リヤビューもあまり変わらない感じです。ま、全体的なフォルムはホンダも新型インサイトでマネこいてきたくらいですから、このスタイリングは崩せないのでしょう。
一方、インテリアは大きく変わりました。


上が現行、下が新型ですが、最も目を引くのはインパネ中央からセンターコンソールをかなり高い位置で連続させ、そこにシフトレバーを配置するというデザインを採用したところでしょうか。この「囲まれている感」が窮屈と感じるか否かは実際に乗ってみないと解らないでしょう。個人的な主観で言わせて頂けば、スポーツカーならこうした空間設計も悪くないと思いますが、プリウスのようなキャラクターにはあまり似合わないような気もします。
これまでダッシュボードから一段高く設けられていた液晶モニタが普通のクルマでもありがちな位置に引き下げられたのはタッチパネルの操作性なども考慮されたからだと思います。が、実際には走行中頻繁に触れる部分でもありませんから、視線をあまり落とさなくて済む現行のほうが視認性に優れるという点でメリットがあるように思います。また、新型は特徴的なセンターコンソールデザインとの兼ね合いからか、画面がかなり上向きになっていますが、外光が強いところなどでは映り込みが気になりそうな感じもします。
現行のセンターメーターには速度計と距離計と燃料計しかなく、燃費データやエネルギーモニタなどの情報は液晶モニタでの表示となっています。ナビゲーションを使って地図表示にしているときなど、これらの情報を確認するには一々画面を切り替えなければならないという不便があるんですね。ま、ステアリングのところにあるスイッチで切り替わるのでその操作自体はさほど煩わしいものでもありませんけど。

新型ではセンターメーター右寄り(右ハンドルでは恐らく左寄りになると思いますが)にそうした情報を表示する格好になるのだと思います。上の写真では明らかにプリウスの外観が示されていますが、エンジンとモーターの作動状況やバッテリーの充電状況などを示すエネルギーモニタになっているように見えます。ナビを使っているときも燃費を気にしながら走りたいという向き(私もその一人ですが)にとってこの改良は非常に好ましい部分になると思います。
エンジンはこれまでの1.5Lから1.8Lにアップ、モーターの出力も増強され、全般的にパワーアップが図られたそうです。現行では2Lクラスと謳われてきましたが、新型では2.4Lクラスと謳われています。もっとも、私の場合は燃費重視で走ることが多く、アクセルを踏み込んでパワー不足を感じるような走り方は基本的にしませんので、この点は個人的にあまり魅力を感じません。なお、かねてから家庭用電源で充電できるプラグインの試作車もお披露目されてきましたが、新型プリウスにそれを導入するようなアナウンスはまだないようです。
灯火類がLED化されたほか、ルーフにソーラーパネルを設置してベンチレーションに利用するといったギミックが(こちらは標準装備になるとも思えませんが)設けられたり、色々あるようですが、肝心の燃費は現行の約10%アップと謳われています。現行のSグレードの10・15モード燃費が35.5km/Lですから、38.6km/Lくらいになるでしょうか。噂された40km/Lには若干及ばなかったものの、なかなかの数字だと思います。
実質的な燃費は走り方や様々な条件にもよりますが、私の場合はおおよそ26km/L前後くらいです。巡航速度でアクセルを戻し気味にして惰性やモーターのみの走行を多用するとか、早めのブレーキングで回生ブレーキを有効に利用するとか、少し意識して走ればエネルギーモニタをチェックしなくても26km/Lくらいはさほど苦になりません。(冬場はこの限りではありませんが、その理由についてはまたの機会に。)
この26km/Lから10%アップというと単純計算で28km/L台後半くらいになります。が、このレベルを狙うとなれば、私の技量や普段の走行条件ではエネルギーモニタを頻繁にチェックしながらミリ単位の微妙なアクセルワークを駆使、それなりの本気モードで走らなければ難しいレベルになります。ですから、この10%アップというのが実質的な燃費にちゃんと反映されるのであれば、価値のある進歩になると思います。
ちなみに、新型インサイトの燃費はアメリカの燃費基準(日本より遙かにシビアです)で41mi/gal(1ガロン当たり41マイル)と発表されました。新型プリウスの50mi/galの敵ではなく、現行プリウスの46mi/galと比べても見劣りし、初代プリウスを辛うじて上回ったというレベルでしょうか。
ま、初代インサイトはオールアルミボディに2座という非常に特殊な条件でこのレベルだったことを思えばホンダの開発陣もちゃんと仕事をしてきたと認めるべきでしょう。ただ、ホンダは初代インサイトもそうでしたが、フィットなどでもカタログ値と実燃費の差が非常に大きいという悪評がありますので、実燃費で本当にこのレベルに達しているのか微妙な部分もあります。
いずれにしても、以前、「プリウスより若干チープならば、総合的な性能がその分だけ劣っていても言い訳が立つと読むのは穿ち過ぎでしょうか?」と書きましたが、図星だったようです。
現行プリウスはモデル末期にも拘わらず販売台数が伸び続けているそうで、他が落ち込んでいることと相まって新車販売台数ランキング(軽自動車を除く)で5位にまで上がってきているそうです。今回の発表で買い控えが始まるとは思いますが、いまでも納車に数ヶ月かかる状況が続いているようです。
新型プリウスの発売は5月くらいになるようですが、デリバリーが始まっても膨大なバックオーダーを抱えるのは間違いないでしょう。現行もモデルチェンジ当初は半年待ちくらいになったと聞いていますが、当時よりさらに潜在的なニーズが高まっている状況ですから、新型はさらに待たされるかも知れません。
プリウスは従来のヒエラルキーに属さないクルマですが、動力性能などの面で車格が上がったという考え方もできますから、値上げにつながる可能性も充分にあるでしょう。人によってはあえてモデルチェンジを待たず、現行モデルを買ってしまうという選択もアリかもしれませんね。
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