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山掛け

最近、ブリヂストンが更生タイヤのテレビCMを盛んに流してますね。

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新品タイヤしか知らない人は、新しい省資源・環境対策技術っぽく感じてしまうかも知れません。が、こうした技術は大昔からありました。「リトレッド」とか「リキャップ」という言葉も以前からありましたが、日本では「更生」とか「再生」などと呼ばれるのが普通です。

そもそも、これまで日本で更生タイヤを求めてきたのは品質より安さを求めるようなマーケットでした。特に不整地を走るなどタイヤの消耗が早いダンプカーを始め、建設業界での需要が高かったように思います。

余談になりますが、ダンプカードライバーの方々の雰囲気は皆さんもよくご存じかと思います。彼らに「リトレッド」などと言ったりしたら、「何スカして横文字なんか使ってやがんだよ。日本人なら日本語使え、日本語!」と怒鳴られるかも知れません。こうした業界筋では新品タイヤを「地山(じやま)」というのに対し、更生タイヤは「山掛け(やまがけ)」といわれているそうです。

ま、そんなことはどうでも良いのですが、更生タイヤは新品タイヤに比べて真円度が低いなど、全般的に品質が劣ります。高い輸送品質が求められるような輸送業界では敬遠される傾向もあるでしょう。また、更生タイヤを使用している場合も、品質の劣るそれを前輪に使用するとステアリングに悪影響が生じるなどの懸念があるため、後輪に使用するのが一般的になっているようです。ブリヂストンのCMでもイメージ映像が後輪に被さる編集になっていますが、それは前輪への使用を推奨していないからだと思います。

一方、航空業界の場合、真円度などの品質については自動車ほどシビアな性能が要求されませんから(耐久性や信頼性などは重要でしょうけど)、ほぼ例外なく更生タイヤが使用されています。特に着陸から制動する際にはかなり摩耗が進みますから、数百回の離着陸で張り替え、5~6回くらいそれが繰り返されるのが一般的になっているようです。また、タイヤそのものも張り替えを前提とした設計になっているそうです。

以前は新品タイヤの売り上げが落ちることから、メーカーは更生タイヤに関してかなり消極的だったように思います。主体となっているのは各地にある中小規模の業者といった印象でした。いまでも実際にネットで検索してみますと、具体的な情報が得られるのは殆どがこうした業者になると思います。

メーカー本体のサイトでは技術の紹介が主体となっており、具体的な製品やサービスの情報も事欠くような状態で、「販売店、または販売会社にご用命ください」といった案内にとどまる感じです。ただ、スケールメリットの見込める大手輸送業者向けには新品の導入から更生、メンテナンス、廃棄処分などライフサイクルをトータルでプロデュースしたプランなども提案されているようですが。

ブリヂストンの場合は2004年にイタリアのマランゴーニ・トレッド社と合弁でベルギーにブリヂストン・リトレッド・システムズ・エヌヴイ/エスエーという子会社を立ち上げ、トラックやバス用タイヤのリトレッド事業を本格始動させています。

また、2007年にはアメリカのバンダグ社を買収し、完全子会社化しました。同社はアメリカ、ベルギ-、ブラジル、メキシコに合計10カ所の自社工場を持ち、更生タイヤの製造・販売を行うフランチャイズショップを世界90カ国以上で900店以上展開しているそうです。このところブリヂストンがテレビCMで更生タイヤをPRし始めたのは、こうした事業展開にかかるものではないかと私は想像しています。

しかしながら、国内の展開を見てみますと、ブリヂストン本体はリトレッド材料の製造販売にとどまっているようで、一般向けのタイヤ更生は販売会社ないしタイヤ更正業者へ委ねる格好になっているようですし、規模も大したものではない印象です。

海外では積極的なのに日本ではそうでもないというのは、メーカーだけの責任とはいえません。メーカーが積極的に取り組もうと思っても、マーケットが応えてくれなければ独り相撲になってしまいます。さしあたってメーカーに出来ることはメリットと品質のアピールになるでしょう。

日本での更生タイヤの普及は、まず一般的な認識レベルを引き上げ、社会全般の意識を変えていくことが重要になるでしょう。ま、あのCMの雰囲気からすると、環境指向に訴えるありがちな企業イメージアップのキャンペーン広告みたいになってしまった感じですが、リーディングカンパニーのアクションとしては悪くないと思います。

省資源化というのは状況にもよりけりで、実際の効果が見込めるか否か微妙な部分も含むものなんですね。タイヤの場合は製鉄やセメント製造などの炉で燃料として燃やされる「サーマルリサイクル」も進められており、現在では国内の廃タイヤの50%程度が熱エネルギーとして再利用されているといわれています。

将来、更生タイヤの普及でタイヤに用いられる石油資源に余剰が生じたとして、これが別の用途に振り向けられた場合、そちらの分野ではタイヤよりリサイクルレベルが低かったとなれば、逆効果になる可能性すらあります。環境対策全般にいえることですが、省資源化も広く関係分野をまたいで総合的に評価していかなければ、本当に環境負荷を低減させているのか結論づけるのは難しいように思います。

ただ、現実には廃タイヤの不法投棄問題も根強く残っています。また、廃棄物処理業者の経営破綻で回収された廃タイヤが行き場を失ってしまったり、廃タイヤを「マテリアルリサイクル」して、ゴム製品を製造していた業者が経営破綻状態となり、ストックされていた20万本の処分に税金が投入されたという長崎県のケースなど、まだまだ廃タイヤの処分を巡ってはクリアな状態とはいえないのも事実です。

こうした現状を鑑みれば、廃タイヤを減らそうという動きには意味があるでしょう。ブリヂストンのCMで更生タイヤが一般にも広く知られる存在となり、様々な角度で検討が重ねられる良いきっかけになることを望みたいところです。

テーマ:その他 - ジャンル:車・バイク

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  • 2008/07/30(水) 23:01:05 |
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