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猫がムササビになる未来像を信じる人たち

日本での放送は4月5日だったヒストリーチャンネルの番組『人類滅亡 -LIFE AFTER PEOPLE-』ですが、一昨日の20時と昨日の15時にも再放送されていました。朝日新聞の論説委員は恐らくこの5回目ないし6回目の再放送を見て今日の社説のネタにしたのだと思います。

地球環境―人類の足場が危うい

 人類が突然いなくなったとしたら、この地球はどう変わるのか。今年1月、科学者たちの予測をもとに、米国のテレビ局、ヒストリー・チャンネルが「ポスト人類」の世界を描いた。番組の結論はこうだ。

 人類消滅から6カ月後、都市近郊にオオカミの仲間や山猫が入り込み、我がもの顔で動き回る。5年後には都市部の大半がツタや樹木で覆われる。200年後にはニューヨークの摩天楼もパリのエッフェル塔も崩れ去る。千年後には近代都市は跡形をとどめず、原始のような森と小川が戻る。

(後略)

(C)朝日新聞 2008年4月30日


私がこの番組を見たのは途中からで、確かヒラメのポンプヘッドをバラして中の部品の写真を撮るとか、そんなことをやりながらの「ながら見」でしたので、少々うろ覚えになります。が、あまりにも短絡的で荒唐無稽な内容を多く含んでいたため、バカバカしくなって途中で見るのをやめました。

例えば、放置された自動車は50年で原形をとどめなくなるというCGを作成し、「人類が滅亡した50年後にはこうなる」みたいな映像が創作されていました。この50年という根拠は、鉄は毎年コンマ何ミリ腐食していき、車体の鉄板の厚さは何ミリだからといった単純計算だったんですね。

しかし、実際には何層にも塗り重ねられた塗料や下地の防錆処理などが効いてくるハズですから、こうした単純計算は成り立たないでしょう。強風に乗った砂塵を浴びてこうしたコーティングがすぐに剥がされてしまったり、海の近くで潮風にさらされるような過酷な条件であれば、あながち間違いとも言い難いところです。が、気候が穏やかで湿度が低いところなどはそれほどでもないでしょう。この番組ではそうした条件の一切を無視していたんですね。

buildings_decomposing.jpg

また、この番組では「人類が滅亡すると猫が都市部に繁殖する」というようなハナシも出てきました。その根拠はコロッセオなどローマの遺跡に野良猫がたくさん棲み着いているからという一例を示すのみで、実にアホくさい作り話としか思えませんでした。

しかも、そうした状況を想定した専門家と称する人物は、適応変化で猫がムササビのようになり、摩天楼の高層ビルの間を飛び回るかも知れないとも妄想していたんですね。しかし、朝日新聞の社説でも紹介されているように、この番組では摩天楼の崩壊は200年ほどと想定しています。猫が繁殖可能になるのは生後6~9ヶ月ですから、200年では世代を重ねてもせいぜい300世代前後といったところになるでしょう。

また、ムササビのなかまは最も重い種でも1.5kg程度ですから、猫はその2~3倍ほどの体重があります。前足と後足の間にムササビのような飛膜を獲得し、飛行可能な体型の新種が猫から発生する可能性は決して高いと思えません。仮に、そうした新種が現れたとしても、どれくらいの確率で種として固定できるかの判断も難しいところです。いずれにしても、わずか200年、せいぜい300世代ほどで、ムササビ化した猫の新種が固定すると考えるのは荒唐無稽としか評しようがありません。

それ以前に、種の分化が数百年単位で起こると考えるのが非常識だと思います。例えば、ムササビやモモンガのなかま(モモンガ亜科)がリスのなかま(リス科)から分かれたのは4000万年くらい前と見られているようですが、その共通の祖先であるパラミスというリス亜目の齧歯類が発生したのは6000万年くらい前と見られています。つまり、リスのなかまがムササビの始祖として分化して種を固定させるまで2000万年くらいかかったと考えられるわけですね。200年とは桁が5つも違います。

そもそも、コロッセオなどの遺跡に棲み着いている野良猫は観光客に餌付けされ、狂犬病の恐れがある野良犬のように捕獲されないから繁殖しているだけだと私は思うんですけどねぇ。その辺までキッチリ調べた上であのような推論を展開していたのでしょうか?

ま、この猫のハナシなどはかなり酷いほうだったのかも知れませんが、それにしてもコロッセオの野良猫から摩天楼を飛び交うムササビ猫を妄想するとんでもない大飛躍に私はとてもついて行けませんでした。なので、この時点でバカバカしくなった私はスカパー!のチューナーの電源を叩き切ってしまいましたから、その後は見ていません。

ヒストリーチャンネルでは「各分野でのトップレベルの専門家の解説」と謳っていますが、どの分野のトップレベルなのだろう? SFコメディの専門家? というのが正直な印象です。

eiffel_tower_decomposing.jpg

しかし、朝日新聞の論説委員は社説のネタにしてしまったくらいですから、この番組をかなり真に受けていたのだと思います。この社説には以下のようなくだりもありました。

 国際社会は環境破壊を黙って見過ごしてきたわけではない。国連での論議を経て条約が結ばれ、各国が対策を取ってきたことで、紫外線を防ぐオゾン層の保護が進みつつある。地球温暖化対策に取り組む国も増えてきた。


オゾン層の破壊や地球温暖化などの人為説は単なる仮説でしかなく、科学的な矛盾をたくさん含んでいるということは当blogで何度も触れてきた通りです。猫が数百年でムササビになるような未来像を疑うことなく受け容れてしまう人たちが科学的根拠の不充分な環境破壊説を盲信してしまうのは、むしろ当然の帰結なのかも知れません。

メディアが子供たちの「理科離れ」を危惧するようになって久しい昨今ですが、それ以前にメディア自身がこの救いようのない「理科オンチ」ぶりを何とかすべきだと私は思います。

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