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圧搾空気なんてこんなもの

少しずつ減ってはいますが、まだエアカーがらみのアクセスが続いているようですね。

そもそも、圧搾空気のエネルギーで実用的な乗用車が成立すると思っている人は、エアツールなど実際に圧搾空気を使ってエアモーターを動かす道具に触れたことがないのでしょう。エアツールをちゃんと使ったことがある人なら、圧搾空気のエネルギー密度など大したものではないことや、損失もかなり大きいことなど、感覚的に理解できるでしょうし、どんなに効率アップしてもたかが知れていると解りそうなものです。

我が家には家庭用の100V電源で使えるエアコンプレッサーが2台あります。自転車いじり用に使っているもののほうが能力も高く、デフォルトの25リットルに同量のサブタンクを追加して8kgf/cm2のエアが50リットルまで蓄えられるようにしてあります。

air-compressor.jpg
ホームセンターで購入した安物なのでモーターの定格出力など
詳しいスペックは解りませんが、消費電力は1000Wとなっています。
言うまでもありませんが、本体は右、サブタンクが左です。
普段はもっとゴチャついたところに置いてあるのですが、
撮影用にいつもの場所へ引っ張り出しました。
(後ろにロードバイクを置いたのは大きさを比較するためです。)


サブタンクを加えた50リットルを満タン(8kgf/cm2)にするには5分ほどかかりますが、満タンの圧搾空気だけで(コンプレッサーを回さずに)どれだけの動力が取り出せると思います? 例えば・・・

air-ratchet-handle.jpg
(携帯電話を並べたのは大きさを比較するためです。)

これは無印のエアーラチェットで、差し込み角は3/8インチです。ご覧のようにかなりコンパクトなもので、この種のツールとしては常識的なインパクト機構を持たない単純なエアモーターですから、仮締め程度のトルクしかありません。要するに、人間の手で締めるほどの力も出ないツールなんですが、8kgf/cm2の圧搾空気50リットルでこれがどれだけ動くと思います?

無負荷でたったの2分半です。

それも普通ならコンプレッサーが再始動するくらいまで圧力が下がってから1分半近くはウダウダとやっているだけです。実用レベルで考えますと、せいぜい1分少々といったところでしょう。

一方、MDIのエアカーに積まれるタンクですが、公称値は最大300気圧となっています。かなりの超高圧ですが、こうしたスペックのタンク自体は製作可能でしょう。というのも、最近よく見かけるCNG(圧縮天然ガス)で走るバスなどの燃料タンクが約200気圧ですから。

isuzu_lr234j1.jpg
CNGバス
いすゞ自動車の路線用中型バスです。
屋根の上に巨大な出っ張りがありますが、
そこに200気圧の超高圧タンクが収まっています。


天然ガスをタンカーなどで運ぶ際には液化されていますが、それは冷却されているからです。天然ガスは常温で液化しませんから、これを燃料とする車両は200気圧くらいの超高圧タンクに充填して用います。こうした実績もありますから、300気圧くらいの車載タンクを作るのは不可能ではないでしょう。

が、CNGの超高圧タンクもMDIのエアカーのそれもアルミに炭素繊維を巻いて強化したものですから、猛烈に値が張ります。こんな高価なタンクを搭載した乗用車が50万円ほどで作れるというのは間違いなく大嘘です。

例えば路線バスの場合、通常のディーゼル車に対してCNG仕様になると車両価格が1000万円くらい割高になります。上の写真のバス(いすゞPA-LR234J1改)も標準価格で2700万円を超えます。タンクだけでも50万円以下で作るなど不可能でしょう。余談になりますが、私が使っている鉄を溶接しただけの25リットルの安物サブタンク(中国製)でも買えば1万円くらいします。

MDIのラインナップの中で最もタンク容量が大きいのはOneCATsのようで、1200リットルにもなるそうです。これもかなり嘘っぽいデータですね。他の車種も700リットルとか500リットルとか、凄い容量になっているようですが、上の写真にあるCNGバスの屋根の上の巨大なタンクでさえ容量は150×3=450リットルですから、それと同等から2.7倍近いタンクを乗用車に積むというのもかなりナンセンスなハナシです。

百万歩譲って、これらを全て無視したとしても、実用的な乗用車にはなり得ないでしょう。

300気圧で1200リットルのタンクにどれだけの空気が入るかといいますと、あのエアラチェットを正味1分少々しか動かせないタンクの871倍でしかありません。あの人間の力にも及ばないエアラチェットを正味14時間半ほどしか動かせない空気をどんなに効率よく使ったとしても、人間を乗せて100kmも200kmも走る自動車が成立するなどあり得ないでしょう。7km走ったというハナシもかなり疑わしいものです。

本気であんな夢のようなクルマが成り立つと思うのであれば、万年資金不足のMDIに是非とも投資してあげてください。



2008年6月5日追記

MDIのエアカーについてさらに矛盾点を纏めてみましたので、こちらも是非ご一読下さい。→「矛盾だらけのエアカー

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

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  • 2010/07/21(水) 18:35:26 |
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