
DURA-ACE 7900series
ま、これまでにもスクープ記事は(主にヨーロッパで)流れていましたし、今年のジロ・デ・イタリアでも恐らくパイロットプロダクション(量産試作:実際に製造ラインを使って市販モデルを量産するのと同じ段取りで試作されたもの)と思しき試作品が盛んにテストされていました。このタイミングで正式発表ということは、今年のツール・ド・フランスでは最終テスト+プロモーションということで大々的にこの79デュラが投入されるのでしょう。
詳しい内容はシマノのサイトでご確認頂いたほうが間違いないと思いますので、ここでは個人的に気になった部分を取り上げることにします。
かねてから噂されていたとおり、デュアルコントロールレバーのブレーキレバーがカーボン化されましたが、一番のトピックはカンパやスラムと同じくシフトケーブルをハンドルバーに沿わせる内蔵式になったところでしょう。77デュラ以来十数年、頑なに内蔵式を採用してこなかったシマノもついにといった感じです。

ST-7900
が、プロ選手などもこのケーブルを掴んで、ハンドルバーのステムに近い位置に肘を置いて、DHポジション的なフォームで乗る人もたまにいるようですから、そういう人たちにしてみれば、これは改悪になるのかも知れません。
一方、コンポの顔といいますか、デザインコンセプトを最も大きくアピールするクランクは78デュラも賛否が分かれていましたが、79デュラも同様に賛否が分かれそうなデザインですね。そういえば、今春発売予定とされた例のカーボンクランクはどうなったんでしょうか? (シマノのサイトにあったFC-7800Cのページは削除されたようですが。)
詳しくは昨年のサイクルモードのレポートをご参照頂きたいと思いますが、デュラエースの「デュラ」はアルミ合金であるジュラルミンに由来しますし、その名が初めて用いられたのはクランクです。なので、これをカーボン化することには内外を問わず抵抗が大きかったのではないかと思います。カーボンクランクが台頭してくる中にあってスルーアクスルBBの採用で対抗した彼らの心意気に感銘を受けた私としても、カーボン化を見送ったのは悪くない判断だったと思います。
ま、そうはいってもやり尽くされている感の否めないクランクですから、思い切った構造の見直しはなかったようです。全般には見た目で解りにくい最適化が中心といった感じで、特筆すべき点は「中空ギア」と称するチェーンリングを採用したことくらいでしょうか。

FC-7900/7950
写真の印象からして中空構造なのはアウターのみのようですが、これまで裏をえぐって肉抜きしていたチェーンリングを中空構造にすることで軽さと剛性を両立させたということでしょう。また、こちら側からフィックスボルトが見えないということは、中空構造で厚みができたアウターチェーンリングにスレッドが切られ、裏からボルトで留めるという方式になっているのだと思います。(つい先日、床に転がっていたペグスパナを裸足で思いっきり踏んでしまい、かかとに血豆を作った私としては歓迎したい構造です。)
そして、やはりコンパクトクランクもラインナップされました。50-34Tの1種類しかないのはまだ本気でやる気がない故かも知れません(カンパ・レコードは50-36T/50-34T/48-34Tといった具合にバリエーションがあります)が、ラインナップされたこと自体はやはり時流に逆らえなかったということでしょう。逆にトリプルについては何もアナウンスされていませんから、やはり諦めたということでしょうか?
個人的に惹かれたのはサイクルコンピュータのフライトデッキですね。

SC-7900 Flight Deck
ブラケットの段数センサーもワイヤレス化されたのはやや微妙な気もしますが、機能面では心拍計・斜度計・高度計が備わるなど、一気に充実しました。これまでのフライトデッキは速度・距離・ケイデンスなどベーシックな機能に絞られており、少なくとも心拍計は欲しい私としては食指が動きませんでした。が、このニューモデルはかなり魅力的になりましたね。
ブレーキキャリパーはカンパやスラムのようなスケルトン構造が採用されなかったり、リヤディレイラーのプーリーケージがカーボン化されたり、フロントディレイラーの構造が見直されてアウターに掛けているときのトリム操作が必要なくなったり、ハブベアリングの玉当り調整が簡単になるという「デジタルクリックアジャスト」が(余計なお世話な機能でなければ良いのですが)採用されたり、全部挙げていくとキリがないのでこの辺にしておきますが、やはり旗艦モデルのフルモデルチェンジらしく、細かい部分まで色々手が加えられているようですね。
ただ、個人的には78デュラに替えてからまだ2年くらいしか経っていませんし、ロードバイクだけと真面目にお付き合いしているわけでもありませんから、替えるとしてもかなり先のことになるでしょう。今年はMTBのコンポを替える予定ですし、ロードバイクは来年か再来年くらいにフレームセットを替えようか、それともパワーメーターの導入を優先させようか、どうしようかと考えているところです。
たぶん、最初に導入する79デュラはチェーンになるでしょうね。

CN-7900
これまたようやく中空ピンと肉抜きプレートが採用され、従来より30g近く軽量化されるようです。公称値ではカンパ・レコードを若干下回ったようですね。その分だけ値上がりもするでしょうけど、いくら何でも一気に2.5倍も値上げするなど考えられませんから、カンパ・レコード並み(定価8610円)になるということもないでしょう。
現物にはサイクルモードで御対面できると思います。楽しみではありますが、物欲との戦いにならないことを祈るばかりです。
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