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矛盾だらけのエアカー (その3)

MDIのエアカーがガソリンエンジンや電気モーターなどとのハイブリッドも考えられていることは何年も前からアナウンスされていました。最近では「デュアルエナジーエンジン」と称し、空気エンジンのシリンダとピストンをそのまま内燃機関として利用する方法も提案されているようです。

しかし、ここでも疑問なのは圧搾空気という決して効率が良くない方法でエネルギーを蓄えるという考え方です。

もちろん、既存のガソリンエンジン+電気モーターのハイブリッドカーでも発電/蓄電/放電/送電/変電など全てのステップでエネルギー損失はあります。が、電気はかなりきめ細かいマネジメントが可能ですから、余剰エネルギーを上手く取り出しながら最適化してやることでメリットを引き出しているわけですね。

しかし、空気は圧縮する際にかなりの熱が生じますから、魔法瓶のような構造で上手く断熱してやらなければ相応のエネルギーを失います。また、流量/圧力調整などの細かいマネジメントも電流/電圧ほど容易にはできないでしょう。これで本当にメリットが見込めるハイブリッドシステムが成り立つのか疑問を感じます。

よしんば、そうしたハイブリッド化でメリットが得られる可能性があったとしても、車両重量や製造コストの増加にどう対応するのでしょうか?

例えば、プリウスの場合、68ps相当の電気モーターや大容量のニッケル水素バッテリー、相応のジェネレーター等を搭載しているため、一般的なガソリン車より重くなっていると思われがちですが、実はそうでもないんですね。プリウスが重くならなかった一番のポイントは、トランスミッションが搭載されていないせいでしょう。エンジンの次に重い部品を持たないため、電気モーターなどのハイブリッドシステムを搭載しても重量増を回避できたのだと思います。

ths.jpg
プリウスのパワートレーン
写真中央近くにある遊星歯車(カット面が赤く塗装された部品)で
動力分割/混合を行い、可変バルブタイミングの
ミラーサイクルエンジンと電気モーターとの極めて細やかな
マネジメントによって車速に合わせたトルクを得る仕組みになっています。
そのため、トランスミッションという重い部品が必要ありません。
リバースする際も普通のクルマのようなリバースギヤは用いず、
モーターを逆回転させるだけです。


実際、私が所有しているプリウスSの車両重量は1260kgとなっていますが、これは同クラスのガソリン車(トヨタは2000ccクラスのセダンと同等としており、一般にアリオン/プレミオなどが同クラスと見られています)と比較しても全く重くなっていません。が、コスト面ではやはり普通のガソリン車より割高になっています(というより、販売価格の上乗せ分が小さく利益率がかなり低いと見られています)。

MDIが提唱しているデュアルエナジーエンジンは内燃機関と空気エンジンを兼用することで重量増やコスト増が回避できるかも知れません。が、その場合はそれぞれの出力特性を補完するようなハイブリッドにはなり得ず、バイフューエルと同じ性格になるため、効率の改善につながるとは考えにくくなります。

また、MDIはハイブリッドでなくても回生ブレーキでエネルギーを回収する、即ち制動時のエネルギーを利用して圧搾空気をつくり、それを再利用すると説明していますが、それも容易なことではないでしょう。というのも、彼らのエアカーが採用しているエアタンクは最大300気圧の超高圧だからです。

電気ならばモーターを発電機として蓄電することができますが、最大300気圧のタンクへ圧搾空気を充填するとなれば、そんな単純なハナシでは済みません。例えば、自動車用ディーゼルエンジンの圧縮比は概ね16~23:1くらいですが、それで1気圧の大気を圧縮してもたった16~23気圧程度にしかなりません。これでは300気圧のタンクに圧搾空気を送り込むことなど不可能です。

300気圧のタンクへ圧搾空気を充填しようと思ったら、常識的な圧縮比のレシプロエンジンではコンプレッサー代わりになり得ず、専用のコンプレッサーを搭載しなければならないでしょう。その分の重量増とコストアップはどう処理されるのでしょうか?

また、以前にも書きましたが、300気圧の超高圧に耐えるアルミライナーをカーボンファイバーで強化した猛烈に高価なエアタンクを使っていながら、車両価格が50万円だの100万円だのといった異常な低価格で市販できるなど、絶対にあり得ません。

仮に、車両の販売価格50万円に対し、製造原価が40万円だったとして(そんな原価率では開発費の償却や販売コストなども賄えないでしょうから、商売として成立しませんが)、そのうち半分がエアタンクの製造原価だとしてもたったの20万円です。もし、こんなに安いコストで300気圧に耐えるエアタンクが供給できるのなら、CNG車を発売している自動車メーカーがこぞって買いに来るでしょう。

従来の自動車の燃料をCNG化するに当たって最もコストがかかるのは他ならぬ超高圧タンクで、CNG化にかかるコスト(中型バスなら1000万円くらい)の概ね4割がこのタンクに裂かれているといわれています。MDIはそんなに安く超高圧タンクを供給できるというのなら、タンクをCNG車メーカーに売り込むだけでも莫大な利益が得られるでしょう。

(つづく)

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

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