シマノヨーロッパの説明書きにはハブコーンレンチが不要といった内容になっていました。また、デュラの公式サイトでは写真を拡大できますので、それを見て何となくイメージはつかめた気がします。

FH-7900のロックナット部
従来はロックナットと玉押しをダブルナットの要領で固定していました。玉押しが共回りしないようにハブコーンレンチで抑えつつ、ロックナットだけを締め込むわけですね。しかし、不慣れな人が扱うと締め込み時に玉押しも微妙に回してしまって、折角調整した玉当たりを狂わせてしまうこともありがちです。私も自分でこうしたメンテナンスをやるようになった当初はそうでした。
79デュラの「デジタルクリックアジャスト」というのは、上の写真中央にあるローレット加工された黒っぽい部品が担う機構なのだと思います。これは恐らく玉押しとロックナットのクリアランスを決めるアジャスターになるのでしょう。ロックナットを(恐らくアーレンキーで締め込んで)固定し、しかる後にクリックストップ機構が内蔵されたこのアジャスターを回して玉当たりを調整するのではないでしょうか? (これはあくまでも私の勝手な想像ですが。)
ハブコーンレンチを使う従来の構造も慣れてしまえば間違いなく締められるものですが、その辺を頓着しないで済むのであれば整備性は格段に向上します。ただ、クリックストップの幅が広くて極々微妙な調整が利かないとなれば却って邪魔くさいと思うかも知れません。ま、この辺は実物に触ってみないと何ともいえない部分でしょう。
いずれにしても、以上の機構は私が勝手に想像しているだけで、シマノから詳細な情報は発表されていませんから、正しいかどうかは解りません。ま、完組ホイール全盛のきょうび、単体のハブに興味を持つ人など少ないでしょうし、ベアリングの玉当たり調整を自分でやる人もそんなに多くはないでしょうから、シマノとしてもわざわざ一般ユーザー向けに丁寧な説明などするつもりはないのかも知れません。
一方、キャリパーブレーキはカンパやスラムのようなスケルトン構造にはなりませんでしたが、デュラの公式サイトにある3Dビューで横から見ると、こんな感じになっていました。

BR-7900側面
日本語サイトの写真では見えないアングルも
デュラの公式サイトにある3Dビューで見られます。
ケーブルアジャスターが付くアームはカンパもスラムもすスッポリと肉を抜いていますし、78デュラは裏側をえぐっていましたが、79デュラは横からえぐっていますね。応力がかかる方向を考え、重量の軽減より剛性を重視するのであれば、この肉抜きのほうが理に叶っているように見えます。
78デュラに対して79デュラのブレーキは前後セットで20.7g軽くなっていますが、それでもまだカンパ・レコードに対して14.3g、スラム・レッドに対して28.3g重くなっています(いずれも公称値同士の比較です)。ま、シマノはこれまでも重量に関して他社に「勝らぬとも大きく劣らぬ」的なスタンスだったように見受けられますから、今回もその路線を引き継いでいると見るべきでしょう。
一つ気になったのは、ブレーキシューのトーイン調整について日本語サイトには「調整可能なトーイン/容易なセッティング」とあり、デュラの公式サイトにも同様に「Adjustable toe-in: for easy setting」とあるんですね。わざわざ「容易」と謳っているからには何かトーイン調整をやりやすくする改良点があったのではないかと勘ぐってしまいますが、具体的にはよく解りませんでした。
もう一つ気になったのは、シューの取付ボルトがトルクスになっているところですね。最近の携帯マルチツールにもトルクスのT25が付いているものは珍しくありませんが、個人的にはあまり歓迎したくない感じです。
私の場合はホイールをちょくちょく換え、そのたびにブレーキシューも調整しますから、このボルトを固着させるようなことはまずありません。取説にもネジロック剤を使うような指示はありませんから、そうしたケミカルも使いませんし、締め付けトルクも5~7N・mで決して高トルクではありません。なので、従来のアーレンキーでも私はこのボルトの六角穴を潰したことなどありませんから、トルクスにする必要も感じないんですね。むしろ余計なお世話といった感じです。
(つづく)