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フェラーリもポルシェもない自動車博物館 (その1)

自動車評論家の福野礼一郎は『福野礼一郎の宇宙 乙』に再録された座談会の中でプレイステーションのソフト『グランツーリスモ』シリーズについてこう述べています。

「フェラーリとポルシェのない世の中ってのはつくづくつまんねえよなあ。」

シリーズ累計で5000万本を出荷したお化けカーレースソフトにレース界最高峰の双璧が登場しないのは、版権による縛り以外に理由はありません。が、まさに正鵠を射る指摘で、自動車文化を鑑みるにつけ、この二者が存在しない世界というのは全く以て魅力に欠けます。カメラの歴史を語る上でライカとコンタックスを無視するとか、日本のプロ野球を語る上で巨人と阪神を省くとか、そんな感じになるのでしょう。

トヨタ博物館で常設展示されているコレクションもフェラーリとポルシェがありません。日本最大級のコレクションを誇る同館でありながら、何故この二大巨頭がないのでしょうか?

それは常設展示の外国車が第二次大戦前のものに限られているからです。トヨタ博物館の説明にはこうあります。

本館2階:欧米車展示ゾーン 19世紀末から1940年代までの欧米車50台以上を5つのゾーンに分けて展示しています。


本館3階:日本車展示ゾーン 1936年のトヨダAA型を起点として1970年頃までの国産車50台以上を展示しています。


要するに、自動車の黎明期から第二次大戦前を欧米のクルマで、戦後を日本のクルマで振り返るというコンセプトなのでしょう。フェルディナンド・ポルシェの息子であるフェリー・ポルシェによって設立されたポルシェA.G.も、エンツォ・フェラーリによって設立されたフェラーリS.p.A.も、1947年に産声を上げました。両社ともトヨタ博物館のコンセプトにはかからないメーカーなんですね。

戦前の日本車はトラックやバスなどの業務用を除けばたかが知れていますから、戦後の欧米車も抑えておけば世界の自動車史のかなりの部分を網羅できる内容になるでしょう。そういう意味ではちょっと残念です。

ま、でもモータースポーツは自動車の曙から脈々と受け継がれてきたもので、もちろん戦前にもフェラーリやポルシェに匹敵するようなメーカーはありました(現在のイメージはかなり変わってしまいましたけど)。実際にこうしたクルマが並んでいたらやはり胸躍るものがありますね。

bentley4_5litre.jpg
Bentley 4 1/2litre

alfa-romeo_6c_1750_gran-sport.jpg
Alfa-Romeo 6c 1750 Gran Sport

bugatti type35b
Bugatti Type35B

戦前のモータースポーツ界を席巻したこの銘車たちには私もチビリそうになります。殊に流麗なブガッティのボディスタイルはいつまで眺めていても飽きません。直列4気筒のシリンダをタンデムに並べた直列8気筒エンジンなど、現在ではあり得ないレイアウトのパワーユニットにも興味が尽きません。

bugatti type35b_wheel

この時代は自動車もスポークホイールが当たり前でしたが、ブガッティのこれはアルミ鋳造の3ピースホイールという画期的なものでした。しかもこの造形美ですから、もしレプリカでも売られていたら即買いして部屋に飾っておきたくなります。

クラシックリムジンには疎い私ですが、このクルマにはちょっと興味をそそられました。

renault_type-dj.jpg
Renault Type DJ

「自動車は馬車から進化した」というのはよく知られるところですが、運転席と客室を分離したこのパッケージングは、それをありありと示すものですね。

当時は馬車もまだまだ現役でしたから、それが次第に自動車へ置き換わっていくまさにその端境だったわけです。たぶん、保守的な貴族たちは煙を吐きながら走る自動車を下品な乗り物と見下したり、逆に革新を好む貴族たちは動物に引かせる乗り物など原始的だと見下したり、当時は当時なりに見解の不一致があったと思います。

もちろん、この時代は馬車もそうであったように大衆車など存在せず、個人の移動用に馬車や自動車を所有するというのは大金持ちだけの特権でした。この贅を尽くした貴族御用達の超高級車はそんな時代を映す鏡でもありますから、非常に興味深いものがありますね。

(つづく)

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

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