酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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好都合な予見 (その3)

以前にも書きましたが、「2050年までにCO2排出量を半減せよ」という政治的指針は、以下のような仮説に基づくものです。

現在、人為的に排出されるCO2は炭素換算で毎年約63億tであるのに対し、自然による吸収は約31億tであるため、人為的な排出量を半分以下まで減らせば収支のバランスがとれ、大気中のCO2濃度の上昇も収まり、温暖化の進行もストップする。

しかしながら、人為的なCO2排出量が毎年30億tのレベルに達したのは1960年代のことです。

co2_emissions.gif
半減させても無駄」と題したエントリで用いたものの使い回しになりますが、
ご覧のように人為的なCO2排出量が31億tを超過したのは1960年代後半以降です。


世間一般には、人為的な地球温暖化が始まったのは18世紀後半から19世紀前半にかけての産業革命期以降と信じられています。が、IPCCの理屈に従えば、それは1960年代後半以降にスタートしたということになります。ただし、彼らの主張そのものに不整合はありません。というのも、昨年提出された第4次評価報告書にはこうあるからです。

20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い。


要するに、IPCCの見解としては、20世紀半ば以降の気候変動は人為的ではあるものの、それ以前は人為的と断定されていないわけです。それならば、1960年代後半くらいから人為的なCO2排出量が31億tを突破して自然が吸収できる範囲を超過したゆえ、それ以降に人為的な温暖化が始まったとする仮説にも破綻はありません。(世間一般の認識とのズレは残りますが。)

ただ、それはそれで何とも釈然としないものがあります。というのも、20世紀後半以降の気温上昇が特に異常であるとは思えませんし、深刻な状況とも思えないからです。

temp.gif
上下に伸びる細い棒グラフは、年毎のデータで、
実線は細かい変動を除くために10年平均の値を結んだものを
示しているそうです。


これはIPCCが採用した地球の平均気温の推移を示すグラフですが、1940年代くらいから1970年代くらいにかけて明らかに下降していることが解ります。IPCCが人為的な気候変動であると主張している20世紀半ば以降で明らかな上昇傾向を示しているのは1970年代後半くらいから1990年代後半くらいまででしかありません。

昨朝、NHKの『おはよう日本』で富士山の降雪量や雪崩が増えているのは「年々温暖化が進んでいるから」といった主旨のレポートを流していましたが、地球規模で見れば最近10年くらいは気温の上昇傾向が見られません。

temp_vs_co2.jpg

ご覧のように、大気中のCO2濃度は一本調子で上昇を続けていますが、地球の平均気温に関してはこの10年間ほぼ横ばいか、むしろ下降気味に推移しています。つまり、人為的な気候変動が始まったとIPCCの主張する20世紀半ば以降で気温が上昇していたのは、1970年代後半くらいから約20年ほど、その間に0.4℃少々上昇し、その後の10年は収束しているということになってしまうわけです。

この程度の変動なら常に繰り返されてきたことで、現に上の19世紀半ば以降の気温変化を示すグラフにもあるようにIPCCが人為的とは見なしていない1910年前後から1940年代中頃までの30年余りの間にも0.5℃近く上昇していますから、これと比べてもとりわけ異常な状況とは考えにくいでしょう。

また、自然が吸収できるCO2は毎年31億tまでとIPCCなどが言い張るレベルを超過した1960年代後半から現在まで約40年の間、気温が上昇していた期間はその半分程度でしかなかったわけです。残りの半分は何故気温が上昇しなかったのでしょうか?

もちろん、気温が決まる要素は様々ですから、他の要素が大きく作用して気温の上昇を阻んでいるだけかも知れません。が、もしそうならば、その気温を引き下げようとする要素とはいったい何なのかということをハッキリさせるべきです。加えて、その要素が弱まっていれば人類の営みとは関係なく気温が上昇することにもなるでしょうから、これまでの気温上昇にその要素の変動が無関係であったことも証明しなければならないでしょう。

人為的温暖化説ではこうしたよく解らない部分を明確に示してくれないことがしばしばです。人為説論者たちはいつもスーパーコンピュータの中に作られた「気候モデル」というブラックボックスの中で数値をイジリ倒して答えを導くわけですが、人類が地球の気候メカニズムの全てを理解していない以上、その結果が正しいという保証などありません。シミュレーションをどれだけ重ねても、それはあくまでもシミュレーションに過ぎず、「推測」の域を出ることは未来永劫ないのです。

こうして単なる「推測」に過ぎない根拠に基づく仮説をあたかも事実であるかのようにプロパガンダすることで、この地球温暖化問題は環境問題として成立しているというのが私の認識です。

メディアは実態をどこまで把握しているのか知りませんが、「待ったなしの状況」とか「一刻の猶予もない」とか、ことあるごとに大騒ぎします。彼らの救いようのない理科オンチぶりはこれまでにも何度か書いてきましたが、人為的温暖化説を支持する研究者達が繰り出してくる部分的に突出した都合の良いデータをただ鵜呑みにし、振り回されているだけではないかという気がします。

私達のように人為的温暖化説を盲信しない者の間では「クールダウンが必要なのは地球ではなく、地球温暖化問題に翻弄されている人達の頭のほうだ」とよく言われますが、私も全くその通りだと思います。しかし、間もなく始まる洞爺湖サミットで彼らはますますヒートアップしてしまうのでしょう。

(おしまい)

テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

コメント

論文もIPCCの報告書も読んでない素人がアホ言ってるんじゃねえよ
いくつかグラフを示しただけで知識人ぶるなよ

  • 2008/07/03(木) 02:46:21 |
  • URL |
  • まさる #-
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個人のブログなんだから個人の見解でいいと思います。

  • 2008/07/03(木) 17:39:57 |
  • URL |
  • kay #-
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内容が気に入らないにせよ、反論があるにせよ、言葉使いには気をつけましょう。
不特定多数の人が閲覧できる状態にあるページは、すでに公共の場所です。他の人が読んで、不快に思う表現は慎むべきですね。

  • 2008/07/03(木) 20:24:15 |
  • URL |
  • Ocha #-
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私は温暖化に関するこの解説には同感なのですが、他の意見にも興味があります。まさる氏に反論があるなら是非、聞かせてくれませんか。
理性的にお願いしますね。

  • 2008/07/03(木) 22:54:26 |
  • URL |
  • ちーすけ #MCWqbLaQ
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まさるさん>

初めまして。
拙いblogですが、ご高覧賜りまして有り難うございます。

仰るとおり、私は素人ですので、この件に関して知識人ぶるつもりはありませんが、
文筆のプロでもありませんので、配慮が足らずに偉そうな書きぶりになって
しまったかも知れません。

ただ、疑問に感じたことを言葉に表すのは決して悪いことではないと思っています。

本文に書きましたとおり、IPCCなどの主張を纏めますと、人為的な要因による
気候変動が始まってから約40年間のうち、約20年間しか気温の上昇傾向は見られません。
その間にたかだか0.4℃程度の気温上昇が深刻な気候変動といえるのか疑問に感じます。

IPCCの評価報告書をはじめ、様々な文献を私の解る範囲で読んでみましたが、
この疑問は解決できませんでした。

私の疑問は専門家の方から見たら「アホ」なことなのかも知れませんが、
どこをどう読み間違えて「アホ」なことになってしまったのか、
具体的にご教示頂ければ幸いです。

  • 2008/07/03(木) 23:44:01 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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kayさん>
Ochaさん>
ちーすけさん>

皆さん、お気遣い有難うございます。

このエントリに限らず、環境問題に関しては世間に認知されている常識に対して
かなり挑戦的なことを書いてきましたので、いずれ批判的なコメントを頂くだろう
と予期していました。

個人的なblogで個人的な見解を開陳していますが、それに誤りがあれば
ご指摘を頂くのはむしろ有り難いことだと思っています。
ただ、それが単なる感情論で異論にも反論にもなっていなければ
私のほうから何も言うべきことはありませんが。

私の見解に看過できない誤りがあるというのなら、
きっとそれを具体的に示して頂けると思いますので、
それを待ちたいと思います。

  • 2008/07/03(木) 23:59:40 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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はじめまして~、eagleiと申します。
興味深く読みました。
でも根拠が今ひとつ分かりません。
『地球規模で見れば最近10年くらいは気温の上昇傾向が見られません」
というデータはどのことでしょう?

  • 2008/07/05(土) 12:49:41 |
  • URL |
  • eaglei #-
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eagleiさん>

初めまして。
拙文にお付き合い頂き、有難うございます。

ご質問のデータですが、一番下のグラフ「Hadley and MSU Temps vs CO2」がそれです。
少し縮小したため若干読みにくくなってしまったかも知れませんが、
これは1998年初頭から2008年初頭まで10年間の推移を示しています。

緑の線が有名なハワイのマウナロアで観測されたCO2の大気濃度から
季節変動を除いたグラフになります。

ピンク色っぽい線は気温の変化を示すものですが、
出典はイギリスのハドレーセンター(http://en.wikipedia.org/wiki/Hadley_Centre)
というところになるようです。

同じく、青の線も気温の変化を示すものですが、
こちらはMSU(マイクロ波サウンディング装置)という人工衛星に搭載された
気温の観測装置によるデータになるようです。
MSUについて詳しくは宇宙航空研究機構(JAXA)のサイトをご参照下さい。
http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/gallery/eenvironment/sr0204.html

ハドレーのデータもMSUのデータも多少のズレはありますが
山と谷の重なり方など、全般的な傾向は似ていると思います。
これを見る限り、この10年間に気温の上昇傾向はないと私は思いますが、
如何でしょうか?

  • 2008/07/05(土) 23:46:43 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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世界平均気温について

石墨様、
地球温暖化についてもう一度検証しなおそうと思っています。

文中の世界気温がCO2の上昇と同じトレンドを示していないという記事は、スティーブ・フィールディング氏の引用ではないかと思いますが、
(1) より長い期間をとれば、やはり上昇傾向が見られるという指摘がある(http://chartsgraphs.wordpress.com/2009/08/13/excel-chart-misrepresents-co2-temperature-relationship/
(2) 気象庁などのデータでは21世紀に入ってからも世界平均気温の上昇は続いている (http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html

といった情報もあります。いかがお考えでしょうか?

  • 2010/05/17(月) 14:20:06 |
  • URL |
  • realwave #-
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realwaveさん>

>文中の世界気温がCO2の上昇と同じトレンドを示していないという記事は、スティーブ・フィールディング氏の引用ではないかと思います

これは人為説に疑いを持っている人なら誰もが指摘していることですね。また、人為説を唱えている人たちの中にもこれを認めている人は少なくありません。

例のクライメート・ゲート事件の震源となったイーストアングリア大学のフィル・ジョーンズ氏も人為説を唱える中心人物ですが、CO2濃度の上昇と気温の変動が符合していないことを認めています。日本の国立環境研究所もこれらが符合していないということで自然界の変動などを理由に色々弁解するようになりました(何ヶ月か前の朝日新聞に国立環境研がその旨を述べている記事が掲載されました)。


(1)のご指摘ですが、人為的温暖化説の主流をなす考え方を汲めば、それほど長期の傾向を見る必要はないということになると思います。以前にも何度か触れてきたことですが、彼らは炭素換算で毎年31億トンまでの排出なら全て自然界が吸収してCO2の大気濃度の上昇は抑えられるとしているからです。

この考え方が正しいなら、人為的なCO2排出量が31億トン/年を超えた1960年代中頃以前の気候変動と人類の営みとは無関係ということになります。1960年代中頃以降は30年で0.4℃程度上昇、その後の10年でほぼ横ばいか若干下降という状況になるでしょう。

これはCO2の大気濃度の変化に全く符合していませんし、20世紀前半にも同等以上の気温上昇があったのですから、これを異常だと見なせるのかというハナシになってくるでしょう。確かに、18世紀頃の小氷期から見れば気温の上昇傾向が続いているのは確かですが、それはアラスカ大学の赤祖父氏をはじめとして何人もの人が指摘しているように、寒冷期からの回復など自然変動という側面もあるかも知れません。

気温上昇が人為起源によるものなのか否か、その因果関係を明らかにしなければ片手落ちも良いところです。それは人為説支持者として急先鋒である国立環境研の江守氏も常々述べていることですね。ま、現状においては彼がやっているようなコンピュータモデルを使ったシミュレーションでしか人為説の説明が付けられないわけですから、彼がそういうのは自分たちの存在感をアピールする狙いもあるのでしょうけど。


(2)のご指摘は、データの見方が適切ではないだけだと思います。そもそも、気象庁も「21世紀に入ってからも世界平均気温の上昇は続いている」などと述べていませんし。グラフに書き込まれた余計な線に惑わされているだけではありませんか?

「データバンクでは各年の数値が閲覧できます」とあるリンク先を見ますと、1971~2000年の平均値を基準として、それと各年の平均気温の差が示されています。21世紀に入ってからの各年の値を列記してみます。

2001年 +0.27℃
2002年 +0.31℃
2003年 +0.31℃
2004年 +0.27℃
2005年 +0.32℃
2006年 +0.31℃
2007年 +0.28℃
2008年 +0.20℃
2009年 +0.31℃

1971~2000年の平均値に対して+0.29℃前後の高い状態が続いてはいますが、上昇傾向など全く現われていません。気象庁のデータも最近10年くらいの平均気温には上昇傾向など認められないという結果を表わしています。これは国立環境研の江守氏をはじめとして人為説を自信たっぷりに支持している人たちも認めていることです。この点については殆ど議論の余地はないでしょう。

ちなみに、IPCCの第4次評価報告書に採用された予測ではシナリオによって多少の幅がありますが、2001~2010年の10年間に0.2~0.3℃程度上昇するハズでした。これは大ハズレだったと見て間違いないでしょう。また、こうしたシミュレーションが間違いであったということは、これまでの気温上昇も同じシミュレーションで人為起源と説明されてきたわけですから、その計算結果に誤りがなかったのか大いに疑わしくなってきます。

  • 2010/05/20(木) 00:12:01 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
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データの読み方について

地球温暖化説も懐疑派も決定的な科学的真実は持っていないわけですから、もともと仮説でしかありません。

ですから、出発点はデータをどう読むかということになるわけですが、以下のようなことは石墨さんのデータでも私が持ち出したデータでも共通していると思います(出所が同じはずですから当然ですが)

(1) 2000-2010の10年と言う期間での傾向としての気温上昇はなかった
(2)1980-2010では気温上昇の傾向は認められる(たとえば気象学には素人のクルーグマン(経済学者)が自分で描いたグラフでもそうなっていますhttp://nyti.ms/aoULDf
(3)気象庁のグラフでは19世紀終わりから現在にいたるはっきりとした気温上昇の傾向が認められる

21世紀に入ってから気温上昇が続くとした予想は外れていることになりますが、温暖化傾向が5年10年の期間では出ないというだけの話かもしれません。

かりに年に0.1度の気温上昇でも100年では10度にもなってしまいます。100年で5-10度程度の気温上昇を仮定すれば確かに10年の期間は短すぎる気がします。

しかし、少なくとも20-30年以上の期間を取ると、20世紀以降の気温上昇は否定できません(これは「仮説」ではなく事実です)

次はこの上昇傾向が100年-200年程度のサイクルの話なのか(中世の温暖化、近世の小氷河期のように)、人類活動と因果関係のある上昇傾向なのかですが、この点は少なくとも「事実」として何かを突きつけられる段階ではないようです。

温暖化派を懐疑派にも色々な人がいますが、データについてはできるだけ共通のものが使えるとよいのですが。

懐疑派はやはりおかしいのでは?

石墨さん、
少ししつこいですが、大切なことだと思うのでもう一度確認させてください。

地球温暖化説の幹は
(1) 地球は温暖化しつつある
(2) 温暖化の原因は二酸化炭素を中心にした温室化ガスの増加である
(3) 温室化ガスの増加は人類活動による
だと思います。

前回のコメントで確認事項も合わせて考えると以下の「事実」があります。
(1) 19世紀後半から現在にいたるほぼ100年間以上温度上昇の傾向が見られる
(2) ほぼそれと符合して二酸化炭素濃度の上昇がみられる
(3) 19世紀の終わりごろから人類の化石燃料の消費量は飛躍的に増えている

事実自身は因果関係の証明にはなりませんが、因果関係を推定する仮説の出発点です。事実の強度から考えると、人類活動による二酸化炭素排出量の増加が地球温暖化に結びついているという仮説を立てることは、それほど無理なこととは思えません。

懐疑派の人の温暖化説に対する批判には、2000年以降の短い時期の気温停滞など、100年のスケールの傾向から見ればノイズを問題にしているものが多く見られます。少なくともこれは温暖化説の幹の否定にはつながりません。

もっと長期のホッケースティック曲線のような1,000年レベルのスケールでは、この100年の気温変動程度の現象はあったわけですから、今の状態もその一種の可能性はあります。また、2000年以降の気温停滞が気温低下の始まりだという可能性もあります。

しかし、これらは地球温暖化という仮説の検証をさらに進めようという話ではあっても、地球温暖化説を強く否定するようなものとは思えません。また、現在にいたる100年間の気候変化が人類活動と符合していることから、関係性を強く疑うのは正しい態度だとも思います。むしろこの100年は他の気温変動と同じ自然現象によるものだという論証が必要でしょう。

もちろん、これらは最初のデーターの読み方で一致した場合の話です。地球平均気温などというのは怪しげで信頼できないとか、二酸化炭素濃度上昇は測定ミスだということになると話は全然違ってきます。

ただし、地球平均気温など信用できないというこことになると、何か代わりのものがないと温暖化説、懐疑説どちらにせよ全く議論ができなくなります。それならそれで「何も判らないんだよ」という態度を取るべきでしょう。

全体として見ると地球温暖化説は明確な幹があるのに、懐疑派は枝葉にこだわって、温暖化などしていないあるいは地球は寒冷化しつつあるという仮説をサポートする太い幹は見当たりません。それでも懐疑派が正しいということもあるでしょうが、他人はなかなか納得しがたいように思えます。

  • 2010/05/21(金) 11:05:33 |
  • URL |
  • realwave #-
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RealWaveさん>

リプライが遅くなった上に生意気なことを言うようで大変恐縮ですが、RealWaveさんにはもう少し「科学哲学」即ち「科学とは何ぞや」ということについて理解を頂きたいと思います。当blogでは何度となくノーベル物理学賞を受賞した益川敏英氏の「科学とは肯定のための否定の連続」という言葉を引用してきました。これが何を意味するかということです。

科学哲学者である伊勢田哲治氏(名古屋大学情報科学研究科准教授)は朝日新聞の取材で「科学の方法論とは?」という問いにこう答えています。

「一番オーソドックスなのは、反証主義です。仮説に合うデータではなく、むしろ矛盾するデータ、つまり反証を集めようとする。反証が出そうな実験をし、それでも仮説が生き延びたら一応認めてあげようというのが科学です」
(詳しくはコチラ→http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-258.html)

実験で因果関係を確認できるような事象と異なり、地球温暖化問題の場合は本物の地球を使って実験を行うことなど現実的に不可能ですから、その因果関係について科学的な証明はかなり難しいでしょう。

となれば推論を重ねていくことになりますが、伊勢田氏が言うように指摘された疑問点や矛盾点を等閑にしたまま、仮説に都合の良いデータだけをこねくり回すのは似非科学と同じやりかたです。

反証となりそうなありとあらゆる理屈をぶつけても仮説の整合性が全く損なわれないとなれば、それは信頼性の高い有力な仮説だと考えられます。逆に一つでも矛盾点を解消できなければその仮説の信頼性は高いといえなくなります。人為的温暖化説の矛盾点は一つや二つどころではありませんから、そういう意味でも極めて程度の低い仮説といわざるを得ません。

人為説に否定的であったり懐疑的であったりする人たちは人為説に対する反証となりそうな指摘を山のようにしてきました。これを丹念に潰していくことで人為説の科学的な確かさが確認できるわけで、それは非常に重要な作業であるハズです。しかし、人為説論者やその支持者たちはこれを煙たがり、「懐疑派バスターズ」などと称するチームを作って反証となりそうな指摘をする人たちを害虫のように扱ってきました。

例のクライメート・ゲート事件でも同じような侮辱や、その発表を妨害するような工作がなされていたと疑われるメールが見つかっているのはご存じの通りです。仮説に都合の悪い考え方を排除しようとするこうしたスタンスはもはや似非科学の領域に入るといわざるを得ません。

何度も繰り返しになりますが、人為説では炭素換算で31億トン/年に満たないCO2排出量に抑えれば、自然界がこれを固定して炭素循環の輪から外れ、大気中のCO2濃度の上昇を抑えられると説明しています。この説明が確かなら、人為的なCO2排出量が31億トン/年に満たなかった1960年代中頃以前にCO2の大気濃度が上昇していてはいけないということになります。しかし、現実にはその間もCO2の増加が続いてきました。この矛盾はどう説明すればよいのでしょう?

このように人為説の説明に従えば大気中のCO2濃度が増加してきたペースと人類が排出してきたそれとは全く符合しません。RealWaveさんは「現在にいたる100年間の気候変化が人類活動と符合している」と仰いますが、それは私が再三指摘してきたこの矛盾点を完全に無視するものです。こうした指摘を無視するようでは科学的な議論などできません。

RealWaveさんも「事実自身は因果関係の証明にはなりませんが」と仰っていますが、こうした矛盾がある以上、「証明」どころか「説明」にすらなっていないと考えなければいけません。「仮説を立てるのに無理がないから仮説を信じてあげよう」というのではなく、「その仮説が成り立たないような問題点をあらゆるカタチで検討し、それでもその仮説に破綻が生じないならば一応認めてあげよう」というのが科学です。これが益川氏のいう「科学とは肯定のための否定の連続」であり、伊勢田氏のいう「反証主義」というものです。

ほかにもこの人為的温暖化説に対しては様々な疑問点や矛盾点が指摘されています。私がかなり決定的ではないかと思うのは、地球から放射されている赤外線のスペクトルを人工衛星で測定したものです。これも何度となく触れてきたましたが、もう一度繰り返します。

地表から放射される赤外線の波長域でCO2が吸収できるのは15μm近傍です。人工衛星で観測したその放射強度は地球上のあらゆるところで測定しても同じレベルで、それは高空の大気による放射強度とほぼ一致しています。
(詳しくはコチラ→http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-57.html)

これは実測のデータであってコンピュータシミュレーション云々のハナシではなく、かなり具体的な物証といって良いでしょう。1971年に観測されたニンバス4号によるこのデータを見る限り、地表から放射されている赤外線はCO2によって殆ど吸収し尽くされていると考えられます。即ち、CO2による温室効果は40年ほど前に確認された時点で既に飽和状態に達していたと見られるわけです。

これに対して人為説論者から疑問を差し挟む余地がないような明瞭な反論は出ていないと思いますが、一番の問題は何故こうした観測を行おうとしないのかということです。あれだけ莫大な地球温暖化対策予算(日本だけでも年間1兆円を超えます)を組んでおきながらこういう根幹に関わる確認をしない理由が私には全く理解できません。

人工衛星を使って地表から放射される赤外線の量とその波長域の分布を確認するということは、どの温室効果ガスがどの程度作用しているのかを具体的に知る重要な手掛かりになるでしょう。また、こうした観測を継続的に行うことによって、精度も上がっていくでしょうし、何より温室効果がどの程度進んでいるのか理解できるようになるハズです。

宇宙に放射されるべき赤外線が温室効果ガスによって大気圏内で吸収され、地球の気温を引き上げているというのなら、まずはここを徹底的に調べ上げる必要があります。コンピュータの中にバーチャルな地球を作ってそれをイジリ倒したところで、それは机上論に過ぎず、何の証明にもなりません。が、こうして本物の地球を観測すればかなり真実に迫れると思います。

私はこうした研究が行われないのは「コレをやったら人為説の間違いがバレるから」ではないかと睨んでいます。本当に科学的な確かさを求めるなら、こうした根本的な研究は欠かせないハズですが、人為的温暖化説はいつだってコンピュータシミュレーションというどこまでアテになるのか解らない推算に根拠を求めています。

シミュレーションを用いて人為説に都合の良いデータをせっせと作り、実際に地表から放射される赤外線がどうなっているのか、即ち地球の温室効果が具体的にどのような状況になっているのかという基本すらマトモに調べようともせず、人為説に都合の悪い指摘をする人たちを害虫のように扱ったり、排除しようとしたり、これでは似非科学そのものです。

>懐疑派はやはりおかしいのでは?

この言葉はソックリそのまま人為説支持者の方々にお返ししたいと思います。

  • 2010/05/31(月) 23:44:48 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

疑問を提起しているのは単純なことです

石墨さん、
長文のご返事ありがとうございます。私も科学的方法論に従って物事を考えるのが何より必要だと考えています。私は気象学者でも何でもありません。地球温暖化の問題を考える時、唯一の道具は科学的方法論だけです。

さて、私の地球温暖化に対する知識レベルは、長年この問題に向き合ってこられた石墨さんには大分及ばないと思います。逆に私が疑問を感じているのはもっと入口のところです。結論を出すのはずっと先です。事実の確認がまず必要です。

(1) 過去100年気温は傾向として上昇を続けている

これは一番肝心な事実認識です。懐疑派には21世紀に入ってからの数年の気温を観察して、温度上昇の傾向は間違っていると指摘する人がいますが、これは100年の温度上昇の傾向の否定にはなりません。懐疑派はこの100年を殊の外取り上げるのは科学的に無意味と言うかもしれませんが、それは分析が少し先に進んでからの話です。出発点は100年間地球の気温は上昇しているという事実です。

(2) この100年間、二酸化炭素濃度は上昇している

これも事実だと考えています。「符合」と言っているは「100年気温が上昇している」「100年二酸化炭素の濃度が上昇している」という二つの事実が同じ「上昇傾向」を表しているというだけです。二酸化炭素が気温上昇の犯人だと決めつけてしまうと、二酸化炭素の行き場所が判らないとか、31億トン以下のCO2排出量であれば、気温上昇は起きないと言ったじゃないかなどの反論が出てきますが、これも先の話です。

(3) 過去100年間は産業革命以来急速に人間のエネルギー消費-温室効果ガス排出量は増加している時期と重なる

この事実は検証の必要もないほどです。

地球温暖化論はこの3つから「人間が物をどんどん燃やすから地球の気温が上昇した。気温の上昇を止めるにはどんどん燃やすのを減らせば良い」という仮説ですが、この仮説を否定するためには
1.100年間の気温上昇は自然の気温変動の一種で温室効果ガスで説明する必要はない
2.二酸化炭素濃度の上昇は気温上昇の原因にはなっていない
の二つのうちひとつ、あるいは両方証明できればよいはずです。

1.については温室効果ガスに代わる何かの別の理由、例えば太陽活動の変化などが本来は必要です。そんな理由など見つからなくても次の100年後には事実をもって否定できるかもしれませんが、地球温暖化説が正し場合の影響を考えればそうもいかないでしょう。懐疑派が様々な意見を出してはいますが、温室効果ガス説を置き換えるほど十分な強さを持った温度上昇理由は提示できていないと思っています。ただし、これは十分な証明ができていないという意味です。懐疑派の考えた温度上昇理由が全部誤りでも、温室効果ガス原因説が正しいと証明できるわけではありません。

「懐疑派がおかしのではないか」と言うのは(1)、(2)、(3)のシンプルな事実の了解すらなく、物凄くややこしい反論を持ちだす傾向が強いことです。「鶏がなくろ朝日が昇るから、鶏は朝日の昇る原因だ」とは言いませんが、物事はもう少し簡潔な理論が幹になるべきではないかと思っています。ただ、これは科学方法論ではなく、オッカムのカミソリのような科学者の直観を真似ただけです。これで何かを証明できるとは思っていません。

今後研究が進めば懐疑派の方が正しかったいう結論が出る日がくるかもしれませんが、私はまだ最初の単純な出発点にいると申し上げておきます。

さしでがましいのですが、個人的な見解です。

僕の住んでいる所は、ごみの分別も無用に(少なくとも僕には)厳しい所なので、燃やせるゴミは高温の炉で燃やせるようにして欲しいと思っています。どうせ、リサイクルなんて口だけなんですから。善意に沿っていれば反証も不十分なまま、それが正しい事だなんて認めたくありません。

団塊の世代は「共産主義・理想主義」に憧れがあるのでしょうが、僕のようなバブル後に青春を送った人間からすると、理想なんてウンザリです。民主党の言い分も支持してません。たとえば、Mr年金って最近TVで見ませんけど、野党のころは年金問題解決するって意気込んでましたよね。現実的に難しくなってきたら官僚のせい、自民のせいでダンマリで終わりですか?と聞きたい位です。裏付けのない理想論なんて、聞きたくないんですよ。TVばっかり見てる自分の親父やお袋達の50~60代は、簡単にマスコミに躍らされてますけど。

色々、疑問はありますが、過去10年間でCO2排出量は減っていないのに、気温は上がっていませんね。
過去100年の中の10年間で気温が上がっていない&測定の精度の高い信頼性の高い10年間での結果ということを受け止めると、人為的温暖化説は、主要説から1つの仮説へと格下げしても良い位だと思ってます。
そんな仮説にすぎない「CO2主要因説」が各業界、国を超えて、1つの意思として行政に反映されているのは気味が悪いです。

また、日本は理想に傾倒して過剰に仮説に入れ込んでいるように見えます。特に、製造業は邪魔だと言わんばかりの政策には怒りを覚えるくらいです。ドイツ等では製造業は国の雇用を支える基幹産業として扱われていて、雇用が海外に流出する事に非常にナーバスですが、日本政府は全く意に介していませんね。
日産がマーチを海外に移管してますが、同じ事がトヨタ、ホンダ、及び系列企業でも起きるでしょう。そういう事態に対しても、日本政府は全く意にも介さないでしょうね。いったい、雇用もなく、どうやって国を支えていくのでしょうかね?まったくナンセンスです。
こんな絵空事を出してくる経産省にも失望です。
<<http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100601-00000018-fsi-bus_all>>

僕は、馬鹿な政治家やマスコミに未来を託すのは無理だと割り切ったので、未来は自分で守る意気ごみで資格や技能を延ばしています。
ようするに10年先の地球環境より、10年先の自分の稼ぎを心配した方が100倍マシだと思って今を生きています。真面目に考えるほど馬鹿を見る世の中ですね。

  • 2010/06/03(木) 00:57:16 |
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  • 若手エンジニア #-
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失礼。記事のリンクが切れているので抜粋です。

新たな「稼ぎ頭」経産省が5分野 環境関連など150兆円期待
6月2日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 経済産業省は1日、低迷が続く日本経済を立て直すための成長戦略「産業構造ビジョン」を発表した。インフラの海外輸出や環境関連産業など5つの戦略分野の競争力を高め、これらの市場規模を2020年までに149兆円拡大し、新たに258万人の雇用を生み出す目標を掲げた。政府が月内にまとめる新成長戦略の中核に位置づける。

 ビジョンは、自動車とエレクトロニクス産業に依存した現状の産業構造から、多様な産業が経済成長を牽引(けんいん)する構造に転換する必要性を強調した。

 そこで、新たな「稼ぎ頭」として、原子力発電などインフラ輸出▽次世代送電網など環境・エネルギー産業▽医療・介護・健康・子育てサービス、アニメなど文化産業▽先端技術-の5つの戦略分野を選び、集中支援する方針を示した。

 政府の新成長戦略のマクロ目標で打ち出した名目3%の国内総生産(GDP)成長率を前提に、20年までの国内生産全体の伸びを310兆円と想定し、このうち約5割を戦略5分野でまかなう。

 具体的な競争力強化策として、諸外国に比べて高い日本の法人税の実効税率(40.7%)を、来年度の税制改正で5%引き下げ、将来的には25~30%にすべきだと提案した。

 高額な税負担を嫌がり、日本から中国やシンガポールに拠点を移す企業が増えているためだ。併せて入管手続きの簡素化も図り、外国企業の拠点を日本に誘致する。

 このほか、日本の技術の国際標準化を進めるため、電気自動車(EV)やLED(発光ダイオード)照明、iPS細胞など重点的に取り組む10分野を選定したほか、ものづくり企業の競争力を高めようと、研究開発や人材の育成、海外市場の開拓を支援する方針も盛り込んだ。

 ただ、今回示した雇用創出や市場拡大の目標値は、あくまで名目3%成長から逆算した単純な試算値で、産業構造ビジョンで示した政策を実行に移した場合の実際の経済効果は未知数だ。

                   ◇

 ≪産業構造ビジョンの戦略5分野≫

〔1〕〈インフラ輸出〉トップ外交や官民連携の強化

〔2〕〈環境・エネルギー〉次世代送電網や次世代自動車の技術開発、レアメタル確保

〔3〕〈文化〉海外市場の獲得支援、若手プロデューサー育成

〔4〕〈医療・介護・健康・子育てサービス〉医療ツーリズムの受け入れ拡大、子育てサービスの産業化

〔5〕〈先端分野〉ロボット、宇宙、炭素繊維、バイオ医薬品など10分野の集中支援

  • 2010/06/03(木) 01:01:41 |
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  • 若手エンジニア #-
  • [ 編集]

RealWaveさん>

RwalWaveさんにはもう少し懐疑的な人たちの言い分を丁寧にさらっていくことをお奨めします。ネット上に散在しているそれはやはり玉石混淆で、中には科学的な基礎知識を欠いた人が勝手な解釈を加えた頓珍漢なものも少なからず混ざっています。そういう程度の低い言いがかりのような指摘も一緒くたにされながら「懐疑派の主張は不充分」という印象を持たれるのは余計な先入観に繋がる恐れもあります。

アラスカ大学の赤祖父氏や横浜国大の伊藤氏、東京工大の丸山氏、東大の渡辺氏など、ちゃんとした科学者の著述には枝葉末節にこじつける屁理屈のような異論ではなく、ちゃんとした根拠を伴う至極真っ当なものばかりです。そうした文献を一通り見直して頂いたほうが良いように思います。

>温室効果ガス説を置き換えるほど十分な強さを持った温度上昇理由は提示できていないと思っています。

再現性の極めて低いシミュレーションにしか根拠を持たない人為説の何処が充分な強さを持った理由なの理解に苦しみます。逆に、太陽の黒点数や周期などから示される太陽活動と気温の変化を比較したデータでは1940年代から1970年代にかけての気温の下降傾向もかなりキレイに対応しているなど、充分に見るべきところがあると思います。

人為説を主張する人たちは太陽から放射され、地球に届くエネルギーの量だけを見て「それでは説明がつかない」と主張します。が、太陽風の強弱によって銀河宇宙線などの強度が変化することで雲量も変化するなど、彼らのシミュレーションには組み込まれていない事象を勘案すればちゃんと説明もつきます。人為説に懐疑的な人たちはこういうところでも対応できるちゃんとした説明をしていますので、そういう部分もキチンと見直してみて下さい。

私が再三指摘してきたCO2排出量31億トン/年までを許容範囲とする問題を「これも先の話」とされていますが、この矛盾を解決しなければ人為的な影響が始まったタイミングが100年以上もズレてしまいます。最近100年間の事象を問題にしていながら、100年以上のズレを容認したのでは事実関係の確認になりません。これは極めて初期の段階で解決しておかなければならない矛盾点です。

気温やCO2の変化についてはどの程度の期間を切り出すかでも印象が変わってしまうものですが、それに加えて把握されているデータがどの程度信頼できるものかも問題になってきます。これまでの気温上昇は最近100年で0.6℃程度のわずかなものですから、コンマ数℃の誤差でも印象は大きく変わるものです。

先に挙げました横浜国大の伊藤氏は環境計測科学で日本を代表する研究者ですから、この分野における屈指の専門家といえるでしょう。そうした立場から観測条件次第でもコンマ数℃レベルの誤差は生じることを指摘しています。例えば、百葉箱ひとつとっても昔の無機顔料の塗料で塗られたものと現在の有機顔料のそれで比べると、赤外線の反射率が微妙に異なっており、後者のほうがコンマ数℃くらい高くなる傾向があるというわけですね。

温暖化の評価には都市化の影響を除いてあるとされていますが、その補正が万全であるとは限りません。伊藤氏は気候観測ステーションの劣化(エアコンの室外機のそばに百葉箱が置かれているとか、コンクリートの建物の屋上にスノコを敷いただけで百葉箱が置かれているとか、かなり酷い状況になっている例もよくあるそうです)を示しながら、気候データの劣化を指摘してこられました。ある会合ではコンピュータモデルをやっている人があまりにも現場を知らず、補正で何とでもなると思い込んでいる発言に声を荒げて反論されたこともありました。

また、以前(http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-491.html#comment)にもご紹介したヤヴォロスキ氏のように、アイスコアから取り出された過去の大気からCO2の濃度を割り出したデータについても、閉鎖系としての条件を満たしていないゆえ劣化が考えられるという指摘があります。

RealWaveさんは「シンプルな了解」と仰いますが、地球全体の変化を過去に遡って確認するのは決して単純なことではなく、現実には様々な問題を含むものです。その点についてももう少し理解を深めておかれたほうが良いかも知れません。

個人的には海面上昇について気温の上昇を認めないと説明が難しいということもありますので、やはり最近100年単位で地球の平均気温は相応に上昇していると考えます。が、気温を変化させる要因は温室効果ガス以外にも沢山あります。因果関係を考えるには全ての可能性を考慮しなければなりません。逆に、有力な根拠がない現在のような段階でその要因を温室効果ガスに絞り込むべきではありません。

あれだけCO2説を唱えてきたアル・ゴア氏もこのところ化石燃料の燃焼によって生じた煤煙のアルベド効果も大きな要因という考え方を併せて支持するようになってきました。国立環境研の江守氏は人為的な温室効果ガスの影響を計算に入れないと説明がつかないと言い張ってきましたが、煤煙のアルベド効果は温室効果と全くの別物です。

昨年くらいからゴア氏が支持し始めた煤煙のアルベド効果説が有力なら、江守氏の計算は間違っていた可能性が高いということになりますし、江守氏の計算が正しいなら、この期に及んで別の仮説に手を広げたゴア氏は大間抜けということになります。このように、人為説支持者の間でも因果関係について見解が統一されているわけではないのですから、気温と温室効果ガスの関係ばかりを追求すると最初のボタンを掛け違えていても気付けない恐れがあります。

こうした点も含め、気温の変化と温室効果ガスの関係ばかりに拘り過ぎるのは良くないと思います。RealWaveさんは最初に「地球温暖化についてもう一度検証しなおそうと思っています」と仰っていましたが、それは大変良いことだと思います。これを機に温室効果ガス以外の可能性もこれまで以上に深く掘り下げてみるべきです。そのためにも、懐疑的な人たちの言い分を余計な先入観を持たないよう心がけながら丁寧に再確認して欲しいと思います。




若手エンジニアさん>

人為的温暖化説というのは、元より単なる仮説に過ぎませんが、政府やメディアなどのバイアスがかかってあたかも事実であるかのように宣伝されてきただけで、そうした部分を一度リセットする必要があるように思います。

懐疑的な立場からは原子力業界の陰謀説なども囁かれてきましたが、CO2排出削減というイデオロギーは様々な立場の人が都合良く利用できるツールとなりますから、仰るように国や業界を越えて多くの人がこの便利なツールを利用すべく、人為的温暖化説という仮説を既成事実化する動きに便乗しているように見えます。少なくとも、企業は「CO2削減」というキーワードを商品付加価値や企業イメージの向上に利用しているのは疑いようがありません。


マーチの生産拠点をタイに移管するというハナシは今日アップした『テスラへの出資はやはりイメージ回復が目的?(その3)』でも触れましたように、私もメディアや世論が全く興味を示さない状況に驚いています。NUMMIの閉鎖で一部の車種が海外へ生産拠点を移すことにアメリカのメディアも世論も鋭く反応しましたから、欧米ではメーカーのこうした動きが批判的に見られるのが普通なのでしょう。

この話題は昨年の1月にも取り上げました(http://ishizumi01.blog28.fc2.com/blog-entry-325.html)ように、例の派遣切りの報道と対比させると盲目ぶりがより際立ってきます。派遣切りを批判するのであれば、任天堂やナイキなどのように自社工場を持たず、すべて外注とすることで初めから雇用の創出に直接的な貢献をしてこなかった、いわゆるファブレス企業はもっと批判されてしかるべきです。

世の中の仕組みを解っていない人たちが感情を発散させながら世論を作っていくという構造は憂うべきことですね。

  • 2010/06/07(月) 23:43:32 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

ありがとうございます

石墨さん、
ご丁寧なご返事ありがとうございます。

地球温暖化の問題は大変難しく、簡単な結論は出せそうもありませんが、排出権取引、炭素税、原発推進など日々の生活に大きく関係する決断が行われつつあります。

複雑で難解な問題を政治的なあるいは個人的なレベルで決断するためには何をすべきなのかを追求したいと思っています。

また、色々ご教示いただければと思います。

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