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レンタカー会社に肩代わりさせるべきか?

例の秋葉原の無差別殺傷事件から1ヶ月が経過したということで、各メディアで取り上げられていましたね。凶器に関しては専らダガーナイフの規制について論じられていましたが、それに代わるような刃物はいくらでもあります。あのとき犯人が用いた刃渡り13cmのダガーナイフに対して、例えば刃渡り30cmを超える刺身包丁のほうが殺傷能力で劣るとも考えにくいところです。なので、ダガーナイフだけに注目して規制をかけても、同様の犯罪抑止力としての実効性はあまり期待できないような気がします。

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ところで、ナイフで刺されて亡くなった方4名、負傷された方8名に対して、レンタカー会社から借りた小型トラックではねられて亡くなった方は3名、負傷された方は2名でした。トラックは一撃で3名の命を奪ったわけですから、ナイフよりずっと強力な凶器となるのは明らかです。もし、あのとき犯人が凶器をナイフに持ち替えず、歩行者天国の中でトラックの暴走を続けていたら、もっと多くの人が死傷していたかも知れません。

メディアはこうした点について殆ど触れていませんが、レンタカー会社にしてみれば、これは非常に重大な問題です。というのも、同様にレンタカーのトラックを暴走させた死傷事件で遺族に損害賠償を求められたレンタカー会社が敗訴しているからです。

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これは2005年に仙台のアーケード街で起こった事件ですが、3名が亡くなり、4名が負傷しました。このうち、死亡した女性の遺族がアーケード内の道路を管理する仙台市とレンタカー会社に約7700万円の損害賠償を求め、仙台地裁は今年の5月に市への請求を退ける一方、レンタカー会社には約6400万円の賠償を命じました。原告被告双方とも一時は控訴しましたが、6月に双方とも控訴を取り下げたため、この賠償額が確定しました。

この件に関して、原告も被告も「資力のない加害者に代わる被害弁償の意味合いが強い」との認識では一致していると伝えられていますし、レンタカー会社に対して一般市民から「レンタカー会社が賠償義務を負うのは納得できない」などの意見が寄せられているそうです。

レンタカー会社は営業許可の基準として、対人保険は最低8000万円/人をかけていなければなりません。が、このような自動車を凶器とした犯罪で保険金が支払われることはまずないでしょうから、レンタカー会社に賠償が命じられれば全て彼らが被ることになるでしょう。

仙台のケースでは「賃貸契約により、レンタカー会社が車両の運行に関する支配と利益を有する」と認められることから、自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条の「運行供用者責任」を有すると見なされ、これを法的根拠として被告のレンタカー会社へ賠償金の支払いが命じられました。そして、これが「前例」となってしまったわけです。

仙台の事件と秋葉原の事件で使われたトラックを貸したのは偶然にも同じレンタカー会社でした。今般の秋葉原の件で同様の民事訴訟が起こされるかどうかは解りません。が、レンタカー会社としてみれば、犯罪に用いられるか否かの予見などまず不可能な状況で貸し出した車両でこうした事件を起こされ、その弁償を実質的に肩代わりさせられるとなれば、納得のいくハナシではないでしょう。私も個人的にこうした処置が適切とは思えません。

もちろん、被害者の側から見れば、奪われるだけ奪われ、加害者に資力がないゆえ、ただ泣き寝入りしなければならないというのでは無念だと思います。犯罪被害者に対しては国からの給付金制度もありますが、平成17年度のデータでは申請被害者608人に対して認定された被害者は412名、支払総額は11億3300万円でしたから、認定された被害者1人あたりの平均は275万円というレベルでした。

まずは犯罪の抑止を考えるべきでしょうが、犯罪をなくすことは不可能ですから、防ぎきれなかった犯罪の被害者に対して、もう少し厚い補償が受けられるような制度を検討すべきかも知れません。

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