そんな布石を打っておいて、原油増産の方針を示すという展開など、小説だったら単純すぎて見向きもされないでしょう。
クウェート首相、原油増産方針を説明 額賀財務相と会談
(前略)
高騰が続く原油価格について、クウェート側は中期的な原油増産の方針を改めて説明する一方、投機マネーの監視など先進国側の努力も要求。原油価格の安定には消費国と生産国が共同で対処する必要があるとの認識で一致した。
(中略)
会談では、現状は日量260万バレルの生産量を2020年までに段階的に同400万バレルまで増やすというクウェート側の増産方針について、額賀財務相が歓迎を表明。それに対し、ナセル首相は「産油国としての責任を果たすのは義務だ」と述べ、方針通りに増産していく考えを強調した。
(C)日経NET 2008年7月17日
サウジアラビアも現在は970万バレル/日ですが、来年半ばまでに新施設を稼働させ、1250万バレル/日に引き上げると伝えられています。これまで増産に消極的だった流れから、増産に梶を切り始めたのは「増産しなくても価格高騰で充分な増収が期待できる」という思惑から「多少の増産でも原油価格の大幅な下落はないだろうから、高く売れるうちにたくさん売っておこう」という思惑へ移行しはじめたからかも知れません。ま、これも実際のところはよく解りませんが。
一方、旧丸善石油(現コスモ石油)で原油調達を担当した経験もある、いわば石油の需給動向に関するプロだった福田首相もかねてから原油増産を望むコメントを繰り返してきました。今般、額賀財務相もクウェートの原油増産方針を歓迎するということで、日本政府としてのスタンスはハッキリしましたね。
それにしても、こうしたニュースが流れてメディアからも世論からも批判が起きないのは不思議で仕方ありません。日本のメディアも世論もほぼ例外なくCO2温暖化説を盲信しており、大衆メディアはことあるごとにCO2の排出削減は「待ったなし」とか「急務」などと煽っています。しかし、原油増産はCO2排出増加に直結します。CO2の排出を削減しなければいけないと本気で考えているなら、何としても増産を阻止し、消費削減を断行していくのが筋というものです。
もし、「原油増産=CO2排出増加」という図式を理解していないのであれば、これはもう救いようのないアホということになります。が、解っていながらこれを容認しつつ、「CO2排出削減は急務」と騒ぎ立てるのはダブルスタンダード以外の何ものでもありません。どちらに転んでも情けないハナシです。
「電車、バスが人気」「芝刈り機も手動に」 ガソリン高騰で米国に異変
(前略)
思わぬ活況にわいているのが、芝刈り機業界だ。きれいに刈りそろえられた庭の芝生がステータス・シンボルになる米国だが、エンジン式芝刈り機では燃料費がかさむ。そこで、手間がかかるとして見向きもされなかった手動式芝刈り機に人気が集まった。売り上げは前年比で70%増と爆発的な伸びを示している。
(C)MSN産経ニュース 2008年7月17日
これはほんの一例に過ぎませんが、アメリカでさえこうした動きをもたらしているわけですから、昨今の原油価格高騰がエネルギー消費削減の強烈な後押しになっているのは疑いの余地がありません。しかし、原油増産はこうした動きに水を差すことになるでしょう。ま、政治的には「原油増産の流れを示すことで投機筋の動きに水を差す」というのが狙いなのでしょうけど。
いずれにしても、CO2排出削減が叫ばれる一方、原油増産は容認されるこの矛盾が看過されているのは、要するに地球温暖化問題など初めから茶番だからなのでしょう。もしこれが茶番ではないというのなら、これまでCO2排出削減に消極的なアメリカを「自国の経済優先」と散々批判してきた立場で原油増産を歓迎するなど言語道断で、容認することも決して許されることではありません。これを好機と捉え、徹底的にもがいてみせるべきです。