で、このルービックキューブですが、1980年に日本で発売されたときはツクダオリジナルが版権を持っていたのですが、現在はメガハウスというところになります。そのせいかどうかはともかく、現在のものは昔のものよりギシギシと動きが渋く、シールの耐久性も低く、明らかに品質が低下しています。
動きの悪さはケミカルでかなりのレベルまで改善されます。当初、樹脂を侵さない潤滑オイルということでレスポのチタンスプレーを試してみたのですが、滑りが良すぎて落ち着きが悪く、また効果の持続期間も短く、全般的にイマイチでした。次に試したのはワコーズのシリコーングリースで、これはドンピシャでした。適度なフリクションに長期の持続性、恐らくルービックキューブのチューンナップ用としてこれを超えるケミカルはそうそうないと思います。

動きが改善されると余計に気になるのがシールの劣化です。しばらく使うとこんな感じになってしまうんですね。

そもそも、白いベースフィルムに顔料で着色したと思われるところへクリアフィルムを貼るというのでは耐久性など期待できません。クリアフィルムが剥がれてくるとこそから色が落ちてきますし、そもそもバインダー(接着剤)の質も良くありません。また、これだけ厚さがあると却って指に引っかかりやすく、端のほうがめくれやすくなるものです。
一応、スペアも販売されています。価格改定前は確か600円だったものが現在は500円に値下げされましたが、それでも安いとは思えませんし、あの耐久性ではそうそう貼り替える気にもなりません。
これならベースフィルム自体に色がついているカッティングシートのほうが遙かに優れているだろうと思った私はそれを自分で加工して貼り替えてやろうと考えていました。が、カッティングシートを小分けに買っても6色だと高くつくだろうと思いましたし、それを加工するのもかなりの手間です。
6面各々9つの正方形に切り分け、合計54枚作らなければなりません。さらに、剥がれにくくなるよう、その角を丸く切り落とす必要もあります。となると、216の角を丸めなければなりません。カッティングマシンでもあれば別ですが、手作業では大変な手間になりますし、何より私はこうした単調な作業が死ぬほど嫌いです。ということで、アイデアとしては悪くないと思ったものの、実際にやる気にはならず、しばらく放っておきました。
しかし、最近は上の写真のように大きく剥がれてきて、さすがにみっともなくなってきました。なので、あきらめてメガハウス純正のシールを購入しようと思いました。ところが、メガハウスのサイトのどこを当たればよいのかすぐには解らず、これは「ルービックキューブ シール」でググったほうが早かろうと思い、そうしてみました。
すると、メガハウスのそれではなく、CSKiTというルービックキューブ用カラーステッカーキットを販売しているサイトが1番目にヒットしました。もちろん社外品になりますが、「厚さ0.075mmの屋外中期用マーキングフィルムを使用しています」とありました。薄く耐久性の高いカッティングシートという、まさに私が考えていた、それそのものです。
即行で購入して貼ってみますと、これがかなりのものでした。元のシールを剥がした後処理(粘着剤の除去など)をしっかりやっておかないと、わずか0.075mmしかないフィルムですから凸凹になってしまいますし、そもそもこの種のフィルムを貼る際には気泡を作らないようなテクニックも必要です。
ま、その辺はあまり得意ではないので不覚にも出来てしまった気泡には針で小さな穴を開けて中の空気を追い出すようにしたり、色々ありましたが、純正より100円安くてこれだけのクォリティで、貼りやすいように転写シートも付属しています。さらに、貼り損じた際の予備も付属していますし、この内容なら大満足です。

純正のシールは数日も使うと端のほうからクリアフィルムが浮き気味になって、一週間もたたないうちに剥がれ始めますが(使用頻度によって多少は異なると思いますが)、CSKiTのシールに貼り替えて一週間ほどではびくともしません。これは間違いなく純正とは比較にならない耐久性を発揮してくれるでしょう。
メガハウスからはスピードキュービングキットというネジ止めで簡単にバラせ、給脂しやすく、専用ワックスを付属し、またネジの締め込み具合でフリクションも調整できるというハイグレードモデルも発売されています。が、ネジの蓋となるプレートが破損しやすいという悪評が高く、シールのクォリティも通常モデルと変わらないようです。
通常モデルでもケミカルチューンでそれなりのものが作れますので、個人的にはシールではなく着色した樹脂プレートをインレイワークではめ込み加工したハイグレードモデルを作ったほうが売れるような気がするんですけどねぇ。