酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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発電所は急に止まれない

私もCO2温暖化説云々は別として、有限である化石燃料は少しでも先の未来へ残すべく、省エネを進めようという意向に諸手を挙げて賛同します。が、実効性の伴わない(宗教じみた)精神論は排除すべきだと考えています。

こうした立場からいわせて頂けば、朝日新聞の社説は今日も笑止千万でした。例によって短絡的な発想で、見当違いの似非エコ精神論を開陳していたからです。

身近な省エネ―便利を少し我慢しよう

 コンビニエンスストアの深夜営業を抑制しようという動きが各地で起きている。地球の温暖化を食い止めるため、電力の消費を身近なところから減らそうという考えからだ。

(中略)

 そう思いながら夜の街を歩けば、省エネにつなげられそうなものが次々と目に飛び込んでくる。大音響が響き渡るゲームセンターやパチンコ店、やけに明るい歓楽街のネオン、24時間営業のレストランや飲食店……。

 とはいえ、一律に規制するのは乱暴だ。社会的な機能を評価したうえで、利用者とサービスの提供者の双方が、例えば営業時間などの便利さや手軽さを少しずつ我慢して、生活のあり方を変えていく。そうした積み重ねで省エネの暮らしをめざしたい。

(中略)

 化石燃料を燃やす人類一人ひとりの生活の結果が、地球の負荷になる。だれかが何かを我慢し、生活の形を変えて、地球の重荷を減らす。

 難しいことだが、豊かな地球を子や孫に残すため一歩を踏み出さなければいけない。便利さを犠牲にしてでも。

(C)朝日新聞 2008年7月28日


石原都知事も以前からコンビニの深夜営業を規制したいとする同様の意向を示していましたが、このように物事の一部分しか見ない単純な発想で論を進めていくのは、世の中の仕組みについて無知であることを露呈するものです。彼らは「何故、深夜電力が割引料金になっているのか」ということを全く理解できていません。

電力供給というのはピーク需要に余力を持って対応できるような体制が整えられていますが、一方ではオフピークの余剰電力を如何に有効利用するかということで様々な技術が開発されています。日本では揚水式水力発電が比較的大規模な対策として導入されてはいますが、やはり決定打となるレベルには程遠いものがあります。

原子力は始動や停止に大変なコストがかかりますから、事故や点検時以外に止めることは殆どありません。逆に、出力調整が比較的容易な石油火力やガス火力、貯水池式水力などは昼と夜とで電力供給量を変化させています。しかし、自動車などもアクセルの開閉を頻繁に行うより一定に保ったほうが燃費が良くなるように、発電も出力はできるだけ一定に保ち、それに最適化して設計されたプラントを運用するほうがエネルギー効率は良くなります。

電源の組み合わせ
電源の組み合わせ

上図は電気事業連合会による電力供給力の資料になりますが、この山と谷をできるだけ近づけ、平準化を進めることがエネルギーの利用効率を高めることにつながるわけです。つまり、

減らすことに意味があるのはピーク時の電力需要であって、オフピークではない

ということです。電力会社が深夜の電気料金を割引き、その需要を拡大しようとしているのも平準化を進めようという考え方に基づくもので、「ディマンドサイドマネジメント」と呼ばれています。こうした意味においては、例の「ライトダウンキャンペーン」の類も実質的な効果は殆どなく、精神的な自己満足に浸るものでしかありません。


新聞社が「省エネを推進しよう」というのなら、まずは新聞そのものの在り方について根本的に考え方を改め、手本を示して見せるべきでしょう。この電子化が進んでいる世の中にあって、紙に印刷したそれを毎朝毎夕全国に配達するといった極めてエネルギー効率の悪い旧態に甘んじている状況こそ、そろそろ本気で見直すべきです。

テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

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