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東京都の「ディーゼル車NO作戦」とは何だったのか? (その3)

東京都が「ディーゼル車NO作戦」を発表したとき、「石原知事に入れ知恵したのは××セラミックス研究所(某自動車メーカー××社の100%子会社、以下××セラ研)だったのではないか?」という噂も流れていました。が、これはデマだったと思います。というのも、石原都政がスタートする以前の1998年には東京都環境科学研究所がレトロフィット(後付け)DPF(粒子状物質減少装置)の共同開発者を公募し、それに手を挙げて共同プロジェクトに参画したのが××セラ研だったからです。

恐らく、石原知事は就任後様々な報告書などに目を通す中で、解りやすく大衆ウケするこのプロジェクトに目を止めたのではないかと思います(あくまでも個人的な憶測です)。学識経験者など現場を知らずに机上論をこねるプロたちを絡めて「ディーゼル車NO作戦」を展開させたのではないかと、要するに彼がよくやる「単なる思いつき」なのだろうと、私はそんな風に想像していました。(同様に深く考えずに始めた銀行が火の車になり、莫大な税金が投入された愚は皆さんもよくご存じの通りですね。)

東京都環境科学研究所との共同プロジェクトに参画した××セラ研のDPFはセラミック製のフィルターを2セット用意し、片側のフィルターが目詰まりしたらもう一方へ切り替え、休ませている間にフィルターに仕込まれた電気ヒーターで粒子状物質を焼いてしまうという方式でした。

もちろん、東京都の保有車両へ装着して試験が行われていたDPFは××セラ研だけではありませんでした。他にも××セラ研と同様に2セットのヒーター内蔵フィルターを交互に使う方式を提案していたメーカーはありましたが、この方式では××セラ研のものが一番優れていました。というのも、彼らのDPFは非常にコンパクトで、後付けの改造が比較的容易だったからです。

他社の場合、フィルター2コを横に並べていましたので、スペースの確保が難しいケースが多々ありました。しかし、××セラ研のものはフィルターを前後に配置していたため、スペース効率が非常に優れていました。こうしたフィルターは消音効果もありますので、マフラーとの差し替えになるのですが、デフォルトのマフラーと比べてもあまり大きくならない××セラ研のDPFは、それゆえ改造が容易だったわけです。


××セラ研のDPF
エキゾーストマニホールドとつながるパイプはタイコの中央へつながり、
そこにある切替弁で写真手前と奥、前後に2つ並べられた
セラミックフィルターのいずれかに排ガスを通す格好になります。
他社はこのフィルターを横に並べていましたので、
デフォルトのマフラーとの単純な差し替えが非常に困難でした。


××セラ研のDPFは東京都交通局のバスや東京都清掃局(当時)のゴミ収集車にも試験装着されるなど、状況としては他社より完全に頭一つリードしているような格好でした。が、実際に現場の意見を聞いてみますと、作動不良による目詰まりもあったようですし、「装置の中に電気を通すため、高圧洗浄機の水を直接かけるなといわれているので、洗車しにくくてかなわない」と、評価はあまり芳しいものではない印象でした。

また、この方式を信用していなかった東京消防庁は緊急出動時にエンコされては人命に関わるので、万一目詰まりを起こしても対処できるよう、バイパスを設ける必要があると判断していました。

とはいえ、国内メーカーとしては草分け的な存在だった彼らは、ディーゼル車NO作戦の展開からかなり強気のアピールを始めたようでした。あの時点で××セラ研は他系列メーカーでも殆どの車両に装着できると豪語していましたし。(ちゃんとテストしていたのかどうかは謎ですが。)

あの段階ではまだ試験販売という状況だったと思いますが、車載状態で再生可能なDPFの市販を開始していたのは××セラ研が実質的に唯一という状況だったと思います。そうした状況にあって東京都は都内を走る全てのディーゼル車にDPFの装着を義務づける条例を策定しようと動いていましたから、彼らとの密接な関係が疑われたのは無理もないことだったと思います。

しかし、東京都は建設局の車両購入案件で××セラ研の系列販社だけを指名から外しました。その一方で、彼らが配布した仕様書には「DPFを取付けること」と明記されており、担当職員が「DPFのアテがない方は、こちらに資料をご用意していますので、申しつけて下さい」といって××セラ研を紹介していました。こうした状況から、

「××セラ研がどこのメーカーにも対応できると豪語していることを東京都は確かめるため、わざと系列販社を呼ばなかったのではないか?」

といった噂が流れました。で、結局のところ前回、前々回でも触れましたように、この案件は不調となりました。それは××セラ研が対応可能と言い張っても、当の自動車メーカーが保証できないと判断したからです。要するに、テストもしたことのない社外品を排気管に装着し、エンジンに不具合が生じたとしても、自動車メーカー側では責任を負えないというわけです。このため、各社とも入札の際に「辞退」の札を投じたのです。

(つづく)

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