酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

巧妙な値上げ戦略

私は機械メーカーに勤めていることもあって、原材料価格の高騰は非常に身近な問題です。以前にもシマノの値上げについて取り上げた折に触れましたが、私が勤める会社では毎年5%ほど製品価格を値上げさせてもらってます。そういう意味ではずっと価格を据え置いてきた自動車業界に対して「よく頑張るよなぁ」と感心していました。が、ついに今秋より値上げが敢行されることになりました。モデルチェンジを伴わない値上げは実に34年ぶりのことだそうです。

こうした値上げは最大手が動かなければ業界全体として動きにくいものです。ガソリンの卸売価格も最大手の新日本石油が価格改定を行って他社もそれに追随するというパターンが常ですし。そういう意味で、今回業界最大手のトヨタが値上げを伝えるニュースリリースを出したのは、他社とって朗報となるハズでした。が、やはりトヨタですから、単純な値上げはしませんでしたね。他社にとってはむしろ有り難くない戦略に出たという印象です。

当初は比較的車格の高い乗用車について幅広く値上げするプランもあったようですが、最終的にはニュースリリースにあるとおり、商用車とハイブリッド車などの一部に限定される格好となりました。商用車については既に大型および中型のトラックやバスが7月くらいから値上げされていました。なので、小型トラックや商用ワゴン車などにもそれが波及するのは至って自然な流れで、マーケットの理解も得やすいでしょう。

また、商用車というのは法人所有で業務に必要不可欠な耐久消費財としての需要が中心になりますから、個人所有が大きな割合を占める乗用車よりマーケットが安定しています。(ウチの会社もそうしたマーケットのさらにニッチなところで商売させて頂いているので、毎年5%の値上げも許容されるわけですね。)

ハイブリッド車に関してはシビックを除いて殆どライバルが存在しません。しかも、プリウスなどはモデル末期にも関わらず、昨今のガソリン価格高騰で売り上げをかなり伸ばしているといいます。私のプリウスも3ヶ月待たされて今年の6月に納車しましたが、その納車の際に「この3ヶ月の間に需要がさらに伸びていますので、納期もさらに延びている状況です」との旨、ディーラーの営業マンが言っていました。要するに、黙っていても売れるクルマは値上げもしやすいということですね。

もちろん、これらは理由付けもしやすいでしょう。トヨタのニュースリリースにも「今回、鉄鋼やレアメタルの使用量が多い商用車およびハイブリッド車について、価格改定を行う事とした。」と書かれているように、鉄をたくさん使うトラックなどの商用車と電気モーターの制御システムなどにレアメタルをたくさん使うハイブリッド車が対象となったというのは、値上げの「建前」として非常に解りやすいものです。

また、ハイブリッド車は原価に対して売価がかなり安く抑えられており、利益率が非常に低い車種だということは業界内でよく知られるところです。なので、値上げもやむなしという理解も得やすいでしょう。

実際のところ、トヨタは乗用車の値上げをハイブリッドに限定してマーケットの様子を伺おうと目論んでいるのかも知れません。小型乗用車などライバルが多い激戦区のマーケットでは販社がシェアを落とさないよう値引き合戦を展開してしまうケースが多々あります。となれば、メーカー希望小売価格と販社への仕切価格の値上げが売価にそのまま反映されず、マーケット全体に及ぼす需要変化を読みづらくなる恐れもあります。

しかし、上述のようにハイブリッド車はライバルが非常に少なく、指名買いの需要が比較的多いマーケットゆえ、価格改定の影響を観察しやすいといえるでしょう。トヨタは世界で最も体力のある自動車メーカーですから、こうして動向を見極めながら次の一手を考える余裕もあるのでしょう。

これは他社にとって非常に辛い状況といえます。鉄鋼大手と鋼材価格の値上げについて交渉が重ねられてきましたが、自動車メーカーとの取引価格については今年の5月に約30%の値上げで妥結したと伝えられていました。本来であれば全車種をそれなりに値上げしたいところでしょう。

商用車についてはすかさず日産も値上げを発表しましたが、乗用車についてはアテが外れた格好になったと思います。しかも、国内の乗用車マーケットはかなり冷え込んでいますから、値上げをすればさらに水を差すことになるでしょう。ホンダもいまのところは新型車投入やモデルチェンジを伴わない価格改定は行う予定がないとしていますので、各社の業績悪化は必至といったところでしょう。

toyota_prius.jpg
現在、プリウスのメーカー希望小売価格は
2,268,000~3,255,000円(税込)となっていますから、
今般の価格改定で68,000~97,650円の値上げとなります。


ま、私個人としては値上げされる前に値上げ対象車種を買ったということで、少し得した気分です。私が購入したプリウスS"10th Anniversary edition"の希望小売価格は2,730,000円(税込)なので、来月から81,900円も高くなります。クルマは元々の単価が高いですから数%の値上げでも結構な額になりますね。

テーマ:自動車全般 - ジャンル:車・バイク

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/219-42098163
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。