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何故、朝日新聞の社説は頓珍漢なのか?

当blogでは度々5大紙の社説、特に朝日新聞の社説に注文を付けていますが、それは右とか左とか、そういう問題ではありません。基本的な部分で書き手の理解に誤りがあることを看過することができないからです。

先日もグルジア紛争についてこんな頓珍漢なことを書いていました。

グルジア紛争―欧州の役割に期待する

 米国とロシアの軍艦が黒海で互いの動きを監視し、にらみあう。まるで冷戦時代に逆戻りしたかのような光景だ。米ロ対立は収まるどころか、さらにエスカレートしている。

 ロシアは、紛争の発火点となった南オセチア自治州ばかりか、同じグルジア領内のアブハジア自治共和国の独立を承認するところまで踏み込んだ。欧米は旧ユーゴスラビアのコソボ自治州の独立を認めたのだから当然だ、という理屈なのだろう。

 しかし、国際社会がロシアに追随することはありえない。独立承認はグルジアへの肩入れを強めるブッシュ米政権への面当てのようにも見える。

 上海協力機構の首脳会議でも、中国の胡錦濤主席らはロシアの支持要請に応じなかった。世界を2陣営に分割するようなことが通用するはずもない。

(後略)

(C)朝日新聞 2008年 8月31日


コソボと南オセチアの置かれている状況や歴史的背景が同じでないことは私も承知しています。が、ロシア寄りのセルビアから独立して西側諸国に同調しようとしているコソボは認めつつ、西側諸国寄りのグルジアから独立してロシアに同調しようとしている南オセチアは認めないというのは西側諸国のエゴであり、ダブルスタンダード以外の何ものでもありません。

南オセチアに侵攻するグルジア軍の戦車隊
南オセチアに侵攻するグルジア軍の戦車隊

確かに、ロシアが南オセチアを庇護する背景には西側諸国、とりわけアメリカに対する当てつけという意味もあるでしょうし、コソボ紛争の流れを受けるものでもあると思います。しかし、中国がロシアの支持に応じなかったのは「世界を2陣営に分割するようなこと」を胡錦涛主席が望まなかったからではありません。

上海協力機構首脳会議
上海協力機構首脳会議
同機構オブザーバー加盟国イランのアフマディネジャド大統領と
握手を交わそうとしているロシアのメドベージェフ大統領。
その奥に見えるのが中国の胡錦涛主席。


そもそも、中国がこのパワーゲームに乗っかるメリットはあまりないでしょうし、彼らにはそこまで国際社会のことを考えるような責任感もないでしょう。彼らがロシア支持の要請を蹴った理由はただ一つです。

国内の独立運動弾圧との整合性を保つため

中国も国内にチベット自治区や新疆ウイグル自治区などの独立問題を抱えており、また台湾の独立も認めていないのは今さら言うまでもないでしょう。国内の独立勢力に対して時に武力を行使して弾圧しながら他国のそれを認めるとなれば、やはりダブルスタンダードだと批判されるのは火を見るより明らかです。また、他国の独立を認めれば、国内の独立勢力の火に油を注ぐことにもなるでしょう。中国政府もそこまで莫迦ではないということです。

中国政府は南オセチアの独立を認めていませんが、コソボの独立も認めていません。要するに、このようなパターンの独立は承認しないという立場でずっと一貫しているわけです。国内の独立運動を弾圧し続けるために、その姿勢を維持しているに過ぎないということです。

朝日新聞は「南オセチアの独立承認で世界を2陣営に分割するような行動に出たロシアを中国も突き放した」としか読めないような社説を載せていますが、これはとんでもない曲解です。

日本の大衆メディアの論評は総じて大したレベルではないと思いますが、社説に関していえば朝日新聞の勘違いぶりは5大紙の中でもかなりのものです。まさか、5750名の朝日新聞全社員がこの程度ということはないでしょう。つまり、論説委員に対して誰も意見を言えない風通しの悪さが、こうした頓珍漢な社説を許しているのだと思います。


余談になりますが、もし冷戦時代に逆戻りしたら、地球温暖化問題など科学的根拠が不充分な環境問題をネタに繰り広げられている回りくどいパワーゲームは一気に収束し、かつてのようにストレートなそれが展開されるのは間違いないと思います。

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まとめ

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