酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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プライドを挫く仕事

クルマに限らず、工業製品の意匠はデザイナーの理想と無関係なカタチで決まってしまうことも珍しくないでしょう。当代最高、史上屈指の工業デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロも常にその点に腐心しているといいます。

まだ私が高校生くらい(20年以上前)だったと思いますので、かなり記憶が不確かなのですが、図書館にあった彼の作品集にこのようなこと(言葉そのものは不正確だと思いますが、主旨としては間違っていないハズです)が書かれていました。

「デザイナーの苦悩はデザインのアイデアを得ることではなく、クライアントの理解を得ることだ。」

あれほどの巨匠にしてこのコメントですから、メーカーの社員デザイナーなど推して知るべしといったところでしょうか。

日本車のデザインは欧米車のパクリが多いと言われます。しかしながら、色々見渡してみますと欧米のメーカー(特にルノー)も日本車のスタイリングやディテールの一部などを模倣しているケースはありますので、その辺はお互い様といったところだと思います。しかし、真剣なデザイナーほど、才能のあるデザイナーほど、こうした仕事はやりたくないと思うでしょう。

通常、クルマのデザインは企画段階でコンペが行われます。無数のスケッチから段階を経て絞り込まれていきますが、原寸大モックアップが製作され、評価される段階でも3~4案くらいは残されるのが一般的かと思います。何を規準にどのような評価が下されるかはメーカーによってもその時々によっても異なるでしょうが、いずれにしてもデザイナーの理想が生き残るとは限りません。むしろそのほうが希なのかも知れません。

あるいは、マーケティングリサーチの結果を受けてやりたくないデザインをやらされるというケースもあるでしょう。職人気質のフリーランスなら死んでも受けないような仕事だったとしても、サラリーマンデザイナーは甘んじてそうした業務に就き、淡々とこなしていかなければならないのでしょう。

そういう意味ではホンダのデザイナーが新型インサイトのコンセプトモデルでやらされた仕事には同情を禁じ得ません。

インサイトコンセプト
インサイト コンセプト
このスタイリングを見た瞬間に思わず失笑してしまったのは
私だけでしょうか?


先駆者
同じようなアングルの写真を探してみました。
前後の意匠が大きく異なるのは当然として、
見比べますとルーフの曲率やタイヤサイズ、
キャブのボリューム感も若干違うようです。
が、全般的なフォルム、殊にピラーのつながり方や
そのバランスは非常によく似ていますね。


昨日(2008年9月4日)付のプレスリリースによれば、この新型インサイトのコンセプトカーは来月開催されるパリモーターショーで発表されるそうで、

この「インサイト コンセプト」は、新型インサイトの持つ次世代のハイブリッドカーとしての先進性や個性を具現化するコンセプトモデルである。


とホンダは述べています。が、「個性」を謳うのであれば、このスタイリングはないでしょう。

発売予定は2009年とのことですから、パイロットプロダクション(量産試作:実際の製造ラインないしそれに準じる施設を用い、実際の量産体制と同じ段取りで行われる試作で、品質管理や合理化などが検討されます)もボチボチ始まっていると思います。つまり、モーターショーでのリアクションを受けてもこのスタイリングが見直されることはまずないでしょう。

初代インサイトはアルミボディを奢り、その身軽さで先駆者を若干上回る燃費データを稼ぎ出しましたが、そのアルミボディのせいで大変な赤字となり、売れば売るほど損をするといわれていました。ゆえに、スポーティでも何でもないキャラクターに2座という実用性の低いパッケージングとし、あえて「売れないクルマ」に仕立て、企業イメージを牽引する広告塔的な位置づけにしたというのがもっぱらの噂です。(あくまでも噂です。)

恐らく、ホンダはシビックハイブリッドで製造面での合理化などを含めた様々なノウハウを学び、本格的にハイブリッド専用車のマーケットへ参入しようと考えているのだと思います。高速燃費を稼ぐために空力を煮詰めるとおおよそのフォルムはこうなってしまうのかも知れません。が、それでもイメージが重ならないように仕上げるのがデザイナーの仕事であり、そうした環境をつくってあげるのが開発主査の務めでしょう。

ま、何処までデザイナーの責任で新型インサイトのコンセプトモデルがこのような姿になってしまったのかは解りませんが、こうした仕事をさせ続けると彼らのモチベーションはどんどん低下し、悪循環に陥るのは必至だと思います。

テーマ:新車・ニューモデル - ジャンル:車・バイク

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