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逆ネジ対応トルクレンチ (その2)

自転車に用いられている逆ネジは右BB(イタリア規格は順ネジですが)や左ペダルなどで、いずれも緩み防止が目的になるのでしょう。また、いずれもネジ径が大きく、多少の過締めではネジ山を舐めてしまうこともそうそうないと思います。なので、気にしない人はこんなところに厳密なトルク管理など必要ないと思われるでしょう。

いえ、私もそう思いますが、マニュアルに指定トルクが明記されているところについては、できるだけそれに従わないと気持ち悪いといいますか、キッチリとトルク管理して組み上げると完璧な仕事をした気がするとか、そういう気分的なところが大きいわけです。プロで職人気質の方にしてみれば、「何を素人臭いことを」と思われるかも知れませんが、そもそも私は素人ですし、自分の感覚はあまり信用していませんので。

ということで、逆ネジ対応のトルクレンチを物色しました。まずは老舗の東日を当たってみましたが、プリセット式で逆ネジ対応は生産ライン用の単能型か、トラックやバスの足周り用くらいしかなかったんですね。

東日のものは単能型でも専用工具で設定トルクをアジャストできるようになっているのですが、その際にはテスターが必要になります。ということで、一般的な使用条件では現実的といえません。

トラック用は以前にも触れましたが、左側(助手席側)のハブボルト&ナットは殆どが逆ネジになっていますので、足周り用は左右両ネジ対応でなければ製品として成立しません。が、何せ大型自動車の足周りと自転車とでは締め付けトルクのレンジが桁違いです(メーカーや車両総重量のカテゴリーによっても違いはありますが、大型トラックのホイールナットの締め付けトルクは概ね400~600N-mくらいが相場です)から、自転車にはまるで使い物になりません。

どうしたものか・・・と考えていたところ、ふと思い出しました。2005年の東京モーターショーで部品関係のセクションに工具メーカーのKTCがブースを構え、大々的にプロモーションしていたデジラチェという製品です。これは逆ネジにも対応しているということを思い出しました。

デジラチェ

単純に言えば電子式トルクレンチですが、構造はそれほど複雑ではありません。汎用のラチェットハンドルを流用し、歪みゲージをセンサとし、マイクロプロセッサや液晶表示部などを搭載したユニットで構成されています。トルクをかけた際のシャフトの撓みを歪みゲージで測定し、ドライブ部にかかっているトルクを演算するといった感じでしょう。SRMパワータップといったパワーメーターも同様に歪みゲージを応用しているのは自転車乗りで知らない人は殆どいないでしょう。

で、このデジラチェですが、プリセットしておいたトルクに達するとLEDのパイロットランプとビープ音で知らせる方式のほか、常時値が表示されていますから、トルク測定にも使用可能です。つまり、プレート形やダイヤル形のような直読式と、プリセット式のどちらとしても使用することができるわけですね。しかも、表示単位がN-mのほか、kgf-m、lbf-in、lbf-fにも対応します。ま、私の場合はN-mだけで充分ですが。

少々興味をそそられた私は実際の使い心地はどうなのかと思い、いつもクルマいじり用の工具を買っている馴染みの店に行ってデモ用のそれを使わせてもらいました。結論からいいますと、非常に特殊な印象で、従来の機械式に馴染んでいる身にはかなりの違和感がありました。

前回ご説明したとおり、一般的な機械式はプリセットしたトルクに達したら、「カチッ」という音と手応えでそれを知らせます(ドイツのハゼットなどはこれらに加えて赤いマーカーが突起するような凝ったものもありますが)。

ところが、デジラチェにはまず手応えがありません。トルク測定用の機械的な構造はハンドルユニットの取り付けとそのロック方法を除いて一切なく、基本的に電子デバイスに依存しているのですから、当然といえばそれまでですが。いずれにしても、プリセットしたトルクに達したことを知らせるシグナルは上述のとおりLEDランプの点灯とビープ音になります。

このシグナルが案外クセモノでして、実はプリセットしたトルクの90%まで達すると、ビープ音とLEDランプが断続的に作動します。要するに、「もうすぐ設定トルクになるよ」という予告として「ピッピッピッ」と鳴り、LEDもそれに合わせて点滅するんですね。で、プリセットしたトルクの100%に達すると、「ピー」と鳴りっ放しになり、LEDも点灯しっ放しになるというわけです。

しかし、機械式ではいきなり「カチッ」と来ますから、私の場合はそうしたシグナルで反射的に手の力を抜くように身体が出来上がってしまっているんですね。正直なところ、予告はじゃまくさいですし、手応えがないのも当然だと頭では解っていても、やはり違和感があります。

「何か違和感ありますね。」
「機械式に慣れた方は皆さんそう仰いますね。価格的にも最近は機械式で精度も劣らず、この半額くらいのものもありますから。単位換算が面倒とか、直読式のような使い方もしたいとか、デジタル表示のハイテクっぽい雰囲気が好みだとか、そういう方以外はあまりメリットがないかも知れません。」
「実は、このレンジの機械式は既に持っているんですが、逆ネジ対応が欲しいと思って見に来たんですよ。」
「いまどき逆ネジなんて珍しいですね。」
「自転車には逆ネジがあるんですよ。例えば・・・(略)。」
「なるほど、そうですか。逆ネジ対応ということならこちらがお勧めですよ。」

といって店員さんが持ってきてくれたのが逆ネジ対応の機械式でした。

(つづく)

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