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逆ネジ対応トルクレンチ (その3)

デジラチェというKTCの電子式トルクレンチは、従来の機械式に慣れた私にとって違和感のある製品でした(あくまでも個人的な感想です)。特にあの「カチッ」という振動のシグナルは力をかけている手の感覚と非常に密接につながるものですから、こうした手応えがあるほうが反射的に対応しやすいと思います。

もし、私にこうした製品のプロデュースをやらせてもらえるなら、設定トルクに達したところでビープ音を鳴らし、同時にバイブレーターで手応えを演出し、機械式から持ち替えても違和感なく使えるような工夫を施していたでしょう。TVゲームのコントローラーなどはかなり前からバイブレーターを仕込み、様々な演出に利用してきたのですから、これを応用するのはアイデアとして悪くないと思うのですが。

さて、私の「逆ネジに対応するトルクレンチ」というリクエストに行きつけの工具店のスタッフの方が提案してくれたのはシグネット72110でした(当blogでも以前に写真だけ登場していますが)。これを見た瞬間、私はこう呟いていました。「おお、なるほど、リバーシブルですか。」

シグネット72110
SIGNET 72110

これは差込角をスライドさせてレンチを裏返してやれば、本体の機構が従来どおりでも逆ねじに対応できるというアイデアです。

シグネット72110ヘッド部
通常の順ネジは写真左のような状態で使用しますが、
逆ネジに対応するときは写真右のように差込角をスライドさせ、
表裏を逆に用いて使用します。


私は同社の「サイレント・ラチェット」と称するワンウェイローラークラッチのギヤレスラチェットハンドルを持っていたのですが、その差込角の部分がこれと同じスライド式で、時計回りと反時計回りは裏返すという方式になっていました。それゆえ常用のラチェットハンドルとしては使い勝手が悪く、友人に譲ってしまいましたが。

以前、「ハブボルト折損は不可避なのか?」と題したエントリでトラックのホイールナット用トルクレンチに触れましたが、あれも考えかたは全く同じです。あのときご紹介したものは差込角が両面に出っぱなしになっていますが、スライド式はよく見ないと普通のラチェットヘッドと殆ど区別が付かないスマートさが良い感じです。

同様のものはプロクソンなどからも発売されていますが、お店の人曰く、「プロクソンのものは副尺が付いていないので微調整にやや難ありですね。また、シグネットはこのトルクレンチの発売に当たって日本でも校正を受けられる体制を整えてきましたから、より精度を気にされるのでしたら断然こちらのほうがお勧めです。」とのことでした。

以前にも触れましたが、トルクレンチは測定器具ですから、必ず定期的な校正を受けなければ精度は保証されません。アマチュアで使用頻度が低い場合、あまりナーバスに考えることはないかもしれませんが、校正を受けられるメーカーのほうが無難ですし、長い目で見ればお得かもしれません。このシグネットの場合も校正費用は5,000円くらいかかるそうですが、買い直すことを考えればずっとお得です。

使用方法は極めて常識的です。指定トルクのプリセットはグリップエンドのロック機構を引っ張って解除し、ハンドルを回してメインゲージの指針を合わせます。メインゲージは1目盛り1N-mですので、小数点以下はハンドルの前端に刻まれている副尺で合わせます。ハンドル1回転あたり2N-mになっていますので、0.1N-m刻みの副尺はハンドル半周で1N-m分が刻まれています。トルクをプリセットしたらグリップエンドのロック機構を押し戻せばスタンバイ完了です。

私が持っているトルクレンチの中でもっとも古いのはクルマいじり用に使っているもので、メインのゲージがシャフトに直接刻印されています。当時はこうしたものが普通でしたが、このシグネットや以前にご紹介した東日のように小窓が設けられていてそこに目盛りが印刷されたゲージが覗いているタイプのほうがずっと読みやすく、合わせやすくて良いように思います。

シグネット72110ゲージ

このシグネット72110で強いて難点を挙げるなら、差込角にソケットを装着する際、指で押さえておかないと、スライド式のそれが反対側に出っ張ってソケットが装着できないということくらいでしょうか。ま、通常のラチェットハンドルのように頻繁に差し替えるような使い方をするものではありませんし、そもそも構造上致し方ないでしょう。(逆ネジ対応である必要がないという人にとっては邪魔くさい機能でしかないでしょうけど。)

で、自転車いじりに使う場合、例えば順ネジの左ワンを取り付ける際は下の写真のように普通に使います。

左ワン取付時

一方、逆ネジの右ワン(イタリア規格を除く)を取り付ける際も裏返すだけで、使い方は全く同じです。

右ワン取付時

これで以前のように左ワンを締めたときの手応えを覚えておいて、その手応えの記憶を頼りに右ワンを締めるといったプリミティブな方法は必要なくなりました。

デジラチェには今でも興味はありますし、インターフェイスもそれなりに練られていて一度使えば迷うことはないと思います。が、多機能ゆえ機械式のシンプルな使い勝手に比べると煩雑な印象は拭えません(あくまでも個人的な感想です)し、あの違和感はすぐに馴染めそうもなく、私はこの機械式のリバーシブルトルクレンチを選びました。

ま、好みの問題も多々あるでしょうし、私の場合は機械式に身体が馴染んでしまっているため、このインプレッションはそうした部分を差し引いて読んでもらったほうが良いと思います。逆に、初めて使ったトルクレンチがデジラチェという人にとっては機械式のほうが使いにくく感じる可能性も否定しません。

(おしまい)

コメント

逆ネジ対応のトルクレンチはないものか?と検索していたら、普段よく覗いていたここに(^^;
しかも、BBで使われてますね。まさに同じ用途でした。実際の使用感覚のレビューは参考になりました。

  • 2009/01/22(木) 12:58:52 |
  • URL |
  • みんくす #2zMSGBfo
  • [ 編集]

みんくすさん>

>BBで使われてますね。まさに同じ用途でした。

やはり皆さんBBの取り付けに逆ネジ対応が欲しいと思われるんですねぇ。当blogのアクセス解析をチェックしていましても、この逆ネジ対応トルクレンチ絡みのキーワード検索でおいでになる方が案外多くて、工具関係ではグリスガンに次いで関心が高いようです。

私が愛用しているシグネット72110ですが、キーワード検索してみますと取り扱っているオンラインショップがいくつもヒットしますから大丈夫だと思いますが、本家サイトのラインナップ(http://www.signetools.com/torque.htm)からは消えているのが少々気になります。ま、この種のリバーシブルタイプはプロクソンのNo23351などもありますから、仮にシグネットがダメでも選択肢がなくなってしまうわけでもありませんが。

  • 2009/01/23(金) 00:23:35 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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