酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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量ではアメリカのほうが遥かに多い

例のメラミン混入牛乳の件について各紙が社説に取り上げ、異口同音の論評を展開していますね。

朝日新聞 「メラミン問題―海またぐ食の安全管理を
読売新聞 「メラミン牛乳 中国産食品の検疫を厳格に
産経新聞 「メラミン問題 中国に毅然たる態度貫け

朝日は見出しに中国の名を出していませんが、本文は他紙と同様に事実関係の精査と日中両政府に厳格な検疫体制を求める内容になっています。

丸大食品「クリームパンダ」の撤去を知らせる張り紙

確かに、今般のケースは極めて悪質ですし、また読売や産経が指摘しているように以前ペットフードに同様のメラニン混入があり、アメリカで多数のペットが死ぬ事件に発展した同じ轍を踏んでいる愚かさには呆れるしかありません。

ただですね、読売の見出しのように「中国産食品の検疫を厳格に」というと、私のようなへそ曲がりは「中国だけでいいの?」と突っ込みたくなってしまうわけですよ。もちろん、そんなことないのは重々承知していますが。

厚生労働省の『輸入食品監視統計(平成18年度版)』によれば、違反件数が最も多いのは中国ですが、量で見ればアメリカの約15万トンがダントツのトップで、これは中国の約43倍に及びます。このうち、9割方がトウモロコシで、主に輸送中に発生したカビが原因となっているようです。

もちろん、これは食用のサンプル検査でハネられた分だけですから、実際にはもっと大量のカビ毒に汚染されたトウモロコシが出回り、トウモロコシ加工食品に用いられていると推測されるわけですね。ましてや、家畜の飼料用となると、サンプル検査は全体のわずか0.4%だそうですから、どれだけカビ毒に汚染された飼料が出回っているかは知る術もないでしょう。

こういう状況が全くといってよいほど知られていないのは一種の「偏向報道」と言えるでしょう。単に大衆メディアが無能ゆえ気付いていないだけなのか、中国バッシングをしたいのか、アメリカの顔色を窺っているのか、この問題をつつくと大変な食糧パニックに発展する恐れがあるので誰も腫れ物に触りたくないのか、ま、そんなところなのだと思います。

余談になりますが、例の事故米では「基準値の2倍のメタミドホスが検出された」ということで大衆メディアは祭り状態になっています。が、彼らの殆どはその基準値がどのように設定されているのか全く理解していないと思います。良い機会なので、この種の残留農薬の基準値がどのようなカタチで定められているのか、ザッとご説明しておきましょう。

まず、複数の動物を使って「無毒性量(NOAEL)」を割り出します。これは生涯毎日摂取し続けてもその化学物質による悪影響が出ないギリギリの量です。もちろん、人体実験を行うことは出来ませんし、動物の種類によって毒の感受性は異なりますから、さらに万全を期してこの無毒性量の100分の1(場合によっては1000分の1)を「一日摂取許容量(ADI)」としています。残留農薬の基準値は、常識的な量を食べたとき一日摂取許容量のさらに何百分の1といったレベルに収まるよう定められているのです。

つまり、残留農薬の基準値というのは、無毒と考えられる量のさらに数万分の1程度でしかないわけです。ですから、基準値の2倍といっても、その化学物質が毒として作用すると考えられる1万分の1とか、そういうレベルの極々微量に過ぎないわけです。この程度では健康被害に至ることなどまずあり得ません。

彼らがバカ騒ぎしているのは基準値がどのようなものなのか全く知らない故でしょう。もちろん、危険性がないからといって不正を容認してもいいということではありません。ただ、物事の中身を全く理解せず、勝手な想像だけで必要以上に騒ぎ立て、結果的に集団ヒステリー状態へ扇動しかねない大衆メディアの野次馬体質は何とかならないものかと私は危惧しているわけです。

テーマ:食に関するニュース - ジャンル:ニュース

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