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テクニクスは残された

今日から松下電器産業株式会社はパナソニック株式会社になりましたね。

元々「パナソニック」というブランドは、海外マーケットで「ナショナル」の商標が登録済みだったり、国家主義的なイメージを避けるなどの理由で設けられ、50年以上の歴史を刻んできたそうです。日本国内では1980年代中頃から音響・映像機器のブランドとして徐々にナショナルからパナソニックへ移行していったという感じでしょう。

当blogでも以前に触れましたが、私たちの世代はHi-Fiオーディオブームの折に生まれた「テクニクス」が高級オーディオ機器や電子楽器のブランドとして用いられていた時代をよく知っています。最近はターンテーブルやミキサーなどを中心としたDJ機器のブランドとして細々と展開されてきたような状況ですから、世間一般からはもはや忘れ去られた存在なのでしょう。

テクニクスが日本国内のマーケットにおいて高級オーディオ機器から撤退したのは3年前でした。これはテクニクスに限ったことではなく、ローディー(日立)や、オーレックス(東芝)や、オプトニカ(シャープ)や、オットー(三洋)など、家電メーカーのオーディオブランドは(時期の早い遅いは別として)似たような末路へ至っています。三菱電機のダイヤトーンは1999年に一度撤退し、2005年に同グループの三菱電機エンジニアリングからハイエンド市場に復活しましたが、これは非常に珍しいケースでしょう。

マーケットの縮小による影響は当然ですが、高級オーディオブランドとしてのテクニクスにとってはDCC(デジタル・コンパクト・カセット)の失敗も大きな痛手になっていたと思います。その存在を知る人も滅多にいないくらい惨憺たる結果に終わりましたが、固定ヘッドでデジタル録音/再生が可能、カセットのサイズは従来のアナログカセットテープと同じゆえ、そのアナログテープの再生にも対応するものでした。

Technics RS-DC8
Technics RS-DC8
これはフルコンポサイズの据え置き型ですが、
この他にもパナソニックブランドで
ミニコンポや1DINサイズのカーコンポ、
ヘッドホンステレオなども展開されました。


しかし、これが出て来たとき、誰しもMDとの競合を悟り、メディアの大きさでも、使い勝手でも、全般的な雰囲気でも、MDのほうがマーケットを掴むのは間違いないだろうと直感したでしょう。DCCが完膚無きまでに叩きのめされる状況は相当な素人でも予想できたと思いますし、結果もその通りになりました。

ただ、スペックを見るとDCCはかなり野心的でしたけどね。MPEGのオーディオレイヤーに似たデータ圧縮を行っているのはMDのATRACも同じですが、DCCのPASCという形式は通常記録領域が15bitであるのに加え、対数的に記録している領域が21bit相当でした。合計36bitということは理論上216dBにも達するダイナミックレンジを確保していたんですね。

ただし、DCCのPASCもMDのATRACやMP3等と同様にフーリエ変換で分解していたため、位相が忠実に再生できないことを避ける目的でサブバンドのフィルターを設けていました。このフィルターが24bitまで対応したところでDCCそのものがお蔵入りになってしまったので、最終的に24bitすなわちダイナミックレンジは理論上144dBにとどまりましたが。

話を戻しましょうか。いま「テクニクス」を知っている若者はDJやそれに興味がある人たちくらいで、大衆メディアもとっくの昔に忘れ去っていたのでしょう。パナソニックへのブランド統一が報じられたときにテクニクスの扱いがどうなるのかは全く伝わってきませんでした。

ナショナルブランドで販売されてきた家電製品は今年7月以降の製造分から全てパナソニックブランドに切り替えられたそうで、残すは在庫分だけとなるようです。が、いまパナソニックのサイトにあるDJ機器の頁を見ても、以前と変わらず「テクニクス」が用いられていますし、URLにもその名が残っています。ついでにいえば、業務用音響システムの「ラムサ」も残されたようです。

中学生の頃、友人のお兄さんが持っていたテクニクスのターンテーブルに憧れた私ですが、いま展開されているDJ用機器には正直なところあまり興味は持てません。いつか気まぐれでアナログレコードに戻りたいと思ったとしても、現在のテクニクスのラインナップでは食指が動きませんし、たぶん洋モノを狙うことになるでしょう。

復活を遂げたダイヤトーン・スピーカーは1本100万円という世界に行ってしまいました。しかも、販売形態がまた凄いことになっています。購入希望者は完全予約制の試聴会に参加し、その場で渡される申込書類に記入押印して返送、支払方法は三菱電機クレジットを通したクレジット決済オンリー、受注生産なので納品は3ヶ月後だそうです。なので、テクニクスの高級オーディオも同じような路線で復活されたら、やはりご縁はないでしょう。

もし、パナソニックがテクニクスブランドを捨てる時が来るとしたら、それはDJ機器からも手を引き、この分野から完全に撤退する時なのだと思います。

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