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北極海の氷は減ったときしか報道されない

以前にも触れましたが、「北極海を人工衛星で観測するようになって以来、海氷が最も大きく後退した」ということで、昨年の夏は大衆メディアが大騒ぎしていました。あそこまで海氷が減ってしまう状態はどのコンピュータシミュレーションでも予測できなかったことから、「想定を30年も上回る異常なペースで温暖化が進んでいる」とか「25年以内に夏期の北極海は海氷が消失してしまうかもしれない」などと盛んに煽っていましたね。

北極海海氷面積の予測と実測の比較
赤い実線が観測データ(2007年まで)になります。
それ以外はシミュレーションによる再現および予測データですが、
その結果は全くアテにならないと判断すべきでしょう。


しかし、今年の夏は昨年のように北極海の海氷が話題になりませんでした。何故でしょうか?

北極海海氷

北極海の海氷が最も少なくなる時期は毎年9月くらいです。上掲の画像データは昨年と今年の10月13日ですから、ピークより1ヶ月程度遅いものになると思いますが、ご覧のように今年の海氷面積は昨年と比べものにならないほど増えていることが誰の目にも明らかですね。

大概のメディアは南極のオゾンホールについても大きく発達したときだけしか伝えず、毎年初夏になれば消失してしまうという事実(詳しくはコチラ)を伏せています。彼らは自分たちが唱える脅威論に好都合な情報は鬼の首を取ったように報じますが、逆に不都合な情報は黙殺するということを続けてきました。今回もその繰り返しということですね。

そもそも、北極海の海氷の分布について人工衛星での観測が始まったのは1970年代からですが、当時は1940年代後半くらいから30年くらい続いていた気温下降のボトムに近い時期でした。

temp.gif

当時は多くの気候学者が寒冷化の進行を危惧しており、氷河期に突入する予兆ではないかとの議論も少なからずなされていました。殊に北極圏の寒冷化は顕著で、冬には北極海が海氷で埋め尽くされ、海氷が増加していくことで北極海沿岸の海路が大きく制限される状況を問題視する向きもあったといいます。

また、人工衛星での観測が始まる前に関しては具体的なデータが極めて乏しく(米ソが北極海の海氷下に潜水艦を展開してデータを集めていたともいわれますが、それは重要な軍事機密ゆえ門外不出になっているとのハナシもあります)、昨年の夏以上に海氷が後退したことが過去にあったか否かもよく解っていません。

ということは、北極海の海氷が減少傾向にある近年が異常なのか、冬場には海氷に閉ざされていた30年ほど前が異常だったのか、基準となる「正常な分布状態」がどの程度になるのか、それは誰にも解らないでしょう。

加えて、人工衛星のデータも完璧ではないという人がいます。夏場には海氷の上部が溶け、水が溜まることがあるのだそうですが、人工衛星の画像ではそれが海面なのか氷上の水溜まりなのか確実に区別できるわけではないとの理由です。

現に、アラスカ大学国際北極圏研究センター所長の赤祖父俊一教授は、北極海での夜間作業中に人工衛星の画像を見ながら海氷がない場所で観測船を航行させていたところ、危うく海氷に囲まれそうになったことがあるといいます。

このように、人工衛星の画像を見た印象では海面が露出しているように見えても、実際に現場へ行ってみると氷上の水溜まりだったという場合もあり、その画像を元に海氷面積を求めたデータより実際の海氷面積のほうが大きい場合も充分に考えられるという訳ですね。

いずれにしても、大衆メディアが伝えていることはほんの一側面に過ぎません。物事の一側面しか伝えないというのは偏向報道以外の何ものでもありません。以前、ツバルについても述べましたが、地球温暖化問題を取り巻くエピソードについて、調べれば調べるほど世間に認識されていることとは全く違う側面が次々に見えてくるのは何故なんでしょうか?

テーマ:環境問題 - ジャンル:ニュース

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