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不都合でもない真実

地球温暖化人為説の伝道師としてアメリカ副大統領時代より世界的な知名度を上げているアル・ゴア氏ですが、彼の映画『不都合な真実』は2007年10月10日、イギリス高等法院に「科学的な誤りが9箇所ある」と指摘されたことをご存じの方も少なくないと思います。もっとも、その指摘事項はIPCCの評価報告書との食い違いなどから内容が誇張されているといったものが多い印象ですし、全般的な内容やメッセージについては妥当とされましたけどね。

不都合な真実(書籍版)
不都合な真実
構成の殆どは写真などのグラフィックで、
結論へ至る過程の理論を解説するのではなく、
視覚的なイメージで訴えかけるばかりで
科学的な要素は極めて貧弱です。
それにしても、こういう変形サイズは
本棚への収まりが悪く、邪魔くさくて困ります。


私の視点からは9箇所どころの騒ぎではなく、誤りとまでは断言できない疑問点も含めたら、ほぼ全編が指摘事項になってしまいそうな勢いです。それを全部取り上げていくとなると膨大な作業になり、それこそ書籍版の何倍ものボリュームを要することになるでしょう。なので、ここでは解りやすいところから1点だけ指摘することにします。

イギリス高等法院からも「地球温暖化でキリマンジャロの雪が解けたとの指摘は科学的に証明できない」と指摘されていますが、問題視されたその部分は書籍版ですと42~43頁に掲載されています。「明らかに、私たちのまわりの世界に、ものすごい変化が起きている。」との見出しと共にこんな写真が載ってるんですね。

キリマンジャロ(1970)
キリマンジャロ(1970年)

「この写真は、1970年のキリマンジャロだ。有名な雪と氷河が写っている。」というキャプションが付いています。その見開きで対比されているのが次の写真です。

キリマンジャロ(2000)
キリマンジャロ(2000年)

「たった30年後の姿だ――氷も雪も激減している。」と付されています。では、現在はどうなっているでしょうか?

キリマンジャロ(2008)
キリマンジャロ(2008年)

今年の1月に『The New York Times』の電子版でキリマンジャロ登山の模様を伝えるレポートに用いられていた写真です。ご覧のように2000年より明らかに雪氷が増加していますね。

そもそも、積雪量や降雪量は気温だけに支配されるような単純なものではありません。例えば2005~2006年の冬、日本海側の豪雪地帯は記録的な大雪となりました。いわゆる「平成18年豪雪」ですが、国道405号が積雪のために通行止めとなり、新潟県津南町と長野県栄村の約190世帯が孤立するという事態にまで至りました。

この豪雪は気温が低かったことだけが直接の原因ではありません。2005年の夏から秋にかけての気温が例年よりかなり高めで、日本海の水温も例年より1~2℃高くなっていたことが要因の一つと考えられています。つまり、海水温が高かったことから水蒸気の発生量が多くなり、雪雲をより発達させたために降雪量も増えたとする考え方です。

いずれにしても、写真というのは瞬間しか記録できません。冠雪のように激しく変動するものの一瞬を切り出して天変地異だ何だと騒ぐのはナンセンスというものです。

もし、キリマンジャロの雪氷の変化が地球温暖化と関係があるというのであれば、気温や降雪量など科学的なデータを収集し、充分に検討した上で合理的に論を進めていくべきです。2枚の写真を並べ、各々に上述のようなごく短いキャプションを付けるだけで他に何の説明もなく、徒にイメージを植え付けようとするのは似非科学に属する手段です。

『不都合な真実』の書籍版では私たち否定的・懐疑的な立場の人間から出されている指摘を「誤解」として掲げ、それに反論しています。が、根拠が不明瞭だったり、コンセンサス主義に傾倒していたり、およそ科学的な反論になっていません。

「気温が上がっていない場所がある」という指摘に対しては「気候は想像を絶するほど複雑なシステムなので、気候変動の影響はどこでも同じというわけではない」と反論しています。が、これはキリマンジャロの冠雪が変動している写真を比較したことが全くの無意味であることを自ら認めるものです。

もう一つ、これはアル・ゴア氏への個人攻撃のようになってしまいますが、約束を守っていないので批判しておきます。

昨年、彼はテネシー州にある自宅でのエネルギー消費量がアメリカの一般市民の平均と比べて約20倍に達していることを暴露されました。省エネを呼びかけている伝道師が、実は大変な浪費家であると明かされ、多方面から批判を受けていました。それについて善処する旨を誓ったハズですが、あれから1年経ってさらに10%もエネルギー消費量を増やしているそうです。

『不都合な真実』の306頁には「自宅の省エネを進めよう」と謳い、省エネ型の照明を選ぼうとか、冷暖房の効率を上げようとか、無駄な待機電力を減らそうとか、真っ当なことがたくさん書かれていますが、彼自身は何一つ実践していないということですね。

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