酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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いま最もホンダらしい製品 (その2)

化粧品の製造販売で有名なノエビアは、アメリカから航空機部品、シミュレータ、パイロット用ヘルメット、パラシュート、航法用コンピュータなどの輸入事業からスタートした会社だそうです。現在でもグループ内にノエビア・アビエーションという航空関連会社があるのはその名残でしょう。化粧品のCMに飛行機が度々出てくるのはそうした絡みと見て良いと思います。

ガルフストリームG550
Gulfstream G550
このG550は現在もオンエアが続けられている
ノエビア化粧品のテレビCM「ガルフストリーム・シリーズ」でも
お馴染みですね。


さて、一般的なビジネスジェットのエンジン搭載位置は、ご覧のように胴体後部の側面というのが定石です。これはこれでデメリットもあるのですが、一般的なジェット旅客機のように翼の下にエンジンを吊り下げるのも様々な問題があります。

一番の問題となるのは乗降性です。最近はターミナルビルにボーディングブリッジを設けるのが当たり前になってきましたので、旅客機の胴体が高くてもあまり問題ありません。旧来のパッセンジャーステップ(乗降用の階段,タラップとも)を用いる場合でも、胴体の高さが一般的な機体なら空港にパッセンジャーステップ車を配備して皆で使い回すことが出来ますから、コスト面で大きな問題はないでしょう。

しかし、ビジネスジェットで旅客機並みの高さに胴体を持っていくのは構造的にかなり困難です。中途半端な高さに胴体を持ってくると、専用のステップを立ち寄る空港毎に置くか、自前のステップを機体に作り込んで機内スペースを犠牲にしなければなりません。仮に一般的な旅客機並みの高さが可能だったとしても、時間的な制約から逃れられないでしょう。

そもそも、ビジネスジェットを使いたいというエグゼクティヴたちは、時間短縮を第一に考えている訳ですから、着陸したらとっとと移動したい訳ですよ。ボーディングブリッジやパッセンジャーステップ車は旅客機の運航スケジュールとの絡みもあるでしょうから、望むタイミングで利用できるとは限りません。なので、貴重な時間を奪われたくないというのであれば、単独での乗降が可能なほうが良いわけです。

胴体を低くしてやればステップも短くて済みますから、ドア部に備え付けることが容易になり、素早く乗り降りができるようになります。空港のボーディングブリッジやパッセンジャーステップ車を利用するのに比べると手間もコストも時間もかからないというわけですね。

コミューター機のステップ
Bombardier CRJ100
ANAグループのアイベックス・エアラインズの
50人乗りコミューター機ですが、
搭乗はご覧のようにドア部に作り込まれた
ステップを使用します。


胴体の位置を低く抑えたままエンジンを主翼に吊り下げても問題のないレイアウトもあります。軍用の輸送機などによくあるパターンですが、胴体の上部に主翼を設置する高翼機ですね。しかしながら、これにも様々なデメリットがあります。

ボンバルディアDHC-8
Bombardier DHC-8
例の胴体着陸で有名になったボンバルディアDHC-8シリーズは
ジェットではなくターボプロップですが、
典型的な高翼コミューター機といえるでしょう。


高翼機というのは、ご覧のような姿になります。荷重を主翼に吊り下げますから、胴体側面の強度や主翼との接合部の強度を確保するため、構造重量が重くなりがちです。また、不時着時も胴体が真っ先にクラッシュしやすいため、乗員の生存率も低くなるといわれています。低翼機ほどグランドエフェクト(地面効果)が生じないゆえ着陸時には有利だったり、メリットも色々ありますけどね。

ま、あとは見た目の問題もあるでしょう。これは主観の問題なので何とも言い難い部分はありますが、高翼機を見ると輸送機やセスナのようなイメージを抱き、戦闘機に多い低翼機のほうが格好いいと思う人は少なくないと思います。

低翼機で翼下にエンジンを吊り下げると、着陸時の胴体の位置を高くしなければならないことから前述のような乗降性の問題が生じます。それに加えて、エンジンが地面に近くなるほど余計なゴミを吸い込みやすく、トラブルの原因にもなりやすいと考えられます。上の写真のガルフストリーム機もそうですが、胴体側面に搭載する場合もなるべく高い位置に置くケースが多いのは、そうしたことが理由の一つです。

もちろん、低翼にして胴体後部にエンジンを搭載する一般的なビジネスジェットの構成にも欠点があります。こうしたレイアウトの場合、エンジン取付部の強度を確保するために左右のエンジンを桁でつなぎ、胴体との接合部も充分に補強してやる必要があります。そのため、機体後部のスペースが奪われ、機内の前後長が犠牲になってしまいます。

また、胴体とエンジンが近いと、両者の間で気流が大きく乱れやすいため、空気抵抗が増加しやすいという欠点もあります。スピードが伸びなくなったり、燃費が悪化するなどのデメリットにつながってしまうわけですね。おまけに、エンジンの振動や騒音も主翼に搭載するより居住スペースへ伝わりやすくなってしまうという問題もあります。

ホンダは、このマーケットへ新規参入するに当たって、こうしたデメリットを克服すべく、チャレンジャーらしい思い切ったアプローチをしてきました。それが主翼上部にエンジンを搭載するというタブーへの挑戦です。

(つづく)

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  • 2010/07/16(金) 15:30:40 |
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