酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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サイクルモード'08 (その7)

スコットは昨年、シモーニやリッコなどサウニエル・ドゥバルの選手が使用した実車を展示していました。が、今年はリッコやピエポリのドーピング問題を受けて速やかに撤退しましたので、その種の展示は一切なく、来期よりチーム・コロンビアに供給する旨を伝えるパネルが1枚あるのみでした。

プラズマ
PLASMA

これまでスコットのTT用フレームは「CR1プラズマ」と称していましたが、今回のモデルチェンジで単に「プラズマ」となりました。ま、どう見てもアディクトやCR1とは共通項がありませんから、当然でしょう。従来のCR1プラズマも薄く水平なトップチューブで直線基調ではありましたが、このニューモデルは輪をかけて直線的になりましたね。

それにしても、近年のTTバイクはUCI規則ギリギリを狙っている感じです。特に問題となるのはフレームの構造や形状を縛る1.3.020と空気抵抗について縛る1.3.024の条項になりますが、BB周りは詳細な定義がなされていないため、各社ともここを攻めている感じですね。

プラズマBB周り

解りやすい写真が撮れませんでしたので、公式サイトから拝借しましたが、プラズマのBB周りもかなり際どい感じです。BB下に伸びているフィンのような造形はどう見ても整流効果を狙ったものです。UCI規則1.3.024には「流線形の胴などの空気抵抗を減少させるか又は推力を増す目的または効果のあるいかなる装備の追加または組み込みを禁止する。」とあり、抵触しそうな感じなんですね。

でも、「胴形は断面を涙滴のように後方に伸ばすかまたは流線形にするものである。」となっていますので、BBシェルを下方に伸ばし、タイヤの前方を覆う分にはお咎めなしということなのでしょう。これがシートステーのブリッジ部を後方に伸ばして後輪上部を覆うような形状とした場合、間違いなくアウトになるでしょう。UCI管轄下のレースを狙ったバイクではこうしたデザインは採用できないということですね(シーポのようにトライアスロンを狙えば関係ありませんが)。

UCI規則1.3.020には「立管はボトムブラケットシェルに連結する。」とあります。プラズマのシートチューブはBBをギリギリかすめる感じで、ダウンチューブ下部とシートチューブ下部をつなぐボリュームがなければ殆どチェーンステーにつながっているように見えますから、これでは違反になるでしょう。要するに、BB周りの逆台形の構造全体をBBシェルと定義しているわけですね。

となると、どこまでをBBシェルと見なすかという解釈によって微妙な小細工もできそうです。UCI規則1.3.020では「主三角は管の中心線が真直ぐな直管またはテーパ管(断面形状は円、楕円、扁平、涙形など)で構成すること。」となっていますので、BBシェルをもっと複雑な構造としてボリュームを増してやると、前三角の形状に対する制限を緩和させることができるかも知れません。

もっとも、条項をどう解釈するかという微妙な問題も、UCIは野放しにするつもりはないでしょう。フレームのように開発にお金のかかるものについてはいきなりUCIからNGを食らって販路が制限されても困るでしょうから、メーカーは試作段階でUCIにお伺いを立て、お墨付きをもらってから先に進むというステップを踏んでいるのかも知れません。

そもそも、こうした構造や形状を縛るUCI規則そのものが安全性や公平性のために有効なものというより、ダイヤモンド型のフレーム構造を崩したくないという情緒的な部分が大きいように思いますので、個人的にはバカバカしいと思う部分も少なくありません。インドゥラインやボードマンやオブリーらがアワーレコードに挑戦した頃はモノコックのもっと自由な形状が試されました。

ピナレロ・エスパーダ
PINARELLO ESPADA
1991年からツール5連覇を果たしたインドゥラインは
1994年にこのモノコックフレームのピナレロを駆り、
53.040kmという当時のアワーレコードを樹立しました。


しかし、UCIで権力を握る老人たちは、このようにアヴァンギャルドな見た目が好みではなかったということなのでしょう。UCI規則1.3.020でフレームを構成するのはパイプでなければならないことと、各々のパイプがいわゆるダイヤモンドフレームの形状を成さなければならないことを規定しています。が、90年代のTTバイクで試みられたモノコック構造を否定する合理的な根拠はありません。

アディクト
ADDICT LIMITED

一昨年に発表されて以来、いまもトップレベルの軽量フレームの座をキープしているアディクトですが、殆ど変更点はなさそうです。例によって豪華パーツで組まれた完成車も売られており、このアディクト・リミテッドはスラムのレッドとマヴィックのコスミック・カーボン・アルティメイトなどが奢られ、税込で1,575,000円だそうです。

プラズマの展示車もそうですが、インテグラルシートチューブをカットしないでサドルを取付けると、何とも凄い高さになりますね。これで足が届いてハンドルまでの距離も適切という人はこの世に存在しないでしょう。売り物をそのまま展示しているゆえ、カットできないという事情なのでしょうけど、この猛烈に高いサドルは異様な感じです。

(つづく)

テーマ:自転車 - ジャンル:趣味・実用

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