車の「エコ技術」、環境省がチェック タイヤの音も確認
バイオ燃料やディーゼル車の窒素酸化物(NOX)削減装置などは、本当に「環境に優しい」のか――。環境省は、自動車で使う新しいエコ燃料などに有害性がないかを調べる研究に乗り出した。規制外だったタイヤから生じる騒音なども確認し、新たな対策につなげる狙いだ。
環境省の実施する実験は、エコ技術を使った燃料でエンジンを実際に回し、排ガスの成分を調べる。流通し始めた「E3」と「バイオガソリン」の2種類が対象。E3は、植物や廃材などから作られるバイオエタノールを3%含む。バイオガソリンは、バイオエタノールをETBEという物質に加工してガソリンに混ぜた燃料だ。バイオ燃料の排ガスには、ぜんそくなどを引き起こす有害物質ホルムアルデヒドが含まれる可能性が指摘されている。
また、NOX削減装置を積んだディーゼル車も試験する。大型トラックなどで増えている排ガス後処理装置はNOXを抑える効果がある。一方で、温暖化を加速させる温室効果ガス(亜酸化窒素)を増やすのではないかという懸念がある。
自動車の騒音については、タイヤのサイズや溝の形によって生じる騒音に違いがあるため、蛇行走行の際の発生音などを調べる。アクセルを徐々に踏んだ時のエンジン音も含め、新たな騒音の基準づくりなどにつなげる考えだ。
環境省環境管理技術室は「エコ技術の排ガス調査は、世界的に珍しい取り組みだ。普及する前に問題がないかを調べたい」としている。(高山裕喜)
(C)asahi.com 2008年11月29日
当blogでも何度となくイメージ先行の似非エコキャンペーンに対して批判してきましたが、こうした検証が行われるようになったのは一歩前進ということで評価したいところです。が、ここで看過できないのは最後に触れられている環境省のコメントです。
「エコ技術の排ガス調査は、世界的に珍しい取り組みだ。」
つまり、これまでエコエコと散々唱えられてきた取り組みは、単に一部分の理屈だけがクローズアップされ、トータルでの環境負荷がどうなっているのかはマトモに検証されてこなかったということです。

大阪府のE3推進キャンペーンの広告
大阪府はE3が環境に「いい!」と豪語していますが、
実際にトータルでの環境負荷がどうなっているのか
環境省がこれから取り組むような検証を大阪府は一切せず、
ただイメージだけを盲信しているのでしょう。
ま、今回の環境省の検証でE3の問題点が明らかになったとしても、正当な評価が下されるとは思えませんけどね。何せ、これまで何の検証も行わず、環境省自身が盛んにE3の推進を続けてきたのですから。それが実は出鱈目だったなどと撤回されることはあり得ないでしょう。
そもそも、呼吸器系疾患や皮膚炎などの原因になると考えられるホルムアルデヒドと、地球温暖化の原因とプロパガンダされているCO2と、全く違う種類の要素に対してどのような基準で重み付けを行うべきなのか極めて難しい問題です。最終的に主観を排除してそれを行うことは不可能でしょう。