酒と蘊蓄の日々

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孤立しているのは日本のメディアのほう

昨日(12月1日)からポーランドで気候変動枠組条約のCOP14(第14回締約国会議)が始まったのを受け、数紙が社説で注文を付けています。

日本経済新聞「温暖化防止会議、様子見でなく前進を
毎日新聞「温暖化会議 最終交渉に向け論議深めよ
中日新聞「温暖化対策会議 転換の兆しが見える

論調としては相変わらずで、EUは進んでいるという妄想、及び腰の日本に対する批判、途上国を如何に合意へ導くかという課題の再確認、といったところが大筋になっています。今回はこれにアメリカの新政権に対する期待感が加わったくらいで、従来の主張を単になぞっているだけといった印象です。

いつも滑稽に思うのは、京都議定書からの離脱を宣言したのがブッシュ大統領だったことから、日本の大衆メディアはブッシュ政権の主導によって京都議定書を離脱し、温暖化問題を棚上げにしてきたと思い込んでいるところです。現実はこうした認識と全く違うんですね。

COP3(京都会議)の前段にアメリカ上院で審議された「バード=ヘーゲル決議」は京都議定書に途上国の削減義務が課せられなかったとき、アメリカもこれを批准しないというものでした。この議案は全会一致で採択されたんですね(議会で全会一致ということは、即ち議会制民主主義の上において国民の総意ということです)。このため、COP3に臨んだアメリカの代表団は是が非でも途上国に削減義務を課さなければならず、それが出来なかった瞬間にアメリカの離脱も自動的に決定という状況だったわけです。

このとき(1997年)の米大統領はジョージ・ブッシュではなく、ビル・クリントンでした。クリントン政権がCOP3に送り込んだ代表団を指揮していたのは副大統領のアル・ゴアでした。結局、彼らは途上国に削減義務を課すことができず、このときアメリカの離脱が決定したのです。翌年の大統領選でブッシュが当選し、上院で可決されたバード=ヘーゲル決議に従って、彼は粛々とその旨を宣言したに過ぎません。

つまり、途上国に削減義務が課せられるか、バード=ヘーゲル決議が撤回されない限り、アメリカが京都議定書に戻ってくることは絶対にあり得ません。これは大統領が誰かということとは全く別問題なんですね。ここのところを日本のメディアはいつも履き違えているわけです。

ところで、私が非常に気になったのは日経のこのくだりです。

オバマ次期政権は排出量取引導入でもEUに歩み寄っており、日本が腰の引けた交渉姿勢を早く改めなければ、国際的に孤立しかねない。


海面上昇も止まった?」と題したエントリで頂いたコメントにもありますように、ここに来てEUも足並みは乱れています。また、オーストラリアは排出権取引を一時停止する旨を伝えています。こうした世界の動きを知りもせず、日本が孤立するなどと煽っているわけです。

このように現実を無視している彼らこそ、世界の動きから孤立していると言わざるを得ないでしょう。

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