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利用しない人間が計画するとこうなる

以前、「地獄のソウルは天国に生まれ変わる」と題したエントリでソウル市が大規模な自転車専用道の導入を計画している旨をお伝えしました。このとき私は

日本は「とりあえず自転車が走れる専用レーンをつくればいいんだろ」的な発想で、事故が多発している現状に対する批判をかわすためとも受け取れるような次元の低い計画も見られます


とカタチばかりの自転車専用道について指摘しましたが、近く富山市で運用が開始される自転車専用道もまさにその類の等閑なもののようです。

富山市の自転車専用道

これは国土交通省と警察庁が全国98箇所に指定したモデル地区の1つで、JR富山駅南口周辺に2箇所設けられるとのことです。上の写真のそれは早ければ今月から利用が始まる富山市東田地方から北新町交差点を結ぶ南北約450mの区間だそうです。

まず気になるのは片側3車線の車道を2車線に減らし、一番外側の車線をそのまま自転車専用道にしただけという点です。車道の1車線そのままということで幅員が2.8mとなっているのは良いのですが、ガードレールやポールなど物理的に仕切るものが何もなく、単にペイントで「自転車専用」と表示され、標識が立てられるだけです。

しばらく利用させてみて評判が悪かったらすぐに元へ戻せるようにと考えているわけでもないでしょうが、コレではあまりにも手抜きが過ぎるでしょう。こんな状態では不埒な輩に表示や標識を無視され、違法駐車されて切れ切れになってしまいそうな気がします。あるいは、渋滞しているときなどにモーターサイクルが走り抜けて行ったり、右折待ちで停車している車両などを避けるためにはみ出して来るクルマも出てきそうな気がします。

また、この自転車専用道は両側の車線に設けられているそうですが、各々双方向での通行を可能にしたという点も問題です。歩道を自由に走っていた自転車に一方通行を求めても徹底されないとでも判断したのでしょうか?

しかし、自転車はそもそも軽車両ですから、左側通行が大原則です。これは歩道を歩行者と全く同じように走行しても何らお咎めなしということを長年続けてきた弊害といえるのかも知れません。が、これを契機に利用者を再教育する(例えば、しばらく警官を立たせて指導するとか)くらいの覚悟で道交法の原則に立ち返らせるべきでしょう。

450mという僅かな距離(20km/hでも1分20秒ほどで終わってしまう距離)がどこまで延長されるのか解りませんが、現状ではこの中途半端な距離も「カタチだけ」という印象を強く感じます。こうした道路行政について私は

縄張りも色々ありますから、一筋縄ではいかないのかもしれません


と、一定の理解は示したつもりですが、この富山市のケースは国土交通省と富山県と富山市と富山県警で計画が進められてきたそうですから、弁護の余地はなさそうです。「船頭多くして船山に上る」という状態に陥ってしまったのでしょうか? それとも、本気でやる気のない人間が何人集まってもロクな仕事をしないというパターンにハマってしまったのでしょうか?

「モデル」というからには「手本」となるようなプロジェクトでなければなりません。税金を投入するのであれば「テスト」でも低レベルなことをやられては困ります。が、この富山市のように利用者の方向をマトモに向かず、こうした自転車専用道を一生利用することのないエライ人たちが他人事のように計画しているのではないかと疑いたくなるパターンが非常に多い現状には悲観的にならざるを得ません。日本の自転車専用道の未来にソウル市ほどの光明は差していないようです。

コメント

まだ富山のこの例は好条件だと。しかし、フラッグを切るほどではないですね。
これを考えた人や国土交通省が実際自転車で走って、感触を確かめてから道路を造ってもらいたいですね。

  • 2009/01/06(火) 21:32:14 |
  • URL |
  • みんくす #WxSjBRBI
  • [ 編集]

みんくすさん>

コメント頂きまして有り難うございます。

仰るとおり、富山市のこのケースは自転車専用レーンが設けられていない普通の道路や、恐ろしく幅員が狭かったり歩道に間借りしているような専用レーンよりずっと条件は良いと思います。しかしながら、自転車専用道を普及させていく上でのモデル地区として、この等閑な取り組みには納得いかないというのが私の感想です。

本文の繰り返しになりますが、歩道のように双方向の通行を認めるのは間違いです。軽車両である自転車は左側通行が原則となっている以上、それに反する状態を認めるのは自転車に絡む法規や秩序の乱れを増長させる恐れすら懸念されます。

そうした部分も含め、全国へ自転車専用道が設置される布石として総合的に勘案すれば、この富山市の例はモデルとして欠格していると言わざるを得ないでしょう。

>これを考えた人や国土交通省が実際自転車で走って、感触を確かめてから道路を造ってもらいたいですね。

このご意見については全く同感です。

  • 2009/01/06(火) 23:04:39 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

自分がたまにやっているのですが、国土交通省や県に直接伝えるんです。
メールや手紙でやり取りして、道路や河川、橋など省の管理の場所について意見、提案します。
ここの道路や交差点はこんなにも危険だとか、この橋は老朽化がひどくて怖いとか、伝えます。
一人のやり取りでは国は動き難いでしょうが、そういう「声」が増えると動くこともあります。

  • 2009/01/07(水) 19:11:50 |
  • URL |
  • みんくす #cmIJCcfU
  • [ 編集]

みんくすさん>

>一人のやり取りでは国は動き難いでしょうが、そういう「声」が増えると動くこともあります。

そうかも知れませんね。私も職業柄彼らとは接触がありますが、現場に近い担当者の方ほどそうした情報をきちんと拾ってくれる印象はあります。ただ、それが上に行くほど重要視されなくなる傾向が強い印象もあります。大きな予算が必要な要望ほど、より上の方に話を通さなければならなくなり、動きがどんどん鈍くなっていくような気もします。

また、お役所は基本的に縦割りですから、提案を行うにもそれなりの見極めが必要かも知れませんね。

例えば、国道の橋が老朽化して事故が起こった場合、その責任は全て国土交通省になります。ですから、補修や掛け替えなどを行わないと事故に至る懸念が生じてくれば、きちんと予算を取って対応するでしょう。しかしながら、自転車の通行区分がきちんと整備されていないことで生じた事故は道路の構造が悪いのか、交通管制が悪いのか、線引きが難しくなるでしょう。前者なら国土交通省や自治体などの責任になりますが、後者なら警察の責任になります。

富山市のケースで私が問題視している「双方向の通行」を認めた人たちは、自転車専用レーンそのものを設置した人たちではなく、そのレーン上の交通管制を司っている人たちになります。つまり、国土交通省や富山県などにかかる部分ではなく、富山県警の縄張りになるでしょう。

これも再三述べてきたことですが、道路行政は国土交通省や地方自治体や警察などの縄張りが複雑に絡んでいます。場合によっては責任をなすり合うこともあるでしょう。一般市民からの「声」がスムーズに届かないときは、そうしたシガラミに邪魔されている可能性も考える必要があるかも知れませんね。

  • 2009/01/08(木) 00:16:41 |
  • URL |
  • 石墨 #PxDbU/1w
  • [ 編集]

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