酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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赤字もジャストインタイム?

以前、「トヨタはこの不況を追い風にする」と題したエントリで日本の各自動車メーカーは大幅な下方修正で営業利益を大きく減じたものの、赤字には至っていないという旨をお伝えしました。が、その後トヨタは2度目の下方修正、ホンダも3度目の下方修正で下期(10-3月期)は赤字の見込み(通期ではいずれも黒字)となり、状況は大きく動いてきました。

アメリカの実質ゼロ金利政策を受けて円高が加速した分だけ、輸出産業の状況は一層悪化してきたようです。が、トヨタが下期赤字の見込みを伝えたタイミングはその前で、1ドル94円前後くらいのときでした。トヨタ1度目の下方修正はいまから1ヶ月半くらい前でしたから、既にボトムで94円台を記録しており、為替差損の読みが大幅に外れた故の大幅減益というストーリーは微妙な気がします。ま、外部の人間が色々想像しても解らないところは多々ありますけどね。

外為相場(米ドル-電信売-最近6ヶ月)
外為相場(電信売)米ドル最近6ヶ月の推移
トヨタが1度目の下方修正で営業利益を6000億円と
発表する前に1ドル94円台をつけており(青の矢印)、
その後に下期赤字見込みが発表された頃(赤の矢印)も
1ドル94円前後で推移しています。


こうした下方修正を重ねて一気に赤字へ転落というのは、いささか不自然な印象が拭えません。確かに、今般の金融危機による景気悪化は猛スピードで進行しましたが、その発端となったサブプライムローン問題が表面化したのは昨年の夏くらいでした。この頃から楽観論よりも悲観論のほうが強く、現在のような状況を予想していた専門家も少なくはなかったように思います。そうした中での利益予測だったわけですから。

もしかしたら、派遣工/期間工を大幅に削減したことで、「黒字なのに何故切る必要があるのか?」というメディアや世論の批判を毎日のように浴び続けている現状と無関係ではないのかも知れません(あくまでも個人的な憶測に過ぎませんが)。

私は専門家ではありませんからよく解りませんが、財務会計上の利益を小さくするという決算政策は違法にならない範囲でいくらでもやりようがあると思います。例えば、キヤノンは昨年の中間決算で減価償却費が約670億円増加することを見込んで利益予想を下方修正しましたが、これは有形固定資産の償却方法を見直したことによります。

本田技研埼玉製作所
本田技研工業埼玉製作所
上級車種(レジェンド、アコード、インスパイア、
エリシオン、ステップワゴン、オデッセイなど)と
四輪車用エンジンが生産されている埼玉工場では
今月末までに期間工270名の削減が決まっています。


いまや製造業において工程間の仕掛在庫を最少に抑えるマネジメントは常識です。トヨタの「カンバン方式」などはこうしたジャストインタイム生産システムの草分けとして世界的にもよく知られるものです。中には部品メーカーのラインオフからトヨタのアッセンブリーラインに乗るまで、輸送行程を含めて数時間というものもあるくらいです。

もちろん、こうしたジャストインタイムの管理方法は部品のみならず、人員配置においても通じるものがあります。かつては職業安定法により間接雇用が禁止されていましたが、「労働力需給の迅速、円滑かつ的確な結合を図る」という建前の上で労働者派遣法が制定され、組織的な労働力の「ジャストインタイム化」が法律の上で正式に認められました。いま問題になっている「派遣切り」のような労働力調整も人道的にはともかく、法的には何ら問題ないカタチで行われています。

黒字経営の超大手メーカーがマーケット縮小の動向を機敏に捉え、生産調整のため合法的に労働力を削減したところ、予想以上の反発をメディアからも世論からも浴びせかけられることになってしまい、大慌てで利益予想を大幅に下方修正し、意図的に赤字として火消しに躍起になっているのではないか? というストーリーも成り立つような気がします(その具体的な根拠はありませんから妄想というべきかも知れませんが)。

ま、これだけコロコロとハナシが変わっていくと何を信じればよいのか解らなくなってきます。そうした状況にあってアレコレ詮索するのも建設的なことではないでしょう。私の想像(妄想)もあまり本気で受け止めないほうが良いかも知れません。



12月22日追記

トヨタは通期でも1500億円の赤字見込みを発表しました。営業利益が赤字となるのはトヨタにとって創業以来初だそうです。それにしても、先が読めないのは解りますが、こうも小刻みに修正を重ねるのは混乱や不安を招くばかりでしょう。修正をするなとは言いませんが、ここまで右往左往するのは少々見苦しいものがあります。

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まとめ

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