酒と蘊蓄の日々

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木を見て森を見ず Part 2

昨日のエントリで製造業に対する派遣禁止の法改正は国内産業の空洞化が進む恐れがあるなど少なからぬ弊害もあることを述べました。そうした観点から短絡的な法規制は避けるべきだと私は考えています。しかし、中日新聞は私の見解と全く逆の社説を書いています。

製造業派遣 禁止に踏み切る時だ

 “使い捨て労働”と批判が強い労働者派遣制度で、製造業への派遣を禁止すべきだとの声が強まっている。最近の派遣切りは常軌を逸している。政府は禁止に向けた法改正に取り組むべきだ。

(中略)

 解雇する側とされる側のギャップは大きい。雇用・福祉の安全網の再構築と中長期的に非正規労働者を減らす課題は残ったままだ。

 自動車や電機産業などでの最近の派遣社員や期間従業員の解雇ラッシュは目に余るものがある。経費節減や役員報酬カットなど自助努力もしない段階から派遣切りでは、国民の理解は得られまい。

(後略)

(C)中日新聞 2009年1月7日


この論説委員は「経費節減や役員報酬カットなど自助努力もしない」などと言い放っていますが、私が知る限り日本の製造業ほど経費節減に弛まぬ努力を積み重ね、ギリギリのコスト管理と高い品質の維持を両立してきた業界はそう多くなく、自動車メーカーに関していえば世界的に見ても極めて高いレベルの仕事をしてきたと思います。

例えば、世界的な鋼材価格の高騰を受けて昨年の5月にトヨタと新日鐵の間で自動車用鋼板の価格交渉が行われ、約30%の値上げで合意に至りました。他社もそれに倣ってほぼ同じ水準の値上げが実施され、大きなコスト負担を抱え込む状況になっていたんですね。しかし、彼らは何とかそのコストを吸収し、乗用車に関してはプリウスなど一部の例外を除いてモデルチェンジを伴わない値上げは行わずに乗り切ってきました。

また、トヨタの場合は8700人程の管理職について今冬の賞与を10%カットしていますし、平成21年3月期の役員賞与についてはゼロにすることが検討されています。これで自助努力をしていないというのは単なる言いがかりでしかありません。

「禁止すれば海外移転が進み失業者は増える」という 経済同友会の指摘を紹介してはいますが、反論も提案もなく、この極めて重要な課題はスルーしています。もし、製造業が雇用調整の容易な海外へ移転を進め日本国内の雇用が損なわれていったら、そのことについてまた製造業を批判するつもりなのかも知れません。が、それは厳しい国際競争のなかで勝ち残るために奮闘している人たちの努力を顧みない非常に無責任な態度になると思います。

中長期的に非正規労働者を減らすべきとする考え方には私も賛成ですが、「最近の派遣切りは常軌を逸している」「最近の派遣社員や期間従業員の解雇ラッシュは目に余るものがある」としながら、これらの問題とは関係なく既に職を失っている250万人以上の人たちについて何も語らないのは「木を見て森を見ず」と言わざるを得ませんし、いささか偽善めいているようにも感じます。

ところで、新聞配達員は全国に約43万人いるそうですが、そのうち何割くらいが正規雇用なのでしょう?

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まとめ

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