
SONY VAIO type P のプロモーション
写真を見た限りポケットに収っているのは全体の1/3くらいでしょうか。
このPCを購入してこのように持ち歩く人は殆どいないでしょう。
やらされているモデルさんの本音もちょっと聞いてみたいところです。
私も「またアホなことを」と思いましたが、よくよく思い返してみますと前例があるんですよね。
日本初のトランジスタラジオTR-55の発売から2年後の1957年、ソニーはTR-63という当時としては画期的な小型ラジオを発売しました。彼らはそのコンパクトさを強調するため、「ポケットに入る」という意味で「ポケッタブル」というキャッチフレーズを編み出しました。(余談になりますが、このソニーが創作した「ポケッタブル」という造語はやがて英語の辞書にも載るようになり、世界的に通用するそうです。)
しかし、その外寸112mm×71mm×32mmは既成のワイシャツの胸ポケットに収らず、せっかくのキャッチフレーズが生かせないという事態になってしまったんですね。そこで当時の専務だった盛田昭夫氏がちょっとした小細工を考え出しました。「ワイシャツのポケットを少しばかり大きくすれば、何の問題もない」ということで、TR-63が丁度収るくらいに胸ポケットを大きくした特製ワイシャツを仕立てて営業マンに着用させ、販売店への売り込みを展開したそうです。巧妙といえば巧妙ですが、詐欺的といえば詐欺的なハナシではあります。

SONY TR-63
当時のサラリーマンの平均月収に匹敵する13,800円という価格ながら、
大好評を博したこのラジオはソニーの本格的な海外進出の足がかりとなり、
その人気から一時は日航機をチャーターして大量に空輸されたといいます。
ちなみに、この翌年の1958年に東京通信工業はソニーへ社名変更しました。
このバタ臭いイメージから「東通工は外資に乗っ取られた」と勘違いされた
というようなことを盛田昭夫氏の著書で読んだ記憶があります。
ポケットに収めることでコンパクトさをアピールし、それが少々強引でも気にしないというプロモーションは既に前例があり、いまに始まったハナシではないということですね。
こうなったら「次は何を無理矢理ポケットに突っ込んで来るのか?」「ポケッタブルという言葉の生みの親であるソニーはどこまで暴走するのか?」というSony Styleを皆が楽しみにするような方向で展開していくのも面白いかも知れません。