酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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大麻は意外にヤバくない

当blogのタイトルは『酒と蘊蓄の日々』となっていますが、以前にも何度かお話しましたように、ジャズのスタンダードナンバーでもある『酒と薔薇の日々』をもじったもので、私はあまりアルコールを嗜みません。タバコは一切吸いません。もちろん、違法ドラッグの類とは全く無縁な人生を歩んできました。が、合法な酒やタバコも違法なドラッグ類も害毒について偏ったイメージが先行している状態はあまり良いことと思えません。

今般、大麻の所持・使用で逮捕された若麒麟の問題は2月1日に読売新聞毎日新聞産経新聞が、2月3日に朝日新聞中日新聞が社説で取り上げていましたが、どれもステレオタイプで主旨に大差ない感じです。ただ、朝日新聞はまたいつもの思い込みで大麻の害毒を誇張しており、私としては看過しがたいところです。

大麻汚染―怖さをもっと知らせねば

(前略)

 世界保健機関(WHO)によれば、大麻は脳に影響を与え、記憶力や学習能力を低下させる。空間がゆがんで感じられ、事故の原因になる恐れもある。無動機症候群と呼ばれる、やる気を失う精神障害にもなりかねない。

 覚せい剤などに比べれば弱いとはいえ、精神的な依存も起きる。

 大麻などの薬物は、何かを達成したときに脳の中で満足感を生じる「報酬系」と呼ばれる部分に作用すると考えられている。いわば生きる活力を生む源泉に働いて、依存や異常を引き起こすのが違法薬物のこわさだ。

 身体への害が大きいたばこやアルコールと、単純に比較はできない。それぞれ、質の違う健康への脅威と考えるべきだ。

(後略)

(C)朝日新聞 2009年2月3日


「身体への害が大きいたばこやアルコールと、単純に比較はできない」としていますが、これは全くの誤りで、特にアルコールは身体だけでなく精神にも害を及ぼすという点で、違法ドラッグの類と変わりません。

「脳に影響を与え、記憶力や学習能力を低下させる。空間がゆがんで感じられ、事故の原因になる恐れもある」「無動機症候群」といった障害もアルコールによって充分に起こり得ることです。また、「精神的な依存」については大麻よりアルコールのほうが危険度が高いという認識が支配的です。

「いわば生きる活力を生む源泉に働いて、依存や異常を引き起こすのが違法薬物のこわさだ」としていますが、これはアルコールなどの合法薬物ならば「依存や異常を引き起こさない」といった誤解を招きかねず、かなり問題がある表現だと思います。

特にアルコール依存症の問題は深刻で、重度患者の予後10年の死亡率は30~40%と見られているそうです。また、重度のアルコール依存症になってしまうと断酒以外に有効な治療法もなく、本人の意志だけで解決することが非常に困難だと言われています。さらに、禁断症状も非常に強く現れ、軽度でも頭痛、不眠、イライラ感、発汗、手や全身の震え、眩暈、吐き気などが起こり、重度になれば被害妄想や幻覚などにも悩まされるそうです。ここまで至っては違法ドラッグとの区別は全くの無意味といえるでしょう。

こうした合法薬物と違法薬物の比較は、日本のメディアではタブー視されているようです。が、大麻の危険度はそれほど高くないとする意見は海外では以前からよく言われていることです。アメリカのジョン・ホプキンズ大学のジャック・ヘニングフィールド教授によれば、マリファナ(乾燥大麻)の危険度はアルコールより低く、カフェイン程度とされています。

薬物の危険度
ポピュラードラッグの危険度比較
品目は左からニコチン、ヘロイン、コカイン、アルコール、カフェイン、マリファナ
危険度の項目は上から依存性、禁断症状、耐性、習慣性、中毒性となっています。
アルコールはヘロインやコカインといった違法ドラッグよりも禁断症状と中毒性の危険度が高い
と評価され、全ての項目でマリファナより危険であると評価されています。


もちろん、これらの項目だけで薬物の危険性を判断するのは拙速というものですし、そもそもこの評価がどこまでアテになるのかも解りません。こうしたデータは何某かの求めによって都合良く纏められてしまうこともあり得るでしょう。

ただ、アルコールやニコチンなども肉体面だけでなく精神面に少なからず悪影響を及ぼすことは知られていますし、酒を嗜む人の26人に1人がアルコール依存症(日本の飲酒人口約6000万人に対してアルコール依存症の推計は230万人とされています)という状況も看過できることではありません。

一方、世界的には大麻が合法である国もいくつか存在します。他にも大麻の所持や使用が犯罪とは見なされなかったり、非合法ではあるものの取り締りや処罰の対象となっていない国は少なくありません。コーヒーショップで個人使用のための大麻の販売が容認されているオランダの例は日本でもよく知られているかと思います。

世界の大麻情勢

私の個人的な見解として、いまの段階で大麻の合法化に賛成するつもりはありません。とはいえ、この見解に明確な根拠もありません。「まだ充分に議論が尽くされていないから」というかなり消極的な理由によります。

確実に言えるのは、健康に関わることについて「思い込みだけで規範を定めるべきではない」ということです。特に日本は薬物の害毒についての正しい認識が明らかに不足していますし、合法か非合法かの違いだけで視点を変えてしまう論調が目立つのも問題です。そういう意味では朝日新聞のように大麻の害毒を一方的に強調し、アルコールなどの合法薬物とは全く別物扱いし、「合法薬物が精神に及ぼす危険はない」と錯覚させかねない社説を許すべきではありません。

まずは合法薬物と非合法薬物の比較がタブー視されている状況を是正し、議論を妨げるような空気を変えていくように取り組むべきだと思います。

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まとめ

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