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発想の転換(その2)

ハイブリッド車として最も重要な性能である燃費について、新型インサイトはスペックを見た限りシビックハイブリッドから全く進歩していません。エンジンやモーターの出力は異なっています(小さくなっています)から、全く同じでないことは確かですが、ハイブリッドシステムのチャートなど説明資料を見ても全くといって良いほど変わったところが見られないんですね。

インサイトのハイブリッドシステム

以前にも述べましたように、現行プリウスは68psという強力なモーターを搭載していますから、渋滞などの発進→低速走行→停止を繰り返すような場面でもバッテリーの残量が少なくなければエンジンを始動させなくても対応できます。また、エンジンとモーターの出力特性の違いを補完し合う最適化も高次元で行えるというメリットもあるでしょう。プリウスの実燃費の落ち込みが比較的小さく済んでいるのは、こうしたことも寄与しているのでしょう。

が、新型インサイトのモーターは14psに過ぎず、初代インサイトやシビックハイブリッド同様にモーターのみでの発進が出来ないようです。発進する度にエンジンを始動させなければならず、そのためにはスターターも回しますから、ガソリンと電気エネルギーの両方を消費することになります。渋滞などではプリウスより実燃費の落ち込みが顕著に出るのも従来通りではないかと想像されます。また、エンジンとモーターが出力特性を補完し合う最適化もプリウスの水準には至っていないでしょう。

新型インサイトも従来のホンダのハイブリッド車同様、低速巡航という極めて限られた場面でしかモーターのみの走行ができず、基本的にモーターはエンジンのアシスト役に徹するという仕組みがそのまま継承されています。このため、トランスミッションが不要なプリウスと異なり、新型インサイトは従来同様トランスミッションを用いて変速する必要があるわけですね。

インサイトが採用しているトランスミッションも、やはり従来同様CVTです。これは無段階で減速比を変えることが可能なため、エンジンの効率が良い回転域を維持しやすく、歯車を用いるトランスミッションより車速とエンジン回転数を最適化しやすいというメリットがあります。

しかしながら、CVTは潤滑されているプーリーとベルトの摩擦係数が約0.1と小さいため、伝達力に対して10倍以上の圧力でベルトを挟まないとスリップしてしまいます。ベルトを挟む圧力は油圧によりますが、その油圧を発生させるポンプを駆動するためにエンジン出力が奪われてしまうというのがCVT最大の欠点です。また、プーリーとベルトとの間にはかなりの摩擦熱が生じますから、その分だけエネルギーを失っているという欠点もあります。

プリウスは高出力モーターゆえ大きく重く、それを駆動するバッテリーも大きく重く、動力混合/分割に遊星歯車が用いられます。が、エンジンの次に重い部品であるトランスミッションが不要で、トータルでは殆ど重くなっておらず、上述のようなトランスミッションが抱えるデメリットを回避できているという点でも非常によく練られたシステムだと思います。

新型インサイトもシビックハイブリッドも、フライホイールの代わりに組み込める非常に薄くコンパクトなモーターを採用しており、ホンダは「シンプルで軽量コンパクト」という点を強調しています。加えて、コストダウンも容易という点が新型インサイトの低価格を実現し、ホンダをこの方式に傾倒させているのでしょう。今後もフットなどのコンパクトカーにもこの方式でレトロフィット(後付け)に近いハイブリッドを展開していく可能性が示唆されています。

が、これは裏を返せば、新型インサイトはハイブリッド専用車でありながら、レトロフィットと同列のシステムでしかなく、プリウスのように専用車として徹底的に作り込まれたものではないといえるでしょう。プリウスのハイブリッドシステムを「本格的」とするなら、インサイトのそれは「簡易的」というべきかも知れません。

ハイブリッド専用車としての作り込みやその実力でプリウスとの真っ向勝負を避けたホンダは、低価格化でプリウスが欲しくてもなかなか手が出せなかった客層の開拓を期しています。また、これと同時にプリウスではまだ本格的に手がつけられていなかった省エネ運転を積極的に促そうとする「ドライバー教育」という部分に切り込んできた発想の転換(ある意味、開き直り?)にも私は注目しています。

現行プリウスにもエンジンやモーターの稼働状態を示す「エネルギーモニタ」、区間燃費や5分毎の平均燃費、回収エネルギーの指数を示す画面表示が設けられています。特に燃費データという「結果」は私も少なからず気になります。以前、「燃費を気にしながら走っていると、それが一つの「成績」みたいに感じてきますから、下がってくるのは心情的に面白くない」と書きましたが、この燃費データは省エネ運転を習慣とする動機付けにもなっています。

しかしながら、プリウスのエネルギーモニタはどのようなアクセルワークをしたらエンジンの稼働を抑えられるかの目安にはなりますが、それはドライバーが積極的に意識し、自主的に探っていかなければならないことで、どのようなアクセルワークが省エネ運転になるかという具体的な「指導」はありません。もちろん、どのようなブレーキングをしたらより回生ブレーキを有効活用でき、効率よくエネルギーを回収できるかといったこともプリウスは教えてくれません。

私の場合はネット上に綴られている諸先輩方の経験を参考にさせて頂いて、普段は(冬場を除き)26km/Lくらいで走らせていますが、プリウスの特性を積極的に学ばず、それを引き出すテクニックを用いず、従来のような乗り方をしていたなら、ここまでの燃費になっていなかったのは間違いないでしょう。本気モードでの省エネ運転に徹すれば私の技術でも30km/Lくらいはいけますし、さらに凄い技術をお持ちの方は40km/Lにも乗せられるといいます。「ドライバーの意識とテクニックによって燃費は変わる」という部分において、ハイブリッド車は普通のクルマ以上に差がついてしまうようです。

ホンダは「クルマの性能でプリウスに及ばないなら、運転する人間の性能を向上させよう」と考えたのでしょう。これはある意味でクルマに出しゃばらせる考え方ともいえますが、ドライバーの意識やテクニック次第で1.5倍、下手をすれば2倍も差が付くのであれば、ここを見過ごす手はありません。そもそも、低価格になったとはいってもまだ依然としてイニシャルコストに割高感のあるハイブリッド車をあえて選ぶ人たちは、こうしたアドバイス機能を邪魔に感じることもないでしょう。

(つづく)

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