酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ルーズベルトにはなれないオバマ

日本のメディアもアメリカの景気対策法案に盛り込まれた「バイ・アメリカン条項」について「保護主義の連鎖に繋がる」とし、極めて批判的な論評を展開していました。

朝日新聞は「議会を説得し、保護主義を寄せつけない姿を世界に見せてほしい」とオバマ大統領に期待し、読売新聞も「大統領は、問題の条項を削除するように議会を説得すべきだ」と注文を付けたように、オバマ大統領が従来から保護主義に傾倒していたことを知らない各紙の論説委員たちは、彼にこの条項の削除を願い、保護主義政策を退けるよう望んでいました。

が、その期待は当然のように裏切られ、「国際合意に沿う形で適用する」との文言は加えられたものの、条項そのものは残されたままの景気対策法案にオバマ大統領はアッサリとサインしてしまいました。

バイ・アメリカン条項が盛り込まれた法案に署名するオバマ
バイ・アメリカン条項が削除されなかった
景気対策法案に躊躇なく署名するオバマ大統領


しかし、何故かあれから数日を経てもオバマ大統領を批判する声が日本のメディアからあまり上がってきません。少なくとも五大紙でこの法案を承認したオバマ大統領に対する批判を展開している社説はありません。

要するに、支持率が極めて高く、世界的にも非常に好感度が高い彼に対するこの空気に呑み込まれているのでしょう。例えイメージだけあっても絶大な人気を博している人物を手厳しく批判することは逆に反感を買うのではないかと恐れているのかも知れません。

例外といえるのは日経新聞で、彼等はこの法案成立以前から既に「期待外れ」と評し始めていました。ま、この言葉が出たということは彼等もオバマ大統領のイデオロギーを充分に確認せず、自分たちが美化してきた彼に過剰な期待を寄せていたということでしょう。

日和見主義のオバマ大統領は国際的な批判が加熱する中、ABCニュースのインタビューに「貿易が世界規模で落ち込んでいる時に、米国が世界貿易より国益ばかり考えているというメッセージを送るのは誤り」「貿易戦争を引き起こさないという保障が必要だ」と述べ、バイ・アメリカン条項に反対を表明しました。これが口先だけだった結果に日本のメディアも満足はしていないでしょう。が、「国際合意に沿う形で適用する」という一文が付け加えられたのは彼の意思によるものと解釈し、寛容になっているのかも知れません。

結局、バイ・アメリカン条項が削除されなかった法案を承認したということは、彼本来の保護主義を曲げず、議会と対立する気もないということを明確に示した格好になったわけですね。ならばあの反対発言は何だったのかということになりますが、つまり大統領になる以前から彼は何も成長しておらず、スピーチが上手いだけの優柔不断な偶像ということなのでしょう。

オバマ政権が進めようとしている新エネルギー開発政策を「グリーン・ニューディール」と称え崇拝しているように、メディアは彼をルーズベルト大統領に準えようとしています。が、この二人はむしろ対極にいると見るべきでしょう。

ルーズベルト大統領は在任期間12年で史上最多となる635回も拒否権を行使したそうです。(余談になりますが、アメリカの大統領は初代のワシントン大統領が3選を固辞したことから2期までという慣例になっていました。が、ルーズベルト大統領は第2次世界大戦という有事を理由に例外となりました。後に憲法が改正され、正式に2期までと定められています。)最大で8年のところ例外的に12年務めたとはいえ、ルーズベルト大統領が行使した635回の拒否権は明らかに多く、オバマ大統領とは違って議会と対立し続けたと見て間違いないでしょう。

『ナショナル・レビュー』誌のリチャード・ラウリー氏は選挙戦中から「最近の政治家で、オバマほど計算と不実を意図的に避けていながら、計算と不実を見せつけた者がいただろうか」と酷評していました。国際世論の批判を浴びたバイ・アメリカン条項に反対する素振りを示しつつ、しかし僅かに修正されたそれを易々と受け容れた彼は、やはり「計算と不実の人」なのだと思います。日本のメディアもそろそろ彼のこうした本性に気付くべきでしょう。

ま、メディアはこれまで散々持ち上げるだけ持ち上げてきた経緯もありますから、この程度のことで全否定はできないのかもしれません。あるいはこの人気と話題性に乗じてもう少し引っ張ってやろうと考えているのかも知れません。が、何かしらのキッカケさえあれば堰を切ったかのごとく一気に流れることになるでしょう。そのキッカケがアフガン政策になるのか、何になるのか、私にはまだ解りません。ただ、本当に彼が大化けしない限り、世界中が彼に失望するのは時間の問題ではないかと思います。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/346-88e08ddd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。