酒と蘊蓄の日々

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SHIFT_foreign countries

「なぜ、ティーダはこの時代に、2年連続、世界で一番売れている日産車になりえたのか?」

このバカバカしいナレーションのCMに失笑してしまったのは私だけではないと思います。「世界で一番売れているクルマ」でもなければ、「世界で一番売れている日本車」でもなく、「Bセグメントで世界一売れている」というわけでもなく、「日産車で一番売れている」というのでは何の自慢にもなりません。どのメーカーにも(零細なバックヤードビルダーでも)一番売れている車種は必ず一つあるのですから。

このナレーションを聞く度に「日産には他に売れる魅力的な車種がないから?」とツッコミを入れたくなりますが、日本で一番売れている日産車はティーダではなく、セレナ(2008年1~12月累計)なんですね。「なぜ、ティーダは世界で一番売れている日産車なのに、日本では二番目なのか?」ということのほうが私としては気になったりします。ちなみに、今年1月の単月実績ではフルモデルチェンジしたばかりのキューブがセレナを抜き、ティーダはノートにも抜かれて日産車では四番目となっています。

ま、こんな他愛のないハナシはどうでも良いのですが、「世界一売れている日産車」であるティーダは神奈川県の追浜工場、メキシコのメキシコ日産、中国の東風汽車、台湾の祐隆汽車製造、タイのサイアムモーターズ・アンド・ニッサンでも生産されています。以前、日本国内向けマーチの生産拠点が次期モデルからタイに切り替わり、追浜工場での生産はなくなる旨をお伝えしましたが、ティーダも中東向けに関しては追浜工場での生産を取りやめ、メキシコ工場のそれを振り向けることになったようです。

日産自動車追浜工場
日産自動車追浜工場
1961年創業、1970年には業界初となる溶接ロボットが導入され、
また今日では当たり前の多車種同時生産を可能にする混流ラインも
かなり早期に導入され、先進的な工場として内外に知られる存在でした。
月間8万台を出荷できる専用埠頭、基礎研究所、テストコースも隣接し、
世界の生産拠点の人財を育成するグローバルトレーニングセンターや
試乗会等が行えるコミュニケーション施設も備えています。


追浜工場の生産車種はマーチ、ティーダのほか、ノート、キューブ、ブルーバードシルフィと、いずれも同じBプラットフォームの車種です。こうして生産量が減っていけば工場の稼働率も低下し、工場そのものの規模を縮小しなければコスト的に見合わなくなるでしょう。業界筋によれば「将来的に追浜工場は電気自動車の生産拠点とする公算が大きい」と見られています。

余談になりますが、日産は電気自動車に対する優遇措置が設けられているイスラエルでルノーと共に新たなビジネスモデルを構築するプロジェクトを立ち上げました。このハナシを続けると長くなりますので詳しくは別の機会に譲りたいと思いますが、基本的に「消費者は車両を購入、所有し、走行距離をベースにバッテリーの使用量に応じた供給契約を行う」とされています。つまり、インフラ整備も含めた総合的な電気自動車普及ビジネスを展開するということですね。

追浜工場がしばらくは小規模にとどまると考えるべき電気自動車中心の生産拠点となるというハナシはまだ噂に近い段階です。が、日産は2009年度から10カ年計画で13万台/年を国内から海外の生産拠点へシフトしていくことは決定しています。その多くは大衆車になるでしょうから、追浜工場が担っているBプラットフォームの生産はかなりの部分が海外拠点へ移され、日本への逆輸入というかたちになるのはマーチだけにとどまらなくなるかも知れません。

また、日産はエンジンの生産拠点を横浜工場(MR系、VK系、VR系)といわき工場(VQ系)、国内に2か所設けていますが、これらの一部(恐らく大衆車用のMR系が中心になると思いますが)の生産拠点もメキシコなど海外へ移管するといいます。基本的に円高対策ということのようですが、ここに来て日産は海外生産へのシフトを加速させている様子が非常に目立ってきました。

日産はこうしたグローバル展開を支える強力な武器を持っていまして、2007年に座間事業所内に「グローバル車両生産技術センター(略称:GPEC)」を立ち上げているんですね。このGPECはプレス工程、車体溶接工程、車両組立工程など実際の工場と同等の設備を持ち、新車の試作を集中的に行い、治具、検査具、制御データに至るまで開発され、デジタルデータ化して量産工場にそれを転写するということを行っています。

GPEC.jpg

トヨタは愛知県の元町工場に設立されたグローバル生産推進センターやアメリカのノース・アメリカン・プロダクション・サポート、イギリスのヨーロピアン・グローバル・プロダクション・センターなどがありますが、これは専らスタッフのトレーニングを主軸としているようで、日産のGPECとは異なるようです。トヨタの場合、量産工場のグローバル展開は国内の生産拠点をマザー工場とし、海外工場の手本とするようなカタチをとっているようです。

日産の場合、人材育成には追浜工場に隣接されたグローバルトレーニングセンターなどが担いますから、GPECは工場施設や生産から検査に至るプロセスの集中開発を担うというわけですね。また、この施設は開発準備期間の短縮も重要な狙いの一つですから、実際の量産工場と変わらない設備を用い、従来なら量産工場で量産試作を行う段階に練り込まれ、最適化されていく部分にまで踏み込んで標準化していくようです。ここまで徹底したシステムがあれば、世界中どこでもクローンのように量産工場を展開していけそうな感じです。

日産のグローバル化

上図のように日産は6年前から海外生産の比率が50%を超えています。ま、他社も多かれ少なかれ同じような傾向が続いていますが、日産はここに来てなりふり構わず積極的に海外シフトを進めているように見えます。

日産はアメリカの広告代理店TBWAが提案した「SHIFT_ワード」というパターン、「○○をシフトする」といったキャッチコピーで様々な広告を展開してきました(現在は「SHIFT_the way you move」に統一しているようですが)。いまの彼等をこの広告風に表現するなら、さしずめ「生産拠点を海外にシフトする」といったところでしょうか。

それはともかく、こうした海外シフトが進められていくと、日本の産業が空洞化し、GDPを引き下げる要因となり、国内の雇用が失われていくことになり、国益を考えれば望ましくないことが積み上がっていきます。それこそ、派遣切りバッシングなどをやっている暇があるなら、メディアはこの状況を憂慮し、問題提起していくべきでしょう。こうした問題のほうが雇用形態の問題などよりずっと根が深く、雇用の受け皿そのものにも係る問題でもあるのですから。

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まとめ

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