酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

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お見逸れしました

2月6日に発売されたホンダのハイブリッド専用車インサイトは、発売以前に約5,000台を受注していたそうで、それから1週間で11,000台を超え、今月9日には18,000台を突破したといいます(2月の登録台数は4,906台だったそうです)。当初の国内月販目標が5,000台ということでしたから、受注台数はその3倍を超え、非常に好調な出だしとなっているようです。現在のところ2ヶ月待ちとの情報もありますが、増産が可能かどうかは微妙なところでしょう。

初代フィットも一時期は月販目標1万台の3倍になるバックオーダーを抱え、鈴鹿製作所のラインの一つをフィット専用に切り替え、速やかに増産体制を整えました。このとき、私の実家でもセカンドカーとしてこのフィットを買っているのですが、リヤハッチゲートのガスシリンダがカヤバ製になっていました。何故ホンダグループのショーワを使っていないのか気になって確認してみたところ、「ショーワだけでは供給が間に合わないから」とのことでした。

インサイトのハイブリッドシステムはプリウスほど複雑ではありませんが、それでも特別な部品は少なくないでしょうから、通常の車種を増産させるのとは訳が違うと思います。インサイトも鈴鹿製作所の第1ラインでシビックとの混流となっているようですが、このまま当初計画を大きく超過するバックオーダーを抱え続けることになったとしても、初代フィットのときのように速やかな増産は難しいかも知れません。しばらくは供給不足の状態が続き、その分だけ納期がかかる状態も続いてしまうのではないでしょうか?

ということで、目下のところビジネス的には大成功しているインサイトですが、気になる実燃費についても色々情報が流れ始め、かなり良好な数字が報告されているようです。

例えば、webCGの試乗速報によりますと、メーカー主催の試乗会の最後に「比較的交通量の少ない首都高速が6割、まずまず混んでいる一般道が4割」という25kmのコース設定で各メディア対抗の燃費競争が行われ、優勝チームは27km/L超、同誌も10チーム中4位で25.2km/Lをマークしたといいます。なお、いずれのチームもアイドルストップ時間の延長やエアコンの省エネ制御、エンジン出力や回転を抑えるなど、燃費を優先する「ECONモード」をONにした状態だそうです。

少々穿った見方をしますと、この種のデモンストレーションは好結果に繋がるような好条件をセッティングされていても何ら不思議ではありませんから、コース設定がインサイトにとって都合の良い条件になっていた可能性も充分に考え得ることです。とすれば、プリウスでは比較的燃費が伸びなくなる高速道路をインサイトは得意としているのかも知れません。

もちろん、わずか25kmという短距離ですから、かなりバラツキが出るものと思われます。私がプリウスをドライブしてきた経験でもこの程度の短距離なら条件次第で35km/L超も不可能ではありません。私の技量では数百kmレベルの平均燃費でここまで乗せるのは難しいところですが、世の中には40km/L超を叩き出してしまう達人もいます。

この燃費競争も同一条件ながらチームによって数十%になる差が出たようですから、データとしては参考程度にしかならないでしょう。そもそも、単発的なテスト走行で総合的な評価を下すのも拙速というものですし。とはいえ、カタログ値と実燃費の落差が大きかったこれまでの実績から「インサイトは条件が良くても実燃費で20km/L台後半は難しいのではないか?」と思っていた私の予想は完全に外れ、かなり過小評価していたことは明らかになりました。

余談になりますが、インサイトの実燃費についてネットで情報を拾っていると、比較されているプリウスの実燃費を「約19km/L」としているメディアが多かったのには驚きました。これまでにも何度となく書いていますが、私の場合はどんなに悪くとも100km以上の平均燃費で20km/Lを切ったことはなく、普段は26km/L前後で走らせており、本気を出せば30km/L超も不可能ではありません。条件や乗り方によって実燃費に大きな差が出るのは当然とはいえ、こうした私の経験とメディア一般の認識とは大きくかけ離れていることを改めて知りました。

それはともかく、カタログ値を見比べるとシビックハイブリッドから全く進歩していないハズの新型インサイトですが、実燃費は格段に進歩しているようです。要するに、10・15モードやJC08モードの燃費データはあまりアテにならないということですね。走行条件やドライバーの意識や技量によって実燃費は大きく変動するということを再確認する格好になったと思います。

件の燃費競争の場合、そのスタート前にホンダのプロジェクトリーダーから「だらだらゆっくり走るよりも、ある程度グッと速度を上げて、そこからモーターのみの走行モードに入れたほうが燃費がよくなります」といったアドバイスがなされていたそうです。これはプリウスにも通じるテクニックですが、知っているか否かで差が出るのは間違いありません。

恐らく、この燃費競争でもこのような事前のレクチャーがなく何も知らずに我流で運転していたら、結果もかなり違っていたのではないかと思います。さらに、インサイトには例の「コーチング機能」という適切な省エネ運転を随時リードしてくれる機能がありますから、これによる効果もあったのではないかと想像されます。

ついでにいえば、この参加者は自動車専門メディアの記者達ですから、ある種テストドライブのプロといえる人達です。元々の技術や知識レベルがド素人でないのは確かですし、普通の人より技術指南の飲み込みも良いでしょう。何より、「燃費競争」ですから各者とも相当に気合いを入れて省エネ走行に徹していたのも間違いありません。それで最高27km/Lなら大したことはないともいえます。

現行プリウスは発売から既に6年を経過しています。従って、今年5月中旬に発売となる新型を待たなければトヨタとホンダの実力差は明確にならないでしょう。現時点でインサイトの実燃費が現行プリウスと比肩しうるレベルに達しているとしても、トヨタに対してはまだ6年遅れという見方もできます。トヨタにとっての脅威は、ホンダが低コストの簡易的なハイブリッドシステムでここまでの実力を身につけたところにあると見るべきかも知れません。

私がインサイトを過小評価していたのはホンダのハイブリッドシステムがプリウスに比べると非常にシンプルであるゆえ、あまりメリットを引き出せないのではないかと思っていたからです。これまでも何度かご説明してきましたが、いくつか漏れていた部分も補足しておきますと、ホンダの方式はモーターを駆動する電力を回生ブレーキによって発電されたそれに100%依存します。プリウスのようにエンジンで発電することはないんですね。

インサイトの走行用モーターはフライホイール代わりに組み込まれていますから、要するにエンジンと直結状態です。低速巡航という限られた場面でモーターのみの走行もできますが、それはホンダお得意のバルブの動きを止める気筒休止システムによるものです。クランクやピストンはモーターと直結していますから、走行中は常に動き続け、そのフリクションによってエネルギー損失も生じてしまうハズです。

ホンダはエンジンの出力で発電しない(通常の電装用を除きます)以上、プリウスのように専用モーターでエアコンのコンプレッサーを回してアイドリングストップ中もエアコンを運転し続けられるという方式は採用していないと思います。カタログなどでは謳われていませんが、恐らくコンプレッサーの駆動は普通のクルマと同じようにエンジンの動力によるでしょうから、夏場は停車中のアイドリングストップも格段に減るでしょう。ECONモードで多少は改善されるかも知れませんが、夏場の燃費悪化はプリウスよりかなり顕著に出るのではないかと推測されます。(だから発売を冬場に設定したとか?)

こうした概要を見るとインサイトはプリウスほど効率が良さそうには思えませんし、初代のように軽量なアルミボディという飛び道具もありません。しかしながら、上述のように良好な数字を示しているようですから、これはかなり凄いことかも知れません。この技術を応用していけば、大して意味のないハイブリッド車(例えば、公称値ではカローラと同レベルでしかないヒュンダイ・エラントラ・ハイブリッドなど)とは一線を画すそれのバリエーションが一気に拡大することになります。もしそうなれば、トヨタも安穏としていられなくなるでしょう。

ホンダCR-Z
HONDA CR-Z

新型インサイトはホンダの「グリーンマシーン1号」とされていますが、「2号」となるのではないかと噂されるのがこのCR-Zです。ま、保安部品の類も不十分ですし、バンパー周りもプロトタイプ然としたコンセプトカーが何度かショーなどにお目見えしただけですから、噂通りに進むのかかなり微妙な気もします。

シビックとそれをベースとしたCR-Xとの関係に同じく、インサイトをベースとしたスポーツカーという位置づけなら非常に解りやすく、マーケットの反応も良いかも知れませんし、この種のFFライトウェイトスポーツは実にホンダらしい車種ともいえます。一番のネックは「スポーツカー冬の時代」と「世界的な不況」が重なっている昨今のマーケット状況にあるといえるでしょう。ホンダがギャンブルに出るかどうかがCR-Zの運命を決めるのかも知れません。

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