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プリウスに似ているのは作為的だと思う理由 (その3)

新型インサイトのスタイリングがプリウスに似ていることについて、ホンダを擁護する意見としては「F1がどれも似たような格好になるのと同じで、空力を追求するとこの形になるのかもしれない」(webCGの試乗速報)とか「居住性と実用性、さらに燃費の良さを追求すれば、必然的にあのようなフォルムになる」(川上完氏によるレビュー)といったものがあります。

ま、私も当初はこれらに近い理解(webCGの試乗速報とほぼ同じ見解)を示しましたが、それが間違いだったということは前回具体例を示した通りで、空力的にはプリウスよりシビックのほうが優れている(前面投影面積と空気抵抗係数の積ではシビックのほうが僅かながら小さな値になっている)という事実からも明らかです。また、別の角度から見てもこの「必然説」が誤っているということは確認できます。

インサイトが空力や居住性などを追求した結果としてプリウスに似てしまい、これは「必然」だとするならば、プリウスをデザインした人たちも同様に空力を追求し、合理的な空間設計を行い、F1マシンのように理屈でガチガチに固められた結果の上にあのフォルムが完成したということになります。が、当事者たちは全く逆のことを言っているんですね。このデザインを総括したトヨタの第1トヨタデザイン部の山崎登美雄氏はプリウスのデザインコンセプトについてこう述べています。

理屈抜きの魅力を求めた。お客様の右脳にアピールできるクルマにしたいと考えた。


左脳は論理的思考を担い、右脳は芸術的創造性を担うといった「脳機能局在説」は非科学的な俗説ですから、「右脳にアピール」というのも個人的にはかなり低俗な説明だと思います。が、要するに彼等は見た目で感じる部分も重視してデザインしたというわけですね。もちろん、空力的にもかなり煮詰められていますが、それは当初のデザインコンセプトを具現化していく中で調整されていった部分と見るべきでしょう。

このスタイリングのオリジンは、テクノアートリサーチというトヨタグループのデザイン会社によります。キーコンセプトを提案したのは同社の岡本浩志氏というデザイナーで、それを前出の山崎氏率いる第1トヨタデザイン部(開発当時は第2デザイン部)が引き継ぎ、エクステリアは稲富克彦氏をチーフとするチームが纏めたものになるといいます。

テクノアートリサーチの岡本氏によって掲げられたキーコンセプトは「トライアングル・モノフォルム」と称されています。Bピラーの上部付近を頂点とし、側面から見て三角形を描くシルエットで「キャビンとタイヤをシンプルに結ぼう」という発想になります。また、「人とクルマと環境のトライアングルを象徴したいという思いも込めた」ともいいます。ま、「人とクルマと環境」云々といった説明についてはプレゼンなどで後付けっぽく語られるパターンになるような気もしますが。

プリウスのレンダリング
テクノアートリサーチによって提案された
2代目プリウスのレンダリング

この段階では生産車とあまり似ないことが多いものですが、
サイドビューに関してはルーフからテールにかけてのカーブや
全体的な量感、バランスなどが生産車にかなり近い印象で、
インサイトにも共通する造型になっていると思います。
(あくまでも個人的な感想です。)


いずれにしても、空力的な開発が進められるずっと以前の段階から、プリウスのスタイリングはこうしたコンセプトとして提案され、理屈抜きで新しいスタイリングを具現化するべく進められたわけです。F1のように「定められたレギュレーションの中で性能を突き詰めると必然的にこうなる」という理屈が先にありきではないということをトヨタのデザイナー達は自ら主張しているわけですね。

さらに、新型インサイトのスタイリングを担当したホンダ技術研究所・4輪開発センター・デザイン開発室の中原潤氏はこう語っています。

リアトレッドを狭くしてまで後ろすぼみの空力フォルムを追求した初代とは違い、新型はリアフェンダーの張り出しを強調してしっかりと足が踏ん張る感じを表現しました。ウエッジ感のあるショルダーラインと組み合わせることで、下半身は力強く、スポーティな走りを予感させるデザインにしています。


新型インサイトは初代ほど空力を追求していないということを明言していますね。それも居住性の確保を目的としているのではなく、下半身の力強さを表現し、スポーティな走りを予感させるためだとしています。

このように当事者たちが空力と居住性のみを追求した結果のスタイルではないと明確に語っているのですから、部外者が単なる思い込みで「必然的なカタチ」と主張するのはナンセンスというものです。

ところで、webCGの試乗速報にはこんなことも書かれていました。

そういえば以前に読んだインタビュー記事で、北野武は「ほかの監督の映画は観ますか?」という質問に「似た映画を作らないために観る」と答えていた。


インサイトをスタイリングしたホンダのデザイナーがプリウスを見たことがないなどということは絶対にあり得ません。それで似ているのは「作為的に似せたのではないか?」とこの記者は暗に述べているのでしょう。私も全く同感です。

インサイトのスタイルがプリウスに似ているのは、ホンダがマーケティングリサーチの結果を受けるなどして普通のクルマとは違うハイブリッド専用車のイメージがコレだと結論づけたゆえでしょう。必然的に似てしまったのではなく、作為的に似せたのは間違いないと私は確信しています。ま、あくまでも推測に過ぎませんし、本当にその通りだったとしてもホンダは絶対にそうと認めないでしょうけどね。

(おしまい)

コメント

人間の乗り物。私に形が似ていますね。

  • 2010/11/19(金) 21:03:52 |
  • URL |
  • マグロ #JalddpaA
  • [ 編集]

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