酒と蘊蓄の日々

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アメリカ人は小型車を憎んでいる (その1)

うろ覚えで恐縮ですが、掲題のフレーズは以前にどこかで読んだレポートに書かれていたものです。一般誌だったか自動車専門誌だったかも覚えていませんし、レポートの内容も殆ど記憶にありませんが、アメリカ人の大型車指向の強さを端的に表現しているこのフレーズだけは強く印象に残っています。

ま、こうして指摘されるまでもなくアメリカ人の大型車好き小型車嫌いはよく知られるところだと思います。それゆえ「アメリカのビッグ3は大型で燃費の悪いクルマばかりを作り、日本のメーカーはコンパクトで燃費の良いクルマをつくってきた」という単純な図式を組み立て、ビッグ3の凋落と日本メーカーの躍進に結びつけてしまう短絡思考が蔓延してしまうのでしょう。

今日の朝日新聞の社説もまさにこの典型的な短絡思考にはまり、物事の実体を深く考えず、小手先で書かれたいい加減なものになっています。

米排ガス規制―日本メーカーにも好機

オバマ大統領の誕生と未曽有の経済危機が、「ガソリンがぶ飲み」の米国を変えることになるかもしれない。

 自動車の排ガス規制の強化に及び腰だったブッシュ前政権から一転、オバマ氏は基準強化を打ち出した。

(中略)

 米国の消費者が好んで買っていたのは、ガソリンをふんだんに使う燃費の悪い大型車だった。ビッグ3はそれに甘えて大型車ばかりを大量生産し、燃費改善努力を怠ってきた。米政府もビッグ3の競争力が一段と低下することを恐れ、容認してきた。

 それを批判したのが環境問題に熱心なゴア元副大統領だ。日本でも公開されたドキュメンタリー映画「不都合な真実」でゴア氏はこう指摘した。燃費がいい車をつくっているトヨタ自動車やホンダと比べ、ビッグ3の経営が悪化している。つまり国内メーカー保護のために環境基準を緩くしている米国の政策は「時代遅れだ」と。

 オバマ氏は、規制の強化により燃費向上をめざすメーカーの競争を促し、温室効果ガスの削減につなぐことを狙っている。「不都合な真実」の批判にようやく応えるものになる。

(C)朝日新聞 2009年3月23日


ご存じのようにトヨタも日産もホンダも小排気量で燃費の良い小型車だけでなく、大排気量で燃費の悪い大型車も作っています。そして北米市場を中心にたくさん売ってきました。救いようのない自動車オンチばかりの日本のメディアからは「ビッグ3凋落の原因」と見なされがちなSUVですが、日本のメーカーもこれらを積極的に投入してきましたし、日本未発売のフルサイズピックアップもビッグ3同様にたくさん売ってきました。

北米でピックアップのマーケットを侮ることはできません。フォードに関していえばエクスプローラーの売上が全体の4割を超えているのですが、そのうちSUV版とピックアップ版の比率は1:4くらいになります。つまり、ピックアップはフォードの売上全体の約1/3を占める最重要車種ということです。

世界最大のクルマ社会であるアメリカでも昔はパーソナルユースではなく、せいぜいファミリーユースが良いところでした。家族経営の農業や建設業などに従事している人たちは仕事用にトラックを1台購入し、生活の全てをそれだけで賄うという時代があったんですね。メーカーはそうした需要に応え、アメ車の黄金期ともいえる50~60年代にはセダンやスポーツカーなどで流行した意匠を盛んに取り入れ、若者にとっても魅力的なトラックが次々に繰り出され、今日へ至る文化が築かれていったわけです。

現在でも特に南部や中西部ではこうしたピックアップの人気が非常に根強いんですね。都会で会社勤めをしている人達の間でも週末のレジャーに使えるということで大きな需要を生んでいます。当然のことながら、日本のメーカーも指を咥えて見ている訳がありません。ビッグ3と同じようにこのマーケットを狙ったピックアップを開発し、投入してきました。具体的にはトヨタ・タンドラとか、日産タイタンとか、ホンダ・リッジラインなどですね。

トヨタ・タンドラ
TOYOTA TUNDRA
日本とアメリカの燃費基準は異なりますので一概にはいえませんが、
このタンドラの燃費はおおよそ6km/L前後くらいになるそうです。
フォードF-150シボレー・シルバラードなどと
全くの同レベルといって良いでしょう。


朝日新聞(に限りませんが)の論説委員が日本国内しか見ていないのはいつものことですから、日本のメーカーは日本国内で売っている車種を北米市場でもそのまま展開していると思い込んでいるのでしょう。こうしたアメ車チックな巨大ピックアップをビッグ3同様に売ってきたとは夢にも思っていないからこそ、あのようにいい加減な社説が書けるのです。

(つづく)

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まとめ

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