酒と蘊蓄の日々

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55年ぶりの快挙!

初テストの未セットアップ状態からいきなりトップタイムを叩き出したブラウンGPの戦闘能力の高さはライバル達も舌を巻く程でしたが、シーズン前に調子が良くても本番でパッとしないケースは決して珍しくなく、今回もそう簡単に勝たせてもらえないだろうと思っていました。

何しろ、ホンダがF1から撤退し、その跡を継ぐチーム運営を巡っては開幕3週間前にようやく正式発表に漕ぎ着けた状態で、スポンサーもロクに決まっていませんでした。しかも、前身であるホンダレーシングは2006年のハンガリーでようやく1勝を挙げたものの、ここ2年は入賞圏外に沈むことが多く、雨天で荒れたレース展開となった昨年のイギリスで3位になったのを最後にポイントの獲得すらできない大不振が続いていたのですから。

しかし、ご存じのように今シーズンの開幕戦でいきなりポール・トゥ・ウィン、しかも1-2フィニッシュとなりました。チームそのものは旧ホンダ・レーシングをそっくりそのまま受け継ぎ、ホンダの撤退さえなければシャシーもBGP001ではなくRA109となるハズだった状況とはいえ、新チームがデビューでいきなり1-2フィニッシュを成し遂げたのはメルセデスワークス以来55年ぶりの快挙になるそうです。


BGP001
いきなりパーフェクトな勝利を得たブラウンGPですが、
ご覧のようにヴァージングループのロゴと
チーム名のロゴがこぢんまりと入った以外は
初テスト時のカラーリングと大差ないようです。
このようにスポンサーシップがハッキリしていない
財政不安を抱えたまま開幕を迎えた前例はありますが、
そんな状態でここまで見事な勝ちっぷりを示したのは
ちょっと記憶にありません。


ブラウンGPの速さはテストの段階からよく知られており、その要因分析も成されてきました。特に注目されるのは、このところ続いた不振から昨シーズンは早々に同年のマシン開発を諦め、2009年の準備に取りかかったという点でしょう。レギュレーションが大きく変更された空力面を早い段階からシミュレーションし、特にノーズやフロントウイング、フロントサスペンションアーム周りの空力特性をかなり煮詰めて来たようです。

このレギュレーション変更で今シーズンはマシンのダウンフォースが大幅に削られ、各チームとも開発を進めてかなり取り戻してきたとはいえ、昨シーズン終盤と比べて20%くらいは失ったままのようです。が、昨シーズンのホンダは早々に諦めたこともあり、マシンのダウンフォースはライバルに対して90%以下にとどまっていたと見られています。そのマシンでバトン選手もバリチェロ選手も戦い抜いており、ダウンフォースが削られたマシンに慣れを要する他チームのドライバーのような影響を殆ど受けていないようです。

また、エンジンがホンダからメルセデスに変ったことで70馬力はアップしているとのことです。同じメルセデスのカスタマーエンジンとそれに付随するトランスミッションを用いるフォース・インディアとは異なり、ブラウンGPはホンダ時代から引き続きオリジナルの軽量なカーボン製トランスミッションをフィッティングさせ、良好な重量バランスを得ているようです。いまやトランスミッションとリヤサスは切り離せませんが、ここで苦戦しているマクラーレンと状況は異なり、ブラウンGPは独自のそれでリヤサスのジオメトリーをシャシーに最適化することでも上手くいっているようです。

重量バランスといえば、KERS(制動力をエネルギーとして蓄え、加速時に利用する回生システムで、バッテリーに蓄電する電気式とフライホイールに運動エネルギーのまま保存する機械式が開発されており、ブラウンGPは後者をテストしていました)の採用を見送り、このシステムによる重量増のハンディ(約30kg)を免れてている点も多少は影響しているかも知れません。

加えて、KERSユニットそのものの搭載やこのシステムが発生する熱を処理するための冷却系の装備など、マシンを複雑にする要素が採用を決めたチームには頭痛のタネとなっているようですが、これを排除して従来通りのシンプルな構成に纏めた点も良かったのかも知れません。KERS搭載チームはまだ信頼性が低いこのシステムのトラブル(BMWザウバーでは感電事故も起こしています)でテスト走行も距離を伸ばせないケースが多かったようですし。

レース展開そのものも、かなり大荒れだったというのもありますけどね。2位争いをしていたレッドブルのフェテル選手とBMWザウバーのクビサ選手がわずか3周を残したところで絡んで共にリタイヤとなりましたし、3位でフィニッシュしたトゥルーリ選手(その後にセイフティカー導入時の追い越しと判定されてペナルティの25秒が科せられ、12位へ繰り下げとなりましたが)と4位に入賞したグロック選手のトヨタはウイングのしなり問題となってスターティンググリッドを下げられ、ピットレーンスタートで最後尾からの追い上げでした。

まだ充分な戦闘能力を備えていないニューマシンにテストセッションで弱音を吐いていたマクラーレンのハミルトン選手は予定外のギヤボックス交換でスターティンググリッドを18位に下げられたものの、2位争いをしていた2人のクラッシュアウトとトゥルーリ選手の繰り下げで棚ボタの3位となりました。フェラーリは2人ともチェッカーを待たずしてマシンを降り、完走扱いとなったのは16台でした(ライコネン選手もこのうちの1人です)が、実際にチェッカーを受けたのは13台でした。

ライバルが次々に自滅していったような状況だったとはいえ、バトン選手は盤石の走りで1度もトップを譲ることなく走り抜きました。スタートでアンチストールシステムが働き大きく順位を落としたバリチェロ選手も最終的には2位フィニッシュとなりましたし、テスト段階から図抜けた成績を収め、予選のQ1セッションから1-2を独占し続けましたし、ブラウンGPのこの速さは本物だと思います。(ついでにいえば、今年はトヨタも良さそうです。)

いまのところ(タイヤサプライヤーのブリヂストンを除き)ブラウンGP唯一のスポンサーであるヴァージングループのリチャード・ブランソン氏もこの結果には大いに満足しているようで、「チーム名も"ヴァージン"を冠したものに改められるのではないか?」という噂に対して「もちろん可能性はある」「誰もがチームに最高のエンジニア(ロス・ブラウン)がいると知っているのだから、そのエンジニアの名前をつける必要はない」と述べているそうです。

かつてはプライベーターだったベネトン(旧トールマン)がルノーワークスとなり、マクラーレンもザウバーも各々メルセデスとBMWのセミワークスというべき状況にあり、いまや完全なるプライベーターにとって冬の時代といえるF1界ですが(昨年トロロッソが初優勝するという極めて例外的な快挙もありましたけど)、昨日のブラウンGPの勝ちっぷりを見るとチャンピオンも夢ではないと思わせるものがあり、プライベーター新時代を切り開く理想的なあり方を示すかも知れないという期待が膨らみますね。

(追記)
後にFIAの裁定が覆り、トゥルーリ選手へのペナルティが取り消され、逆にハミルトン選手は失格となりました。詳しくはコチラ

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