酒と蘊蓄の日々

The Days of Wine and Knowledges

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キューバの経済制裁解除へ

キューバは47年も続いているアメリカの経済制裁をものともせず、2007年までに化石燃料の自給率を50%にまで高めてきました。また、1977年の三者(アメリカ、メキシコ、キューバ)協定でキューバの排他的経済水域となったキューバ島北西部(フロリダ半島南西部)の海域には大規模な海底油田が存在しています。

その埋蔵量は900億バレル(2007年の確認可採埋蔵量で世界一のサウジアラビアが約2643億バレルですから、その1/3を超える量になります)にもおよぶと見られ、2006年からはキューバ政府の委託を受けた中国石油化工集団が試掘を行っています。

これに対し、アメリカでは本土から150マイル(約230km)の自国海域内での海底油田開発は環境保護上の理由から一部を除いて原則禁止とされており、手出しができない状態です。また、キューバの海底油田は深海にあるため、技術力の乏しい中国では原油の漏洩による海洋汚染が懸念されたり、傾斜掘削によってアメリカの排他的経済水域内のそれが吸い出されてしまう恐れもあるなど、どこかで聞いたことのあるような懸念にアメリカ議会は猛反発してきました。

一方、アメリカとの関係悪化でキューバに歩調を合わせ、反米色を強めていったベネズエラも確認可採埋蔵量870億バレル(世界第6位)を誇る中米最大の産油国ですが、その国有化法案が昨年可決され、エクソン・モービルやシェブロンなど石油メジャーからオリノコベルトの油田開発事業の権利を取り上げたばかりです。

オリノコベルトというのは、オリノコ川北岸の約5万km2という広大な土地に分布している超重質油の鉱脈になります。原始量で1兆2000億バレル、そのうち将来的に開発可能なものが2600~2700億バレルと、サウジアラビアの確認可採埋蔵量に匹敵すると見込まれているんですね。

ただし、超重質油というだけあって、通常の原油より比重が大きく、また硫黄分や重金属を多量に含むため、通常の製油施設で精製できません。従って、改質工程で軽質化、脱硫、脱重金属化を行い、合成原油として市場に出されることになります。その分だけ手間とコストがかかり、価格競争力はまだアラブ系に敵いません。

とはいえ、こうして失った石油利権はアメリカの石油メジャーにとって小さくなく、この絡みもあってキューバの排他的経済水域にある海底油田開発に彼等は熱い視線を注いでいるわけですね。今年からは外資へ解放されることが決まっており、スペインやベネズエラなどの7企業に59ある鉱区のうち24について採掘権が与えられています。

キューバが解放した海底油田

アメリカの石油メジャーも経済制裁さえ解かれれば、ここへ積極的に資本投入するのは間違いありません。中国が試掘を始めた2006年にはエクソン・モービルなどがキューバ石油公社と情報交換をしていましたし、この油田開発に参入できるよう下院に法案を提出させてもいました(審議段階で却下となり、採決にさえ至らなかったそうですが)。ここにきて外資に開放されるキューバの油田開発が進み、オイルマネーが流れ込むようになれば、アメリカの経済制裁は完全に空回りすることとなり、逆に利権からあぶれるだけ損というべき状態になるかも知れません。

オバマ大統領は中南米政策についても「Change」を唱えており、昨年5月の演説で

アメリカのごう慢さと中南米での反米意識を変えるときだ。中南米諸国とは、お互いに耳を傾け、お互いに学ぶときだ。


と語っています。これまでの確執にとらわれない柔軟な姿勢をアピールし、彼が一貫してきた変革路線を力強く示してきたわけですね。そうした彼のイデオロギーには中米諸国も期待を高めてきました。

今月中旬には米州機構(OAS)の首脳会議がトリニダード・トバゴで開催されますが、キューバのカストロ前議長と親交の深いベネズエラのチャベス大統領はこの席でキューバのOAS復帰やアメリカによる経済制裁解除を提案する意向を表明しています。この首脳会議にはオバマ大統領の出席も予定されており、雪解けが一気に進むことになりそうです。



といったところで今日がエイプリルフールだというネタばらしをしますが、ここまでに書いてきた中でウソなのはこのエントリのタイトルと最後の一文にある「雪解けが一気に進むことになりそう」という部分だけです。実際には既に政府筋がその可能性をキッパリと否定していますし、先日バイデン副大統領も「キューバ国民が自由に生き、経済的繁栄への見通しを抱けるようにすべきだ」と内政に干渉するコメントをしており、経済制裁解除の考えはないことを強調しています。

アメリカのごう慢さを変え、中南米諸国とはお互いに耳を傾け合い、学び合うべきだと語り、「Change」を合言葉に選挙を勝ちあがってきたオバマ政権ですが、結局のところ従来どおりキューバの内政に干渉を続けながら自分たちからは何一つ「Change」する気はないようです。要するに日本の政治家にもよくいるタイプのウソつきということですね。当blogでは彼が大統領に就任する以前から彼をヒーロー視するイメージはメディアが創作したものと指摘してきましたが、やはり間違いではなかったようです。

思えば、アメリカはキューバへの経済制裁という目的のために野生動物保護政策もツールとして利用してきました。ワシントン条約が定めているI種(絶滅危惧種)に全てのウミガメが登録されており、その国際商業取引を禁じているのはまさにアメリカの陰謀であり、キューバに対する経済制裁の一貫であると見られています。

キューバでは古くからウミガメの一種であるタイマイを食用として消費してきました。彼等にとっての蛋白源である海洋資源を守るために調査を重ね、計画的な漁獲プログラムを実施してきました。また、既に人工繁殖にも成功しているそうです。こうした活動もあってキューバ沖には現在約10万頭のタイマイが生息しており、少なく見積もって毎年約1%増加しているといいます。

食用として消費されたタイマイの甲羅にキューバ国内で大した利用価値は見出されていませんが、それを輸出すればべっ甲細工の原材料として貴重な外貨獲得手段となります。アメリカはこの流通を阻止し、経済制裁を強化する狙いでワシントン条約を利用しているというわけですね。

ワシントン条約では人工繁殖に成功すれば3世代目からの商業取引が認められることになっていますが、アメリカ政府の意向を受けた研究者達は成熟に時間がかかるウミガメにおいてはその証明が困難という理由でキューバの人工繁殖が3世代以上になっているとは認めたがらず、全てのウミガメという大雑把な括りを解く気はなさそうです。

また、アメリカはこのインチキな保護政策を徹底するために国内法をASEAN諸国へも無理矢理押しつけ、ウミガメがエビ漁の網にかからないよう、「TED」と呼ばれる柵状の混獲防護装置の導入を強要しました。実際にはASEAN諸国のエビ漁の網にウミガメがかかることなど滅多になかったにもかかわらずです。

この問題も地球温暖化やオゾン層破壊などと同じく、「環境保護」という概念が政治的な思惑に利用され、プロパガンダされてきたという一例を示すものと私は見ています。彼等はエイプリルフールでなくとも自分たちのイデオロギーを押し通すツールとしてこのようなウソを年中無休でつきまくっているということですね。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ishizumi01.blog28.fc2.com/tb.php/367-c87da793
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

まとめ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。