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毎日新聞は妄想で記事を書く (その2)

毎日新聞の東京版の記事『暖かな破局:第1部・温暖化の政治経済学/7止 「一石二鳥」作戦の石原都知事』は石原都政を「環境問題重視」と評し、「就任直後のディーゼル車NO作戦はその典型」「国の排ガス対策強化につながった」などというとんでもない妄想で記事を書いています。

「ディーゼル車NO作戦」について詳しくは当blogの「東京都のディーゼル車NO作戦とは何だったのか?」をご参照頂きたいと思いますが、調子に乗って書き進めるうちに6回におよぶ連載となってしまいましたので、そんな冗長な文章など読んでいる暇がないという方のほうが多いかと思います。アレを端的に言えば東京都自身が途中で誤りに気付き、わずか1年4ヶ月で終了させた勇み足キャンペーンでした。その後に実施された東京都の規制内容を大雑把に纏めますと、

国の排ガス規制で最新のものより二つ以上前の規制しかクリアしていない車両について、初度登録から7年を超えるものは都が指定する粒子状物質減少装置を取り付けろ

といった感じになります。つまり、東京都の規制は国の排ガス規制に乗っかったもので、古い使用過程車の基準を少し引き上げたに過ぎず、国の規制強化に影響を及ぼしたなどというのは全くの事実無根です。

国は技術的な実現可能性をメーカーに打診しながら段階的に排ガス規制を重ねてきました。それは今後も続いていきます。国が規制の対象としているのは大気汚染に繋がるあらゆる排ガス成分で、中には二律背反の関係から同時に削減することが困難なものもあります。その規制を検討するには全般的なバランスを考慮しなければならない非常に難しい作業になるわけですね。

国はそれを継続的にやってきたわけですが、東京都は平成15年に規制を設け、その後たった1度だけ基準値を30%厳しくしたのみです。また、その対象となったのは「粒子状物質」というたった1つの大気汚染物質だけで、それは7年を超える使用過程車のみが規制対象となっています。(関連記事「言ったもの勝ち?」)

国のNOx規制の経緯
国による排ガス規制の経緯
上図は車両総重量12t超の大型車を対象にした
窒素酸化物の排出規制の実施経緯を示したものです。
国はメーカーの技術開発の進捗状況に合わせ、
ご覧のとおり段階的に何度も規制を強化してきました。
この他にも規制対象となる汚染物質は粒子状物質を筆頭に
非メタン炭化水素、一酸化炭素など多岐にわたります。


国が行ってきた排ガス規制は私も覚えきれないくらい内容もスケジュールも複雑に入り組んでいます。粒子状物質に関しては平成6年規制の値を基準にしますと、平成11年規制で36%まで削減され、平成16年の新短期規制で26%まで削減され、現在の新長期規制では4%、来年から実施されるポスト新長期規制では1%ですから、20年足らずの間に1/100まで削減されるわけです。窒素酸化物に関しても上図の通り昭和49年規制に対してポスト新長期規制で1/20に削減されますが、それまでの過程には8回にもおよぶ段階的な規制がありました。

解りにくいと言えば解りにくいのですが、裏を返せばその分だけ頻繁に細かい部分まで検討が繰り返されてきたということです。それをあの無知な都知事は「国は惰眠をむさぼっている」と言ってのけました。しかも、彼は竹下内閣時代に運輸大臣を務めていますから、自動車の排ガス規制を管轄する官庁のトップの座にいました。その立場を完全に棚に上げて臆面もなくあのような発言をしたわけです。

また、国は車両に関する規制だけでなく、特定の地域に規制をかける総量規制も行ってきました。目に見える汚染物質である粒子状物質をペットボトルに詰め、報道カメラの前でぶちまけてみせた石原都政の子供騙しともいうべきパフォーマンスとは全く次元が違うことに彼等は取り組んできたわけです。

大衆メディアに国の排ガス規制を熟知しろといっても無理でしょうし、東京都の単純なそれに感化されるなといっても単細胞な彼等には無理なことなのかも知れません。しかし、複雑で素人には解りにくい国の規制はなかったことにして、単純なパフォーマンスで素人を乗せた東京都の規制が国を変えたと誤解させる捏造記事は許されません。

日本のメディアはアメリカが京都議定書を離脱した一件も、上院が全会一致で採択した「バード=ヘーゲル決議」に基づくものであるという事実を知らず、離脱を宣言したブッシュ前政権の主導によるものと勘違いしています。このディーゼル車NO作戦も全く同じということですね。

このように科学的な理解のみならず、政策にかかる経緯も全く出鱈目に解釈している無能な記者たちが環境問題の記事を書き、多くの人がこの間違った情報を常識としているわけです。国や自治体は「誤解でも上手にメディアを利用した者の勝ち」とばかりにイメージキャンペーンを展開し、公共事業の推進に利用しています。

いまや「環境問題」は政治的な大義を支える要素として、最も強力な訴求力を持つに至ったと見るべきかも知れません。

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毎日新聞

毎日新聞は妄想で記事を書く (その2)毎日新聞の報道は見解の相違、オリエンタルランドも困惑しているでしょう。 [ニュース] 2009年04月27日

  • 2009/04/27(月) 03:05:15 |
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