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国土交通省広報課も妄想で記事を書く

国土交通省は昨年9月から『国土交通省メールマガジン(以下MLITメルマガ)』というものを毎日配信しており(土日祝日などは除きます)、間もなく150号を数えます。ま、内容は大したことなく、一般の方が読んで役に立つような情報は滅多にないと思います。発行元が国土交通省大臣官房広報課となっており、編集長は同課の課長になりますから、やはり片手間で運営されているのでしょう。

で、4月17日に配信されたMLITメルマガ第141号の「編集長だより」にこんなことが書かれていました。

◆編集長だより
○「エコで省エネな施策」           広報課長 渋谷 和久

(前略)

 国土交通省も、低炭素革命の実現に向けた戦略的な取組を進めています。去る3月18日に、経済財政諮問会議の場で金子国土交通大臣が報告した資料がありますので、ぜひご一読ください。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0318/item4.pdf

 その中で、あまり知られていないのですが、交通の流れを円滑にすることによってCO2排出量削減につながることを示すグラフが紹介されています。自動車からのCO2排出量は、発進・停止回数の増加や低速走行に伴い増加するため、一般道よりも規格が高く信号のない道路を走行することが「エコ」につながります。

 先日、「高速道路の料金引き下げは、CO2削減に逆行するのではないか」、とのメールをいただきました。今回、地方部の高速道路での休日「上限1000円」がクローズアップされていますが、同時に、「平日、全車種対象の終日3割引以上」という割引も併せて導入しています。これは、一般道から高速道路への利用転換促進を狙っているもので、上に書いたとおりCO2削減効果が期待できるものです。

(後略)

(C)国土交通省メールマガジン 第141号 2009年4月17日


以前、当blogでも触れましたが、今回の高速道路料金引き下げで「大都市圏を除く休日の一律1000円」の主たる目的は「地方経済の活性化」です。地方へ向かう人の流れを拡大し、その出先でお金を落としてもらうのが狙いですから、これまで地方への移動を控えていた人たちに対してクルマで出かけてもらうことを促す政策というわけです。これは新たなクルマの利用者を掘り起こし、CO2の排出量を純増させることになります。

一方、MLITメルマガは平日3割以上の値引きで従来から需要のあったクルマの利用を一般道から高速道路へシフトさせ、CO2が削減できると主張しています。が、一般道から高速道路へ乗り換えても燃費の向上はせいぜい数十%といったところでしょう。この値引き政策で大幅な利用率の拡大が見込めなければ効果も薄いのではないかと思われます。

また、MLITメルマガでは触れられていませんが、主に流通業者に向けた補助政策として、平日深夜0時~午前4時の割引率を従来の4割引から5割引へ拡大するというものも実施されていますが、たかだか1割余計に値引くだけです。従来から高速道路を利用してきた事業者の負担を軽減する効果はあっても、一般道から高速道路への利用転換を促す効果はそれほど見込めないでしょう。

などとイメージだけで語るのは無責任というものですね。MLITメルマガは無責任にもイメージだけで語っていますが、ここでも同レベルで語ったところで水掛け論にしかなりません。ということで、色々調べてみましたところ、社団法人・全日本トラック協会の「ETC車載器の装着状況と高速道路料金に関する調査結果の概要」というものを見つけました。

この調査によりますと、夜間の1割値下げで「利用増加しない」と回答した業者は68.2%も占め、「5割以上利用増加」と回答した業者はわずか1.4%でした。同様に、3割の基本料金引き下げで「利用増加しない」と回答した業者は12.9%、「1割以上利用増加」は43.3%、「3割程度利用増加」は28.9%、「5割以上利用増加」は13.5%となっています。つまり、平日の3割引で高速道路の利用を増やすとしても大半の業者は現状から3割増し程度にとどまり、大幅な利用率拡大は見込めないことが解ります。

こうした結果を見る限り、平日3割以上の値引きや深夜の割引率拡大で一般道から高速道路への利用転換は微増にとどまると推測できます。が、休日の1000円乗り放題が新たな需要を掘り起こすことは十二分に考えられます(そうならなければ、麻生内閣によるこの経済刺激策は失敗ということにもなるわけです)。実際のところはどうなっているのでしょうか?

各高速道路会社が実施した調査結果によりますと、地域差はあるものの、観光地周辺の高速道路の利用率は4~5割程アップしているといいます。特に高い通行料金で利用者が伸びなかった本州四国連絡橋は全体で89%増とほぼ倍増しており、四国は最もこの特需の恩恵に預かっている地域になるようです。同様に四国からの人の流れが中国地方にも向かっているそうで、こちらも比較的堅調とのことです。

一方、関越道の東松山~嵐山小川(埼玉県)は9%増、東名高速の名古屋~春日井(愛知県)は5%といった具合に、大都市圏に近く観光需要があまり見込めない8区間での増加率は1割に届いていないとのことです。当初の目的通り行楽客など一般利用者の拡大には繋がったものの、一般道からの利用転換が大部分を占めるであろう大都市圏近郊の利用率はあまり拡大していないということですね。

つまり、CO2排出量の純増とカウントすべきところでの利用率は4~5割と大幅に増えており、逆にCO2排出量の削減とカウントすべきところでの利用率は1割に満たない微増にとどまっているというわけです。これで彼の言う「CO2削減効果が期待できる」ような状況にあると認められるでしょうか?

国土交通省大臣官房広報課の課長という役職からして、ただの木っ端役人なのかも知れません。が、私など機械メーカーに勤めるしがないサラリーマンで、当blogの運営も単なる趣味に過ぎません。それでも上掲のように具体的なデータを示すことができるのです(ネット上から探し当てるのに全部合わせても30分かそこらです)から、国土交通省の看板を背負っているメールマガジンにあのような妄想で書かれた記事を載せるべきではないでしょう。

国土交通省の広報を名乗る以上、政府の公式見解との矛盾は認められません。ですから、今回の高速道路料金の値下げはCO2の削減になっているというこの主張を私は政府の公式見解と見なしますが、ここで明らかにしたとおり全くの事実無根です。環境省のライトダウンキャンペーンなどもそうですが、単なる精神的な満足を得るだけの似非エコロジーをプロパガンダするのはいい加減に止めてもらいたいものです。

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