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インサイトは安いだけが売り? (その2)

6月にトヨタの社長に就任することが決まっている豊田章男氏は新型プリウスに自信満々で、その発売に向けてメディアに「本物のHVをお見せする」と述べ、インサイトの簡易的なハイブリッドシステムとは役者が違うということを強調しています。マーケットの反応もハイブリッドシステムに詳しくない人やイニシャルコストの安さを求める人は(アンチトヨタの人も?)インサイトに飛びついた感がありますが、総合的な実力が解っている人はやはりプリウスを支持しているようです。

今年の3月初旬にプリウスとインサイトについての意識調査がモバイルリサーチを展開するネットエイジアによって実施されました。これは自分専用のクルマを保有している全国の20~50代の男女各々250名、計500名を対象としたアンケートになります。これによりますと、男性の支持は圧倒的にプリウスだったといいます。

具体的には、プリウスを支持した男性が99.6%だったのに対し、インサイトを支持した男性はわずか0.4%でした。250倍もの差がついてしまったわけですが、分母が250人ですから、要するにインサイトを支持したのは1人だけだったということですね。一方、これが女性になると様子が大きく変わってきまして、プリウスを支持した人は56.4%、インサイトを支持した人は43.6%とかなり接近する結果になりました。

「プリウス」と「インサイト」のどちらが好みか

一般的に女性ユーザーは男性ユーザーほどクルマの仕組みについて詳しくない傾向が極めて強く、恐らく殆どの女性はプリウスとインサイトのハイブリッドシステムの違いを理解できていないように思います。逆に、女性は男性より価格に対してシビアな傾向が強いと思いますので、女性のインサイト支持が伸びたのはそのせいだと思われます。

この意識調査では、複数回答形式で各々のイメージに対するアンケートも行われています。ここでもやはり「技術力の高い」「先進的な」といった項目でプリウスはインサイトにダブルスコアを付けています。プリウスとインサイトのシステムの違いを充分理解しているとは言い難い大衆メディアにはあまり振り回されていないといったところでしょうか。

逆に、インサイトがプリウスを大きく上回った項目は「低価格である」とか「コストパフォーマンスの良い」といったイメージで、この意識調査の結果を見た範囲でもインサイトを支持する人たちが重視しているのは車両本体価格の安さにあるようです。

「プリウス」と「インサイト」のイメージ

また、この意識調査ではハイブリッドカーを購入する意向のある人を対象にした「ハイブリッドカーの購入想定価格帯」というアンケートも併せて実施されていますが、200万円以上と回答している男性が44.0%だったに対し、女性で200万円以上と回答したのは16.4%しかおらず、女性のほうが男性よりずっと低価格志向が強いという結果になっています。

ハイブリッドカーの購入想定価格帯

ご存じのようにインサイトの最廉価グレードは189万円となっており、この価格が低価格志向に強くアピールしたため、低価格志向の強い女性票がインサイトの支持を伸ばしたと見られます。

ただ、アンケートが行われた時期は3月3~5日とのことですから、既に新型プリウスも値下げが伝えられており、最廉価グレード同士の価格差がそれほど大きくなくなることはハイブリッドカーの購入を検討している多くの人が知っていたのではないかと思います。男性の殆どがプリウスを支持したのは、この程度の差ならプリウスのほうがお買い得ということを見抜いたからかも知れません。

ということで、この意識調査の結果は信頼できるものという前提で書いてきましたが、個人的には男性250人中249人がプリウスを支持するという結果はあまりにも偏りすぎているように思います。サンプリングに問題があったか、何らかのバイアスがかかっている可能性も懸念されます。

とはいえ、新型プリウスに対するマーケットの評価がインサイトのそれを圧倒しているのは発売前に8万台も受注する見込みという事実からも明らかです。少なくとも、インサイトの発売時にプリウスを抜いたと騒いだメディアよりマーケットのほうがずっと冷静に両者のポテンシャルを見極めているといえるでしょう。

ところで、このところ夏めいてきて、日なたにクルマを停めておくと車内がサウナのようになることもあり、そろそろクルマに乗るときはエアコンを稼働させ始めているかと思います。ここで気になるのは、これからの時期にインサイトの燃費はどんどん悪化していくのではないかと懸念されることです。

シビックハイブリッドもプリウスと同様にエアコンのコンプレッサーを駆動する専用モーターを搭載し、アイドリングストップ時にも冷気が供給される仕組みになっています。しかし、コストダウンを徹底させたインサイトは普通のクルマと同じようにエンジンの動力を直接利用してコンプレッサーを駆動する方式になっています。つまり、アイドリングストップ時は送風のみとなり、車内温度が上昇して冷気を作る必要が生じてきたら、エンジンを始動させなければならないというわけですね。

インサイトが発売された折には自動車専門誌などメディア対抗の燃費競争が実施され、デモ走行でそこそこの燃費を示しました。が、それはエアコンが必要ない冬場だったからという見方もできます。私はインサイトの発売時期が冬場に設定されたのはそうした理由もあったのではないか?と穿ったりしました。エアコンのフル稼働が必要な時期にあのようなデモを行ったとしたら、プリウスより遙かに低い評価が下されたのではないかと想像されたからです。

昨年の6月後半、私はトヨタ博物館まで往復して732kmを走り、メーター表示で平均29.7km/Lという良好な燃費を記録しましたが、あのときも全行程でフルオートエアコンをONにしたまま、冷房がかかりっぱなしという状態でした。プリウスはエアコンを使用してもさほど燃費が悪化しないということが確認できたわけですね。

しかしながら、走行中もエンジンを完全に停止させて燃費を抑えられるプリウスは、冬場になると暖房に必要な水温が維持できずにエンジンの始動頻度が上がります。あくまでも私の場合ですが、燃費が15%以上悪化しました(当然のことながら、条件によって結果は異なると思います)。新型プリウスの発売が暖房の必要がないこの時期に設定されたのも、これが無関係ではないかも知れません。

プリウスの場合、冬場は水温を上げるためにアイドリングしますが、通常の補器類に奪われる以外の負荷がかかるわけではありません(新型は補記類についても電動化が進んだようです)。一方、インサイトの場合、夏場に冷気を作るために必要なアイドリングは、プリウスのような低負荷ではなく、コンプレッサーを駆動するためにそれなりの負荷がかかることになります。こうした違いを考慮しますと、インサイトにとって冷房が必要な時期は冬場のプリウス以上に燃費がガタ落ちになるのではないかと想像されます。

こうしたコストダウンのためのマイナス要素が広く知れ渡るようになったら、「ホンダのハイブリッドカーは安かろう悪かろうだ」などという烙印が押されてしまう恐れもあります。が、上掲の意識調査を見てもプリウスの受注状況を見ても、マーケットはメディアよりずっと冷静に実力を見極めているようですから、こうした心配は無用かも知れませんね。

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